(新名称) 法と公正手続きへの基本的理解が欠如した原子力規制委

(旧名称) 九州電力第三者委員会、郷原委員長、そして枝野経産大臣への疑問

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 関電大飯・高浜の再稼働審査が、3連動地震の可能性の有無をめぐって膠着状態となり、審査が前に進まないという報道がなされています。102日会合では、データの追加を求めたとあります。
 
 現時点で、議事録が公開されていないので、具体的なやりとりは映像をみるほかありませんが、関電説明資料等は公開されています。
 
 規制委の姿勢は、もともと理不尽であり、この点は審査開始当時の7月下旬にも書きました。
  以降続けて第6回まで。
 理不尽さの理由は3つです。
 
①自らは何らの説明、立証もせずに、3連動を基準とすべきことを強要してい
 ること。
関電は3連動地震がないことを、具体的根拠をあげて指摘しているが、規制委はそれに対する個別具体的反論をしていない。しかも、規制委が援用する3連動の主張する根拠は、一部識者=中田教授の指摘のみであるところ、関電調査結果では中田教授指摘におけるリニアメントが見当たらないとされたが、それについて沈黙したままである(その後の会合で中田教授からの回答伝えられたのかはわかりません)。
 要するに、自らは何も具体的な科学的議論をしようとせずに、ともかく3連動を地震を基本とせよ(=基準地震動とせよ)というのみです。自分で3連動を主張するならば、その根拠とともに、どういうメカニズムでどう連動するのか、中田教授指摘のリニアメントが否定されたのであれば、それ以外のしかるべき根拠を具体的に述べて立証しなければなりません。
 
②仮に何らかの理由で3連動地震が発生した場合の安全性確保については、
 既に規制委自身が7月に認めていること。
規制委がどういうメカニズムで3連動地震が生じるかを何ら説明しようとしないので(できないので)、関電は一定の仮定の下に地震動を想定し、それによっても十分安全が確保できる旨を説明し、規制委としてもこれを了解して、大飯の稼働継続を7月に認めたわけです。しかも、それは、保安院意見聴取会、4大臣会合の際にも同様に検証されたことでした。
 
 ◎規制委の報告書 p15部分

「③3 連動地震動による施設への影響評価
本評価において追加検討された 3 連動地震動(9 波、最大加速度振幅759Gal)による施設への影響評価について、規制委員会は、基準地震動(関西電力報告書初回提出時点、最大加速度振幅 700Gal)による施設の耐震安全性に係る評価結果が最大限に活用され、以下の評価方針のとおり、対象施設の絞り込み及び適用手法の使い分けが行われ、影響度合に応じた評価が実施されていることを確認した。
全ての耐震 S クラスの設備及びその支持建物・構築物が対象とされていること基準地震動による評価をベースに、設備の固有周期における建屋等の応答スペクトルの比較から評価への影響が検討され詳細評価の対象が選定されていること、詳細評価の手法、モデル、条件は、基準地震動による評価と同一とされていること以上を踏まえ規制委員会は、追加検討された 3 連動地震動による施設への影響評価に関して、安全上重大な問題があるものではないと評価した。

※ 関電の評価は以下の資料。
                      ※P22以降

にもかかわらず、なぜ、今に至るも、基準地震動とすることに延々とこだ
わっているのか理解不能です。その時には再稼働や稼働継続を認めたこと、そしてその後の調査でも3連動の可能性を示す材料は見つからず、規制委もこれに個別具体的な反証を挙げることができないことからして、速やかな再稼働を拒む理由がありません。理由なく再稼働を遅らせられるがために、その間の莫大な国富の流出、電気料金の値上げの継続という甚大な国民的利益が損なわれているということが、規制委にはわかっていませんし、わかろうともしていません。
 
