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原子力規制委が、12月3日会合で、破砕帯評価の有識者会合の評価と再稼働の安全審査(基準適合性審査)との関係について、改めて整理しています。
破砕帯の活動性については、設置変更許認可の審査の中で可否を決定していくというものですが、これについて、マスコミ報道の一部では、従来方針の見直しと報じるものもありました。
「原子力規制委員会は3日、日本原子力発電敦賀原子力発電所(福井県)、東北電力東通原発(青森県)など、6原発の敷地内断層(破砕帯)が活断層かどうかを調べてきた有識者会合の判断について、「有識者会合による評価にかかわらず、規制委が(安全)審査を行った上で許認可の可否を決定する」との方針を決めた。
再稼働に必要な「安全審査」の前段階で、少数の専門家が活断層かどうか議論する有識者会合の位置付けを事実上見直すもので、現在の仕組みが機能不全に陥っていることを認めた形だ。」(読売新聞2014年12月3日付)
このあたりの位置づけについては、当初から混乱はしてはいましたが、田中委員長は、変更申請が出てこれば審査はすると言っていましたので、それを単に改めて確認しただけだ、というのが規制側のスタンスのようです。
委員会での配布資料には、次のように書かれています。
「2.適合性審査との関係
○有識者会合での評価は、旧原子力安全・保安院が行った調査指示に基づき各事業者が実施した敷地内破砕帯に関する地質調査結果について、有識者が専門的知見を基に評価を行い、原子力規制委員会に報告するもの。
○他方、新基準への適合性審査は、原子力規制委員会が「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づく許認可を行うにあたって、審査会合やヒアリングを通じて審査を行った上で処分を決定するもの。敷地内破砕帯の活動性についても、設置変更許可を行う際の審査項目の一つとして位置づけられており、有識者会合による評価にかかわらず、原子力規制委員会が審査を行った上で許認可の可否を決定する必要がある。」
3.今後の対応
○有識者会合による評価を実施中のサイトについては、可能な限り早期に評価をとりまとめていく。その際、有識者による評価が分かれる部分があれば、その旨 を明記した上で評価書をとりまとめていく。
○新基準適合性審査にあたっては、他のサイトと同様に、原子力規制委員 会が審査を行い、許認可の可否を決定する。この際、有識者会合による 評価を重要な知見の一つとして参考とする他、事業者から追加調査等に よる新たな知見の提出があれば、これを含めて厳正に確認を行ってい く。」
委員会の議事録をみても、当初方針を確認しただけだ、という趣旨を確認しています。
「○更田委員長代理
ここで櫻田部長から、改めて適合性審査との関係を整理とはあるものの、ここの2.で書かれているものは、従来からこういった方針であったはずで、私の理解では、ですから、何も別に変わっていないと受け取りましたけれども、それでよろしいですか。
○櫻田原子力規制部長
原子力規制部長、櫻田でございます。
そのとおりでございまして、改めてというのは、今までこのような形で進めてまいりま16したが、それを確認するためにもう一度整理させていただいたということでございます。
○田中委員長
有識者会合の意見というのは、ここに書いてあるように、重要な知見の一つとして参考にするということについては、これは紛れもない私たちの基本的な姿勢ですけれども、実際に法的な手続からいうと、まず、適合性審査に申請が出てくれば、それについてきちんと対応しなければいけないということだと思います。」
これらの一連のやりとりを見て感じることを、書いてみます。
1 「法的責任がない専門家会合」との批判を意識したと思われること。
前回記事で書いたとおり、敦賀の有識者会合の活断層認定判断については、法律学者の森嶌昭夫教授からも、「法的責任を負わせて判断させるべきだ」「何が足りないのか、ということがわからない」等の批判をされていました。これを意識したであろうことは想像ができます。
