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原電の破砕帯に関する最終調査報告書に関して、規制委は検討会合でのヒアリング後、「論点整理している」というのみで、音沙汰ありませんでしたが、そのHPの「被規制者との面談」の欄に、10月31日付で原電担当者と会い、要確認事項、現地調査での確認事項を手交した旨が書かれています。
これをみると、年代判断のための火山灰の話と、K断層との連続性に関する話とでの「論点整理」になっています。全体、個別評価項目ごとに、有識者評価書と原電最終報告書、ヒアリング時の意見等が対比されていますから、便利ではあります。
しかし、これの作成だけであれば、8月30日のヒアリング以降、2カ月も要するとは考えにくいところです。1週間もあればできる内容です。今後どう対処するのかについて、島崎氏らとすり合わせながら、原電に渡すタイミングを見ていたのでしょう。
それで、今後どう対処するつもりなのか?
それは、この規制庁の作成資料を眺めていると、容易に想像できるような気がします。
次回出てくるセリフは、おそらく、例によって、
「そうとは断定できない」「そうとは限らない」
「データが不足している」
「調査の手法が不十分だ」
でしょう。そういうところにつなげようという意図がにじみ出ている記載が随所にあります。
一番右欄の「検討項目(案)」のところにある記載は、だいたいは、原電調査内容の「妥当性」とだけあって、特に前半の地層年代のところはそれだけ書いてありますが、後半のK断層のところになると、それだけには留まりません。
・K断層の性状では、N-S系断層は調査を行っていないのは、いいのか?
・K断層のずれがなくなるのを2カ所だけで確認したとあるが、いいのか?
・最左欄には、「確認場所が少なく、ずれが地表に達しなかった可能性
がある」とまで書いてあります。
・変位センスを判定した場所と数量は十分かつ適切か?
・G断層の連続性について南側は、ボーリングと変位センスだけで判断し
ているがいいのか?
もう、こういう趣旨の記載をみるだけで、
「これだけの材料で判断するにはデータが不足している。」
と、島崎氏が定番の台詞を告げる場面が想像できるようです。
●ともかく、K断層との連続性は、彼らの生命線です。あれだけ、D-1破砕帯と連続していることを強調して来て、浦底断層との連動とともに、それを大前提として延々と評価書の骨格を固めてきたわけですから、これが崩れたら、面目は丸つぶれです。
自分たちのが誘導したい方向に結びつく材料が出るまで、「データが不足している」と言い続けたいのでしょう。
「連続している」と判定するときは、ろくに調べず、「方向がほぼ同じ」という抽象的な印象論だけで決めつけ、変位が違っていても「逆転することはある」と無視したのに、複数箇所でK断層のずれが消滅していることや、やはり変位は異なるという結果が出たら、今度は「確認場所が適切か? 確認地点数は足りるのか?」などと言い出すのですから、ご都合主義も極まれりです。
彼らには、自らの判断を積極的に裏付ける合理的推論というものが、ほとんどありません。根拠なく、「そうとは限らない」「こういう可能性もある」という想像上の、希望的観測にのみ依拠して、事業者側の調査を否定しようとします。「こういう可能性」という以上、それを推測させる根拠があってしかるべきですが、そ想像だけであって、具体的材料はありません。
●原発の安全をつかさどるはずの規制委なのに、肝心の設備への影響については、何らの検討もせずに、活断層かどうかというレッテルを貼ることだけに終始しています。
東通有識者会合メンバーの栗田委員が述べていた
「・・・どの程度の地震波を出し得るのか。それとも、問題にならないほど小さいのか。あるいは、敷地の変形で言えば、こういった断層の1回の動き、変状の量、面的に見たときにそれが原子力施設に影響があるのかないのか、そういうことが本質的に重要なことだと思うんですよね。」
という指摘も無視しています。それが一番大事なのに、「活断層」という分類に入れることだけに汲々としています。
一方、敦賀の第5回会合では、嶋崎氏は、ぼろっと、こういうことを述べています。
