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阪神淡路大震災(3)
検証テーマ『循環型社会づくりに向けた取り組み』 からの抜書き
            http://web.pref.hyogo.jp/wd33/documents/000039321.pdf
                       検証担当委員 和田 安彦
                         関西大学教授
 
3  復旧・復興過程の取組み
3−1 復旧過程での環境負荷抑制の取組み
 (オ)  がれきの処理状況   (つづき)
 
 処理状況の時間的推移
 倒壊家屋解体処理状況については、解体済棟数の推移 及び 月間解体棟数の推移を 図1に示す。  また、
処分済量の推移 及び 月間処分量の推移を 図2に示す。 (図1,2は 本文P21参照
この図から、解体は 直後から5月にかけて 大きな山があり、急速に解体が進み、平成7年5月末には 早くも2/3
の解体が完了したことがわかり、これは、道路の渋滞時期とも一致している。
 一方、処分については、立ち上がりは遅く、5月末で 2割強という状態で、仮置場の山が どんどん高くなっていく
という状況であった。 6月頃から 徐々に体制が整い、多い時期で 月間100万トン程度のぺ一スで処分が進むよう
になったが、解体に比ベ ピークも小さいものとなっている。 仮置場での分別等については、解体にかなり遅れて
始まった市が多く、一旦、仮置場に山積みされたのち、徐々に処分が進み始めた状況を示している。
 なお、処分済量には、神戸市布施畑処分場 及び 淡河処分場に搬入された不燃物を 搬入時点で 処分済として
計上しているため、 当初から一定のぺ一スで処分が進んだように見えるが、実際の処理工程としては、混合物で
搬入されたため 掘り起こしの上で 木くずと不燃物に分別する作業が必要であり、実際の処理の立ち上がりは、
この図よりも ずっと遅いものであった。
 
  仮置場での分別
  各市町ともに、当初は バックホウ等の重機に フォーク、スケルトン等のアタッチメントを装着し、混合状態の瓦礫
から 木材の引き抜き や ふるい分けを行っていた。
その後、多量の処理を要する市町では、順次、ふるいにより 粒径ごとに 3〜4段階に分別するシステムを導入し、
処理を進めるようになった。 また、分別したものの処理のために、可燃物の破砕機 や 不燃物の破砕機の導入も
進み始めた。 コンクリートがら等を埋立資材として有効活用するため、水槽により混合している木くずを浮遊分離することも 一部の市町では行われた。
 
e  可燃物の処理
  木くずを中心とする可燃物については、各市町のごみ焼却炉に 余り余力がないこと、県内に専門に処理している
業者が少ないこと等の理由から、当初は 処理ルートの確保に困難を極めたが、県内、県外の他市町への処理委託
や 仮設焼却炉の設置等により、平成7年秋に ようやく処理の目途が着くという状況であった。
可燃物 271万 t についての各市・地域ごとの処理内訳を 表2(本文P22参照)に示す。
-―― 焼却が最も多く 202万 t、次いで 埋立が多く 60万 t再生は わずか 9万 t となっている。
  焼却の内訳は、仮設焼却炉 93万 t、自己焼却炉の余力活用 18万 t、他市町への焼却委託 10万 t、民間業者
 への焼却委託 25万 t であり、残る 56万 t が仮置場での野焼きである。
 野焼きについては、仮置場に搬入される量が 余りに膨大であったこと、又、当初 処分方法に行き詰ったことから、
 少しでも量を減らしたいために やむにやまれず始められたものであるが、誠に 残念なことであった。 
 木くず処理のために設置した仮設焼却炉は、7市町等で 計34基であり、処理能力は 1780 トン/日である。
    また、焼却により生じた 灰の処分先で 処分量が最も多かったのは、大阪湾広域臨海環境整備センターの
    埋立処分地 (以下、「フェニックス処分地」という) の 44万 t、 次いで 域外民間業者の 15万 t となっている。
  埋立の内訳は、市町処分場 39万 t 、業者委託が 22万 t となっており、 市町処分場での処理量は 神戸市が
 9割強、明石市が 1割弱を占めている。 また、業者委託では、県外業者が7割となっている。
 なお、埋立については、不燃物と混合状態になっており 分別不可能なものが対象となっている。
  再生については、 まず できるだけ チップ化等を行った上で リサイクルを図ることを目標として進めてきたが、
 再生業者の受入能力の制約 や 混合状態で 仮置場に搬入される量が多く、分別後に リサイクルできる量が限ら
 れていたこと等から、リサイクル量は 9万 t に止まった。 この結果、県下の可燃物のリサイクル率は 3.2%と 低く
 なっている。 リサイクル率を 市町別にみれば、伊丹市が 19%と際立って高くなっている。 これは、市内で確保
 できる仮置場の面積に限りがあったため、 受入条件として 解体現場での分別を徹底させたことが 大きな要因と
 なっているが、この搬入管理の徹底 と リサイクルヘの努力は、大いに評価されるものである。
 
  処理ルートの確保に苦労した結果、域内処理には 限界があったため、県外の市町事務組合や民間業者に焼却
又は 埋立の処理を委託した量が 39万 tと多くなっており、域外処理率は 14%となっている。 域外処理の中には
、西宮市 及び 芦屋市の木くずを JR貨物が輸送し、横浜市、川崎市 及び 埼玉県東部清掃組合の好意により処理
された 4万 t を含んでいる。
 
