(新名称) 法と公正手続きへの基本的理解が欠如した原子力規制委

(旧名称) 九州電力第三者委員会、郷原委員長、そして枝野経産大臣への疑問

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 原電の異議申立てに対する却下決定について、原電が追加コメントを出しています。 
 
・その議題が事前に公表されておらず当日になって急遽追加されたこと、
・審議過程で何らの質問も出ない異様なものだったこと、
・田中委員長が、会見で「こういう退屈なやりとりを聴きたいと思いますか」という不遜な発言をしていること、
・追加の理由補充書の受理がさんざん待たされ、なかなかされなかったこと。
 
 等について抗議し、被規制者を慮る姿勢が何ら見えないと強く批判しています。
 全く同感ですが、特に田中委員長が会見で、ああいう議事の進め方について所感を問われて、
 
 「ああいう退屈するような議論を皆さんは公開でお聞きになりたいかどうかということぐらいですよね。」
 
 と言ったのに驚きました。言語道断の不遜な発言でしょう。本来、規制委として発するべきメッセージとしては、次のようなものだったはずです。
 
「今回の異議申立てについては、法律論として訴えの利益という観点から入口に入らず、却下決定となったが、原電として求めているのは、活断層判断の是非だということは理解している。このため、先般、原電最終調査報告書について説明を受けたところであるが、速やかに現地調査も行い、必要に応じて第三者の意見も聴きながら、規制委としての判断を固めていく考えである。」
 
 そちらの肝心要のところを、1ヶ月以上放置したままにしておいて、原電からの現地調査と審議継続の繰り返しの要請も無視しているなど、本来あり得ない話です。そのことについて何ら委員会審議でも触れないというのでは、委員会の機能不全と言わざるを得ません。

 930日に、柳田邦男氏、野村修也、北沢宏一氏ら有識者と田中委員長との意見交換会があり、
その場で、規制庁のプロセスが見えないこと、委員会は規制庁から上がって来た案件だけ審議しているように見えること等の指摘がありましたが(同感です)、先般の原電からのヒアリングは島崎委員長代理が主宰している会合です。それであれば、そちらの進捗、予定等について、一言あって然るべきでしょう。
あまり言いたくはないですが、唯一の文系で行政庁出身者である大島委員にもう少し頑張ってほしいところです。8月下旬の委員会で、原電から最終調査報告書のヒアリングする旨の報告がなされたときに、「平行線になったらどうするのか? 第三者の委員を選ぶなら委員会としても関与したほうがいいのではないか?」という発言をしたくらいですから、問題意識は持っていると思いますので、規制庁に対する督促、状況確認の発言等を期待したいところです。本当は、そういう全体の目配りは池田規制庁長官なり、森本次長なりの仕事なのでしょうが、そこが機能しないのでは仕方ありません。
 
●さて、異議申立て却下決定自体に対する対応についてですが、頭の体操で考えてみましたが、こういう手はあり得ないものしょうか?
  
   731日付で提出した報告を取り消す(=遡って効果を消滅させる)。
 
 今回の異議申立ての却下決定が、原電が報告したことを以て報告義務がなくなり、訴えの利益は消滅したという、ごく単純な、原電が提出したことを逆手にとった決定でした。
 そして、決定文を読めば、「報告しなければ、報告義務が消滅せず、罰則を受けるという不利益を受ける恐れがある」ということが、逆の表現で伝わってきます。
 
「本件報告徴収命令については、その根拠規定(原子炉等規制法第67条第1項)が、当委員会は、原子炉等規制法の施行に必要な限度において、原子力事業者に対し、その業務に関し報告をさせることができると規定し、同法第78条第29号及び第81条第2号が、同命令に対する「報告をせず、又は虚偽の報告をした者」に対する罰則を定め、同命令の発令を受けた者による命令の履行を間接的に強制していることに照らすと、同命令が発令されることにより異議申立人は、法律上の報告義務を負うことになり、他方、同命令に従い報告を行えば、異議申立人が負っていた法律上の報告義務は消滅することとなるものと解するのが相当である。」
 
 あの却下決定書は、あれこれ書いてありますが、内容はシンプルで、一言で要約できます。
 
「報告してしまったから報告義務=法律上の不利益は消滅した。消滅後も残存する不利益は規定上も実際上も見当たらない。他の一連の申立ても、訴えの利益の説明と関係ない。」
 
 これだけのことを言わんとするために、難しい言葉を費やしているだけです。
 あくまで、「原電が命令に従って報告をした」という点が、却下決定の鍵になっていますから、それでは今度は原電がそれを逆手にとって、
 
「それでは報告は取り消す。活断層認定を前提とする報告徴収命令には従うわけにはいかない。」
 
と言えば、報告義務は復活し、加罰の不利益のおそれも復活するということにはならないものでしょうか・・・? その上で予防的に無効確認訴訟を起こす・・・。この辺は、前例がなく、法律論として詰めて考える必要はあるのかもしれませんが、奇手かもしれないものの、全くあり得ない選択肢ではないようが気がします。やって、実害はありません。
 
