(新名称) 法と公正手続きへの基本的理解が欠如した原子力規制委

(旧名称) 九州電力第三者委員会、郷原委員長、そして枝野経産大臣への疑問

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 9月25日原子力規制委員会で、もんじゅ敷地内の破砕帯に関する追加調査指示の方針が了承されています。指示書自体は、次の委員会配布資料の最後についています。
 
これに関しては、関電大飯の南側トレンチ掘削の指示、原電敦賀での調査に関するスタンスの問題を浮き彫りにしていると思いますので、書いてみたいと思います。まず、指示書の内容です。
 
**********************************
「原子力規制委員会(以下「当委員会」という。)は、旧原子力安全・保安院が、平成24年8月に、貴機構に対して、敷地内破砕帯に係る追加調査計画の策定を指示していたことを受け、貴機構が取りまとめた「高速増殖原型炉もんじゅ敷地内破砕帯の追加地質調査報告書」を平成25年4月に、受領しました。
この報告を踏まえ、高速増殖原型炉もんじゅ(以下「もんじゅ」という。)敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合における評価会合及び現地調査において、もんじゅ敷地内破砕帯の活動性について、有識者からの意見を聴取した結果、活動性を評価するためのデータが不十分であり、当委員会は、追加調査が必要と判断しました。
つきましては、貴機構に対し、もんじゅ敷地内破砕帯に関する下記の調査計画の策定を行い、平成2510月4日までに当委員会に報告することを指示します。
1. 重要構造物直下を通る敷地内断層の活動性を把握するため、はぎ取り調査地点の基盤岩中の断層において、変位マーカーの有無や形成年代の把握及び破砕帯内物質を対象とした年代測定等を実施すること。
2. L-2リニアメント及びその延長部等の評価についてデータ拡充を行うため、破砕帯の分布・性状、被覆層との関係及び被覆層の堆積年代(14C年代測定や火山灰分析等)の調査を実施すること。
白木―丹生断層周辺及びL-2リニアメント延長等における海域の地質構造・活動性を把握するため、周辺海域における海上音波探査及び沿岸部における地形・地質調査等を実施すること。」
******************************
 
 これに関しては、規制庁の森本次長が9月24日の記者会見で説明しています。
 
******************************
○記者 産経新聞、アマノです。
明日の規制委員会の件で幾つか教えていただきたいんですが、議題1の件で記憶違いであったら申し訳ないんですけれども、これまでの大飯であるとか東通についても追加調査をしている事例があるのですが、今回規制委が追加調査計画の策定というところまで踏み込んだのは初めてのような気がするのですけれども、なぜもんじゅだけこういう計画を策定ということになったのでしょうか。
○森本次長 おっしゃるとおりでして、これまで他の破砕帯調査に関しては、こういう形の計画の策定指示はしておりません。今回追加の調査計画の策定を指示しようと考えますのは、これは元々が旧原子力安全・保安院が平成248月にJAEAに対して追加調査の計画の実施をしたというのがございます。今回、現地調査をいたしましたけれども、原子力安全・保安院が指示した調査計画の範囲に入らない調査計画の指示をするということでございますので、一言言うと施策の連続性の観点から指示をするというものでございます。
*******************************
 
<大飯の南側トレンチ掘削指示の問題点>
 他方、大飯の南側掘削については、(後から判明したところでは)昨年の11月7日に指示がなされ、関電が調査計画を提出して、それに基づいて行われたという経緯です。その経緯は、大飯の破砕帯検討の有識者会議に提出された関電の資料に記載されていました。これを読んで初めて、そういう経緯だったことが分かりました(P1)。
 
 それによれば、保安院時代の平成24年7月18日付で、F6破砕帯に重点を置いた調査を行うよう「調査計画策定の指示」がなされたそうです。それに基づいて提出・了承された調査計画に基づいて調査を行っていたところ、規制委の有識者会合やその現地調査の前である11月7日時点で、南側トレンチ掘削の指示がなされていたということです。
 それの問題点については、以前にも書きました。
 