「活断層と言ったときのこの概念、一般の活断層研究者が特に思っている活断層の概念というのは、浦底断層みたいな断層、これが活断層であって、ここで出てくるような、それに比べると規模も小さいし、繰り返しなんかも恐らくならないだろうようなものを活断層と呼ぶのに、あまりそれほど立派ではないといいましょうか、何かそういう意識をお持ちの方もいらっしゃって、どれもこれも活断層と呼ぶことに対して多少問題があるような御見解もありましたので・・・」
D-1破砕帯自体は大したものではないということは、十分に分かっているのです。他のところでも、「D-1自体は自分で動くものではない」とも述べています。
そこで描くシナリオは、まず浦底断層という活断層があって、その近傍にK断層があって、それが連動して何度も動いた、それとD-1とが連続しているから、D-1の上にある施設は危ないのだ、というものでした。
ところが、K断層について、浦底断層との連動性や複数回活動も否定され、D-1との連続性も否定され・・・では、シナリオは崩壊してしまいますから、焦るのも無理はありません。島崎氏が、意図してかどうか、「1.8mものズレの恐怖」という確定もしていないものをわざわざとりあげて、K断層とD-1破砕帯とを混同させるような印象付けの論をぶって危険性を煽っていた試み(これは、明白な違法行為です)も、水泡に帰してしまいます。
(※ 他方で、破砕帯が動いて、使用済み核燃料の貯蔵施設が仮に全壊に至っても、問題にはならないという評価結果は、承認しています。)
●敦賀の破砕帯に関する規制委の検討の進め方の問題点が、今回も改めて出ています。
①評価書における推論の根拠への反証が出ても、それに対する具体的な根拠に基づく反証をしない。あくまで、想像上の「〜という可能性がある」というに留まる。自らは何らの追加的な合理的推論を行っていない。
②事前に、調査地点、手法について承認を受けた計画に基づく調査結果であり、有識者会合で指摘を受けて追加調査もした結果であるはずなのに、それは無視し、結果が意に沿わなければ、「その地点、内容等で十分か」と言い出す。あたかも「逃げ水」のようで際限がない。
③自然が対象であり諸制約もある中で、「絶対」の結論はあり得ないにも拘らず、時間と物理的負担を無視して、自らが求める材料が得られるまでエンドレスで調査負担を強い、審議を引き延ばす。
※ 大飯と敦賀がその典型です。
④安全確保のためには、「活断層」というレッテルを貼ることではなく、仮に動いた場合の原発施設への影響の見極めであるにも拘らず、そういう検討作業は皆無。
訴訟と並行して牽制しないと、関電の大飯と同様、「データが足りない」で延々とどこまでも行ってしまいそうです。
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10月31日の面談の「議事要旨」に、原子力規制庁の出席者が書かれており、この中に「吾妻原子力規制専門員」がいます。
この専門員は8月30日の検討会合にも出席しており、元々、産業技術総合研究所の方です。
以前は旧原子力安全・保安院の地盤耐震意見聴取会の委員でもあり、敦賀発電所3、4号機増設の安全審査を担当していました。
「平成23年1月26日 第79回 地盤耐震意見聴取会」で検索すると分かります。
安全審査に関わった人は有識者会合のメンバーから外しておきながら、規制庁の職員には採用しており、明らかに矛盾していますね。
また、今回の現地確認は有識者会合のメンバーが参加せず、規制庁の職員だけで行われるようです。
時間稼ぎのためなのか、堤准教授や藤本准教授が来るとマスコミの前で何を言い出すか分からないからなのか、理解できないですね。
2013/11/7(木) 午後 8:05 [ とんちゃん ]
続き)
敦賀市のホームページに載っていますが、11月5日に敦賀市の河瀬市長が原子力規制委員会を訪れ、以下の3項目を要求しています。
1.速やかに有識者を集め、現地での調査を行うとともに、徹底した議論を尽くしたうえで評価
2.有識者による会合にあたっては、過去の安全審査にかかわった者を除外する方針をあらため、幅広い専門家の中から、評価のポイントに合った最適な有識者を選定
3.科学的データに基づく判断の根拠と基準を明確に示すとともに、評価に携わった者自らが敦賀市に対して丁寧な説明を行っていただきたい
毎日新聞には敦賀市が規制委に意見書を出したのは5回目と載っていましたが、今回も無視される可能性が大きいですね。
2013/11/7(木) 午後 8:09 [ とんちゃん ]
続き)