f 不燃物の処理
 コンクリート等の不燃物の処理については、フェニックス 処分地が 尼崎沖 及び 泉大津沖にあり、残容量にも 余裕が
あったことから、当初より 域内での処理が ほぼ可能であろうと見込まれていた。 その後、神戸港、西宮市鳴尾浜及び 淡路島の津名町生穂での海面埋立に、良質なコンクリート等が 埋立資材として有効活用できることとなり、
域内処理の確実性が高まった。しかし、現実には、可燃物との混合状態で 仮置場に搬入された量が多かった
ことから、分別を行っても 最終的に これ以上の分別が不可能となる混合物の発生は避けられず、その一部は 域外の民間業者で処理されることとなった
不燃物 1158万 t
の処理内訳についての各市・地域ごとの処理内訳を表4(本文P23参照)に示す。 埋立
626万 t、 再生532万 t となっている。
  埋立の主な処分先は、フェニックス処分地が 196万 t 、市町の自己処分地(神戸市布施畑等)が 274万 t 、
民間業者が 156万 t となっている。 再生の内訳は、海面埋立資材としての活用が圧倒的に多く、439万 t で
あり、路盤材や地盤の嵩上げ材としての活用は 83万 t、 鉄くず等の金属リサイクルは 10万 t となっている。
                                                  (不燃物のリサイクル率は 46%)
 不燃物の埋立で 域外処理を行ったのは、混合物の分別処理で生じる不燃物主体のふるい下 (少量の木くずの
混入のため埋立用材として使用できないもの) や可燃物との混合物であり、その量は 105万 t域外処理率9%となっている。
 
g リサイクル率の状況
 道路、鉄道等の公共公益系を含めた瓦礫全体でのリサイクル率については、県計画で 50.1%を目標として
処理を進めてきた。 処理内訳等から見れば、住宅・建築物系での再生量は 可燃と不燃の合計で 541万 t
なっており、 また、公共公益系は 災害復旧工事にあわせて 処理が行われているが、発生量 550万 t の内
462万 t が計画どおりに路盤材等として再生された。この結果、全体でのリサイクル率は50.7%となり、目標値
をわずかであるが上回った。
なお、住宅・建築物系の中でのリサイクル率は、県計画では 36.9%としていたが、37.8%となった。
                                        
 域外処理
 今回の震災により生じた住宅・建築物系の瓦礫のうち、兵庫県外で 焼却処理及び埋立処理をされたものは、
144万 t (10%)と見込まれている。 県外での処理については、東は 埼玉県、千葉県から、西は 福岡県と広範囲
にわたっている。 遠方で 処理された事例については、貨物列車 や 船舶による大量輸送によるものであり、輸送
コストの関係から 効率の良い手段によるものが 大半であった。
なお、木材・畳のリサイクルは、9割以上が 県外であり、大阪府、和歌山県の業者が中心になっているが、一部は、
奈良県、三重県、愛知県内の業者により行われた。
 
・・・
 
 災害廃棄物処理にかかる事業費
 県下の10市10町が実施した災害廃棄物処理事業にかかる経費については、し尿処理、ごみ処理に係る費用を
含めて 約2655億円の巨額にのぼった。
処理費用の中では、瓦礫処理が 99%強を占めており、し尿処理 及び ごみ処理については 1%弱となっている。
瓦礫処理の内訳を見れば、解体費 (仮置場までの運搬費を含む) が6割強、仮置場以降での処理・処分にかかる
経費が4割弱となっている。
  事業費は、瓦礫処理2635億円し尿処理・ごみ処理が 約20億円、 合計2655億円となっている。
瓦礫処理の内訳は、体費が 約1620億円 処理・処分費が 約1015億円となっている。
また、解体家屋一棟当たりの処理費用 (解体費、処理・処分費の合計) は、木造で 約150万円(平均 108 ㎡)、
鉄筋コンクリート造で 約2620万円(平均 808 ㎡)、 鉄骨造で 約660万円(平均 283 ㎡) となっている。
 
                            (つづく)                                                                       
阪神淡路大震災(2)
検証テーマ『循環型社会づくりに向けた取り組み』 からの抜書き
            http://web.pref.hyogo.jp/wd33/documents/000039321.pdf
                       検証担当委員 和田 安彦
                         関西大学教授
 
1  社会潮流、時代認識の変化:循環型社会到来の予兆
(1) 震災と相前後して高まりを見せ始めた「持続可能な社会の構築」に向けた気運
 (つづき)
 
 そのような中、阪神・淡路大震災の際には、大量の災害廃棄物の発生、倒壊建築物の解体撤去工事に伴う
アスベスト・粉塵の飛散、工場等からの有害物質の流出、廃棄冷蔵庫等からのフロンの流出など、短期間に 環境
への多大な負荷が加えられ、経済効率を重視した20世紀型都市の脆弱さがあらためて露呈されたところである。
  このため、社会自体を持続可能なものに変えていくこと、また、人間の諸活動から生じる環境負荷を 環境の許容
範囲内にとどめ、人の健康などに悪影響を与えないことが一層求められつつある。
  また、有害化学物質の蓄積などの 環境上の負の遺産を 可能な限り解消し、将来世代に より良好な環境を継承していくことが必要である。 さらに、人間の活動が、環境を構成する大気、水、土壌、生物間の相互
関係によって形成される生態系などのシステムと 健全な関係を保ち、それらに 悪影響を与えないことが
必要である。
このような 社会で営まれる個々の活動においては、可能な限り、環境負荷を生み出す資源・エネルギーの使用を
効率化し、生産活動や消費活動の単位当たりの環境負荷を低減することが必要となる。
我々は、20世紀に慣れ親しんだ大量生産、大量消費、大量廃棄型の生産と消費のパターンから脱却し、経済の
成熟化を伴いながら、資源と エネルギー の大量消費に依存しない新しい段階へと移行していくことが求められている。
 