 改めて、もんじゅと大飯とを比較して、調査のあり方の問題点について整理すると、以下の点かと思います。
 それは、もんじゅの場合には、有識者会合で追加調査の必要性を議論し、規制委の了解を取った上で、調査計画策定の指示を行ったのに対して、大飯の追加掘削については、有識者会合の会合前の時点で、何ら有識者間で掘削の必要性の議論を行うことなく、島崎委員及び規制庁の独断で指示がなされたということです。
 「掘削」と言葉で言うのは簡単ですが、その実態は、大土木工事です。実際のトレンチは、深さ40m×幅50m×長さ70mでしたが、当初の指示は、長さが300mだったといいますから、数十億円もかかる大土木工事です。


このようなことが有識者会合での必要性についての議論と委員会での了承を何ら経ることなく指示されたということは、極めて問題です。

 そもそも、この「調査計画策定の指示」という行為の性格は何なのでしょうか? 報告徴収とは明らかに違いますから、これは審査を行う上での行政指導だと思われます。それ自体は、審査上の材料を十分なものにするため必要だということで、否定されるものではありませんが、しかし、それだけの巨額のコストと多数の要員と長期の期間を費やすような大きな負担を強いる(それは最後は電気料金に転嫁される)ものであれば、行政指導として指示するとしても、慎重の上にも慎重を期する必要があると思います。
 実際、有識者委員の岡田教授からは、この掘削の必要性について厳しい批判がなされました。1月会合時点で既に、岡田教授は懐疑的でしたが、実はその2ヶ月半前に島崎氏と規制庁の独断で掘削指示がなされてしまっていたとは、その会合でも分かりませんでした(岡田教授はそんなことになっているとは夢にも思わなかったでしょう。私はてっきり、あの有識者会合の直前だと思っていました)。8月会合で改めて、このような大土木工事の掘削は不要だったのではないか、として批判しています。
 
規制委の了承をとらなかったのは、F6破砕帯調査計画策定指示の範囲内だからと抗弁するつもりかもしれませんが、しかし、大飯の場合でも、調査計画を保安院として了承した上で調査が行われています。仮にその指示して提出され、これを了承した調査計画に含まれない点があるのであれば、以前了承した調査内容ではなぜ足りないのかという点を検討した上で、もんじゅと同様の追加の調査計画策定指示のプロセスを踏むべきなのではないでしょうか。百歩譲って、規制委で了承をとらないとしても、有識者会合で必要性について十分に議論することと、規制委に報告をすることは当然踏んでしかるべき手続きでした。

 大飯については、結局、活断層ではない旨の判断になりましたが、その議論の過程は、科学的判断プロセスとして合理的ではありませんでしたし、上記のトレンチ調査指示のプロセスについても、およそ透明性、合理性を欠くものでした。これはしっかりと記録されるべきことでしょう。

                                      続く 

                          
 
