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敦賀の有識者会合の中間評価に関するピアレビューで、大きな疑念が呈せられたことについては、以前、下記の記事で書きました。
これについて、改めて手続き的な問題点に加えて、内容的にも深刻な問題指摘となっているという点を、もう少し整理してみたいと思います。
ピアレビューは、以下の資料が使われました。
◎有識者会合評価(仮案)
※ p12−13に審査指針及び審査の手引き抜粋
◎「議論のポイント」ペーパー
【ピアレビューの手続き的重大問題】
このピアレビューの手続き的な重大問題は、次の点です。それは、議論の科学性の担保も損なっているということと表裏一体です。
①原電の最新調査結果と評価が全く議論に反映されていないこと。
第3回会合と同日に即引き続いて開催されており、第3回会合で提出された原電の調査結果、評価が、資料の上では全く反映されず、議論の上でもほとんど言及されていない。
特に、美浜テフラの検出や、K層の方向変換と中途途切れ、D-1の構成物質分析等の極めて重要な判断材料となるものが、議論に反映されていないことは、極めて問題(美浜テフラには、渡辺委員と栗田委員とが若干言及しているのみ)。
②多分に、外部の意見を聴いたというアリバイ作りに使われていること。
・もともと、有識者会合の評価の公正性、科学性の担保のための手続きは何ら定められておらず、外部有識者から意見を聴くべしとの声を押されて、急遽セットしたという流れ。他の有識者会合の委員をレビュアーに起用しており、それは「外部」有識者といえるのか疑問。実際、お仲間擁護的発言が目立つ(同じ変動地形学者の渡辺委員はその典型で、表現ぶりだけを若干指摘するだけで、中身はこれでいいというのみ)。大飯の有識者会合で、島崎委員長代理の進め方に批判的だった岡田教授は出席もせず、意見も出していない。
・中立性の担保措置として、地質学会会長を座長として起用したとしているが、会合の中身をみれば、単なる議事進行役となっているのみで、自ら内容についてのコメントは一切していない。
【指摘された有識者評価の科学的非合理性・非体系性】
そういった問題含みのピアレビューではありますが、以前指摘したように、敦賀有識者会合の評価には、栗田氏と竹内氏からは明示的に、吉岡氏から実質的に、深刻な疑問符が付けられました。
指摘した委員は、マナーを身につけた社会人ですから、直接的表現で、これは合理的推論になっていないとか、事業者側の主張に理がある、解釈が間違っているとかの言い方はしません。栗田氏や竹内氏はそれでもはっきりとずばずば指摘しているほうだと思いますが、吉岡氏の「こういう独自の判断材料も入れこんで、こういう論理展開で判断に至ったことを述べるようにすれば説得性が増しますよ」という言い方は回りくどい感がありますが、これは裏を返せば、「判断材料を用いて論理的に推論経過を述べていないのでは説得力ありませんよ」ということを言っているということだと思います。
変動地形学者の鈴木教授は、栗田氏らから「科学的根拠に基づく合理的推論をした上での安全サイドの判断という理解でいいですね」と繰り返し確認されて困惑し、
「自分たち有識者の役割は、事業者側の挙げる根拠・結論をみとめるかどうかだけで、それ以上に自分たちで直接調査して、根拠材料をもとに批判に耐えられる論文のようなものを書くことはできない」
という趣旨のことを述べています。島崎委員長代理は、
「バンとしたものは書かない」
と意味不明のことを2回繰り返しています。鈴木氏と同じ気持ちなのでしょうが、大事な点なのですから、一般に通じるように明確な考え方を述べるべきです。
では、ピアレビューで指摘された具体的な疑問点を、議事録に沿って改めて整理していきます。疑問点は大別して、4点あります。
1 科学的な合理的推論、体系的説明になっていないとの(実質的)指摘
2 K断層とD-1の連続性、連動性に合理的根拠なしとの指摘
3 浦底断層との連動は、過去に動いた頻度、兵庫県南部地震の例からも見ても考えにくく、敦賀原発は副断層が生じにくい部分に建っているとの指摘