本論から逸れますが、今月号の「エネルギーフォーラム」と「選択」に面白い記事が載っていました。
下北半島の活断層調査を東大地震研究所が行うことになり、1.2億円も過大に支払われるとの記事で、この調査を強く主張したのは、あの立川断層を誤認した佐藤比呂志教授だそうです。
国の活断層調査を食い物にしているようです。
2013/11/7(木) 午後 8:10 [ とんちゃん ]
とんちゃんさんのコメントで、元産総研で過去の安全審査に携わった専門家が規制庁の職員になっている事が判りましたが、設備に関する工学的検討についても似たようなもので、設備関係の基準検討や審査のスタッフには電力会社やメーカーからの転身組も居るとの事でした(何かの記事に書いてありました)。
まぁ、規制委に同情的な見方をすれば「保安院のように『事業者の虜』になってはいけない」という強迫観念から「事業者はシャットアウトして自分達だけでやる」と高邁な目標を掲げたものの、やはり経験者不在で背に腹は代えられず、電力やメーカーの出身者を採用せざるを得なくなったのではないでしょうか。
尤も私は、こんな事を論うつもりは毛頭有りません。事業者やメーカーの知見無しに真っ当な規制が出来る筈が無いからです。最初から絵に描いた餅だったのです。
寧ろ私が問題にしたいのは、徹底的な身体検査で過去の規制に携わった専門家を悉く排除した有識者会合に、一体如何ほどの検討能力が有るのかと言う点です。
2013/11/8(金) 午前 3:36 [ 中年九電社員 ]
エネルギーフォーラムの下北半島の活断層調査の記事は私も見ました。規制委の有識者合も事業者に指示すれば望みどおりにデータが出て来ますから、どちらの学者さんも、さぞかし立派な成果を出して戴けるでしょうね(笑)。
ところで、同月号の後の方に載っていた、青柳栄『活断層と原子力』(エネルギーフォーラム新書)の広告に目が留まり、帰りに閉店間際の丸善に立寄り入手。その晩のうちに読了しました。
青柳氏は土木工学を専攻した後、電中研の研究員として原子力設備の構造・耐震問題に携わり、その後、総務・企画・広報の業務も経験しています。内容の正確さと平易さが両立した文章なのも、このような氏の経歴によるものでしょうか。初版は今年の8月23日で、あとがきの日付は7月11日となっています。
(1/4:続く)
2013/11/9(土) 午前 3:47 [ 中年九電社員 ]
(続き:2/4)
公正は、一・二章でプレートテクトニクスの解説から地震や活断層とは何かという予備知識と地震に関する学問の発達史や、原子力施設の耐震設計の考え方が紹介されています。部分的に難しい箇所はありますが、中高生の理科の知識があれば理解可能でしょう。
三章は敦賀・大飯・東通に関する有識者会合の経緯を追ったもので、有識者と事業者の主張の隔たりや論点などがコンパクトにまとめられています。また、青柳氏は全ての会合のYouTube映像を視聴しており、メンバーの具体的な発言を引用しつつ人選の問題点や審議での科学性の欠如を指摘しています。特に、原電の具体的な質問事項は無視して(と言うより答えられないのでしょう)総論での対応に始終する、等の島崎代理の独善的な運営には強い疑問や批判を示しています。
(2/4:続く)
2013/11/9(土) 午前 3:48 [ 中年九電社員 ]
(続き:3/4)
四章は、活断層問題には歴史や蓄積の異なる複数の学問分野が関連する事を示し、有識者会合のように特定の分野シングルイシューに問題を矮小化するのは真の安全向上に反するものだと主張しています。また、学界の関心事と社会のニーズには乖離があるのではないかと疑問を呈した上で、背景に窺える研究者や学界の構造的な問題を挙げ、改善策を提案しています。
五章は、過去の過酷事故への対応から現在に至る原子力規制行政の問題点を指摘するとともに、新規制基準が目指している方向性の誤りにも言及しています。一方で、スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故後の米国の対応を例に挙げ、行政は震災・原子力災害に鑑み、もう危ない事をしてはいけません、的な諭しでは無く、教訓を地震に関わる理工学の進歩の糧とし、技術大国として更なる飛躍を目指そうという前向きなメッセージを送るべきだと結んでいます。
(3/4:続く)
2013/11/9(土) 午前 3:49 [ 中年九電社員 ]
(続き:4/4)