 コメント欄で「しゅうちゃん」さんからご指摘のあった田中委員長の925日付け記者会見をみてみました。議事録は次の最後にあります。

 ただ、これは録画映像を見た方が、雰囲気がリアルに伝わってきます。5100〜からの部分です。
 
**********************************
○記者 フリーランスのヤマザキと申します。
Fの汚染水対策も大事なんですけれども、敦賀原発の破砕帯の評価についてお尋ねしたいんですが、4月24日の評価会合で、首都大学東京の鈴木教授の美浜テフラに関する評価があったと思うんですが、それについて、情報開示請求が出ていますけれども、そのことは委員長は御存知でしょうか。
9月12日に規制庁から回答がありまして、私文書なので、これは公開できないということなんですが、私文書を評価に使われたことについて、委員長は御存知だったでしょうか。
○田中委員長 知らないです。
○記者 知りませんか。
○田中委員長 はい。
○佐藤広報課長 個別の情報公開の開示案件につきましては、会見でお尋ねいただくのは、お控えいただけますか。
○記者 その評価はいいんです。規制委の今後の審査のやり方なんですけれども、私人の文書を使って評価をしたということが、12日の規制庁からの回答であるんですが、私人が原発の安全を左右するという仕組みになっていることについて、委員長としてはどうお考えでしょうか。
○田中委員長 何を根拠としているんですか。
○記者 根拠というよりも、ファックス(引用者注:「ファクツ」の間違いと思われる)だけで言っているんです
○佐藤広報課長 すみません。個別の情報公開の案件については、この場でお聞きいただくのは、お控えいただけますか。
○記者 委員長のお考えを聞くこともだめですか。公的機関である原子力規制委員会の審査の仕方について、委員長はどうお考えかということなんです。
○佐藤広報課長 細かい中身についてお尋ねいただいた上で、それについてどうお考えですかと聞くのは、適切ではないと思っています。
○記者 今のところ、有識者のメールのやりとりもどなたかも明らかになっていないんですが、有識者も含めて、審査に関わった方は、私人ではなくて公人だと思うんですけれども、その辺について、委員長はどうお考えですか。最後にこれで結構ですから、今の有識者会合のメンバーの方々に対して、メールその他のやりとりの透明性を図ることについては、どうお考えでしょうか。
○田中委員長 中身も知らないで、いい、悪いは言えないです。
○記者 そうですよね。それを評価、公文書に使ったということです。
○田中委員長 あなたが御存知のように、私どもの評価は、皆さんの前できちっとやっている議論が基本的には全てです。公開でやっているんですからね。
○記者 透明性を高めるために、ブラックボックスになっている部分を明らかにした方がいいとはお考えになりませんか。
○田中委員長 ブラックボックスになっているなんて、私は思っていません。
**********************************
 
 録画映像をみるとよくわかりますが、「しゅうちゃん」さんのご指摘の通り、田中委員長は何も伝えられていない様子です。問題の所在はもちろん、事実関係がわかっていないことが映像から良く伝わってきます。
事実関係がわかっていれば、「私どもの評価は、皆さんの前できちっとやっている議論が基本的には全てです。公開でやっているんですからね。」「ブラックボックスになっているなんて、私は思っていません。」などということはできないででしょう。とりあえず、一般論で逃げたということかと思います。
「中身も知らないで、いい、悪いは言えないです。」と答えるのであれば、続けて「中身を聞いた上で改めてコメントします。」というのが筋でしょう。
 
 問われていることは、次の点についてです。
 
「有識者会合検討資料に記載された専門家のコメントがメールの引用される形で記載されているが、それが年代評価上の根拠となっている。その評価根拠については、522日の委員会会合の際に、田中委員長からの質問に答える形で、事務局から説明がなされている。他方、その記載されたメールでは、『状況がよくわからないので一般論で述べる』旨書かれている。そこでその評価が書かれたメールのやりとりの全文について開示請求がなされたところ、私文書だから公開できない旨の回答があったと原電は公表している。それは事実か。事実だとすれば、有識者会合の評価の上で重要な根拠部分の詳細が明らかにされずブラックボックスになっていることは問題ではないか。」
 
 広報課長はかなり狼狽しているようで、言っていることが意味不明です。情報公開請求に関して相当神経質になっていることがうかがえます。
 
○佐藤広報課長 すみません。個別の情報公開の案件については、この場でお聞きいただくのは、お控えいただけますか。
○佐藤広報課長 細かい中身についてお尋ねいただいた上で、それについてどうお考えですかと聞くのは、適切ではないと思っています。
 
 情報公開請求結果に基づいて記者があれこれ追及することは社会面をみていればごまんとありますし、今回の場合も、原電が自ら請求結果をHPで公表して、規制委の対応を批判しているのですから、それに対する見解は述べなければなりません。原電が公開した時点で、当事者同士の個別事案ではなくなっています。
 
 
●さて、改めて、請求内容と規制庁の開示結果を見てみると、微妙なところがすれ違いがあるように感じます。
 
私文書だから云々というのは、次の請求内容に対するものです(上記の「14」)。
 
「敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合 第4回評価会合配布資料「敦賀・現調5−3 敦賀発電所敷地内断層の評価について(基本的考え方)」の5頁の専門家のコメントを得るに当たり、原子力規制委員会・原子力規制庁・有識者等と首都大学東京・鈴木毅彦教授との間で交わされた文書(電子メールを含む。)一式
 