 ・・・
(3) 「環境基本法」「環境の保全と創造に関する条例」等の国法令、県条例の整備
 本県では、昭和30年代から40年代にかけて、高度経済成長とともに、瀬戸内海沿岸部の工業地帯を中心とした
産業活動に伴う大気・水等の生活環境の汚染や開発に伴う自然環境の破壊といった公害問題が生じた。
これらの公害問題に対する総合的な対策を実施するため、早急な法整備が求められる中、本県においては、国に
先んじて 公害防止条例(昭和40 年)や自然環境保全条例(昭和46年)を制定し、問題解決に取り組んできた。
 他方、国においては、公害対策を総合的かつ計画的に実施していくための公害対策基本法(昭和42 年)を制定
するとともに、昭和45 年の「公害国会」において、規制対象となる地域・施設・物質の拡大、地域の実情に応じた
上乗せ規制、直罰制度の導入などを行う14 の法律を制定または改正し、今日の環境行政の基礎を築いた。
さらに、公害対策を強力に推進していくための常設の行政機関として、昭和46年7月1日に環境庁を発足させた。
 国における公害対策基本法や自然環境保全法の制定後は、本県では、これらの法と条例の体系のもと、国や県
・市町、県民、事業者が、独自に あるいは協力して、環境問題の解決に取り組み、各分野でのよりきめ細やかな
規制等の対策を推進してきた。
  しかしながら、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済活動 や 生活様式が定着するとともに、人口や社会
経済活動の都市への集中が進んだことにより、従来の産業型公害に加え 新たに 自動車公害、生活排水、廃棄物
の増大等の都市・生活型公害が問題となり、さらには、地球温暖化、酸性雨、オゾン層の破壊等の地球規模の環境問題が顕在化してきた。
  こうした環境政策の対象領域の広がりに対処し、適切な対策を講じていくためには、規制的手法を中心とする
従来の枠組みでは 不十分となり、国、地方公共団体はもとより、事業者、国民の自主的取組みなど 全ての主体
による対応や、経済社会システムの在り方 や 行動様式の見直しが必要となってきた。 このような観点に立ち、
新たな環境政策を総合的に展開していくため、国においては、平成5年11月に「環境基本法」を成立させた。
・・・
 しかしながら、環境問題を巡る状況は、地球環境問題の深刻化や新たな有害化学物質問題の顕在化など、
予想を上回る速度と広がりで困難さを増しており、これらの新たな課題に一層総合的に対応することが
課題となってきたため、平成14年5月には、環境を巡る近年の動向を踏まえ、「兵庫県環境基本計画」を全面的に見直し、「新兵庫県環境基本計画〜共生と循環の環境優先社会をめざして〜」を制定し、本県がめざすべき共生と
循環の環境適合型社会を明らかにしたところである。
 
2  阪神・淡路大震災による環境負荷等の発生状況
(1)  瓦礫等の災害廃棄物の瞬時・大量発生とごみ処理施設の被害

  阪神・淡路大震災により県下の被災地域(10市10町)において発生した災害廃棄物は、住宅・建築物系と道路
 ・鉄道等の公共公益系を併せ約2,000万トンという膨大な量にのぼった。
 このうち、市町の災害廃棄物処理事業として実施されたのは、住宅・建築物系の約1,450万トンである。
 (道路・鉄道等の公共公益系は、約550万トン)
 兵庫県の平成6年度の一般廃棄物の総排出量は248万トンであり、十数秒間の地震により、約8年分に相当する
 廃棄物が発生したことになる。
 ごみ処理施設関係では、20施設が被害を受けたが、本体に致命的な被害を受けた施設はなかった。また、断水
 により再稼働できない施設が 6施設あった。
・・・
 
3  復旧・復興過程の取組み
3−1 復旧過程での環境負荷抑制の取組み
・・・
イ  ごみ処理
 (ア)  ごみ収集と他市町・事務組合の収集応援
  震災直後の大混乱のため、各市でごみの収集が始まったのは、1月19日からであったが、神戸市及び阪神間
 では、交通事情が非常に悪く、1月末頃までは通常の50%程度しか収集ができなかった。 ごみ収集は、1月末に
 通常の収集形態に復帰したが、災害によるごみ発生量が多く、積み残しがあるため、特に 神戸市にあっては
  自衛隊の出動を要請し、一部の市では 他市町等の応援を求め緊急対応した。 収集運搬に係る応援市町等は
  136 団体、延べ 4,155台に及んだ。
  (イ)  ごみ処理施設の被害 と 他市町への焼却依頼
    ごみ処理施設については、20施設が被害を受けたが、本体に致命的な被害を受けた施設はなく、被災1週間後
 には、神戸市ほか 7施設を除き 仮復旧により稼働を開始した。
  その後 順次、仮復旧が進み、地盤沈下により 地下浸水していた神戸市東クリーンセンターを最後に、2月20日に
  全ての施設が稼働した。
 この間、ごみ焼却の応援を求めた他市町・事務組合は 44団体で、その焼却量は 11,620 トンに及んだ。
ウ  がれき処理
 倒壊家屋等から生じた瓦礫の処理については、手探り状態で取りかかることとなったが、概ね次の手順で進めた。
 (ア)  がれき発生量の推計
 (イ)  災害廃棄物処理計画策定マニュアルの作成
 (ウ)  処理体制の確立(協議会等の設置、仮置場・処分場の確保、搬送ルートの確保等)
・・・
 (ウ)  処理体制の確立
 国庫補助制度
  従来、災害廃棄物に係る国庫補助としては、市町が行う収集・運搬・処分についての補助制度(補助率1/2)は
 あったが、今回の大震災による被害は 甚大で、社会的経済的影響は 極めて大きいため、迅速な復興が進め
 られるよう 特例的に 損壊家屋等の解体も 国庫補助事業として実施できることとなった。 (平成7年1月28日付
  厚生省環境整備課長通知「「兵庫県南部地震」におけるがれき等の災害廃棄物の処理について」)
 また、残る1/2 の地方負担額についても、全額について 災害対策債の発行が許可され、その元利償還金の
  95%が 特別交付税により措置されることとなった。
  なお、今回の特例措置の対象となる倒壊家屋等は、災害救助法指定市町の区域内の個人住宅、民間マンション、
  事業所等であり、賃貸民間マンション 及び事業所等については、中小企業基本法第2条に規定する中小企業者
  のものに限られている。 この結果、大企業の事業所等の解体は、所有者の責任の下に行われ、公共公益施設系
 については、当該事業の管理者において処理されることとなった。
 災害廃棄物処理推進協議会
  災害廃棄物の円滑な処理のため、国(四省庁連絡会議)、県、関係20市町及びその他の関係者が協力して、
 処理状況を把握し、搬送ルート、仮置場 及び 最終処分場を確保し、これを適切に処分することを目的として、
  平成7年2月3日に 「災害廃棄物処理推進協議会」 を設置した。
  この協議会のもとに、社団法人全国産業廃棄物連合会、社団法人建築業協会、近隣府県市町等の協力を得て、
  解体処理、分別処理、最終処分に取り組むこととなった。
    処理体制の確立の中でも 緊急的で重要なことは、解体した廃棄物を取り敢えず搬入する仮置場の確保であっ
 たが、幸い 神戸、阪神、淡路地域には 未竣工 又は 未利用の海面埋立地があり、関係者の理解と協力のもと、
  最大時で 46か所 125万㎡に及ぶ仮置場が確保できた。
  災害廃棄物処理推進協議会・倒壊家屋処理推進部会
  解体戸数の多い神戸市 及び 阪神6市については、国 及び県を交えて 「倒壊家屋処理推進部会」を 平成7年
  4月14日に設置し、全体処理計画の進行管理等を行うこととなった。 この部会には、後に 明石市を加え、平成
  8年12月までに 延べ 10回の協議を行った。
・・・
(オ)  がれきの処理状況
 a 倒壊家屋解体処理状況
   実際の処理状況であるが、解体撤去は 平成7年度末で 全体処理対象家屋 108,126棟の内 105,057棟が
 終わり、進捗率は 97.2% であった。 なお、解体と瓦礫運搬については、自衛隊の協力を得た (2,455棟)。
     処理処分に関しては、8年度末で 住宅・建築物系発生量 1,430 トンのうち 1,397万トンの処分が終わり、
 処分率は 97.7%であった。また、リサイクル率は 50.7%であり( 発生量1980万トンの内 住宅系541万トン、
  公共系462万トン、計1,003万トンを再生 )、 計画の目標は ほぼ達成できたと評価している。
    災害廃棄物処理事業を実施することとなった 10 市10 町のうち、川西市、三木市 及び淡路地域 1市10 町では
  平成7年度末までに 事業を完了したが、尼崎市、伊丹市、宝塚市は 8年度末までの、神戸市、西宮市、芦屋市
  及び明石市では、平成9年度末の事業完了となった。

