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「第三者委員会」のあり方については、コメント欄でもいくつか貴重な指摘をいただきました。今まででは考えにくい事態になっていることは、今回の件でどういう立場であるかを問わず、誰もが一致することだと思います。「最終記者会見」は、そのあり方を考える上で、今後議論が必要になると思わる点を幾つか感じましたので、記しておきます。
●郷原氏だけでなく、阿部教授や古谷氏も、「第三者委員会」の結論・報告に異を唱えるとは「前代未聞」「考えられない」と言われましたが、全くその通りです。しかし、なぜそこまでの事態に立ち至ったかを、冷静に考えていただきたいと思います。
阿部教授は、先月10月26日の「緊急メッセージ」発出時の記者会見で、「九電は、第三者委員会に異議を唱えることによる世論の反発のデメリットと、佐賀県知事を擁護することによるメリットと天秤にかけたのだろう」という趣旨のことを言っていましたが、そんな筋の話ではありません。純粋に、第三者委員会報告書の認定の根拠と論理に疑義があるということなのです。
報告書の内容は、ご担当の部分を除く、事件の事実認定、評価に関する部分は郷原氏が一手に書いたのでしょう。それは、記者会見の中で、元委員のそれぞれに対して質問状が送られたこと自体を「社会常識に反する」「嫌がらせではないか」としていたことからも想像できます。郷原氏は、「分担しているのだから」ということを言っていましたが、それはそういうことだと思いますので、3人連名で回答していただければいいのではないかと思います。ただ、今は、皆さんそれぞれ個人の立場ですし、意見も異なる部分がおそらくあるでしょうし、個別に委員毎にお聞きしたい点もありますから、そういうことになったのだろうと思います。
事件の事実認定や評価についての執筆を担当していない阿部教授や古谷氏は、なぜこういうことになってしまっているのか、呑みこめないのではないかと思います。そして、既に述べたように、極めて大きな誤解をしています。
「第三者委員会の事実認定を、会社自らが調べた供述で反論するなどあり得ない」という趣旨のことを言っていますが、そうではないのです。委員会報告書で認定された供述を前提として、なぜあのような事実認定になるのか根拠や論理がわからない、と言っているのです。支店長の供述は一貫していることは、赤松報告書にも書かれている通りですが、それを変遷しているかのごとく郷原氏は言っています。蕎麦屋での昼食時の副社長以下3人の打ち合わせ時のやりとり、その後の社内での指示に際しての発言は、赤松報告書に書かれている通りですが、それを否定しているのではなく、その認定された発言から、何故、あのような結論が導き出せるのか、根拠と論理の展開が明らかにおかしいのではないですか?と言っているのです。
焦点の「知事発言がきっかけ」という点にしても、赤松報告書は、「これらの認定された発言からすると、知事発言の影響は希薄だったかに見える」といったんは述べながら、その後に、いやいややはり「相応の影響はあったのだ」と展開する論理は全く理解不能です。弱々しい「相応の影響」という認定が、郷原第三者委員会報告書になると、「決定的影響」にまで飛躍しているのですから、その判断の差の背後にはどういう根拠があるのですか?と問うているのです。 こういう論理の飛躍や根拠の薄弱さは、保安院説明会やプルサーマル討論会に関する分析でも多々見られます。
おそらく、お二人とも、九電眞部社長への公開質問状に対する回答をみて、誤解をされたのだろうと思いますが、その後の九電からの質問状を見ていただければ、そういう趣旨ではないということは理解していただけると思います。
この阿部教授と古谷氏とは、それぞれの専門分野では立派な活動をされていますし、特に悪意があるわけではないでしょうが、構図のご理解に大きな誤解があるということはわかっていただきたいところです。
●さて、その点をまず確認した上で、第三者委員会のあり方について考える材料として、次の5点を感じました。
第1点は、委員長就任内定後の行動のあり方についてです。
郷原氏の8月1日付けのメールマガジンを見ると、その冒頭に、7月24日に眞部社長と会った5日前に第三者委員会委員長の依頼を受けた旨が書いてあります。ということは、7月19日に依頼されたことになります。郷原氏は、同じ日にやはりメルマガを発行していますが、九電に好意的で海江田大臣に批判的なスタンスです。
そして、最終記者会見では、委員会発足・公表の前日の7月26日に個人的立場で知事に辞職を勧めに出向いたことを、西日本新聞カワイ記者に問われて、「委員長就任前だったので」「その段階での社内調査に基づいて」と言っています。メルマガでは、「政治スキャンダルになると思ったので以前から知り合いなので、傷が浅いうちにと思って辞職勧告をしにいった」としています。そして、眞部社長から依頼されたときのやりとりも書いてありますが、そのやりとりによって、内情を知ったことになります。
このような流れからすると、郷原氏が、「個人的立場で」行ったとする行動は、委員長として内定後に、委員長予定者としての立場で取得した社内情報(=社内調査資料+社長からの状況説明)を知った上での行動ということになりますから、いわばインサイダー取引的な行為に見えます。
常識的に考えれば、委員長として内定してその後に得た情報は、外には漏らさないというのが大原則ですし、それに基づいて個人として行動してはいけないということなのではないでしょうか。例えは悪いですが、国会議員の疑惑の端緒を得て、担当することが決まっている検事が、以前からの知り合いだからといって個人的立場でその国会議員に会って、「政治スキャンダルになってキズが付かないうちに辞めた方がいいですよ」と助言しているような構図になりますから、決して適当な行為とは言えないでしょう。
なお、郷原氏は、社長の了解を得たこと、セッティングは九電側がしてくれたことを以て正当化しているようですが、それも疑問があります。前々から書いていますが、この時の「社長の了解」というのはどういう形でとったのでしょうか。郷原氏は、この知事との接触で「社長の了解をとった」と説明するときに微妙に言葉を換えています。その後に、「認識を共有していたと思っている」という言い方をしています。佐賀県議会での陳述のときもそうでしたし、たしか10月26日の会見のときもそうだったと思います。