 鈴木教授を相手に直接やりとりした文書の開示請求の形になっていますので、規制委・規制庁−鈴木教授の間の文書は直接はなされていないということで、「作成も取得もしておらず、保有していない」という回答となったのでしょう。有識者と鈴木教授とのやりとりは、行政庁が作成・取得をしていないから「行政文書」には該当しないという理屈で、「私文書」だという説明になったものと思われます。
 
 しかし、以前書いたように、有識者と鈴木教授とのやりとりでは、通常であれば、CCで島崎委員や規制庁にも入れるはずです。そうすると、それは島崎委員や規制庁職員という行政庁のメンバーが「業務上」「取得」したものになり、「行政文書」になります。
 また、有識者からコピー&ペーストの形で、鈴木教授のコメント部分が送られてきたことは、規制庁自ら認めているわけですから、その送られてきたメールは明らかに「行政文書」です(「業務上+取得した文書」)。
これらは、いずれも公開義務があります。
 
そうすると、情報公開請求では、上記の局面を対象にして請求する必要があるのかもしれません。別途、第5回有識者会合での評価書案に関しては、
 
「平成25年5月15日の敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合第5回評価会合開催前の評価書案に係る(島崎委員、各有識者)と原子力規制庁との間で交わされた文書(電子メールを含む。)一式」
 
 という公開請求がありますが、第5回会合で提示された評価書案では、問題の鈴木教授のコメントは掲載されていません。
 
 鈴木教授のコメントが載っているのは、第4回会合での「敦賀発電所敷地内断層の評価について(基本的考え方)」においてです(p5)。
 
したがって、原電が入手したいと思っている文書について公開請求するのではあれば、4回会合のほうに正確に焦点を当てて、改めて請求を行う必要があるのではないかと思います。
この点は前にも書きましたが、
 
もう少し、正確に書いてみたいと思います。たとえば、
 
「敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合 第4回評価会合配布資料「敦賀・現調5−3 敦賀発電所敷地内断層の評価について(基本的考え方)」の5頁の専門家のコメントの取得又は掲載に当たり有識者、原子力規制委委員、原子力規制庁の各相互間に交わされた文書一式(本件に関して、有識者からその専門家・他の有識者に対して送付された文書又はその専門家・他の有識者からその有識者に送付された文書であって、CC又はBCC等の写しの形で、原子力規制委委員又は原子力規制庁が送付を受けて取得したものを含む)
 ※ カッコ内は、ダメ押しです。
 
 上記の請求内容は、今回、原電が請求対象とした、
     鈴木教授と直接やりとりした文書
     5回会合での「評価書案」に関してやりとりした文書
では、カバーできていないと思いますので、改めて請求すれば、規制委側は出さざるを得ないのではないかと思います。規制庁は、原電からの批判に対しては、「そんなこと言われても、原電から請求がないから出さないだけだよ」と内心嘯いているのではないでしょうか。鈴木教授のコメントをコピー&ペーストしたメールが有識者から送られた来ている旨を開示書に記載しながら、そのメール自体を公開していないことがそういう意図を伺わせます。
 
 107日に、残りの情報公開請求結果がでますが、上記の追加請求をすれば、1か月後には出てくるでしょうから、それとあわせて、合理性、公正性の問題指摘の材料にすればいいと思います。
 もちろん、そこでは、「有識者会合メンバーが行政庁職員としてのステータスを付与されないままに、重要な意思決定に関わり、その外部とのやりとりが何ら公開されないののはおかしいではないか?」 という批判も同時にするべきでしょう。
 
※ もんじゅの破砕帯調査で、調査手法を含めた調査指示がなされ、森本次長がもんじゅだけそういう扱いにする趣旨について、記者会見で弁明していましたが、それについて、次回以降述べてみたいと思います。それと、原電、関電の評価プロセス、スタンスとが整合性があるのか? という問題意識です。

 今後の段取りを考えるとどうなるでしょうか?

