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UNSCEAR の設立と目的
• 1955年,第10回国連総会決議により設立 • 大気圏核実験による環境放射能汚染の影響に対する懸念に対応し,人体と環境への 放射線の影響に関する情報の収集と評価を行う。
• すべての“線源”からの電離放射線のレベルと“影響”に関するデータを収集して科学的に 取りまとめて評価し,国連総会に報告する。
UNSCEAR の役割
• 放射線のリスク評価と防護のための科学的基盤となる報告 (国連総会→ 科学界,一般社会) • 放射線利用や防護の恩恵についての判断はしない (他の国際機関との役割分担) • 独立性と科学的客観性 (各国政府・国際機関から信頼される) 医療被ばくのまとめ p25
• 診断機器の増加、診断回数増加、世界的な医療レベルの向上により医療被ばくは増加 • 被ばくの健康影響が 発がんだけでなく、心臓脳血管障害や白内障など非がん影響が 問題になりつつある
• 小児の医療被ばくも増加 (実態把握は 今後の問題) • 放射線診断の正当化、診断技法の適正化 • 低線量、分割被ばく と 非がん影響に関する科学的知見は、未だ乏しい • わが国においても、医療現場における診断参考レベルの設定など最適化の方策が必要
⇒ 被ばくの現状を把握するための組織的な取り組みが必要 コンシューマープロダクト等による公衆被ばく(安全側評価) p31
製品 年実効線量(μSv/年) 147Pmを含む腕時計 0.3 3Hを含む腕時計 10 煙探知機 0.07 ウラン釉薬の壁タイル <1 地質標本 100 カメラのレンズ 200-300 タバコ中Po-210 10 UNSCEAR報告書で評価する職業被ばく p35
カテゴリー 分類
自然放射線源〜 民間航空、炭鉱、他の鉱物採鉱、石油・天然ガス産業、鉱山以外の 作業場所でのラドン被ばく
核燃料サイクル〜 ウラン採鉱・精錬、ウラン濃縮・転換、燃料製造、原子炉運転、廃止措置、 燃料再処理、研究、廃棄物管理
医学利用〜 診断放射線医学、歯科放射線医学、核医学、放射線治療、 その他すべての医学利用 産業利用〜 工業用照射、工業用ラジオグラフィー、発光剤、RI製造、検層、加速器運転、 その他すべての産業利用
その他〜 教育機関、獣医学、その他 軍事利用〜 すべての軍事利用 職業被ばくのまとめ 2000‐2002 p41
公衆と職業被曝のまとめ p42
• 原子力エネルギー生産は 核燃料サイクル全体からの公衆被曝の集団線量は 約200 man Sv のオーダー
• 職業被曝の全集団線量は、42000 man Sv と推定。 その内 37260manSvが自然線源 から (2000年報告から約3倍)
• 人工放射線からの職業被曝は、これまでは核燃料サイクルからの被ばくが主であったが、 現在の推定では、医学利用が主である。
• 世界規模の降下物による集団線量は、1963年の一人の年間実効線量 110μSvをピーク に下降し、現在は 5μSv
原子力安全委員会
チェルノブイル事故における遺伝的影響調査でダウン症候群、先天異常、流産、周産期死亡の増加
を示す明白な証拠はない
2008年レポートでは、予測死者数を出すことについて、委員会は チェルノブイル事故によって
低い放射線線量を被ばくした人々の影響の絶対数を予測するためのモデルを、その予測の容認
できない不確実性のために使用しないことを決定した
事故処理作業者と住民に分けているが、事故処理作業者では、急性影響による死亡が、それから
白内障頻度の上昇があった。ただ、閾値は小さいだろう。それから、心臓脈管系リスクは 明確では
ない。白血病発症頻度上昇は 今のところ不明である。
住民に関しては、小児甲状腺腫の増加は 4000例について認められる。それと 住民について、 上記以外の健康影響は観察されていない というのが 2008年レポートの結論
p17の甲斐委員のコメント
線量預託という概念、 コレクティブドーズ(集団線量〜もともと防護の概念)に対する疑義
原子放射線の影響に関する国連科学委員会第 55 回会合報告 平成19年5月
