人物歴史訪問記

歴史上の人物は、各人の心の中で思い思いで生きています。

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龍馬の躍動5

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千葉道場で案内を乞うと、うら若き女性が出て来た。
「土佐藩の坂本龍馬と申す者ですが、千葉先生に御目通り願いたいがじゃ。ここに、郷元より、日根野先生の紹介状がありますきに。」
「それは、御苦労様。直ぐ案内致します故、暫し、お待ち下さりませ。」
道場主・定吉の娘、佐那子は奥へとって返しながら、思った。
―何て薄汚れたお方なんでしょう。鬢は乱れ、顔は浅黒く、細目で、焦点が合わない様な顔でこちらを見て、おまけに、臭気すら漂わせていらっしゃる。―
龍馬の初印象は、散々であった。
然しながら、この頃には珍しく、背は既に五尺七寸(約175cm)もあり、大男に部類していた。
龍馬は旅装も解かず、直行して来ていたので、無辺ない成りである。
やがて、足だらいが用意された。
たらいの水が、薄墨を撒いた様な有様に変わった。
袴の埃をパンパン叩きながら、案内に従い、奥へ通った。
案内人は、顔をしかめつつ、袖で鼻と口を押さえていた。
障子を開けながら、「どうぞ、こちらへ。」
にゅっと部屋へ入ろうとした龍馬の頭に、鴨居が待ち受けていた。
ゴツン!
この瞬間、待ち受けていた千葉定吉は、平然としていたが、脇に控えていた佐那子は、堪えきれず、口を袖で隠しながら、笑いを噛み殺して、立ち去って行った。
定吉の前に平伏した龍馬は、
「土佐藩江戸下屋敷、吟味役付き畠山左衛門が家来、坂本龍馬直柔と申しまする。ここに、日根野よりの介状がありまするきに。」
受け取った紹介状を一読し、
「相解った。入門を許そう。それで、何時から通うかな。」
「今直ぐにでも…」
そこへ、佐那子が茶を運んで来た。
「これは、我が娘、佐那子と申す者。少しは、剣術を嗜んでおる。」
「佐那子と申しまする。以後、お見知り置きを…」
「はあ、宜しく頼むっちゃ。」
「ところで、お頭の方は大丈夫で御座いますか?」
「いやあ、ここん処、背が伸びてかなわんちゃ。江戸への下向の途中でも、あちこちの旅籠でぶつけているきに、もう慣れっこになっちゅう。」
「佐那子、この坂本殿は、今日にでも、入門したいと云っておる。初手合わせをやってやれ。」
道場で、門弟一同に引き合わされた後、佐那子との立会いが始まった。
両者互角で稽古を終えたが、龍馬は、乙女姉さんより強い女性がいるとは、世の中、やっぱり、広いもんじゃ。と感じていた。
それからの龍馬は、土佐藩下屋敷と千葉道場の往復で、日々を重ねて行く事となる。
佐那子は、はっきりした物云いをする娘で、龍馬に対し、汗臭いから、ちょくちょく身体を拭いなされとか、髷が乱れているから、直しなされとか、着物が、着崩れていますよとか、その都度、直言して来た。
―かなわんなぁ。佐那さんは、まるで乙女姉みたいじゃっち。わしは、綺麗好きの方じゃと思っちゅうに―


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