 3つの別々の事案が並行して進んでいます。

 ①異議申し立てへの対応   
   10月15日(火)が期限(7月16日から90日後)
   ※ ただし、経過しても直ちにアウトではない。しかし不作為の
     責任発生。
 ②原電最終報告書への対応  ? (8月30日から1カ月弱が経過)
   ※ 以前の委員会で、第三者の意見を聴くという方針になっ
      ている。
 ③情報公開請求への対応   10月7日(月)が期限

 原子力規制委会合は、水曜日が定例なので、それに事前にかけるとすると、

 ○10月2日の会合で 情報公開請求への対応の報告
   ※ただし、今までは情報公開対応は委員会にはかけていない
    ので、かけられない可能性大。
 ○10月9日の会合で 異議申立てへの対応の報告

  というのがリミットになります。

  おそらく、10月9日(水)の定例会合で(または前倒しで10月2日会合で)、

 ○異議申立てへの対応
   ・おそらく却下の方針了承
 ○原電最終報告書ヒアリング結果を踏まえた次のステップへの対応
   ・有識者ヒアリング、現場検証の方針了承

 が議事として提示されるのではないかと想像されますが、どうでしょうか・・・。

● 異議申立てについては、これだけ追加材料が原電から提示されると、入口に入って検討することにしてしまうと、これまで書いたように、内容面でも窮地に陥りますし、手続き面でも間に合いません。さりとて、5月15日の有識者会合報告書を維持して、取消訴訟を戦うことを今決める(=訴えは適法だが内容は認めずとして棄却する)のはリスクは大きすぎると感じていることでしょう。
 そうなると、ここは、訴えの利益なしとして不適法で却下するというのが、時間の猶予を確保することにつながり、内容についての実質的判断を先送りができるので、唯一の選択肢となってくることでしょう。

 仮に不適法で却下するによって取消訴訟になったとしても、その間は定型的な「訴えの利益」論で時間が稼げます。何より、原電の最終調査報告書や原電からの有識者会合報告書への批判に対してすぐに法的に答える必要がないので、規制委にとってはメリットが大きい選択肢です。
 特に、入口に入って中身の検討ということになってくると、情報公開請求に応じて、何をどこまで出すかによって原電の出方、追加的主張が変わってきますから、それを踏まえて理論武装を考えなければなりませんので、その観点からも、ともかく時間を確保して、実質的な議論はとりあえず先送りしたいところでしょう。

●他方で、異議申し立てとは別次元の話である、原電最終報告書の扱いについては、さすがに、8月30日に原電からヒアリングをして事務的な追加ヒアリングも終わっているでしょうから、調査結果の裏付けとなる現場の検証をしないことには、広義のヒアリングは完結しません。
 それを1か月以上引き延ばすことには理由がありませんし、第三者の意見を聴くということにした手前、そのプロセスに入らないというのも批判を招くことになります。
 したがって、もう次のステップに入らないとまずいという判断があるものと思います。(通常の感覚であればですが)

 ともかく、原電の大量の追加材料を盛り込んだ調査報告書があり、2つの海外専門家グループによるそれに対する支持評価がある中で、それについては当然斟酌されていない5月15日の有識者報告書をそのままというわけにはいかないですので(そのままであれば敗訴必至)、それを改訂しなければなりません。
 その際には、

    ・原電の主張に対抗できる論拠が見出せるか?
    ・情報公開請求結果の文書で、規制委が不利になる材料があるか?
    ・材料が不足していると言っていた有識者自身が、原電報告書にどういう
     反応、判断を示すか?
    ・第3者の有識者がどういう意見を言うか?
    ・関係学会での議論がどういう展開となるか?
    ・他の原発サイトでの、活断層判断の手法、プロセスとの差の際立ち具合

  等々の点を慎重に見極めながら、改訂報告書を、

   A 結論を覆して活断層でないとするか?
   B 原電報告書の材料への反駁を追加した上で、結論は維持するか?