 瓦礫発生量の内訳と解体に伴う発生原単位等
  建物の構造別の解体棟数・面積・瓦礫発生量 及び解体に伴う発生原単位等については、表2の通り(略)。
  家屋の解体に伴い発生する瓦礫量の原単位は、市や地域により多少のばらつきはあるが、県下全体での平均値
 では、木造家屋の場合で可燃物 0.194 t/㎡、不燃物 0.502 t/㎡となっている。又、鉄筋 コンクリート では可燃物
 0.120 t/㎡、不燃物 0.987 t/㎡、 鉄骨造では 可燃物 0.082 t/㎡、不燃物 0.630 t/㎡となっている。
  瓦礫発生量の中には、落下した瓦や倒壊したブロック塀等の家屋の解体を伴わないものも含まれ、その量は
 411万トンで 総発生量の28%となっている。
   解体家屋の中には、鉄骨造・鉄筋コンクリート造の一部に 吹付アスベストを使用しているものがあったが、これら
  の建物では 解体前に アスベストを除去するなど、環境保全に留意した解体を行った。
検証テーマ『循環型社会づくりに向けた取り組み』 からの抜書き
            http://web.pref.hyogo.jp/wd33/documents/000039321.pdf
                       検証担当委員 和田 安彦
                         関西大学教授
                      ( 要約 ) 
・・・
1 社会潮流、時代認識の変化:循環型社会到来の予兆
 震災時、短期間に環境への多大な負荷が加えられ、経済効率を重視した20世紀型都市の脆弱さが露呈された
ことにより、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会活動のあり方が限界を迎えているとの認識が共有される
中、 国内では、国法令・県条例の整備、 国際的には、地球環境サミット・COP3等の国際的枠組みの検討等、
「 持続可能な社会の構築 」に向けた気運が高まりを見せ始めている。
 
2 阪神・淡路大震災による環境負荷等の発生状況
(1) 瓦礫等の災害廃棄物の瞬時・大量発生 と ごみ処理施設の被害県下の被災地域で発生した災害廃棄物は、  約2,000万トンにのぼった。 ごみ処理施設関係では、20施設が被害を受けた。
(2)震災によって生じた大気汚染
   SO2・NO2・浮遊粒子状物質等の大気汚染物質の平成7年1〜5月の測定結果によれば、全般的に過去の
 変動の範囲内であり、顕著な影響は現れなかった。 また、環境モニタリング調査の結果、工場・事業者からの
 有害物質の漏洩等による二次汚染は認められなかった。
   但し、以下の点については問題が生じた。
 ・ アスベストについては、飛散防止措置を行わない解体作業等による大気汚染が懸念された。概ね日本の都市
 地域の環境濃度の変動の範囲内であったが、ビル解体撤去工事現場の近傍地点で やや高い濃度がみられた。
  ・  局所的な粉塵等の飛散に対し、住民の健康への影響を防止するため、各団体から寄付等の協力を得て、市町
  を通じ 避難所等を中心に マスクを配布した。
  ・  数年分の冷蔵庫等の廃棄による 大量のフロン放出が懸念された。
(3) 震災によって生じた水質汚濁
    水質モニタリング緊急調査の結果、一部海域で高COD値が検出されたほか、一部地域で自然的要因により
  環境基準値を超える砒素が検出された
(4) 震災によって生じた 土壌・地下水汚染
    倒壊等クリーニング事業場 7箇所において 土壌調査 及び地下水調査を実施した所、6箇所で土壌環境基準
 を上回るテトラクロロエチレン等が検出され、また、2箇所で地下水評価基準を超過していた。
 