・・・
特に「医療放射線被ばく」、「各種放射線源による公衆と作業者の被ばく」、「事故による被ばく」の
3つの文書については、わが国において関連するデータ 及び 本文中の記述の詳細な確認 及び
修正要求を組織的に行う必要がある。
このような報告書作成にかかわる詳細な議論と同時に、とりわけ チェルノブイリ事故の報告に関して 哲学的ともいえる興味深い議論が展開した。
第一は 集団線量の無制限な適用 と それから得られるリスク予測に関するものである。LNT 仮説
に従えば、線量×人数=集団線量、 集団線量×リスク係数=予測致死がん死亡数、の2つを用い
れば、いかなる低線量であっても 集団サイズが大きければ がん死亡数も大きくなる。 しかし この
予測は 本来 放射線管理の目安を得るためのもので、得られた数は 集団サイズに対して 極めて
小さいため検証し得ない。 それにも関わらず 昨年の チェルノブイリフォーラム 報告書以来 死亡予測が
マスコミを賑わした。 この状況に対する反省として、集団線量は 多用すべきでない との議論が
一般的であった。
第二の問題は、放射線と疾病発症の関係についての考え方が多様化しつつある点である。
チェルノブイリ が人々の心にもたらした影響は 極めて重篤であることはよく知られているが、これは 放射線の直接の影響ではない。しかし ロシア、ウクライナ、ベラルーシ からの参加者は、チェルノブイリ事故を
社会的な事象として位置づけ、線量で関係づけられない心理的影響も報告に入れるべきと主張。
チェルノブイリ事故の影響に関って ここで取り上げた2つの問題は、いずれも 従来のLNT仮説の
範囲外のもので、リスク評価の考え方が変わり始めたことを示すもののように思える。今後の推移
を見守りたい。
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現代の問題 1.〜科学
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【一人の 科学・技術に恋々と執着する科学者の
現実の科学・技術者への 掻き口説き】
現実の科学・技術者というものの正体に 厳しい眼を向けることもなく、
彼らに幻想を抱いたまま その為すがままにさせるのか?
――― ということが、我々に問われている。
「genshiryoku_tamasiitdyno.142-(11:29).mp3」をダウンロード福島事故以来、すっかり地に落ちた原子力人だが、敗軍の将兵も
軍人の魂を失わなければ敵将は無残な取り扱いはしないだろう。
どんなにそれが旨かろうと安かろうと、魂のある寿司職人は食中毒
を出すことはない。想定外だから食中毒?それは寿司職人のすることではない。
想定外だから事故になった? そんなことは原子力人の魂は言わない. 電気を製造するけれど、ゼッタイに国民を被曝させない・・・
それが原子力人の魂だ。
「無農薬野菜」に力を入れていたのに、出荷した野菜に農薬がついていたからと言って、「農薬は体に優しい」と言い換えるのは農家ではない。
平時は 1年1ミリ.1万年に1回の事故に限って 1年5ミリと自分たちで決めていたのに、外人が言ったからといって 1年20ミリとか100ミリと
いうのは原子力人ではない。出て行ってくれ!
事故を起して ゴルフ場に迷惑を掛けても「無主物」と言って裁判に
持ち込み、2年経って トラブルを起こしても能面のような顔で
「すみません」もいわない。 東電には 原子力人はいない
・・・・・・・・・
今となっては日本に原子力人は皆無になった.絶滅したのだ。
でも、私は言いたい.一人でも良いから原子力人の魂を持った人が
テレビでも新聞にでも 国の委員会でも出てきて欲しい。私たちは
魂を持った人間なのだ。
もともと原発は危険だった。それは2006年に 「想定外の事が起った
ら国民が著しい被曝をする」 という文書を確認したでは無いか。
それなのに 国民には安全だと言ってきたでは無いか。
そして 事故を起こしたのだから、心から誤り、すべてのデータを出し、
全力で被害を少なくするようにしたい。原子力人の魂を持った人は
いないのか!
