|
次に、敦賀有識者会合の運営や、島崎氏への事実上の一任、旧体制下での識者の排除などについての質疑が11月12日になされています。
これは、民主党の議員によるものなので、少々驚きましたが、浜野議員は電力労連の出身議員という関係もあるのでしょう。
そこでの規制委側の答弁のポイントは次のようなものです。
①9月4日会合で提出された原電資料は、事業者から十分説明の機会はなかったかもしれな
いが、それにも触れつつ議論もなされており、有識者においてはそれも頭に入れた上で判断がま
とまりつつある状況。
②ピアレビューの会合を開いてその評価の内容に論理的矛盾がないか等について検討していただ
く予定。
③再稼働申請が来れば、改めてもう一度、法的にきちっと検討する。その際、有識者会合の考えは
参考にする。
この時点では、評価書の取りまとめ会合を開くことが決まっていた段階ですから、原電の主張は理解し念頭においた上で、判断できるに至ったと言わざるを得ないでしょう。しかし、それは、事実において、裏切られており、
・島崎氏は、9月4日の席上、事前の事務局との合意に反して、非現実的な1週間前ルールを
述べて、原電からの説明を拒絶していること。
・評価書案において、原電の意見を正しく反映した形で記載していないこと。
といった点が、規制委側の議事録、資料で裏付けられている以上、規制委側の答弁は当を得ていないということになります。
そして更に致命的になったのは、こういう「原電の主張は理解した上で評価書案をまとめた」という答弁をしたにもかかわらず、ピアレビューで、ほとんど全否定に近いような指摘をされてしまったことです。前回の昨年3月のピアレビューでの指摘も踏まえていないことが明らかになりました。
科学的見解の相違ということではなく、敦賀の有識者たちは黙りこくって答えることができなかった場面も少なくなかったですし、活断層であることが合理的根拠によって推論される必要があることが確認された中で、鈴木康弘委員は、「自分たちは合理的推論の根拠を持っているわけではなく、原電の証明が活断層の否定をする上で十分なものか、という点を検討したものである」旨を改めて発言していましたので、その審議の進め方、判断の仕方自体が誤りであったということが、明らかになってしまった形です。
また、座長は「再評価をする場ではない。指摘を伝えて参考にしてもらうだけ」と述べていましたが、その指摘の中で、規制庁が国会で答弁した如く、「論理に矛盾があるか」と点でも、矛盾がある旨の意見もあったわけですので、再評価はしないとしても、敦賀有識者の評価は間違っている、という指摘をされたに等しい話です。
渡辺満久氏が、評価書案を無条件に支持し、もともと立地不適格だったという意見書を出したことも、先の細田議員が指摘した科学的中立性に関する疑念を増幅することになりました。
このように、国会でのやりとりがあり、そこでの規制側の答弁とは相容れないようなその後の展開になっている以上は、もう敦賀会合の評価書案の位置づけを、よほど相対化して軽くしておかないと、規制委は持たなくなってしまっています。
規制委、規制庁の苦衷は察して余りあります。自ら播いた種、運営の根本的ミスだとはいえ、なんとか前に進めなければなりません。
ピアレビューの鈴木座長が、両論併記的まとめ方もあり得ると述べていましたし、田中委員長が12月3日の会見で、同様の趣旨の発言をしていたのは、敦賀会合の窮状?を踏まえての今後の進行に向けての布石だったように感じます。
これだけ国会で手続き面と科学的中立性について批判され、ピアレビューで科学的に厳しく批判されてしまって満身創痍だとしても、敦賀の有識者会合としてはともかく評価書をまとめなくてはいけませんし、規制委自体もそれを了承しなければなりません。
ということになると、考えられる方途としては、有識者会合評価書を、次のような趣旨でまとめることでしょう。
「敦賀有識者会合としては、現時点では、原電提出資料によって、活断層ではないことが十分に証明されたと判断できるまでには至っていないが、ピアレビューでは、〜〜〜等の批判的指摘も含めてなされた。これらの指摘も踏まえて、より総合的に判断をするためには、事業者から提出される追加資料を含め、土壌、花粉、テフラ等の専門家による意見も聴取し、判断がなされることが必要と考える。時間的制約等もあり、現時点で揃った材料を踏まえての判断としてまとめるものであるが、今後、安全審査の中で、審査基準に即して判断する際の参考として活かされることを期待する。」
このような記述で、「名誉ある?撤退」を図るほかないのではないでしょうか。
今後、再稼働の申請を受けての審査をする規制庁にとっても、評価書が審査の妨げというか、無駄な労力を払う要因にならないようにしておくことが望ましいと思いますので、その点で利害は一致しているはずです。
●浜野委員の質疑に対する田中委員長の答弁でびっくりしたのは、委員間で非公式に話し合うことはあることを認めたことです。
これまでは、ガラス張りの公開をモットーに、公式の委員会の席上での議論が概ねすべてで、あと委員同士で話す場合には、3人以上であればその議事録をHPに載せることになっています。それを見てみると、初期の頃は、「ブレーンストーミングをした」と書いてあり、形骸化していましたし、最近のものを見ても、「意見交換した」「情報共有、認識共有した」とあるだけで、そこから更に踏み込んだ議事録にはなっていません。