3 復旧・復興過程の取組み
3−1 
復旧過程での環境負荷抑制の取組み
(1)  瓦礫等の災害廃棄物の処理対策
 ア  災害廃棄物処理への取組状況
  被災直後は、以下の4段階で対応した。
  (ア)  第一段階 (し尿処理)
   取組内容: 仮設トイレの確保、避難場所等への設置、維持管理体制の確保
  (イ)  第二段階 (ごみ処理)
   取組内容: 収集車の確保、ごみ焼却の委託、焼却施設等の早期復旧
  (ウ)  第三段階 (瓦礫処理初期対応 − 準備段階)
   取組内容: 瓦礫対策国庫補助制度の確立、処理計画策定マニュアルの作成、発生量予測、仮置場の確保、
        市町の処理体制の確立、処理ルートの確保
  (エ)  四段階 (瓦礫処理本格対応)
   取組内容: 処理計画の策定、計画的解体、処理ルートの確立、広域的・計画的な処理の推進、リサイクルの推進
  ごみ処理
   ごみ収集・焼却について、一部の市では 他市町等の応援を求め緊急対応を行った。
 ウ  瓦礫処理
  倒壊家屋等から生じた瓦礫処理については、概ね 以下の手順で進めた。
  (ア)  瓦礫発生量の推計
  (イ)  災害廃棄物処理計画策定マニュアルの作成
  (ウ)  処理体制の確立
  ・ 特例として 損壊家屋等の解体も国庫補助事業として実施可能となった。
  ・ 国(四省庁連絡会議)、県、関係20市町 及び その他関係者が協力して、「災害廃棄物処理推進協議会」を
     設置した。
  (エ)  災害廃棄物処理計画
   市町の処理計画をもとに、公共公益系分を加味して 「兵庫県災害廃棄物処理計画」 を取りまとめた。
    (オ)   瓦礫の処理状況
  ・ 震災当時、災害廃棄物については 市町が仮置き場に受け入れていたため、不法投棄については 大きな
      問題にはならなかった。
  ・ 「兵庫県災害廃棄物処理計画」に基づき、7年度末までの損壊家屋等の解体撤去の完了、8年度末までの
   災害廃棄物の処理・処分の完了を目標として処理を進めた結果、計画目標を ほぼ達成できた。
  ・ 可燃物 271万 t の処理内訳については、焼却が 最も多く202万 t であり、その内 56万 t が仮置場での
   野焼きであった。
  ・ 不燃物の処理については、埋立の処分先は、フェニックス処分地が最も多く、再生処分については、海面埋立
   資材としての活用が圧倒的に多かった。
  ・ 瓦礫全体のリサイクル率については 50.7%となり、県計画の目標値 50.1%をわずかに上回った。
  災害廃棄物処理にかかる事業費
   県下10市・10町が実施した災害廃棄物処理事業の経費については、し尿処理、ごみ処理に係る費用を含め
   約2,655億円の巨額にのぼった。
(2) 大気汚染対策
 ア  
大気汚染対策
   工場施設破損による有害物質の飛散・流出や、工場の環境関連設備が機能しない状態での再稼動による
  二次災害発生が懸念されたため、約1,200の工場に対し、環境保全対策に万全を期すよう通知した。
   粉塵・アスベスト対策
  ・ 解体工事の手順、アスベスト飛散防止対策の手順等をマニュアル化した 「 阪神淡路大震災における民間
     倒壊建築物の解体撤去工事に関する指針 」の策定・通知等、行政指導による対策の徹底
    ・  アスベスト使用建築物の実態調査 および工事現場への立入調査
  ・ 建築物の解体工事に対する県条例による規制
    アスベスト飛散による大気汚染は 平常時でも発生するため、「環境の保全と創造に関する条例」で規制する
   こととし、一定規模以上の建築物解体工事の事前届出の義務付けと粉塵の飛散防止基準設定を行った。
 ウ  フロン回収対策
  ・ ボランティアによるフロン回収
    県では 全国に先駆け、事業者と行政からなる「兵庫県フロン回収・処理推進協議会」を設立しており、
   延べ1,000名のボランティア等の支援を得てフロン回収に取り組んだ。
  ・ 回収専門チームによるフロン回収
    推進協議会では、環境事業団の地球環境基金 及び県の支援を受け、専門技術者等の参画によるフロン
      回収事業を展開した。
    ・  県条例によるフロン排出の禁止
    ・  「兵庫県フロン回収・処理推進協議会」のフロン回収・処理事業
(3) 水質汚濁対策
   緊急対策として、震災翌日から 電話で主要99工場に対して状況を聴取し、必要に応じ現場確認・指導を行った。
 また、操業再開による二次災害防止対策として、約1,200工場に対し、環境保全対策に万全を期すよう文書通知
 を行ったほか、有害物質取扱い工場等382工場に対し、緊急実態調査と現地指導を行った。
(4) 土壌・地下水汚染対策
 倒壊等のあったテトラクロロエチレン等を使用しているクリーニング事業場において、土壌調査及び地下水調査を
 実施した結果、土壌環境基準や地下水評価基準を超過した事業場があり、地下水が基準超過した地区において
 は、井戸水を飲用しないよう注意喚起を行うとともに、現在、土壌の改良を実施中である。
 
3−2 循環型社会形成を目指した施策展開(復興過程の取組み)
(1) 震災を契機とした循環型社会づくりへの気運醸成
 ア  県民意識の変化
  震災時に、我々は、経済効率を重視した20世紀型都市の脆弱さ、自然を畏れ敬う気持ちの大切さを実感した。
 