東電の記者会見ほど醜悪なものは見たくない。あれは原子力人ではない。
原子力人なら原発を再開したくないはずだ。 私たちは
「原子力は安全で、国民に豊かさをもたらすものだ」と確信して
きた。 それが 原子力人の魂では無かったのか?
安全な原発こそが原子力人の望みなのだ。 1000年後には再び
原子力人が現れるだろう。
(平成25年4月9日) 武田邦彦 |
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これを取り上げたのは、
カリウムに比して、非常に微量なセシウムの役割についての疑問が念頭にあったのです。
非常に微量であっても、否 たった数個の原子or分子であっても、細胞or生体にとって、
無視しがたい効果を発揮する例として、これに注目しました。
「非常に微量なセシウムは、微量であるがゆえに 生体影響は無視してよい」という論理は
成り立たないという例として。 放射線防護体系が、科学であると主張するならば、
「セシウムが微量ゆえに 無視してよい」ということを、きちんと証明しなくてはなりません。
また、生体に与える放射線の影響は、周波数(=エネルギー)が大きければ大きいだけ
影響も大きいという単純なものでなく、エネルギーの低い可視光線でさえ あるモノに
特化して 重要な役割を演じているということに注目したかったのです。
すなわち、放射線影響は そのエネルギーの大小⋆によるだけではなく、それに対する
生体のタンパク質などの感受性の有無・強弱にもよるという事実です。
⋆ エネルギーの大小に基づいて、放射線防護体系は シーベルトの値を決めている。
「 カリウムとセシウムとの生体影響を、同じくβ線とγ線を出し、これがDNAを損傷するところにある 」
という主張は、これも 科学的な言葉ではありません。
「 これらの生体影響は、線質(β線、γ線)とそのエネルギーによる DNA損傷だけにあって、
他のあり方による 他の影響はない 」ということを証明しなくては、この主張は成立しません。
こうしたことを主張する以上は、主張する者が これを証明するのが 科学の世界の常識でしょう。
しかし、放射線防護の科学は 主張はするが、その証明は成り立っていません。
さらに、こうした知見は、放射線の防護体系の基本的枠組みができる以前にあった
のではなく、ごく最近に見出されたものだという事実は、逆に
放射性物質・放射線に代表されるように、目くらめっぽう その利便性のみ追求し、
これを利用し尽くそうという 現文明の 「科学・技術」礼賛のあり方への警鐘として、
この基礎研究を見ることができると思ったのです。
基礎研究は、産業的利害から独立しているから、純粋無垢な活動だという科学者の主張は、
すでに、彼らが崇拝する アインシュタインの無垢の心が為した基礎研究が いかなる結果を、人類に
もたらしたかという事実を無視するものです。 基礎研究も 直接 産業活動に直結する研究も
ともに、人類および生き物にとって たいへん危険な営みだという事実に立たない限り、我々の
未来は 大変なことになることは 目に見えています。
しかし、この事実を直視するには、科学・技術の呪縛から解放される必要があります。
合掌
MESSIA ランチョンセミナーレポート | オプトライン (抄略・要約)
大阪大産業科学研究所
生体分子機能科学研究分野 永井健治教授
水銀アーク灯は、光のパワーが絶対的に弱いため、試料を効率よく 励起できず、蛍光シグナル が非常に
弱い。 それは、水銀アーク灯の輝度値が レーザー光に比べて圧倒的に小さいこと。また、レーザー光が
すべて 一方向に まっすぐ飛ぶ (レーザーの指向性) のに対し、水銀アーク灯は 指向性がない。 つまり、
まっすぐに飛ぶもの(軸光)だけでなく 斜めのもの(軸外光)があり、CSU⋆のシステムでは 軸外光が使えない
というのも原因。 バイオイメージングでは 時には 1秒に 30〜100枚程度の高速撮影が必要で、露光時間
