|
このごろは、
お守りのように電卓を持ってくるリョウタ。
「これさえあれば、苦手な算数もできるんだぜ!」
って感じが伝わってくる。
リョウタにとっては大事な電卓。
小学1年生の算数ドリルも終え、
2年生のドリルも、
時間と比較以外は問題なくクリアした。
もちろん、
電卓を使って。
文章題もすらすらと式を作っていく。
●バスに5人のっています、つぎのていりゅうじょで8人のってきました。
せんぶでなん人のっていますか。
5+8=
・・・調子よく式を書きます。
=まで書き終えたとき、
ガチョーンという顔になります。
「すみません。電卓使ってもいいですか?」
式まではらくらく作れる。
その調子で・・・計算まで・・・と思ったら、
計算ができなくて、ガチョーン!
計算ができなかったことを
うっかりしていた「ガチョーン」らしい。
それに気づいて、
「すみません。電卓使ってもいいですか?」
の発言になる。
「いいよ、使って。」
といわれると、
うれしそうに答えを出し、
答えの欄には、
『人』を付けるのも忘れない。
本当に計算能力だけが欠落しているだけなんだな。
なら、電卓さえあれば大丈夫だよ。
目が悪い人がメガネをかけるのと一緒だと思えばいい。
なんだ、
この個性は、
こうやって補ってあげれば、
大丈夫だったんだ、
ワカのときは、わからないで無理をさせちゃったな。
(まだ、書いていないけど、
ワカも数量欠落で、かなり苦労したけど、
みいだしてあげられなかった。
後悔。)
ワカには、嫌な思いをさせちゃったな。
リョウタには、
これから生活していく上で必要な算数を
教えてあげられればいいな。
頑張ろうと誓う!
|
リョウタ
[ リスト | 詳細 ]
全1ページ
[1]
|
算数の個人指導をはじめて1ヶ月。
リョウタは電卓を使うことに慣れてきていた。
100問たしざんのシートも15分位で
私が付いていなくてもこなせるようになった。
でも、大きな声で電卓計算をする。
せーの
3+5=
(電卓入力しながら)
8
8です!
どんどんやってください
はい、次いきます
せーの
15分もその勢いでしゃべっていたら疲れるだろうと思う。
でも、最後まで続ける。
この頃には、
電卓もスムーズになったので、
小学校1年生のドリルもやらせてみた。
自分で問題を読み、
計算の部分は電卓を使って。
軽快に問題を解いていく。
やっぱり、
計算機能が大幅に欠落していたのだ。
ただ、時計の問題は苦戦した。
電卓では単純にわからないからだ。
そんなところはとりあえず軽く補助して
答えを書かせる。
しばらくは、
問題を解くことが楽しいと感じてもらわなければならないと思った。
苦手意識を変えて、
楽しく計算ができるようになればいい。
日常の買い物が、
電卓を使ってできればいい。
まず、最低限それをめざそうと思った。
|
|
リョウタの算数個別指導がはじまった。
週に1回。
リョウタはテンションが高い。
「こんばんわー」
でかい声で入ってくる。
会う人会う人
「だれですかー」
名前をきく。
「なにで帰りますかー」
「電車ですかー」
「どこ通りますかー」
「踏み切り通りますかー」
「○○線みますかー」
「だれと帰るー」
とにかくうるさい。
いろいろな人と話をしようとする。
本当に自閉か?
こんなに殻に閉じこもらず、
いろいろな人とコミュニケーションをとろうとする、
明るい自閉症なんてあるのか?
自閉症という診断じたいが、あやしく感じる。
やはり、どうみても学習障がいと数量ディスクレシアにしか見えない。
算数の授業は、
電卓に慣れることがはじめの目標。
100問のたしざんプリントを、
電卓を使って解いていく。
視力が弱い人はメガネをかけるように、
数量の認識が欠落しているから、
電卓を使う。
一桁の足し算中心の問題だが、
苦手意識があるので、
電卓の答えを書く前に、
一問一問私に確認をする。
「3です。」
「はい、いいよ。」
のやりとりがあって、答えを書く。
電卓も慣れていないので、
クリアを押さないで次の問題を入れてしまったり、
押し間違えたりすると答えが違う。
「18です。」
「ん?」
「まってください。もう一回やります。」
疲れがたまってきたり、
何回も間違いが続くと少々パニックになる。
「あの、おしっこする。」
本当にトイレにいきたいわけではなく、
逃れたいからだ。
「最後まで終わったら行こうね。はい次。」
とうながす。
終わったあと、
「トイレに行っていいよ。」
「いえ、行きたくないです。」
・・・やっぱり。
疲れてくると、
次の問題をはじめるまえに、
「今日だれと帰りますかー」
「このあとなにをしますかー」
「電車みますかー」
などと質問をしてくる。
こちらも、時々は答えてあげながら、
次の問題を電卓で計算するようにうながす。
最後まで頑張らせるのに、こちらも必死。
かなり、くたくたになる。
この頃は、
100問の足し算プリントだけで50分くらいかかっていた。
第2回目と3回目の授業のとき、
私自身がプレッシャーと難しさのストレスで、
喘息発作が出て、
他のスタッフに指導を代わってもらったことがある。
今ではなつかしい思い出だけど。
その後は、リョウタの頑張りもあり、
楽しく授業ができている。
|
|
リョウタと会ったのは去年の秋。
小学校の特別支援クラス6年生のとき。
保護者から教育相談で来られました。
自閉症ということでした。
相談内容は、
算数がもうすこしできるようにならないだろうかというもので、
そのときの算数の程度は、
一桁のたしざんが十分にできない、
ブロックを使ってなんとか答えをだすことができるていどだということでした。
う〜ん。
LD、ディスクレシア・・・
ディスクレシアは、
読み書きそろばんというもののどれかが欠落しているもの。
リョウタは、
そろばんの欠落。
数量の認識が欠落しているのだ。
小学校1年生で、
1+1=2
というのを教わる。
リョウタには、
これがわからない。
Boss, なんとかなりませんか?
・・・う〜ん。
欠落をなんとかすることはできない。
だけど・・・
視力が弱い人ならメガネをかける。
計算ができないのなら、
電卓を使って買い物ができるよう、
やってみましょう。
というわけで、
リョウタの算数を教えることになった。
|
全1ページ
[1]