 の究極の判断をすることになるのでしょう。

  他の原発サイトの調査もまだこれからであり、原電対応にどれだけの精力を注げるかわかりませんが、原電からは再稼働のための設置変更許可申請が出てくるでしょうから、順番は後回しだとしても、活断層の点については、来年の早い段階までには結論を出さないと、変更許可申請に関する不作為についての訴訟リスクを抱えることになるでしょう。
 訴訟になるときは、おそらく島崎氏らの根拠なき危険発言、強引な議事運営(審議打ち切り)による不利益についての国家賠償請求も提起される可能性もあるのではと思います。故意または重大な過失はありますから、なんらか認められる余地はあると思います。それは、安易すぎる有識者会合運営への警告の意味でも提起したほうがいいと思います。

 そういうわけで、仮に異議申立てが却下となったとしても、実質的な活断層判断の可否に関して、緊張した展開が継続的に続くことでしょう。

 原電最終報告書の扱いについての規制委の会合での主張、本体訴訟への準備は進めつつ、さまざまな追求事項、確認事項については、地元国会議員の方の協力を得て、質問主意書によって確認していくのがいいのではないかと思います。原電からの公開質問状は完全無視していますので、確実に政府統一見解が出てくる質問主意書は有力な手法となることでしょう。

 たとえば、異議申立てで証拠として提出した平成20年政府答弁書の再確認等は、大きなインパクトがあると思われます。




  
続き

●この点で類似のケースで何かないかと考えてみると、課税処分の取消訴訟があるのではないかと思いました。税務署の判断には不服だが、納付しないと延滞金が付く上、刑事罰が科される可能性がありますので、不服である旨の留保を付けた上で、一旦は納税し、その後に取消訴訟を提起するというパターンです。
「加罰の可能性があるので不服ではあるが一応応じるものだ」との留保をつけた上で、報告徴収に応じた原電のパターンと共通するところがあります。
 
その課税処分の取消訴訟で有名なのが、例の石原慎太郎知事が第一期目に大々的に打ち出して銀行税を巡る訴訟です。調べてみると、次のような経過でした。
控訴審の東京高裁では、東京都が敗訴し、結局、最高裁で和解して、延滞金を付けて還付する結果となりましたが、その訴訟経過では、さまざまな法律判断がありました。高裁判決文を読んでみると、銀行側が勝訴したといってもきわどくて、外形標準課税自体は、地方税法上認められているものであるとしつつ、なぜ無効となったかというと、やはり地方税法上に規定がある均衡の原則(所得標準で課税した場合との乖離の大きさへの配慮)に反するからということでした。それが数倍にもなったので均衡の原則に反して無効という判断になったものです。
 
 
銀行側の訴えは、当初、銀行税条例自体の無効確認の訴えでしたが、裁判所の判断は、条例の公布施行自体で、銀行の権利が損なわれるわけでなく、行政訴訟の対象となる争訟性や行政処分性がないということで、不適法とされました。租税債務不存在の訴えも認められませんでした。結局、銀行側は、納付した事業税は誤納金ということにして、その還付請求の中で、条例の無効を訴えるという形にしたものです。
 
●こういう状況をみると、原子力規制委の活断層判断の科学的不合理性、手続き的不公正性に著しく問題があるということには何らの揺るぎはしないものの、異議申立て却下(=訴えの利益なしで不適法)で、取消訴訟に至っても敗訴する可能性は念頭に置いておく必要はあるのかもしれません。
もちろん、だからといって、今やっていることが無駄になるわけでは全くありません。規制委の判断と運営とが、如何に合理性と公正性を欠いているかということが明白になってきていますし、科学界の見方も規制委に対して懐疑的な空気が広がっています。規制委に対しても、手続きや判断を相当慎重にさせる効果をもたらしています。有識者会合再開への強力な圧力材料が揃っています。何より、今回の異議申立てでの主張や提出資料がそのまま、直接の権利侵害の場合(活断層認定により再稼働認めない処分)の本体訴訟に向けての主張材料になります。
 