③再稼働という許認可権限を盾に、具体的根拠なく強要に等しい指導を続ける
 ことは、行政手続法違反の可能性があること。
行政手続法は、九電第三者委員会事件の際にクローズアップされました。行政救済法の元締めの閣僚だったはずの枝野氏は、経産大臣に就任したとたんに、郷原氏と気息を通じているかのように、執拗に九電批判を行って社長辞任を実質的に迫り、「コンプライアンスがなっていないような電力会社に原発再稼働を認めるわけにはいかない」とまで発言しました。許認可権限を縦に指導に従うことを強要するのは、典型的な行政手続法違反行為です。今度の場合は、同じ法違反でも、条項が異なります。
 
第四章 行政指導
(行政指導の一般原則)
第三十二条  行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
 
(申請に関連する行政指導)
第三十三条  申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
 
 関電は、「3連動を基準地震動にせよ」という「申請内容の変更を認める行政指導」に従わない旨を繰り返し言明しているわけですから、それでも規制委として、安全性が確保できないというのであれば、再稼働の許可をしないという行政処分をするというのが筋でしょう。しかし、ついこの間の7月に、3連動の仮想ケースによる地震動によっても安全性に問題がない旨を認めた上で稼働継続を認めているわけですから、そんなことはできようはずもありません。
 
 規制委がやっていることは、
 
科学とは程遠い、法令違反の人質行政
 
です。こういうパターンの行政の押し付け、強要というのは、世の中には数限りなくあるでしょう。産業界はそれで泣かされてきました。従わなければ、その間の機会損失が発生したり、取引に大きな影響が及び、場合によっては経営に深刻な影響が生じかねないがために、泣く子と地頭には勝てぬということで、やむなくこれに従わざるを得ないというケースは少なからずあったことでしょう。訴訟で争えば勝てる話でも、時間とコストの面でとてもペイしないということです。


 原電の場合には、活断層認定により、もうあとがないというところまで追い詰められましたから、法的手段に訴えて、徹底抗戦で対抗していますが、関電の大飯・高浜の場合には、3連動の指導がおかしいからといって、それを訴訟で争えば、せっかく間もなくと思っていた再稼働が遠のいてしまい、電力需給と経営に極めて大きな影響が及びますので、辛いところです。そういうところにつけ込んで、科学的根拠による説明ができないことを押し付けようとする規制委は、悪質といえます。
 訴訟とは違いますが、行政手続法に基づいて、趣旨、内容と責任者についての書面での交付要求というのも、牽制材料としてはあるかもしれません。
 
行政指導の方式)
第三十五条  行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。
 行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から前項に規定する事項を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。
 
 自らの傘下のWGでの審議の科学的合理性、姿勢の欠如をフォローも認識もせず、「電力会社のレジスタンス」と嘯く田中委員長のセンスには、度し難いものがあります。
 彼はいつも人に任せきりです。自らがチェックしてみるという姿勢がほとんど見受けられません。なぜ、関電がこれだけこだわっているのか?という疑問から発して、自ら検証してみて、議論の内容、構図の妥当性について考えてみるべきでしょう。汚染水問題で大変だとしても、少なくとも軽々に、電力会社を悪玉扱いするのは慎むべきです。
 ちょっと考えれば、ついこの間の7月末に、「3連動地震が発生してもそれによる安全は十分確保できる」との判断を了承し、運転継続を認めているのですから、それとの関係で、「基準地震動」なのか「残余のリスク」なのかに、延々と拘泥することの意味合いについて疑問が浮かばないのでしょうか?? 自分の頭でフォローしていないから、疑問が浮かばないのだと思います。
 