  ・・・・
 
5−2 各論:復旧・復興過程の課題に係る提案
(1) 大規模災害時の緊急対応に係る提案
  震災直後の短期間に生じた大量の災害廃棄物や大気・水質汚染等の環境負荷への対応の問題点を検証し、
 今後の大規模災害に備えた体制整備・対応方針を検討することが必要である。
(1)-(1)  瓦礫等の災害廃棄物の処理対策に係る提案
 ア  
分別作業を可能とする条件整備
 (ア) 解体現場で可能な限り分別を行うことによる最終処理の迅速化解体現場での分別の徹底が図られた市
   では、その後のリサイクルが効率よく行われており、可能な限り解体現場における分別を行うことが重要
 (イ) 仮置場の確保    膨大ながれきを仮置きし、分別・破砕等の処理を行う仮置場が必要
 (ウ) 分別技術の共有・周知  
    仮置場での分別については、各市町が試行錯誤の上、処理方法を固めていったが、これらの経験や新たな
   知見を今後の災害時にも活かしていくため、開発された分別技術の共有・周知が必要
 イ  災害時における処理能力の確保
 (ア) 廃棄物処理施設の処理能力のゆとりの確保
    廃棄物処理施設の整備に当たっては、補修時等を考慮した容量に ゆとりのある施設とすることが必要
 (イ) 災害時におけるごみ処理対策の仕組み作り(他府県及び県下市町間での災害時の相互応援協定の締結等)
        応急対策としての ごみ収集に係る支援体制の構築(他市町の応援、広域処分場の活用、民間業者の活用
   等) 等
   計画的な解体の推進による搬送の効率化
 (ア) 計画的な解体を実施するための方策の検討
    民間ベースで解体が進められた結果、道路の渋滞や運搬途中の落下物等が生じたため、計画的に進める
   ことが必要
   県・市町地域防災計画等への災害時の解体・処理手順等の明記
 (イ) 搬送ルートの確保
    搬送ルートの確保、海上輸送ルートの活用 等
(1)-(2) 大気汚染対策に係る提案
 ア  緊急モニタリング体制の構築
   大学との連携、他の自治体との緊急時の協力体制の構築
  災害への備えに係る工場等への指導・立入検査等によるチェック
   消防関係の観点だけでなく、環境汚染の観点からの指導
   平常時からの粉塵・アスベスト飛散防止に向けた条例基準の遵守徹底
   緊急時のフロン回収協力体制の構築
  フロン等災害時に環境悪化を招く物質の使用縮減の推進
(1)-(3) 水質汚濁・土壌汚染対策に係る提案
   有害物質使用工場に対する立入検査時等における災害対応マニュアルの作成等に関する指導の実施
  有害物質使用工場等に対する災害時の土壌汚染自主測定体制の確立に向けた指導の実施
 
・・・
 
                            (本文) 
 
1  社会潮流、時代認識の変化:循環型社会到来の予兆
(1) 震災と相前後して高まりを見せ始めた「持続可能な社会の構築」に向けた気運
 人類が20世紀に入って高度に展開させてきた活動様式、即ち 大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会
活動は、我々に大きな恩恵をもたらしたが、他方で、物質循環の輪を断ち、その健全な循環を阻害するという側面
も有し、その生存基盤たる環境に対して負荷を与え続けてきた。
  経済社会活動の規模が小さく、環境に加えられる負荷が自然の循環を大きく損なうことがない間は、その深刻さ
を真摯に受け止めることができなかったが、今や この活動様式によって加えられる負荷は、自然の環境を 阻害し、
これまでのような経済社会活動のあり方そのものが 限界を迎えているのではないか、との認識が 共有されつつ
ある。
 
 
                                                     (つづく)
毎日    2011年 12月2日

プルトニウム:英国が地下に廃棄へ 再処理から転換

 
【ロンドン会川晴之】  世界最大の余剰 プルトニウム を持つ英国が、保有 プルトニウム の一部を2025年に 着工を目指す核廃棄物の地下最終処分場に 世界で 初めて 「核のゴミ」 として捨てる計画を
進めていることがわかった。  プルトニウムは 核兵器の原料になるためテロ対策上の懸念の
高まりと、年2000億円以上もの管理費が財政を圧迫している ことが 主な背景。
使用済み核燃料の再処理施設も 21年までに段階的に閉鎖し、「脱 プルトニウム 路線」にかじを
切る。 英政府は 新戦略の決定に際し、関連資料を国民に提示、広く意見を募るなどの情報公開を図った。
 プルトニウムの利用をめぐっては、日本でも 高速増殖炉 「もんじゅ」 (福井県敦賀市)の廃炉を
含めた抜本的な見直しが進んでいる。  1956年に西側諸国では 初の商業用原子炉の運転を
始めた英国が、最重要戦略物資の扱いを国民に問う形で決めたことは、日本などプルトニウムを
保有する各国の政策の決定過程に大きな影響を与えそうだ。
 英エネルギー・気候変動省、英政府の外郭団体・原子力廃止措置機関(NDA)などへの取材に
よると、余剰プルトニウムの多くは、ウランと混ぜたMOX燃料として再利用する予定だが、一部は廃棄処分にする。 プルトニウムを安全に捨てる技術は まだ開発されていないが、セメントなどで
固めて 地下数百メートルに埋める方法が検討されている。
 英政府は 中部カンブリア州に最終処分場を造る方向で、地元との調整を開始。 まとまれば、
2040年からプルトニウムを地下処分する計画だ。
 英国が保有する民生用余剰プルトニウムの総量は、日本の電力会社などが英国に再処理を依頼して抽出した 28t も含めて 114.8t (10年末)で、管理費は 年約20億ポンド(約2400億円)。21年まで再処理を続けるため、余剰量は 最終的に海外の分を含めて 130t を超え、英国自身の保有量も 100t を超す見通しだ。 国際原子力機関(IAEA)によると、純度の高いプルトニウム
ならば 8キロで核兵器の製造が可能。 英国の総量を換算すると1万発以上となる。
 英政府は、2010年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、余剰プルトニウムの議論が
活発化したことを受けて、本格的な検討に着手。 今年2月に 
(1)新技術が開発されるまで 長期間保管  
(2)MOX燃料として 原発で再利用 
(3)廃棄処分にする
−− の3案を国民に示した上で、(2)を推奨した。 MOX案については 「 新規工場の建設・運用費用50億〜60億ポンド(約6000億〜7200億円)が、核燃料販売価格(25億ポンド)を大幅に上回る 」 とし、他案についても、 長所、開発にかかる期間の見通しなどを記して意見を募った。