異議申立てが却下されたとしても、規制委の活断層判断が維持されるのであれば、原点に戻って、実際に甚大な権利侵害、不利益をもたらす行政処分の取消等を訴えるということになりますので、まずは粛々と設置許可変更申請(=新基準適合審査申請)と再稼働申請をして、それが認められない場合に、その取消訴訟なり、再稼働の権利確認の訴え的な当事者訴訟を起こすという展開になるのでしょう。
またそれと並行して、原電の最終調査報告書や外部専門家チームによるその支持評価書を以て、有識者会合再開を強力に働きかけていくということかと思います。規制委としても、今回の異議申立てを却下するとしても、それは有識者会合の評価に重大な瑕疵ありとの問題は潜在的に残ったままで、その先送りに過ぎないということはわかっているでしょうから、有識者会合を再開させて、軌道修正を図っていく方向に進むのではないかと思います。
 

●整理すると、原電側の対応としては、
 
情報公開請求と、透明性確保の要請(有識者のメールの公開等を含む)を続け、判断過程の不合理さ、不公正さを具体的材料により固めていく。
※ 外部からの不当な働きかけ等の材料の有無についても追及していく。
有識者会合再開に向けての働きかけを強力に継続する。
※ 公開質問状等、他の有識者会合の判断指標・方法との差を突く等も含む)。
科学界の様々な場での議論活発化のための材料を積極的に提供し、問題提起、世論喚起、支持確保を図る。
設置変更許可申請、再稼働申請は並行して、淡々と進めつつ、訴訟準備を進める。
 
 ということでないでしょうか。
 
 原電が、異議申立て手続きの一環として、参考人陳述、検証の申立てに対する対応の督促と、審尋の申立てを行っていました。
 
 
 これによると、未だに現場の検証の日程調整等の連絡もないとのこと。現状の保存等も大変で積雪シーズンに入ると時間が更に経過してしまうので、早期に検証を要請するというものです。
 それで、そうこうするうちに、異議申立てから(取消訴訟提起可能な)3か月が経過するまで、あと3週間となりました。もう一連の手続きは、それには間に合わないでしょう。
 
 どうもこういう規制委の対応をみていると、もしかすると、規制委は、
 
    異議申立てに訴えの利益なしとして、不適法として却下する
 
 ということを考えているのではないか、という気がしてきました。
 確かにこの点は、当初から若干懸念していたように微妙なところではあります。
 攻勢に出ている原電の志気を削ぐかもしれませんが、その可能性の当否を考えてみます(もちろん、報告徴収命令の取り消しのところで負けても、本体訴訟では最終的には勝ちますが。)。
 
●原電は、報告徴収命令という行政処分の取消を求めつつ、他方でその命令に従って報告を行っています。その際、執行停止が認められず、従わないと加罰の可能性があるために行うものであるとの留保を付けた上で行っています。その点は、異議申立ての理由補充書で記載しています。
 
「当社が本件報告を行ったとしてもなお,当社は,本件異議申立てに関する法律上の利益を引き続き有しているので,本件報告は,本件異議申立てに何らの影響を与えることはない。」
「本件処分においては,当該具体的な規定が原子炉等規制法において想定できず,本件処分が同条に反した違法な行政処分であるとの主張は何ら変えるものではないものの,仮に当社が想定しえない後続処分が出される可能性を否定できないまま,かつ,同じく本件異議申立ての理由第1.1で誤りであると主張している敦賀発電所2号機直下の破砕帯が耐震設計上考慮する活断層であるという判断が,仮に誤ったまま維持されるような場合には,当社がその何らかの後続処分によって受ける不利益は甚大なものとなる可能性がある。
また,趣旨の曖昧な報告徴収命令が出されると,命令を受けた事業者は,たとえ真摯に命令に応じてもなお,報告義務を十全に果たしていないと判断され不利益を被る可能性がある。本件処分は,活断層評価の誤りはあえて置いておくとしても,極めて唐突に出された報告徴収命令で,処分庁の意図が不明であり,かつ,冷却水の喪失に至るメカニズムについての条件設定もない内容的にも不十分,不明確な命令であったため,当社は,自ら合理的な条件設定をして本件報告を行うこととしている。これによって報告義務は法律的に十分果たしているが,更なる報告徴収命令が繰り返される可能性もあり,こうした命令は,事業者の地位を極めて不安定にするものである。
 