は わずか 10〜30ミリ秒しかない。つまり、きわめて短い時間に 大量の光を照射する必要があるが、
水銀アーク灯では全く足りていなかった。
アーク灯のような指向性の無い光でありながら 強いパワーをもつ高輝度LEDを用い、指向性の無い光の
宿命である軸外光を なんとかして利用できるようにした。
前者は、オプトライン社が高輝度LEDを応用した『Light Engine』。 水銀アーク灯よりもダントツに明るく、
最大7波長という多波長の出力が可能で、波長の切り替えが マイクロ秒という短時間で行えるという強力な
メリットももっていた。 細胞内の様々な物質の変化を赤、青、黄、緑などで染め分け、しかも、ミリ秒オーダー
で起きるカルシウム応答なども追える。
後者は、CSUについていたマルチモードファイバー をはずし、カスタムメードで作った コリメートオプティクス を導入する ことで、軸外光の一部も スピニングディスクのピンホールに入るように改良した。
2点の改良の相乗効果により、従来よりも 10倍も明るい励起パワーを得ることに成功した。明るくなっても
空間分解能が悪くなっては意味がないが、200nmの蛍光ビーズを用いた検証実験により、レーザーを用いた
場合の分解能と遜色ないことも確認したという。
⋆ 共焦点スキャナ: 細胞や組織などの厚みのある試料を撮影する場合、普通の蛍光顕微鏡では 非焦点面の画像情報を取り除くことができないため ぼやけた像になってしまうが、共焦点顕微鏡を
用いると 焦点面の画像情報のみを得ることができるため 非常にシャープな画像となる。
多くの共焦点顕微鏡システムでは、単点のレーザービームを絞り込むことで共焦点を得ている。
(教授は)細胞膜に埋まっている チャネル・ロドプシン2⋆ などの光感受性タンパク質を利用した
生理機能操作の技術開発に取り組んでいる。
2種類に分類される。チャネルロドプシン2は 青色の光が当たると外部からナトリウムイオンを取り込む
役割を担う。近年、光遺伝学の研究において、特定の神経細胞を刺激する光スイッチとしての
利用が試みられている。
の形成と光の認識の初期段階をつかさどる。 Gタンパク結合受容体ファミリーに属し 光に敏感
であり、夜間視力は この物質のおかげで成り立つ。光を浴びると即座に退色し、その回復に ヒト
の場合は約30分かかる。
このタンパク質は 青い光を吸収すると、カチオン⋆を細胞外から細胞内へ流入させ、特定の
情報伝達系を活性化させる。 Light Engineは、この活性化スイッチのオン・オフの切り替えにも
最適。 チャネル・ロドプシン2 を神経細胞で発現させたうえで 青い光を照射すると、光依存的に
活動電位を発生させることも可能で、アメリカのチームは、この仕組みによってマウス行動の制御
に成功している。
⋆ カチオン:陽イオン(+の電荷を帯びている)、 アニオン:陰イオン(−の電荷を帯びている)
(教授は)光を当てることで 活性酸素を出す色素を利用し、色素近傍のタンパク質のみを壊する
ことで、siRNAや遺伝子ノックアウトとは異なる解析技術の開発も進めている。最近 この手法
で オーロラB⋆を破壊したり、時空間的な Ca2+濃度の操作をすることに成功した。
⋆ オーロラB: AuroraBキナーゼは,細胞周期の分裂期に活性化し,INCENP,Survivin, Borealin /Dasraなどのタンパク質とクロモソームパッセンジャー複合体(CPC)を形成する.CPCは,
分裂期をとおして ダイナミックに局在が変遷するという性質を持ち,分裂期の前期には 染色体
腕部全体に分布し,前中期から中期にかけて インナーセントロメア,後期に スピンドルミッドゾーン,
終期に ミッドボディに局在する.この局在の変遷に伴う Aurora B キナーゼの活性は,染色体
の成熟,動原体と微小管との正確な結合,さらに細胞質分裂といった,分裂期の様々なイベント
とその制御に極めて重要な役割を果たす.
