あそこでは言えないこと〜心理学 言いたい放題〜

しばらく多忙で開店休業状態です。主に心理学について書いてます。投票もやってますのでよろしければご覧下さい。

全体表示

[ リスト ]

私がいつか書こうと思っていたことを簡潔に書かれた先生がいらっしゃったので,
ご紹介で済ませることにしました(^^;

ダイヤモンド・オンライン
クスリに頼るのは悪いこと?――「抗うつ薬」の効用と限界――「うつ」にまつわる誤解 その(10)
(こちらを見られない場合は,このページの下のリンクをご利用下さい)
私がここ何年も感じてきた,薬の働き方や役割についての,
医師と,患者やクライアントとの認識のギャップや,
それをさらに広げる,うつ病の定義の拡大と曖昧さが,
簡潔に説明されていると思いました。

私が特に念を押したいのは,
3ページ目の後半に書かれている点です。
一部を引用しましょう。

「アンバランス」を薬物療法によって整える作業は、厳密に言えば「うつ」という
状態に対しての対症療法なのであって、「うつ」をひき起こした何らかの根源に対する
根治療法とは言えないわけです。
 その次元に向けてアプローチを行なって根本的解決を目指す精神療法と、症状を
軽減して療養しやすくすることで治癒力の発現を助ける薬物療法とを、それぞれの
目的と限界を把握したうえで、病態や状態に合わせて上手に活用することが治療として
大切なスタンスだろうと思います。
 ですから、「クスリさえ飲んでいれば良い」という考え方も「クスリには意味が
ない」という意見も、いずれも偏った認識なのであり、そのような極論に振り回されて
しまうことは危険なことだと言えるでしょう。
治療における薬の使用意図の誤解と,
一部のいいかげんな医師や犯罪者などによる行為から,
薬物治療に対して過剰な嫌悪感が多くの人々に生じているように思われます。
しかし,その嫌悪感を支持する意見(
は,この泉谷先生がご説明されているように,
極論ではないかと考えます。

もちろん,治療方法を選択する権利が患者・クライアントにはありますし,
自らの考えによって薬物治療を避けるのも選択肢の1つです。
また,違法行為,犯罪(虚偽の診断による薬の処方)は問題であり,
取り締まる必要があることは当然ですが,
薬物治療に対する極論は,誤解を根拠にしていることが多いと思われ,
精神科医を訴えるための根拠としては不十分と思われます。
極論を根拠にして薬物治療を避けたり,精神科医を訴えるたりするのは,
患者・クライアント自身にとって,むしろ,
有効な選択肢を自ら減らすことにつながるのではないかと懸念します。
また,精神科医やカウンセラは,理解してもらえないと投げ出さず,根気強く,
極論に対抗していかなければならないのではないかと思います。

ただし,私はうつ病をはじめとする精神疾患・障害の診断基準を
全面的に支持するものでもありません
精神疾患・障害の概念や診断基準,治療法は,依然として,
ようやく黎明期を脱出し始めたくらいの水準ではないかと,個人的には考えています。
新たな「うつ病」と命名される病態が増加していることも,
その表れと考えられます。
少なくとも,科学技術の進歩によって明確になった部分と,
近代の思弁的な概念を引きずったままでいる部分が混在しており,
しかも,それが治療者の個人差としても表れているのではないかと推測しています。
旧態依然とした治療者と,新しい根拠や理論に基づく治療者がおり,
しかもいずれにも利点と問題点があるようです。

そのとおりならば,患者・クライアントは,
治療者も万能ではないことを承知の上で治療を求めるという姿勢が必要ということになるでしょうし,
緩解(寛解)(Yahoo!辞書)という概念を受け入れる覚悟も必要と思われます。
一方,治療者は,謙虚な姿勢で治療にのぞむことが必要とされるのではないでしょうか。
そして,このことは,他の診療科でも当たり前のことではないでしょうか。
治療者は神様ではありません。
精神疾患や障害以外にも,完全には治らない病気もありますよね。

完治するためではなく,より良い,もしくは,せめてよりましな状態を手に入れるためには,
精神科医やカウンセラが役立てることもあります。
その点を無視して,極論にとらわれ,精神医療排斥のような態度をとるのは,
苦しんでいる人たちにとって利益にならないのではないでしょうか。


ただ,どのような治療を受けることが自分にとって望ましいかという,
専門知識があっても迷いが生じることもあるであろう難しい判断を,
患者・クライアントに判断するように求めることは,あまり現実的ではないとも思います。
患者・クライアントが努力できることは,できるだけ正確に症状を伝えることであり,
そして治療者は,患者・クライアントがそうしやすい環境・状況を作るように
心がけることが必要ではないかとも思います。
このことは,治療者にとっては大学・大学院で学ぶ基本原則程度のことだと思いますが,
実際にどのくらい実行できているのでしょうか?


「臨床心理学,精神疾患・障害」書庫の記事一覧

閉じる コメント(2)

はじめまして。記事を読ませていただきました。

私はいわゆる「精神疾患」について「投薬治療」を受けていますが、比較的良好な状態を得られていると感じています。


心の問題は、患者側の線引きというか、「このくらいの辛さは耐えよう、この部分は治療が必要かな」といった認識も求められるかな、と感じています。

全面的に心の問題を医学で治癒することはない、というスタンスというか・・・

大変興味深いブログですね。私はケータイからしか見られませんが、是非ファン登録させて下さい。ご迷惑でしたら削除して下さってかまいません。

2009/6/7(日) 午後 0:22 牙鼓尺

顔アイコン

はじめまして。こんにちは。
治療、大変ですね。比較的良好な状態とは幸いです。

精神医療に限らず、治療は治療者と患者さんの共同作業という側面があると思います。そういう点で、患者さんの線引きも重要な要素なのだと私も思います。
問題は、当人が治す必要はないと思い、治療者や家族が治す必要がある、という場合でしょうか。これも、精神医療に限らず、たとえば延命措置など、判断が難しいことになりますね。

めったに更新できないので、ファン登録恐れ入ります(^^;
何か1つでも、考える材料になったのなら幸いです。

2009/6/7(日) 午後 2:27 kyotax30


.
検索 検索

ブログバナー

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去の記事一覧

Yahoo!からのお知らせ

kyotax30
kyotax30
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事