事前に社長にメールを送ったとして、そのメールの写しを佐賀県議会に提出していますが、それに対して返事があったのでしょうか? あるいは電話等でやりとりしたのでしょうか? 大電力会社の社長がいちいち細かにメールを読むことはないでしょう。メールを送ったことを以て「社長の了解を得た」と言っているならば、ミスリーディングに過ぎます。実際、その翌日、社長が知事に「辞める必要はない」といっているのですから、常識的に考えて、社長は了解などしていなかったと受け止めるのが自然ではないでしょうか。
それから、知事とのアポイント等のセッティングを九電がしてくれたとのことですが、そういうときは、時系列で説明しなければなりません。知事に辞職勧告するということを九電の事務方に告げてセッティングしてもらったのでしょうか? そうではなくて、郷原氏が「知事に個人的立場で話したいのでセットしてほしい」と頼んだだけなのではないのですか? 辞職勧告のことは、社長にメールで送っただけなのではないですか? これらは単純な事実関係の話ですから、ごく短時間説明すれば疑問は解消する話です。明確に社長の了解を取ったのなら、わざわざ直後に「認識を共有していたと思っている」という曖昧な注釈を付けることはないでしょう。
第2点目は、第三者委員会の調査の途中経過の公表のあり方についてです。
今回の第三者委員会による調査は7月28日から始まり、9月30日に提出されています。その間に、9月8日に中間報告が出されています。しかし、その途中で、郷原氏のメールマガジンにおいて、2回にわたり本件経過について述べられています。特に8月1日のものは、古川知事の7月30日の会見も踏まえたものではありますが、眞部社長からの依頼後のやりとりを生々しく書いているだけでなく、古川知事の行動のコンプライアンスの観点からの評価を詳細に書き、最後は、「・・・それが、今回の問題についての知事の責任にも大きな影響を与えるものとなるであろう。」と結んでいます(最終記者会見では「知事の責任を問うたことはない」としていましたが、このように実質問うています)。8月29日付けのメルマガでも、タウンミーティングの問題に絡めて九電の行動について批判を加えています。
こういう形で、委員会による調査活動期間中の途中で、委員長個人(あるいは郷原氏の属する(株)コンプライアンス・コミュニケーションズ)のメールマガジンで、その調査に関わる内容を明らかにすることについては、どう考えるべきなのかが論点としてありうるのではないかと思います。
この九電第三者委員会は、日弁連の第三者委員会ガイドラインに基づいて行われているとされています。
同ガイドラインは、これらの点に関しては、次のように記載されています。
「2.説明責任についての指針(調査報告書の開示に関する指針)
第三者委員会は、受任に際して、企業等と、調査結果(調査報告書)のステークホルダーへの開示に関連して、下記の事項につき定めるものとする。
①企業等は、第三者委員会から提出された調査報告書を、原則として、遅滞なく、 不祥事に関係するステークホルダーに対して開示すること。
②企業等は、第三者委員会の設置にあたり、調査スコープ、開示先となるステーク ホルダーの範囲、調査結果を開示する時期を開示すること。
③企業等が調査報告書の全部又は一部を開示しない場合には、企業等はその理 由を開示すること。また、全部又は一部を非公表とする理由は、公的機関による 捜査・調査に支障を与える可能性、関係者のプライバシー、営業 秘密の保護等、 具体的なものでなければならないこと。
第2.第三者委員会の独立性、中立性についての指針
3.調査報告書の事前非開示
第三者委員会は、調査報告書提出前に、その全部又は一部を企業等に開示 しない。」
依頼企業へは中途では開示しないとありますが、依頼企業どころか一般に対して開示することまでは想定外のことだったのではないでしょうか。それも、メルマガという委員長個人のツールによって行われる例というのは、どのように捉えればいいのでしょうか。
まだ、赤松、梅林の両調査チームによる調査も始まったか始まらないかのタイミングです。
そのタイミングで、報告書とほとんど同じ結論の=見立て通りのストーリーを書いています(見立てストーリーは、7月19日付けのメルマガにも書いてありますから、調査が始まる前から、結論は決まっていたように感じます。この点は別途改めて述べます)。
続く
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第三者委員会をチェックする機関がない以上、
社会の側から問題提起して、在り方の是非を考える必要がありますね。
依頼した企業側は、疑問の提示すら許されず完全に受け入れるのが筋だっていうロジックを政府は使ってるようですから。
2011/11/23(水) 午前 4:15 [ 社会の力 ]
企業には内部統制というものがあります。
経営者、従業員の規範逸脱行為を牽制する役割のものです。
第三者委員会という臨時の組織においては、日弁連のガイドラインというのが内部統制にあたるものと言えそうです。
個人としての行為、委員長としての行為の峻別をどう規制するかを
具体的に議論しないと、
委員長のスタンドプレーの横行がはびこることにつながる。
声の大きい委員長ならなおさら、社会的影響が大きくなり、企業側が
被害を被ることもあると言えますね。
2011/11/23(水) 午前 4:28 [ 内部統制 ]
巨額損失隠しの調査をしているオリンパスの第三者委員会は21日、同社資金が暴力団などの反社会的組織に流れたと報じた一部報道に対して、「当委員会のこれまでの調査において、かかる事実は認められていない」とするコメントを発表した 21日産経より
世間の雰囲気に左右されず、極めて抑制的な事実認定を行ったというのがオリンパスの第三者委員会ですね。
2011/11/23(水) 午前 5:29 [ オリンパスとの比較 ]