 ◇プルトニウム

 自然界に存在しない元素で、1941年に核兵器開発中の米科学者が生成。 1グラムで 1kℓ の石油に匹敵するエネルギー量を持ち、「錬金術師の夢実現」と表現された。
世界では 軍事、民生合計で 約500t、うち民生用は 約300t だが、余剰が増え続けている。
約45t を保有する日本は 「余剰プルトニウムは持たない」 と国際公約しており、ウランと混ぜた
MOX燃料を原発(軽水炉)で消費する「プルサーマル計画」を推進していた。

 ◇消費進まず、保管費用増大

【ロンドン会川晴之】英国が世界最大の余剰プルトニウム 保有国となったのは、高速増殖炉計画や、軽水炉用の核燃料に加工する プルトニウム・ウラン 混合酸化物(MOX)燃料工場が、技術的
経済的な問題で 成果があがらず、プルトニウムの消費が計画通りに進まなかったためだ。
 このため余剰量は増え続け、テロリストが入手する事態を避けるための保管や、多大な費用の
捻出が財政危機を背景に困難となってきた。 英国の脱プルトニウム政策は、高速増殖炉を含む
原子力発電を 「準国産エネルギー」 と位置づける日本にとっても、核燃料サイクル事業の見直しを
判断する材料になるのは確実だ。
 英国は、西側世界初の商業炉(1956年)、高速増殖実験炉(59年)を開発するなど、常に
原子力開発の先陣を切ってきた。 石油など化石燃料が枯渇する との懸念が高まっていたのが
背景で、50年代初頭から本格化した核兵器開発と連動する形で核燃料開発に注力した。
 しかし、70年代に英国沖で 北海油田が発見され、カナダで 巨大ウラン鉱床が見つかるなど
プルトニウム の経済的優位性が薄らいでいく。 日本の 「もんじゅ」 と同様、ナトリウム 冷却材漏れなどの事故が高速増殖炉で相次ぐ といった技術的困難も伴い、 94年には高速増殖炉計画を断念した。
 
 一方、英国が使用している 旧型ガス炉の核燃料は、長期保管が極めて難しく、再処理する必要がある。 このため、余剰プルトニウムが 年3t の割合で増え続けた。
解決策として、英政府は MOX燃料を使ったプルサーマル利用を目指した。 しかし、イングランド
北西部セラフィールドに  01年に建設した MOX燃料工場は、技術的障害で 年産120t の計画
に対し、10年間で 15t にとどまり、今年8月に閉鎖に追い込まれた。
 
 英政府が 再処理中止と、プルトニウムの一部廃棄を検討していることについて、英政府の独立委員会、放射性廃棄物管理委員会(CORWM)のピッカード委員長は 「 再処理は、核廃棄物の減量を図り、プルトニウムなどの核物質再利用を進める役割を果たしてきた。 だが、今、その考えは岐路に立たされている 」と語った。
 英国の足取りは 日本の原子力開発の歴史と重なる。 特に 高速増殖炉には 巨額の国家予算を投入。 プルトニウム抽出に必要な核燃料再処理施設建設を 青森県六ケ所村で進めた。
 日本政府は 87年にまとめた原子力長期計画で、高速増殖炉実用化を 2020年代から30年頃
、再処理工場稼働を 90年代半ば、MOX燃料工場稼働も 90年代半ばとした。 その後、技術的な問題などを背景に 何度も計画を変更。
今は 高速増殖炉が 2050年、再処理 2012年、MOX燃料 2016年を目標にしている。
 
 
                                            毎日  12月9日 
 英本土最北端のドーンレイ ・・・
  エネルギー・気候変動省によると、当時は石油などの化石燃料もすぐに底を突くと予想されていた。ノーベル賞を受賞した科学者らの提案で、政府は「夢のエネルギー産地」として巨額の国費を
投じた。建設・運営した施設は、高速増殖炉のほか核燃料再処理施設や核燃料製造工場など
計180施設。 高速増殖炉は54年に実験炉、66年に原型炉を着工、85年に大型の実証炉の
設計に入った。・・・
 今は総額29億ポンド(約3500億円)を投じ、約2000人の技術者たちが施設の解体や放射性廃棄物の処分場建設を進めている。
 施設の解体終了目標は2039年。 だが、「 (77年に運転を停止した)実験炉の解体は83年に始ったのに、30年近くたってもまだ、炉心にある核燃料棒すら取り出せていない。順調に進んでも、終了まで あと20年はかかる 」。  解体作業責任者のアレックス・アンダーソンさんが見通した。
作業開始から少なくとも半世紀はかかる計算だ。 低レベル放射性廃棄物のみ 施設内の土中に
埋められ、これが 人体に「 安全 」となるのは 2300年ごろだ。
[『巌流塾』 三菱UFJリサーチ&コンサルティング

大転換の時代:大地震の文明的意義

              京大大学院 人間・環境学研究科教授 佐伯啓思氏

                           (7)

日本人の自然観

 一方で、科学や技術の力を 日本ほど うまく利用して 経済大国になった国は他にないのです。
ところが、経済大国になればなるほど、日本人の本来持っていた「自然観」やら価値観から
離れていってしまったわけです。 これを いったい どういうふうに考えればよいのでしょうか、
これも 大きな問題ですね。 では、この「自然」というものに対して、これからの日本人は
いったい どういう考え方を持つべきなのでしょうか。