 
●行政訴訟における「訴えの利益」については、さまざまな判例があります。
   
 
平成16年に法改正がなされ、広めに解されるようになってきつつあるといわれます。実際、小田急線連続立体交差事業認可処分取消訴訟では、最高裁は、以前の「周辺住民に訴えの利益なし」との判例を、法改正後の平成1712月の判決で変更し、行政事件訴訟法で改正追加された条文の92項を引用して、訴えの利益を認めています。
その行政事件訴訟法第9条では、次のように規定されています。
 
(原告適格)
9
処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
 
 ところで、その最高裁判例では、「訴えの利益」については、
 
「同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう
 
 とあります。そうすると、報告徴収命令に応じることによって、自己の権利、利益を必然的に侵害されるかということが論点になってきます。


●規制委は、異議申立て後の執行停止申立てを却下していますが、その時の理由として、
 
「本報告徴収に従って報告する行為自体に重大な損害が伴うとまでは考え難い」
 
という点を述べています(7月24日の原子力規制委員会の定例会合における説明)。 また、執行停止の申立てに対して、「却下」にしたことは、「棄却」の間違いだろうとと以前書きましたが、規制委の理屈からすると、異議申立て自体が訴えの利益がなくて不適法だから「却下」すべきものであり、その手続きの一環である執行停止の申立ても、それに連動して不適法であるから、「却下」で正しいのだ、ということなのかもしれません。
 
 確かに、原電も、報告徴収に応じること自体で重大な損害を被るというよりも、
 
「前提となる活断層との判断が維持されることによって、何らかの後続処分によって甚大な不利益を受ける可能性」
 
 という点を前面に出して、訴えの法律的利益あり、と主張しています。
これに対して、規制委としては、おそらく2点を理由として、訴えの利益なしで不適法として、却下しようとしているのではないかと推定されます。
 
後続処分による甚大な不利益というのは、あくまで可能性の話であって、報告徴収命令に応じること自体には、何らの不利益もないはずである。実際に甚大な不利益を被ると主張する後続処分がなされた段階でその取消を訴えるのが筋である。したがって、取消を求める法律的利益はない。
実際に、留保付きとはいいながらも、報告徴収には応じている。それで具体的な甚大な直接の不利益は生じていない。
 
そう考えると、申立て人の原電の陳述の申立てには応じたものの、それ以降の申立てには反応せず、入口に入ろうとしない理由もわかるような気がします。「門前払い」をするつもりなのではないでしょうか。
 
この規制委の予想される主張は、取消訴訟に移行したとしても認められる可能性があるかもしれません。もちろん、だからといって、規制委の不合理性、不公正性が否定されるわけでは全くなく、それは直接の権利侵害(財産権、営業権の侵害)が発生することよ具体的な甚大な不利益が発生する本体の「原子炉設置許可変更申請不認可処分」(=再稼働認めず)のところで争うべしということになるのかもしれません。もちろんそこでは、原電の主張は認められることになるとは思います。ただ、報告徴収命令の取消のところで争うには、再稼働という権利(財産権)に対する直接の権利侵害には至っていないという点で、原電の主張は弱いのかもしれません。
この点については、原電自身が証拠と提出している質問主意書に対する政府答弁書によっても、そういうことになるような気がします。政府答弁書は、「活断層が直下にあったからと言って、ただちに立地・稼働が認められないということではなく、それを考慮して耐震性について評価する上で判断する」という趣旨ですから、それを主張すればなおのこと、活断層判断自体が直ちに再稼働不可、廃炉といった重大な不利益をもたらすことにはならないということで、活断層判断前提の報告徴収命令によって直接の権利侵害、不利益は生じないという帰結になってしまうような気がします。                                                                                    続き

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