4 非常に危険性は低く、非常にあやふやなデータで判断していることを明記すべきとの指摘
以下、それぞれ各委レビュアーの指摘を抜粋していきます。
1 科学的な合理的推論、体系的説明になっていないとの(実質的)指摘
<栗田>
・科学的根拠を持って、矛盾なくそこに活断層があるということを推定、あるいはその可能性を指摘できる。そういった場合に初めて耐震設計上考慮する対象になると。
・可能性が推定される場合、その場合に初めて安全側の判断でやるのであって、全く根拠なく、ただ断層があるというだけで安全側の判断を行うとか、そういう意味じゃないですよね。
<鈴木>
・必ずしも完全に黒の証拠がなくても、グレーの場合には考慮しましょうという、その思いがここには込められているということは事実だと思います。その上で、合理的な証拠、推定するべき合理的な証拠があるということは、もちろん当然必要なことというふうに思います。
<栗田>
・評価案の体裁・・・は、通常は概要から入って、各論が入って(の形だが)、今の評価のポイントだとか詳細説明というのは、ほとんど内容が記載事項の一部分だけを抜き出したようなことで、体系立った説明がどこにもないんですね。やはり、ここには浦底断層という、非常に活動性の高い断層があって、その断層がどういうふうに形状しているんだと。その周辺にどういうふうな怪しげな変動地形があって、それとの関係でD-1断層がある。だからこれが動く可能性もあるかもしれないということで、昨年来、調査をやられた・・・過去の経緯だとか周辺状況もきちんと踏まえた上で、だからD-1断層が評価すべき活断層とすべきだというふうな判断に至ると思うんです。
<吉岡>
・K断層はここで③層を切っています。その連続のどことどことどことにボーリングとかで断層が確認されている。それも、それがどういう変位を持っているということを書いていって、要するに連続するということは、もうここの有識者会合で判断したんだよということをはっきりと書いたほうがいいと。
・その場合に、さらに南はどこまで延長するかという問題もあるんですけれども、・・・南北性の変位地形、はっきりした変位地形ではないけれども何かあるということを、空中写真の判読で出されていたと思うんですけれども、そういったもの、そこまで連続するということを意識に入れて、この評価をされたのかということを確認させていただきたい。・・・
もしそうだとすれば、・・・それも書いた上で、この有識者会合の評価として、南北性のものがある程度連続するんだと、もちろん2号炉の下を含めてですけれど、そういったところをできるだけ独自の情報として書かれたほうがいいのではないかというふうに思います。
※筆者注:そういう独自材料・判断があるのか?とういう間接的疑問提示と思われる。
<栗田>
・複数名からこの評価文の全体の構成がまずいというふうな指摘があったんですが、この点については、全面的な修正をしていただけるのでしょうか。大変な作業になると思うんですけれども。
<鈴木>
・ここでの今後のまとめ方ということも含めて、まずは事業者から提示された結論を認めるのか、認めないのかというところが第一ステップだろうと思うんです。それ以上の何らかのデータがないので、基本的にそれでいいのではないかというふうにまとまることもあるわけですし、それに対して今回は、その見解は追認できないというところから今回は始まっているということを、はっきりさせたほうがいいような気がします。
それで、その見解ではよくないとすれば、どうまとめるべきかというところで、調査を私たち自身ができるわけでもないし、もっとわかりやすい図をつくったほうがいいと言われても、私たちはつくれないという中で、こういったものをまとめていくとなると、いわゆる投稿論文にして耐えるような論文を我々が書けるはずはないわけですよね。そこのところがピア・レビューというふうな仕組みで今回始まると、非常にやりにくいなと・・・。
<島崎>
・ばんとした報告書は書きません。それだけは言いますけれども。
続く
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