前者の、細胞内の特定の分子のみを活性化したり 不活性化する技術は「CALI(choromophore-assited
light inactivation)法」 といい、すでに 研究の汎用ツールになりつつある。
一方、後者の光学と遺伝学を融合させた研究技術は 「オプトジェネティクス(光遺伝学)」とよばれ、新手法
として注目を集めている。MESSIA®は、このような新しい領域においても、文字通り、救世主となり得る。
光による 生理機能操作と バイオイメージング を駆使した「少数性生物学」の研究・・・ 細胞内
は 多種多様の生体分子が無数に存在し、それらが相互作用したり、化学反応を起こすことで
細胞の機能が発揮されるというのが 一般的な描像。 多くの場合 その通りだが、生体分子の
種類によっては、一つの細胞に 指折り数えることができるほどしか存在しないにもかかわらず、
重要な役割を持っている分子が存在する。 もっとも端的な例は 遺伝子で、一般的には 一細胞
あたり 2コピーしかない。 このような数分子による反応で いかにして 頑健な生理現象が引き
起こされるのか・・・
たとえば、大腸菌内には 3000種ものタンパク質が存在するが、蛍光タンパク質Venusを用いて
発現数を定量化したところ、その6割は わずか10個以下しか発現されていない。
「 このような数分子のふるまいによって、細胞の状態が 頑健に制御されているとすると、 それは どのような法則にのっとっているのか? 」「 生化学のような“濃度”というアボガドロ数
(6.02x10^23)個、つまり 多数の分子集団を扱う概念をそのまま適用することはできるのか?
(教授は)このような視点に立脚して 様々な生命現象を見直すことで、新しい概念を創出すること
ができる可能性があると考えている。
細胞性粘菌は、10pM(ピコモーラー)から 1mMまでの広範な濃度域のサイクリックAMP (cAMP)
に対して応答し、正の走化性運動を行うことが知られている。仮に 10pMのcAMPが細胞性粘菌
1細胞の周囲に分布するとすると、いったい 何個のcAMPが存在していることになるかというと、
10個以下。 しかも その数の勾配の向きを 人為的に操作しても、1秒程度で 数の多い方を検出
し、細胞運動の方向を変えるという凄技をもつ。
統計学や生化学など 従来の科学的な取り扱いができない世界の現象だと思える。ところが、
反応は 『安定して』進むように見える。
ここでも、Light Engineが 威力を発揮すると期待される。 時々刻々と変化する cAMPや その 受容体の挙動、さらには 細胞内シグナル伝達の動態を、生きた細胞内で操作・観察できれば、
走化性運動のメカニズムにも迫れると考えられるからだ。
「 もちろん、分子の個数を観察できるような超解像度顕微鏡や超高感度指示薬などの開発も
必須です。また、MESSIA®をバージョンアップして 生体分子の機能を“定数的”に操作できる
ような技術が開発できれば、少数性生物学が大いに前進するかもしれません 」と永井教授。
(未完成)
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【わが国の権威筋の標準的見解】
放射線や放射性物質を利用しようとする 自らの営みによる害悪が 社会の受忍限度
を越えないための処置を、彼らは 「放射線防護」と呼ぶのである。
「確定的影響」と「確率的影響」と呼ばれるものである。
前者は、ある放射線の量(線量)を超えて被曝しなければ発生しないような影響である。この
線量(しきい線量)を超えて高線量を受ければ、ほとんどの人に影響が発生し、被曝の線量が
大きくなるとともに、現れる障害の程度が重くなる特徴がある。
確定的影響には、不妊、造血能の低下(リンパ球の減少)、皮膚の障害、脱毛、胃腸管の障害、
神経障害などがあるが、それぞれの しきい線量は障害の種類によって異なる。
これらの障害のうち 最も低いと考えられる しきい線量は およそ100 mGy(注1)である。
後者の「確率的影響」には、癌の発症 と 被曝した個人の子孫に生じる遺伝性影響がある。