 調べると、課税処分に抗して税金を納めないときに、その後続処分としての滞納処分や罰則、更には種々の認可・免許取り消し等の不利益を受けるおそれがあるので、それを予防するために、課税処分についての予防的無効確認訴訟というのが認められているとあります。
 もともと原電は、「重大かつ明白な瑕疵あり」と主張しているわけですから、無効原因ありということになりますので、無効確認訴訟になじむのではないかと思います。
 
 9月末のブログ記事で、銀行税のことを書きましたが、あれは、罰則、認可取消しその他のペナルティを恐れて、いったんは納税したわけですが、条例の無効、納税債務不存在確認等を争っても駄目だったので、納税を「過誤納」としてその返還を求める中で、条例の無効を争って、やっと高裁で無効認定の勝訴を勝ち取ったというものでした。
 
 それをヒントに考えると、いったん報告徴収命令に応じて行った報告を取り消すことが、銀行税訴訟での過誤納の返還に当たるのではないか?と思いついたものです。
  
●訴えの利益論というのは、非常にわかりにくいところがあります。次のサイトに、様々な判例が載っていますが、一般的感覚からはかなり乖離しているところがあります。 
 
 建築確認取消の訴えや、開発許可取消の訴えも、そのまま工事が進み、建設されてしまったり開発されてしまった後には、「処分の効果の終了」ということで、訴えの利益はなくなるというのが最高裁判例です。運転免許停止処分の取消の訴えも、免停期間経過によって法律上の訴えの利益はなくなり、免停を受けたことによる名誉毀損は事実上の不利益にすぎないとされています。
 これらの前例は、訴えた側が、工事の進捗というコントロールしがたい事情によるものですが、今回の原電の異議申立ての件は、「みずからの報告」という自分のコントロール下にある行為です。したがって、規制委が、原電が報告したことを以て却下というのであれば、報告を自ら取り消せば、却下という決定の根拠となる事実が失われるのではないか?
と考えるのは荒唐無稽でしょうか・・・。第三者に何も不利益は生じません。
 
●原電の今の主張だと、

「報告徴収に続く処分は想定し得ない」(だから権限の濫用である)
「しかし、想定し得ない何らかの後続処分で甚大な不利益を被るおそれ」
 
 という漠然としたものなので、最高裁の「『法律上の利益を有する者』とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう」という判例に照らすと、具体的に侵害されるであろう権利や法律的利益を挙げて争わないと苦しい気は正直します。
 
 何か後続処分をしてくれると、それをとっかかりにして、具体的侵害利益ありということでその後続処分を争うことができるのですが、それがなければ、自らが提出した報告を取消して、報告義務と加罰可能性を復活させて、それを以て、「当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれがある」と主張できないものだろうか、というのが、ここでの頭の体操です。
 
●いずれにしても、原電が、再稼働のための設置許可変更申請を行い、その可否の判断の際に争うというのが、正面からの法律闘争になります。その前哨戦で、上記の方法で争えば、目一杯、規制委の理不尽さをアピールできますし、もし勝てば、活断層判断は重大かつ明白な瑕疵があるということになるので、設置許可申請は早期に認められる可能性があります。仮に負けたとしても実害は何もありません。

 
●今まで書いたことをまとめると、以下のような総力戦を展開し、その間、世間への注意喚起を図るということではないかと感じています。
 
 ・原電最終報告書の検討会合の続行、実地調査の実施の要求
 ・学会、専門家に対する最終調査報告書と現地確認による積極的公開、議論の
  提起促進
 ・730日付提出の報告の自らの取消と、報告徴収の取消訴訟の継続
 ・後続処分があれば、その異議申立てと取消訴訟の提起
 ・情報公開請求結果を踏まえた科学的不合理性、手続き的不公正性の主張
 ・情報公開請求の不開示結果に対する取消訴訟
 ・公開質問状の提出
 ・地元国会議員を通じた質問主意書の提出による不合理性、不公正性の追及
 ・再稼働準備が整った時点で、設置変更許可申請
 
マスコミも、田中委員長に対して、次の最も根源的な質問をきちんとしてもらいたいものです。
 
「原電は、規制委による活断層認定を法的に争おうとして、異議申立てを行った。しかし、規制委は入口に入らず、報告を原電が行ったから訴えの利益なしという究極の形式論でこれを退けた。そうすると、原電は、どういう形で活断層認定自体を法的に争うことができるのか? 
 また、原電ヒアリングから1か月以上経過しながら、当然あるべき現地検証も含めて何も動きがないのは理由がつかないではないか? いったいどういう状況、予定なのか説明責任を果たすべきと考えるがどうか?」

 

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今朝の新聞に、日航が羽田の国際線枠を全日空優先で割り当てられたことに抗議し、配分見直しを要求するとともに、傾斜配分に至った理由、経緯についてのせ詳細な説明の要求と、関連の資料、議事録等の行政文書の開示を求めた旨が載っています。
行政の措置に不服がある場合には、然るべく抗議、要求をするということでしょう。国交省は、これに対して何と答えたか?