昨年5月の敦賀の有識者会合による活断層判断の際には、規制委会合で、ほとんど議論もなく、有識者会合の評価を追認し、冷却用配管が全壊するという前提で影響を報告徴収させていました。
また、田中委員長は、再稼働申請が出てこれば審査はするけれども、結果は見えているかのような示唆的な発言をしていたかと思います。
そういう流れだったことからすれば、今回、「従来方針の確認」と言いながら、
「有識者会合による評価にかかわらず、原子力規制委員会が審査を行った上で許認可の可否を決定する必要がある。」
としたことは、有識者会合の評価の比重をかなり落としたような印象を強く受けます。
そもそも、今回の規制委ペーパーにあるように、許認可の審査の中で、
「事業者から追加調査等による新たな知見の提出があれば、これを含めて厳正に確認を行っていく。」
ということであれば、昨年5月の時点で、再稼働の許認可申請を受理してその中で原電からの追加的知見も含めて審査を行うとの方針を打ち出せばよかったはずです。
電力の安定供給確保のためにも、審査の早期促進のためにも、そして何より評価内容、手続きが行政手続き、行政処分として、法的に責任のある訴訟で争い得るものとして位置づけられるという点で、適切だったと考えられます。
しかしそうはならず、ずるずると時間ばかりが空費され、あげくにろくな根拠もないままに、「そうとは限らない」「別の解釈余地もある」という極めて曖昧な理由で活断層判断をしてしまいました。当然、原電からも強硬な批判がなされ、法学者からも批判がなされたことによって、遅ればせながら、リスクと問題性に気が付いたのかもしれません。顧問弁護士にでも相談すれば、「持たない」という指摘はなされていることでしょう。
田中委員長の記者会見での発言も、かなり持って回った言い方に終始しています。
「○記者 もう一つ確認ですけれども、今回有識者会合の評価は重要な知見の一つとして参考という形で明文化されましたけれども、そうすると、有識者会合で出る結論と審査会合で出る結論がこれは違っていても、これは問題ないという認識でよろしいでしょうか。
○田中委員長 問題があるかどうかということよりも、有識者会合の結論と違うような結論になるかどうかということについては、これは今後の進展を見ないと何とも言えないと思います。問題あるかないかということは今の時点で予断を持って言うことはちょっと今できないかなと思います。
○記者 問題云々というより、可能性としてありうるということでよろしいですか。
○田中委員長 だから、もともとこの活断層があるかどうか、動くかどうかという調査については、保安院のときに問題提起がされてそれをずっとやっているわけですね。だからそれをきちっと調べることは我々の一つのミッションとして引き継いでいるわけですから、そういう要するにクエッショナブルなところ、疑義のあるところについて始めたわけですから、それを本当に明確に大丈夫か、白か黒かという言い方が正しいかどうか分からないけれども、そういうことが明確になるようにするのが本当の姿なんだけれども、なかなかそれが出来がたいところもあるわけです。既にプラントが建ってるんで。そういう中で、どういう判断をするかというところですから、あまり予断を持って何かしなければいけないというわけでもないと思いますが、最終的には、法的には変更申請が出てくれば我々は法律に基づいて審査の結果を示すことになりますので、そういう手続きに入った方がいいのではないかというところもあります。」
2 依然として、破砕帯有識者会合の位置づけは曖昧であること。
今回の規制委での「確認」にも拘らず、この有識者会合の評価の位置づけは、依然として混乱していると思います。
今回の規制委資料では、次のように、保安院の調査指示に基づく調査結果を評価し報告するものとしています。
「○有識者会合での評価は、旧原子力安全・保安院が行った調査指示に基づき各事業者が実施した敷地内破砕帯に関する地質調査結果について、有識者が専門的知見を基に評価を行い、原子力規制委員会に報告するもの。」
しかし、ここで言及されている保安院の調査指示内容と、有識者会合がやっている検討内容とは乖離しています。
原電敦賀に関しては、平成23年11月の最初の保安院指示には、次のように書かれていました。