その影響は、その発生する確率が、被曝した線量とともに増える点が特徴的である。確率的
影響は、被曝した全ての人に 必ず発生する わけではないので、その確率を評価するには、
人数の大きな集団を用いて調査しなければならない。 確率的影響のリスク評価を行うために、
約12万人の広島・長崎の原爆被爆者集団、チェルノブイリ事故の被災者集団、医療上の被曝を
受けた患者の集団等の追跡調査から得られた疫学データが用いられている。
これまでに 主に固形癌の発症に関するデータが詳細に解析され、この結果が軸となり、安全
裕度をもって 放射線防護の様々な基準が整備されている。
遺伝性影響の発生については、原爆被爆者や放射線治療を受けた集団の子孫において、
統計学的に有意な増加は認められていない。しかし、動物実験の結果では 遺伝性影響の増加
が報告されているため、そのリスクも 安全基準の策定の上で十分に考慮されている。
低レベル放射線の健康影響を考える場合、実効線量で 100 mSv(注2)以下の線量では 癌
や遺伝性影響といった確率的影響だけが対象となる。
低 レベル放射線による癌の リスクを評価する場合は、主に 広島・長崎の原爆被爆者集団の疫学
調査の結果を用いているが、線量と癌発生の関係は およそ100 mSv以上では、ほぼ直線的に
線量とともに リスクが上昇することが明らかである。 しかし、100 mSv より低い線量では、直線的
に リスクが上昇するかどうかは明らかでない。
また原爆のように短い時間に高い線量を受ける場合に対して、低い線量を長時間にわたって
受ける場合(低線量率の被曝)の方が、被曝した総線量が同じでも影響の リスク は低くなるような
傾向が、実験動物や培養細胞の実験研究で明らかになっている。
低線量や低線量率で 効果が低くなる程度を示す値として 線量・線量率効果係数(DDREF)が
用いられる。 例えば DDREFが2である場合は、低線量・低線量率のリスク係数(単位線量当たり
のリスク)が 高線量での値の2分の1であることを示す。
国際放射線防護委員会(ICRP)は、低線量の放射線被曝の リスクを推定する場合、このような
科学的な情報をもとに、放射線による確率的影響は、線量と反応が比例する しきい値なしの
直線モデル(LNTモデル)を放射線防護の目的に採用し、その最新の主勧告であるICRP2007年勧告
においても LNTモデルの利用の妥当性を説明している。
この勧告では、これまでの広島・長崎の原爆被爆者集団などの調査研究の結果を元に、この
LNTを用い、DDREFの値を 2 として推定した リスク係数を 1Sv当り 5.5% (成人のみの集団
では 4.1%) であるとしている。
例えば ICRPの公衆の 1年間の線量限度である 1mSvを 10万人の集団が受けた場合、生涯で
約5人が癌で死亡すると推定されることを示している。
現在の我が国の放射線障害防止に関する法令の基準は ICRP1990年勧告の基準に準拠して
いるが、2007年勧告では 1990年勧告で示されたリスク係数と大きな変化はないとし、線量限度
など 主要な基準値は変更されなかった。
低レベルの放射線のリスクを推定する場合に LNTモデルを用いることの是非の議論がある。
フランスの科学 アカデミー と医学 アカデミー は 共同でまとめた報告書で 放射線による癌のリスク
に 実質的な しきい値があると主張している。
それによると、放射線生物学の研究成果から、損傷を受けた細胞の排除される機構があること
や、疫学においても 白血病の発症する頻度と線量が直線関係ではではないことなどから、
100 mSv以下の線量域では、LNTモデル を適用することは リスク を過大評価することになるとして、
しきい値の存在を示唆した。
それに対して 米国国立 アカデミー のBEIR(電離放射線の生物学的影響に関する委員会)Ⅶ報告書
では、どんなに低い線量でも DNAの損傷が生じ、それは 確率的に突然変異と癌とに関連する
ことから、リスクと線量の関係は LNTで記述できるとして、フランス科学・医学アカデミー と相反する
結論を示している。