私は、非公式の議論は当然あってしかるべきという考えで、対外的に公式に出したものとその説明がすべてであり、そこに至るまでの内部での途中経過を、議事録でまとめて公表するようなことはすべきではないと思っています。そうでないと、本当に突っ込んだ検討ができなくなってしまうからです。ブレーンストーミング、頭の体操、ディベート的議論等が活発に行われなければ、本当の検討にはなりません。そういう類いの資料は、情報公開の対象からもはずれているはずです。ですから、非公式の意見交換があるという田中委員長の答弁を批判するつもりはないのですが、しかし、今まではあたかも非公式会合がないかのような発言をして、委員会の席上なり3人以上の会合の議事禄がすべてであるかのように説明していたはずです。その説明を事実上覆したという意味で、今回の国会答弁は意味のあるものかと思います。
ただしかし、3人以上の会合については、非公式的なものでも集まった事実は公表しているわけですから、原電敦賀の有識者会合の運営や評価内容に関する3人以上の会合は記載されていないということは、それらの会合はなかったのか?! これだけ原電から申し入れが繰り返さしなされ、外部からの批判もされている中で、委員長と副委員長、更田委員の3人が会議で相談したことがないということか?! という疑問はわいてきます。断層について、地質学の立場で工学的検討を完全排除する島崎委員と、工学系の更田委員と田中委員長とが一同に会して議論したことがないということか?!ということになってしまいます。実際、その3人で非公式にでも突っ込んだ議論をしたことがあるのかは、非常に関心のあるところではあります。国会でこの点を質問する議員はいないのでしょうか?
本当にしていなかったり、2人以下で相談しているのだと説明するのであれば、内部でもろくに議論もせず、「島崎氏らに丸投げしている」という指摘を裏付けてしまうことになります。実際は非公式にいろいろと議論しているということであれば、今まですべて公開を標榜してきたのにそれを裏切る話ではないのか、意思決定過程が不透明ではないか、という批判を招いてしまいます。
本来であれば、原電に対する対応は、委員5人と規制庁、そして顧問弁護士も入れて、よほど突っ込んだ議論と認識共有をしなければならない次元の話だと思いますが、公開の建前に引っ張られてそれがなされていないのであれば、原子力規制委と規制庁は機能不全に陥っているということです。
いずれにしても、規制委が「委員会はすべて公開」「3人以上の集まりは公開」というように、あたかもすべての意思決定過程がガラス張りであるかのようなニュアンスで今まで説明してきたのが、今になって「そうではなくて非公式の会合がいろいろある」ということを言わざるを得なくなってきたことは、規制委と規制庁の当初の運営方針策定上の大きなミスだったと感じます。
以下、浜野議員の質疑から抜粋します。
***********************************
参 - 原子力問題特別委員会(平成26年11月12日)
1 事業者の説明を排除しての結論付け
○浜野喜史君 民主党・新緑風会の浜野喜史でございます。
原子力規制委員会が公正中立の立場で科学的、技術的見地に立って対応していただきたい、しっかりと対応していただきたい、その思いでこれから質問をさせていただきます。
まず、日本原電の敦賀発電所の敷地内の破砕帯をめぐる再審議についてお伺いをいたします。
先月、十月十六日に、私は環境委員会でこの件に関しての質問をさせていただきました。その際、田中委員長、事業者参画の上での会合は必要があれば開かれてよいといったような旨の御答弁をいただいたところであります。そのことも含めて、その後の検討状況がどのようになっているのか、まずお伺いしたいと思います。
○政府参考人(櫻田道夫君) 現在の検討状況ということでございましたので、事務方から御説明させていただきます。 ○浜野喜史君 確認をいたしますけれども、それでは、次回開かれる会合は、事業者参画の下での会合ではなくして事業者参画をさせない追加評価会合であると、そのようにおっしゃったというふうに理解をしてよろしいですか。
○政府参考人(櫻田道夫君) 現状においては、今私どもは、次回の会合においては有識者同士の議論を行っていただくと、そういうしつらえにしたいと考えてございます。
○浜野喜史君 それでは、この件、少し更に質問させていただきますけれども、今日は資料五種類配付をさせていただいております。 ○政府特別補佐人(田中俊一君) 先ほど櫻田の方からも返事差し上げましたように、まず有識者会合で見解をまとめまして、判断をまとめまして、そのまとめる過程でとか、そこでいろんな問題点があれば事業者を呼んでその意見を聞くというようなことをするということでございます。ですから、まとめることができないということはないと思っております。
○浜野喜史君 委員長、事実誤認とまで事業者が、これを九月四日の会合の中で提出しているんです。残念ながら当時の座長の島崎座長にこの資料に基づく説明は許されておりませんけれども、資料は提出されているんです。そして、事実誤認がある、まだまだ議論したい点があるんだ、このことに関してやり取りをせずして有識者会合の皆様方が大要の案、取りまとめの案を考える。私はできるわけがないというふうに考えます。 ○政府特別補佐人(田中俊一君) 九月四日に提出されたものは席上で有識者の方にも渡っておりまして、議論されておりますので、そういうことはないと思います。