 日本人の自然観というものは、アメリカ人の自然観とは まったく違うものですし、また
ヨーロッパ人の自然観とも違うものです。もともと 日本人は 自然を ジネン と言っていました
よね。 たとえば、「 ジネンホウニ(自然法爾) 」という言葉があります。
だから、日本人の自然というのは、おのず(自)と そういうものが育っていって、おのずと
生成(然)していくものが「自然」なのです。 その「 おのずから生成していくもの 」の中に、
人間自身も入っているのです。 ですから、人間が 自然をコントロールしようという発想は、
ほんとうは 日本人の中からは なかなか出てこないはずです。
 人間が 自然の大きな流れに即しているときには いいのですけれども、人間が その大きな
自然の流れから離れてしまって、下手に 自然をコントロールしようとか、下手に 自然に
余計な手をかけようとしたときに、人間に対して天罰が下ることになるのです。
石原東京都知事が「 これは天罰だ 」というふうなことを言ったそうですが、あの発言は
こうした自然観に照らすと 基本的に正しいと思います。 確かに 日本人は そういうふうに
考えるものなのです。
 アメリカ人などは 「天罰」だなんて言いませんよ。「神罰」というものは、ユダヤ人の場合
は 神との契約で そういう発想が出るかもしれないですけれども。 
日本人が「天罰」というふうに言ったときに、自然の大きな流れがあって、自然が生成して、
流転して、転々としていくような 大きな流れの中に 人間も入っていないといけないと考えて
います。 自然と同調して、それと同じようなリズムで動いていくということが、文字通り
「自然」な、本来の人間の生き方だという考え方があるのです。

 そうした考え方を人間が身につけるのは、要するに 「清明心」なのです。すなわち、
「 余計なことを考えない。無になって、無私になったときに、人間は 自然の動きに同調する
ことができる 」 これが 日本人の自然観です。 そこに「 私 」というものが出てくると、
変に余計なことを考えてしまうのです。 そうすると 自然の流れから離れてしまうわけです。
「我利我欲」というのが 一番良くないですね。だけど これは 実際には とても難しいことです。
科学的な思考というものと対立してしまいます。 科学というものをもって、自然に手を加える
という、そういう発想と対立しますからね。 そこを いったい どういうふうに考えるのかが
大きな問題です。 今般の大震災によって、こういう問題が 我々に突き付けられたという気
がします。

霊性の目覚め

 最後に一言だけお話ししたいことがあります。
 先ほども言いましたように、こうした事態で、最終的に出てくるのは 宗教的なものだろう
という気がするのです。 10mぐらいの目先で、自分の親とか 子供などが津波に呑まれて
死んでいくのを見ていて 何もできないということは どうしようもなく つらく、絶望的な
ことです。この絶望的なことは 救いようがないのです。救いようがないときに いったい
人間は どういうふうにすれば 精神の安定を得られるのでしょうか。

 ここで思い出すのは、平安末期から鎌倉初期のことです。 この時代の日本は、戦国時代に
次ぐような大混乱の時代でした。武士が出てきて、保元・平治の乱から源平合戦、そういう
武士の戦いの時代であり、おまけに あの頃は 次から次へと大飢饉がやってきて、疫病も
流行りました。 そのうえ、京の都で 大地震が起きる、という時代だったのですね。
いわば 「乱世」であり、仏教的に言えば 「末法」の時代ですね。 その末法の時代に法然が
出てくるわけです。 法然は ご存じのように、三十数年間、比叡山で修行を積んだ トップエリート の
仏僧で、あらゆる お経を全部勉強して、天台座主の位置に座ることも可能だった人なのです。
しかし、法然は そういう将来を全部捨てて、京の町へ出てきて、例の 他力本願、南無阿弥陀仏
専修念仏、それで 人は救われるのだ というふうに言うわけですね。

 これはかなり大変なことです。つまり「 南無阿弥陀仏という言葉を唱えて、自分を全部
捨てて、他力、すなわち 阿弥陀仏にすがりなさい。阿弥陀仏に助けを求めなさい。それ以外の
ことは 一切 無意味です 」というふうに言うのです。 現在の私たちには、とても そんな
「他力本願」なんてできません。恐るべき考えです。 おそらく、当時の人々は それほどまでに
絶望していたのでしょう。それほど絶望して はじめて、阿弥陀仏という、とにかく衆生を
絶対的に救ってくれるような仏さんに 念仏を唱えたわけです。
そのことを指して、後に 鈴木大拙という西田幾多郎の友達の禅の哲学者が、「 あのとき
初めて 日本人は霊性に目覚めた 」と表現しました。 つまり、初めて 日本人が宗教というもの
に目覚めた、ということです。とことん 絶望して、自分を救ってくれる存在、本当に神
というものを必要としたということです。「 宗教というものが 初めて そのとき始まった 」
というふうに 鈴木大拙は言うのですね。

 私は 宗教というものは そういう存在だろうと思います。
どうしようもない理不尽なもの、どうしようもない絶望的なものの中で、だけど 人間は何かに、
すがらないと精神の安定を得ることができない訳です。そこで 最後に出てくるのは、やっぱり
何か 宗教的なものでしょう。 かっては、法然が 専修念仏で 阿弥陀仏を持ってきた訳です。
 もちろん、今は そんな単純な時代状況ではなくなってしまったのですけれど、現代の日本に
宗教的なものを いったい どういうふうに持ち出すのか、 これも 非常に 大きなテーマだ
という気がします。 今回の大震災は、本当に 想定外で、どうにもならないようなことが
起きたし、これからも 起きる懸念があるのですね。そのときに 人間が生きていくギリギリの
ところに、何か 宗教的なものが必要ではないか、という気がします。

 日本には、神道的なものもあれば、仏教的なものもあります。だけど、元々 日本の中にある
宗教心みたいなもの、 日本人が考えた霊性、超越的なもの、それは いったい 何なのか、
という点について、もう一度 深く考える必要があるだろう という気がします。
天皇制や皇室の問題も 多分 そこに絡んでくるでしょうね。 つまり、この世の話と、この世を
超えた所にある話をどうやってつなぐのか、ということが とても大事なことになってきた。
 この問いに対して、別に明瞭な答えがあるわけでなくて、色んな論点ばかり出してしまって、
後は みんなで考えましょう、みたいな話で ちょっと恐縮なのですけれども、私が 今回の
地震で考えたことは 大体このようなことでした。
 どうも ありがとうございました。

                    (おわり)

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