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続き
栗田委員は、東通有識者会合のメンバーですが、活断層であることの合理的推論をする旨を資料等でも述べています。その適否は小生にはわかりませんが、姿勢としては敦賀有識者会合よりもはるかに科学的に合理性のある考え方です。
栗田氏は同時に、断層の影響はCクラスで大きくないので、施設への影響を評価して問題ないか確認したほうがいいとも会合で述べています。事務局の規制庁や隣接の東電側にある膨大な資料の突き合わせも必要とも述べています。
○東通第2回有識者会合
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/higashidori_hasaitai/data/20121226-higashidori.pdf (p32-33部分)
<島崎委員長代理>
今回扱っている断層は、活動度はC級だと思われますので、そういったものに関してどういう性状になるかということをきちんと把握していただいて、調査をしていただきたいと。
<栗田委員>
私も、この断層が非常に大きな地震を、今の範囲で起こす、それの、ここの部分単独で起こすというふうには考えておりません。恐らくずれる量も小さいだろうと。問題は、どの程度小さいのか、どの程度大きいのかという、その定量的な問題ですよね。
ですから、そこを問題にするのではなくて、どの程度の地震波を出し得るのか。それとも、問題にならないほど小さいのか。あるいは、敷地の変形で言えば、こういった断層の1回の動き、変状の量、面的に見たときにそれが原子力施設に影響があるのかないのか、そういうことが本質的に重要なことだと思うんですよね。ですから、そこのところ、一番最初に言いましたように、きっちりと定量的に、多分今後も調査は必要だと思うのですけれども、それを出していただきたいです。その上で、影響があるのかないのかと判断していただきたい。つまり考慮する活断層の可能性があるのだとしても、どの程度の影響があるかということは、今現在わかっていないわけです。大きいのか、小さいのか。そういうことが本当に一番大事なんじゃないでしょうか。
ですから、膨潤説、活断層説というふうな一つの可能性を議論するんじゃなくて、もっと言えば、膨潤説で完璧に説明し切れないのであれば活断層の可能性というのは残りますので、そのことを安全サイドに立って検討されて、その影響をきちっと評価するという、その作業がやはり必要なんじゃないでしょうかね。
○東通第3回有識者会合
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/higashidori_hasaitai/data/20130218-higashidori.pdf (P20部分)
<栗田委員>
今の評価書案は、基本的に我々が現地で調査したF-3断層のTr-28トレンチ、あるいはその周辺、あるいはF-9断層のTr-20'トレンチ周辺、そこに限られたことだけでもって判断していると。それから直接言えることが中心になって書かれているわけです。
ところが、私が現地あるいは既存の資料を見ましたところ、やはりここで活断層という判断をするためには、過去に行われた膨大なデータ、これは東北電力さんの敷地もそうですけれども、隣接する東京電力の敷地、これを含めてきちっと評価する必要がある。それを総合した上で初めて、明確に活断層であるということを言い切ることができますので、やはりそれはどこかできちっと触れていただきたいと思います。それは過去の経緯も含めて、我々の判断根拠も含めてですね。そういうことをちょっと事務局のほうにも事前のやりとりでお願いしたので、今日、そのことについてはまたお願いしたいと思います。
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実に合理的ですし、工学的対処を考えるという、安全基準の思想にも即した考え方だと思います。既存の膨大データとも突き合わせて全体を整合的にみることが必要ということを述べており、フェアでもあります。ところが、地震・津波の安全基準の会合のほうでは、活断層の活動時期、頻度、今後の活動予測、原子炉施設等への影響度合い等を一切無視して、その存在を持って一切の原発新設のみならず存続さえも認めないという方向での議論ですから、もはや反原発運動家の思想です。
●もともと運動家的要素が強かった変動地形学者らがそれを主導し、日本地震学会会長、地震予知連絡会会長として、東日本大震災を予測できなかったことによる贖罪感(+もう一度失敗したら終わりだという焦燥感)にとらわれているであろう島崎委員長代理がこれに加わり、全体として、羮に懲りて膾を吹くような視野狭窄的対応になってしまっているという構図だと思います。