「まずは寄せられた質問にきちんと答えたい。配分の考え方をしっかり説明したい」(航空事業課)

原子力規制委が、原電からの公開質問状を無視し、正当な疑問にも何ら答える姿勢を見せないこととは対極的姿です。5月22日の有識者会合報告書了承時の規制委会合の議事録読み返してみましたが、経過、内容を一切知ろうとせず、それでいて有識者会合の作業をほめたたえ、原電を批判する委員たちの見識のなさには、深く失望するものがあります。
今回の異議申立て却下決定時のまったくの音無しの構えといい、もう、規制委としての組織防衛で動いているとしか思えません。

2013/10/5(土) 午前 8:35 [ 九州太郎 ]

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全方面から批判を浴びた安全神話の創造に関して、国は電力とは共犯関係にあるゆえ、もはや全面擁護は不可である旨、考えれば分かる筈。国に寄りかかり、あてにするのもいい加減にしていただきたい。
国としては、なるべく火の粉がかからない範囲で、善処するしかあるまい。
なお、各社設備の安全は、各々が高い専門性を発揮され、納得性のある論拠を持って、国を頼らない独立独歩の精神でお願いしたいものである。
繰り返すが、設備の認可と電力の経営補償は別者として捉えるのが筋であろう。これを混同されての主張の継続は、過去に生きておられるだけで、時代が要請する淘汰の波に呑まれるのを待つのみである。

2013/10/5(土) 午後 11:50 [ Mr.完了 ]

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原電は10月2日の「異議申立ての却下に対する当社コメント」の第2項で、原電の報告は「活断層ではない事を前提」としており、この報告書に基づき規制委が却下の決定をした事は、この前提を認めたものと言える、と主張しています。

http://www.japc.co.jp/news/press/2013/pdf/251002.pdf

この点は呑み込み難かったのですが、週末に私も少し頭の体操をしてみました。コメント・指摘などがあればお願いします。


例えば極端な話、原電が「へのへのもへじ」を書いて提出したならば、規制委が本件報告書徴収命令に則った報告書として認める訳が有りません。従って訴えの利益は消滅したという判断も示さないでしょう。しかし、逆に考えれば、原電が報告書を提出した事で訴えの利益が消滅したと規制委が判断した事は、当該報告書が内容的に本件報告書徴収命令に適ったものであると規制委が認めたと考えられます。原電のコメントは、そういう趣旨だと私は考えます。

(1/3:続く)

2013/10/6(日) 午後 6:37 [ 中年九電社員 ]

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(続き:2/3)

なお、規制委が「訴えの利益の消滅」を主張する根拠として「活断層を前提としても活断層でない事を前提としても実質的な検討内容は同じではないか」と言う認識が有ると思いますが、純粋な手続論として、そんなロジックは成り立ちません。

と言うのも、原電の報告書は、あくまでも原電が活断層でないという前提を設定した上で、原電が検討したものです。従って、活断層である事を前提とした場合の報告書が同じ内容になるか否かは、まさに原電のコントロール下にある訳です。活断層を前提とすれば、例えば膨大な強度計算が必要となる可能性だって無いとは言えないでしょう(規制委お得意の「そうとは限らない」的な論法です…笑)。それはやってみないと判らないし、やった者にしか判りません。別の言い方をすれば、原電が定めた報告書の「保証範囲」を、原電の了解を得ずに規制委が勝手に拡大する事が許される訳など無いのです。

(2/3:続く)

2013/10/6(日) 午後 6:39 [ 中年九電社員 ]

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(続き:3/3)

卑近な喩えではこういう事でしょうか?

A君がB君に「君に一万円貸してたから明日返せ」と言った。
B君は「借りてたのは確かだけど一万円じゃなくて五千円だよ」と言い、翌日に「僕が借りてたのは五千円だから」と言いながら五千円をA君に渡した。
ところが札を受け取ったA君は、その次の日に「昨日君から金を貰ったから、君が金額の事で文句を言う根拠は無くなった」とB君に言った。
この場合、B君に貸したのは五千円だとA君自身が認めていると言えますよね?

(或いは、悪徳商法の問題で、最初から契約は無かったとして争えば勝ち目があったものを、消費者が迂闊に契約『解除』の申入れをしたために、契約の成立を消費者が認知していたとみなされて、クーリングオフの期限を過ぎた契約が成立してしまう事例と似ているかもしれません。)

(以上)

2013/10/6(日) 午後 6:43 [ 中年九電社員 ]

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ブログ主さんは、私の質問に答えられていませんね。

2013/10/8(火) 午前 0:08 [ トンデモ ]


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