これら議論を踏まえた上で、ICRPは、リスク管理の実用的な目的のために、DDREFの判断した値
と LNTモデルを組み合わせて採用することが妥当であると考えている。
最近の原爆被爆者、放射線治療患者や チェルノブイリ事故処理作業者などの健康影響調査研究
では、癌だけではなく、心臓疾患、脳卒中、消化器疾患、及び呼吸器疾患などの癌以外の疾患
についても 線量とともに増えることが報告されているが、その発生の機構については まだ説明
が難しい。 ICRP2007年勧告では この癌以外の疾患のリスク増加については、約500 mSvに
しきい値があるとしても矛盾がないとし、現時点では 低レベル放射線の被曝によるリスクの推定
に含めないと判断している。
胎児の胎内被曝について、ICRPは 実際的な目的から、100mGyをはるかに下回る線量での
被曝後の奇形発生リスクはないと判断している。 出生前の最も敏感な時期 (受胎後8-15週間)
に被曝した後の 重篤な精神的遅滞の誘発に関する原爆生存者データから、この影響が発現
するためのしきい線量は 最低300mGyであり、それ以下の線量では リスクは 存在しない として
いる。
注2)・・・実効線量(単位:SvやmSv)は、癌や遺伝性影響のような確率的影響に関連する被曝線量
を評価する場合に用い、確定的影響に関連する被曝線量を示す場合は吸収線量(単位:GyやmGy)
が用いられる。
日本学術会議会長談話(平成23年6月17日)
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科学・技術は、魅惑的な姿で立ち現われ、
我々を誘惑して、破滅の淵に導く・・・。
幹細胞投与:来日韓国人、月500人に 福岡の医院が
毎日 2012年12月22日
福岡市博多区のクリニック が、さまざまな病気の治療などをうたい、研究段階にある幹細胞投与を
毎月500人近い韓国人に実施していることが分かった。 韓国では こうした行為は薬事法で 禁じ
られているが、日本には規制がない。 幹細胞を使って さまざまな病気を治す「再生医療」に期待が
集まる中、効果や安全性に議論のある治療法が広がっている実態が明らかになった。
◇研究段階 法規制なく このクリニック は 「新宿クリニック博多院」。 今年5月、JR博多駅近くの雑居ビルに皮膚科医院
として開業した。
複数の関係者によると、韓国のバイオベンチャー「RNLバイオ」(本社・ソウル)が韓国人に同院
を紹介している。R社が培養・保管する幹細胞を、同院で 複数の日本人医師が点滴や注射で
投与している。韓国人患者の多くは 日帰りだ。
同院で投与に当たる榎並寿男(エナミヒサオ)医師(65)は「 韓国人に、本人の脂肪から取り出した
『間葉系幹細胞』を投与している 」と説明する。糖尿病や心臓病、関節リウマチ、パーキンソン病など
多くの病気を治せるとしている。
韓国の厚生行政当局や関係者によると、R社は 幹細胞の保管料などとして 患者と1000万
〜3000万ウォン(80万〜240万円)の契約を結ぶ。 日本など規制がない外国の医療機関
に協力金を支払い、患者を紹介する。
厚生労働省は 10年3月、医政局長名で通知を出し、医療機関が幹細胞治療をする場合は
施設内倫理委員会の承認を得ることや、実施後のデータ公表などを求めた。榎並医師によると、
同院では この手続きを踏んでいない。
幹細胞治療の効果や安全性をめぐっては 多くの課題がある。動物実験では、幹細胞投与後
に 血管が血栓で詰まり死ぬ例が報告されている。10年には R社が所有する京都市内のビル
に開設したクリニックで、幹細胞投与を受けた糖尿病の韓国人男性(73)が、血栓が肺動脈に
詰まる 「肺塞栓(ハイソクセン)」 で死亡した。 R社は「 患者は 来日時にエコノミークラス症候群
(静脈血栓塞栓症)を起こしていたとみられる 」と、投与と死亡の関係を否定している。
榎並医師は「 他に治療法がなく幹細胞に最後の望みを託す患者もいる。今は韓国人対象
に勉強も兼ねた準備の段階だが、将来は 日本人にも投与したい 」と話す。
日本人向けの幹細胞投与も 美容分野を中心に広がっている。全国展開する「聖心美容外科」