ともかく、「そういう判断とは限らない。こういうことかもしれない」と事業者の評価に水だけかけて自らは合理的推論を行わないのみか、そういう方法を審査上で認められるようにするための審査ガイド案の策定を企図しているなど、原発という選択肢を事実上封じようとしています。
彼らはもはや科学者ではありません。学者生命は実質終わることでしょう。
●ピアレビューでの島崎委員長代理の応答ぶりは、支離滅裂です。
① 体系的で合理的な推論を行うべきとの指摘に対して、「バンとしたものは書かない」と意味不明のことを繰り返し、どういう考え方なのか明示しない。
②栗田氏の「浦底断層−K断層とD-1断層の連動性について合理的推論が見出しがたい」
との指摘に対して、
「ある意味、私も不思議なことが起きていると思うわけです。でも、現にあるわけですよね、そのことが。それが長さはどのぐらい続いているかということは、直接な証拠はありませんけれども、同じ向きで、同じ方向で、かつ、ほとんど延長上にあるものが動いているということは、非常に重要な事実だと思わざるを得ないですね。頭で考えると、上盤が普通動くものだと。それは確かにそのとおりなんですけれど、現に下盤で動いているわけで、それはもう、動かしようのない事実なわけです。しかも、その断層の傾斜や方向も、ほぼ沿っていて、位置も非常に近い。」
と述べていますが、そもそも、
・ 「(K)断層の傾斜や方向も、ほぼ沿っていて、位置も非常に近い」という評価が、方向が同じとは言えない、途中から曲がっている、構成物が異なっている旨の指摘や、浦底断層と非常に近いからといって確率的に副断層が生じにくい場所にある旨の指摘などによって疑問を呈されているのに、それをまた繰り返し、何も答えていない。
・ K層とD-1とが連動しては動かないはずだと言われているのに、あたかも連動して動いた「不思議なことがおきている」かのような応答をしている。双方が連動して動いたという事実は、評価書でも書かれていない(連動して動く可能性があるという可能性のみ)。
・ K層が複数回動いたとしているが、それは後期更新世(12−13万年)より古い時期ということを事業者に美浜テラフで主張され、栗田氏からも言及されているのに、あたかも新しい時期に浦底と連動して同時に動いたかのようなニュアンスで発言している。
というように、科学的議論の場とは思えない非論理的応答をしています。内心は相当動揺していたのではないでしょうか? 実質的には核心部を否定されたに等しいわけですから、わからないでもありません。
口頭ではふわふわしたことを言ってその場ではしのげるかもしれませんが、これをきちんと書面にして、原電の主張やピアレビュアーらの指摘に対して、合理的な材料を持って論理的に反論することができるのでしょうか? 訴訟になれば、それをやらなくてはなりません。
それに島崎氏は、一般向けの印象操作をしています。第3回会合で、原電が退場して評価書とりまとめに入る冒頭のところで、唐突に、「一般の方にはわかりにくいだろうから」といって、台湾地震の際のずれによる建物やインフラ破壊の写真を紹介しています。
台湾の地震で、これらのインフラがどの程度の古さで、どういう耐震基準にあったのか等の点を一切説明することなく、「ズレは恐い」と述べるだけですから、あたかも、ひとたび地震が起これば原発がこういうことになるという印象操作ではないでしょうか。
それを言うなら、阪神淡路大震災の際に、断層上にあっても壊れなかった建物の写真が確かあるはずです。誰か学者の方が指摘していたかと思います。
●以上の通り、田中委員長が、「科学の世界で議論したものはそう簡単に覆らないのだよ」と傲岸に述べた点は、実際には科学の世界の議論に全くなっていないということがよく分かると思います。しかも、調査継続中で、「その点は大事な点だからしっかり調査してほしい」と有識者側が原電にいっておいて、他方で結論を出してしまっているのですから、その行動様式自体、科学的ではないでしょう。
田中委員長は、安全基準適用に関する「私案」を出して、視野狭窄性が多少は柔軟になったかとは思いますが、島崎委員長代理と変動地形学者たちの動きには、十分な警戒と継続的批判が必要と感じます。「審査ガイド」案については、ここまでやるか・・・と唖然としました。
第三回会合で論点となった点について、原電が追加調査でだめ押しの結果を出してきたら、彼らはどうするのでしょう? 見ものです。それで評価結果が覆ることになれば(だめ押しの結果であれば、当然覆るでしょう)、これまでの混乱の責任をとって、引責辞任でしょう。
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