○浜野喜史君 やり取りをさせてほしいということを事業者は言っているわけです。事実誤認とまで言っているんです。事実誤認じゃないんだということをおっしゃるんであれば、ここで言っていただけたら結構です。言ってください。
○政府参考人(櫻田道夫君) 補足の説明をさせていただきます。 ○浜野喜史君 それじゃ、確認させていただきますけれども、ここで事業者が表明をしているような事実誤認、そして確認したい事項というやり取りは今後行われるというふうに理解してよろしいんでしょうか、お伺いします。
○政府参考人(櫻田道夫君) 改めてこの有識者会合のしつらえを申し上げますけれども、この有識者会合は有識者の方々が御議論をいただく、こういう場でございます。その有識者の御議論の場において、必要な範囲において事業者からデータの提出を受け、説明を受け、必要があれば意見交換をすると、こういうことはございます。 ○浜野喜史君 今の御答弁では、有識者の方々が判断をされて、事業者は事実誤認だとかいろいろ意見交換したいと言っているんだけど、そんなことは全て終わっているというふうに有識者の方々が判断をすればもう意見を聞かないこともあるというふうなことをおっしゃったんだと私は少し聞こえたんですけれども。 ○政府特別補佐人(田中俊一君) 先ほど来少し議論になっているんですけれども、有識者会合はあくまでも私どもが判断するための材料を提供していただくということですので、実際に敦賀二号機につきましては、申請が来ればその時点で法的にきちっと私どもはもう一度議論をしていくということになります。その際、もちろんこういった有識者の意見というのは参考にさせていただくことになると思います。
○浜野喜史君 もう一度だけ確認させていただきます。 ●有識者選任における前体制下の識者の排除、島崎氏への事実上の一任
○政府特別補佐人(田中俊一君) いわゆる担当ということで全く任せるというような形は取っておりません。ただ、効果的な議論が行えるようにそれぞれ委員の専門性を生かして役割を分担をして、規制委員会の議論の基になる検討を行っていただいているところであります。 ○浜野喜史君 議事録をいろいろ関係するところを見せていただきますと、しっかり五名が参画の下、重要事項を決めておられるということは私も認めます。しかしながら、本当に実質的な議論がなされて重要事項が決められているのか、これもう甚だ疑問だというところも散見されます。 ○政府特別補佐人(田中俊一君) この破砕帯の調査につきまして、敦賀の場合にはいわゆる浦底断層というのが、ちょうど原子炉建屋の二百メートルぐらい離れたところに大きな断層があります。そういったものは従来は断層ではないと、今は断層でないと言う方は誰もおりませんけれども、断層でないというふうな判断をされた方が今まで規制に携わってきたわけです。そういった方に、さらに、それが断層で、そこから派生する破砕帯についての調査をお願いするというのは逆に公正な判断ができないだろうということで、こういった島崎委員の提案が適切であるというふうに私どもも判断しまして、そういう委員の選考に至っております。
○浜野喜史君 委員長、私の質問とは少し離れた御答弁だと思いますけれども、そうおっしゃいましたので、それに関連して更に質問させていただきます。 ○政府特別補佐人(田中俊一君) 浜野先生は議事録を大分詳細に御覧になっているようですけれども、議事録に載っていることが全て我々の会話ではございません。様々な相談もすることもあります。ただ、集まって相談するということは禁じられておりますので、いろいろ非公式にいろんなことでお話はさせていただいておりまして、いわゆる従来、活断層だと、本来は活断層であるものを活断層でないという判断をされたいわゆる専門家に判断していただくというのは、これは本人にとってもつらいし、周りから見ても客観性がないというそしりを受けますので、そういうことのないようにということで今回はメンバーを選ばせていただいております。
○浜野喜史君 委員長、ちょっとおっしゃったことが私理解できないんですけれども、この規制委員会の中でやり取りがあったことは全て議事録に載っていますよね。おっしゃったことが議事録には載っていないという場合があるんですか。まずこのことを確認させてください。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 三人以上で集まって話をした場合にはその内容を報告すると。規制委員会そのものは公開ですから、全部載っています。それから、それ以外に、規制委員会に向けていろいろ相談することもあります。そういったことは載っていないということです。
○浜野喜史君 委員長おっしゃったことは、事前の打合せの中ではそういうことはやり取りしているということだと思います。それならお伺いいたします。 ○政府特別補佐人(田中俊一君) そういった類いの排除するとかしないとかというものを議論するのが委員会ではないと思いますので、ただ、記者会見、毎週私やっておりますけれども、その中では、どうして選ばなかったかということについては説明させていただいていると思います。
|
全体表示
[ リスト ]





国会でもかなり糾弾されているのですね。状況が改善されるといいのですが…。
集まって相談することが禁じられている、という発言には驚きました。公開されるから議論しないというのは本末転倒だと思います。
国会の分析、楽しみにしています。
2014/12/18(木) 午前 1:40 [ とくめいきぼー ]