(東京都港区など)は、豊胸などを望む来院者に、本人の脂肪から取り出した幹細胞を脂肪と
混ぜて体内に戻す 「再生医療」を 約500例実施。 「 安全性、有効性は確認し、学会発表もして
いる」(広報担当)という。
こうした動きに 厚労省や日本再生医療学会は懸念を強めている。 同学会は 11年3月 声明
を出し「 科学的根拠が低く 安全を考慮しない幹細胞を用いた医療行為に関与しない 」ことを
会員に求めた。該当するとみられる医療機関を インターネットで複数確認、厚労省にも報告した。
厚労省の荒木裕人・再生医療研究推進室長は「 再生医療には国民の期待が高い。安全性が
確保されないものが広がれば、再生医療全体に悪い影響を及ぼす 」と話す。
★幹細胞治療 体の失われた機能の修復を目指す再生医療の一つ。 組織や臓器の細胞
になる幹細胞の投与などがある。国内では人の体内にある幹細胞を使った臨床研究が
進むが、白血病治療の「造血幹細胞移植」以外は普及していない。
山中伸弥・京都大教授が体細胞から作った人工多能性幹細胞(iPS細胞)は 自然には存在
しない。体内の幹細胞と異なり、あらゆる細胞になるが臨床応用はまだだ。
B型肝炎感染者数:最大で28万人に…厚労省の推計 http://mainichi.jp/select/news/20121221k0000m040078000c.html 毎日 2012年12月20日
子どもの頃の集団予防接種が原因で B型肝炎に感染した人が、最大28万人に上ることが
20日、厚生労働省の推計で分かった。注射器の使い回しを放置したとして、国の責任が問わ
れた訴訟を受けて設置された同省検討会で 初めて公表された。
検討会によると、B型肝炎ウイルスの感染者は 全国で90万人と推計される。 全感染者の
少なくとも 1/3が集団予防接種が原因で感染したとみられる。他に、母親から出産時に子ども
にうつったり、感染した人の血液を通じて ウイルスが体内に入ったりして感染するケースもある。
推計は 田中純子・広島大教授(疫学・疫病制御学)が実施。 1950〜89年に生まれた人に
ついて、感染率や母子感染率を求め、母子感染者以外が 41万6587人( 男性 27万4989人、
女性14万1598人 )と推計した。 母子感染以外の男女の共通の感染理由を 予防接種と考え、
女性の推計数の倍にあたる約28万人を最大値とした。
集団予防接種では、88年まで注射筒の交換が徹底されず、注射針や筒に残ったB型肝炎ウイルスに感染した人がいる。
B型肝炎訴訟の和解基本合意によると、予防接種により感染したことを証明する一定の書類
や条件がそろえば、症状に応じて 国が50万〜3600万円の和解金を支払う。
■ノーベル賞と原発事故 (平成24年12月13日) 武田邦彦氏
ハンセン病もそうでしたが、このB型肝炎も、果して 国の責任だけでしょうか?
こうした病などの対策について、第一義的な責任をもっているのは、行政官ではなく、
専門家です。 この場合は、医療・医学の専門家でしょう。
その全国組織である それぞれの学会や医師会の責任が問われないのは、
たいへん 奇妙で 不自然なことです。
また、国の責任となれば、補償金は 国民の税金から払われます。
そういう意味では、担当行政官の不作為の責任は重いものがありますが、
その担当者個人の責任が問われないのも、オカシナことです。
こうした不祥事が生じた場合、第一義的責任をとるべき者が その責任を免れて、
その被害と補償を 一般国民に転嫁するシステムを、「近代国民国家」というのでしょう。
「近代国民国家」は、ただ日本だけではありません。
先進国をはじめ、ほとんどの国が こういう責任転嫁を基礎理念とする国家です。
科学・技術がなくては立ちいかない この「近代国民国家」に、
自らの運命を託すという,西欧の地で生まれた魔術から、
我々は どのようにして、身を引き離すことができるでしょうか?
“近代西欧の常識”を “非常識”にする思想・態度が求められます。
合掌
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