本書の根底に流れる青柳氏のスタンスは、活断層と原子力の問題には、狭い学問分野のみに立脚して活断層か否かに拘泥する「二分法的な議論」ではなく、様々な分野の知見を集結した総合知に基づいた検討が必要であり、それでも存在する「残余のリスク」に対しては合理的な工学的対応を検討すべきだ、と言うもので全くの同感です。参考文献が多く示されているのもありがたいですね。
なお、主に公正手続という文科の視点からの九州太郎さんの論考と、専門家として理科の視点が中心の青柳氏の著書が、同様に規制委の問題点を指摘・批判している事は興味深いものですが、この事実は両者の主張の説得力を示すものと言えると思います。
(以上)
2013/11/9(土) 午前 3:52 [ 中年九電社員 ]
原電から、11月13日付で、今後の審議の進め方についての要請書が提出され、予断のある記載の訂正や専門家を交えた議論を要請しています。
○敦賀発電所敷地内破砕帯に係る審議の進め方についての当社からのお願いの提出について(2013年11月13日)
ttp://www.japc.co.jp/news/other/2013/pdf/131113.pdf
田中委員長が、11月12日の参議院経済産業委員会で、「調査現場に行き、ボ−リングコアなどについて確認した上で、専門家に判断してもらうこととしている。」旨の発言をしている由。
もともと、7月末に、原電最終報告書の検討について決めるときに、専門家を入れることになっていましたから、それを沿った答えなのでしょう。
ただ、事務局側は、専門家に諮るためには、規制委に上げなくてはならないというので、それならば、論点整理表で、委員に予断を与えぬように、ニュートラルな書き方にしてほしい、というのが要請の趣旨かと思います。
※ コメント欄、整理しました
ttp://blogs.yahoo.co.jp/kyusyusouko
2013/11/14(木) 午前 5:19 [ kyusyutaro ]
先週金曜日の有識者会合で、大飯のF-6破砕帯が活断層に該当しないとする評価書案が了承されてます。
※大飯発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合 第7回評価会合 配付資料(大飯・現調8-1)
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/ooi_hasaitai/data/0008_01.pdf
これはF-6破砕帯が上部の地層(約23万年前と約9.5万年前)をずらしておらず活断層ではないとの結論に至ったものです。一方、台場浜トレンチは将来活動する可能性があると判断されてますが、安全上重要な施設は無くF-6破砕帯との連続性も無いと評価されています。
規制委が重要施設直下の破砕帯の活動性を否定した評価書案が示したのは初めてだそうですが、この評価が敦賀の破砕帯に関する議論にどのような影響を与えるか注目したいところですね。
2013/11/19(火) 午後 8:36 [ 中年九電社員 ]
補足:大飯については3、4号機の運転差止を求める訴訟が起こされていましたので、関連資料として挙げておきます。
平成24年(ヨ)第262号,同第318号
関西電力大飯原子力発電所3号機、4号機運転差止仮処分命令申立事件
大阪地裁判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130515104855.pdf
原告主張書面
http://www.jca.apc.org/mihama/ooisaiban/genkoku_shuchou3_20120706.pdf
2013/11/19(火) 午後 9:35 [ 中年九電社員 ]
>一方、台場浜トレンチは将来活動する可能性があると判断されてますが、安全上
>重要な施設は無くF-6破砕帯との連続性も無いと評価されています。
報告書案のこの部分は、読んでいて非常に違和感を覚えたので、記事で書こうと思っていたところでした。議事録が公開されたところで、読んだ後で書きたいと思います。ここの表現は、最後に修正されてこういう表現になっているようですが、1月のあの激論と、専門家の千木良教授の意見書はどこに行ってしまったのでしょうか?
ここの表現には、渡辺教授の事務局案修正意見による一種の詐術と飛躍があると思います。
2013/11/19(火) 午後 10:29 [ kyusyutaro ]