「貴社敦賀発電所については、文献調査から天正年間に若狭地域に大きな津波が到来した旨が記載された古文書の存在が明らかとなったこと及び地震・津波に関する意見聴取会において周辺斜面の安定性評価も必要であるとの指摘があったことを踏まえ、当院は、同地域における既往津波に関する調査とそれを踏まえた津波の影響評価及び基準地震動の変更に伴い、周辺斜面の安定性の再評価と当該再評価を踏まえた安全上重要な施設等への影響評価が必要であると考えます。
また、貴社は、耐震審査の改訂に伴う耐震安全性評価結果中間報告書において、同発電所敷地内を通る浦底断層及び原子炉建屋直下に存在する破砕帯の活動性については、地形・地質調査の結果に基づき否定しているところです。
しかしながら、当院は、当該地震に伴う想定以上の地殻変動により、広域にわたって応力場に影響を与え、正断層型の地震も発生していることを踏まえ、浦底断層の活動に伴う破砕帯も含めた地盤の変位について原子炉建屋等への影響について評価すること、また、貴社東海第二発電所については、従来、耐震設計上考慮していなかった断層についても、活動性の再評価が必要であると考えます。」
破砕帯が活断層(設計上考慮すべき断層)かどうか、ということよりも、あくまで、
「浦底断層の活動に伴う破砕帯も含めた地盤の変位について原子炉建屋等への影響について評価すること」
という実質に主眼が置かれていたことは明らかです。実際のところ、保安院指示後は、意見聴取会の中で調査計画、評価方法等について審議していましたから、原子炉建屋等への影響評価までを念頭においていたことは明らかだったと思います。
ところが、保安院から原子力規制委に引き継がれた途端に、有識者会合の趣旨は、「設計上考慮すべき断層かどうかの認定」だけに変質してしまい、その先の肝心の「原子炉建屋等への影響評価」ということについては、どこかに飛んでいってしまいました。
「(趣旨)
関西電力(株)大飯発電所では、発電所敷地内の破砕帯について本年7月の原子力安全・保安院の指示に基づき追加調査が行われているところ。
当委員会としては、同破砕帯について自ら確認と評価を行い、耐震設計上考慮する活断層の認定に係る判断を行う。」(平成24年9月26日資料)
話がややこしいのは、原子力規制委での有識者会合が、「設計上考慮すべき断層かどうかの認定」にあったとしても、旧基準下では、そうだとしても、その先に原子炉建屋等への影響評価があったことです。国会での質問主意書への政府答弁書により、その旨は明らかでした。
「発電用原子炉施設が「活断層の上」にあることのみをもって立地指針に不適合となるものではない。なお、発電用原子炉施設の耐震安全性については、新耐震指針等に基づいて、活断層が発電用原子炉施設にどのような影響を及ぼすか、また、それに対してどのような耐震安全設計を講じるかを厳格に評価した上で、判断するものである。」
ということでしたので、この前提に立てば、
有識者会合=活断層か否かの認定、
適合性審査=原子力施設等への影響評価
という役割分担に変更したのだろうとも解釈することはできました。
ところが、有識者会合での検討開始後に、新基準とその運営指針、審査ガイドが定められ、活断層上の立地は不可であるかのように定められたため、そこから先の影響評価が何らなされないままに推移するということになってしまいました。
「今後活動する可能性のある断層=12〜3万年前以降に活動したことを否定できない断層」とし、その否定の絶対証明がなされない限り、活断層と認定され、その影響評価はなされないままに、廃炉に追い込めると鈴木教授や島崎副委員長らは踏んだのでしょう。
東北電力の東通原発の破砕帯などは、有識者委員自身、そして島崎氏自身が「活断層だとしても大したことのない断層」との趣旨の発言をしていましたが、新基準の運用方針では、活動性の大小を問わず、立地不可とするという趣旨ですから、ひどい話です。
ともかく、有識者会合の位置づけ、役割は曖昧になったまま、現在に至りました。今回の「確認」的整理によっても、曖昧さが払拭されたとは言えないでしょう。
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