 少なくとも関電、原電に関しては、電力需給の不安定さの継続、巨額の国富の流出、電気料金の高止まり等の事態は、規制委による人災と言えるでしょう。


 マスコミの報じ方にも極めて問題があります。
 例えば、冒頭の日経記事では、

 「大飯、高浜原発の敷地の近くには3つの活断層が走っている。関西電力はこのうち2つが連動して地震を起こすことを前提に、起こりうる最大の地震動を算出し、施設の耐震評価をしている。規制委は3断層すべてが連動し、もっと大きな地震が起こる可能性も考慮するように審査の開始当初から求め続けてきた。
 関電は同日の会合で、海上音波探査など追加の調査結果をもとに「断層間の距離が離れているので3つの連動まで考慮する必要はない」と改めて主張。ただ、規制委の島崎邦彦委員長代理は「データが不十分」と指摘して追加調査を求めた。」
 とありますが、これでは、まるで関電が、3連動地震の評価や対策を拒んでいるように受け取られ、田中委員長がよく口にする「安全性確保の値切り」、「対策の出し惜しみ」をしているかのような構図を印象として読者に与えてしまいます。
 しかし、実際はそうではなく、3連動地震が仮に生じた場合の影響評価を行い、十分耐久性が確保されている旨の評価を出し、7月には規制委もこれを追認しているのであって、その後の審査でも、関電は改めて3連動を前提とした影響評価をしています。
  http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/data/0027_05.pdf ※「4」 →p169以降。
 基本的な事実関係を踏まえない、極めてミスリーディングな記事といえます。

102日の委員会当日に原電が持参した参考人陳述申立書(首都大学東京の鈴木教授)、理由補充書について、3時間以上も待機させられ、担当官面会後もなかなか受領されなかったこと、田中委員長が事実関係を勘違いしていること等について、原電が抗議の文書を提出しています。
 
                    ←「2」参照
 
 本件については、規制庁市村管理官の事実関係の勘違いと法令解釈の誤りではないかと思います。聴いていて、すぐに話しがつながらないと誰でも感じます。田中委員長にその勘違いが感染して、とんちんかんなことをいっている形です。
 
 異議申立て却下決定が送達されて、効力を生じたのは103日だと言っているのに、そのそばから、
102日に却下決定がなされたことを知った原電から提出された」云々というのは、どういう趣旨で言っているのか意味不明です。
 原電文書は2日付けで、実際に2日に提出し、受理されているというのが事実関係です。却下決定という行政処分の効力が生じたのは103日ですから、文書提出は、却下決定効力発生前のことです。
 
 原電指摘の通り、行政不服審査法48条にも、「裁決は送達によって効力を発生する」とありますから、送達前に相手から受領した申立てに対しては、別途決定をしなければならないはずです。
 
送達前の行政行為の効力について、税法とかで事例があるのではないかと思って検索してみたのですが、例えばこんな、国税不服審判所の裁決文がありました。
 
 そこに何とかいてあるかというと、
 
「ロ 本件決定処分等の効力発生(本件通知書の送達)の有無及びこの点に関する原処分庁の主張の採否
  行政処分が行政処分として有効に成立したといえるためには、行政庁の内部において単なる意思決定の事実があるか、あるいは右意思決定の内容を記載した書面が作成・用意されているのみでは足りず、右意思決定が何らかの形式で外部に表示されることが必要であり、名あて人である相手方の受領を要する行政処分の場合は、更に右処分が相手方に告知され又は相手方に到達することすなわち相手方の了知し得べき状態に置かれることによって初めてその相手方に対する効力を生ずるものと解されており、課税処分のような名あて人がありその受領を要する行政処分の場合には、相手方に告知されること、すなわち、適法な送達がなされることが、行政処分としての効力発生要件であると解される。」
 
 内村管理官は、議事を公開していて、その場に原電も傍聴しているから、委員会の決定案承認時点で、行政処分の存在を知ったのだから、そこで有効になったと勘違いしているということでしょうか。「却下決定があったことを知った原電職員が」云々の説明は、そういう誤解をしているように思えます。

 あるいは、送達で発効前であることをいいことに、公開会合を聞いてすぐに駆け込みで出したという趣旨でしょうか。しかし、事実関係が、原電の抗議文のとおりであるとすると、それも勘違いです。事実関係について、10月2日に、前日から準備し、当日オファーするもずっと面会も受理してもらえなかった旨を原電がその2日時点で公表しているのですから、それも踏まえないで言っているとしたら、軽率に過ぎます。また、それまで種々の申し立てを一切応答なく放置しておいて、しかも、議題を事前に公表せずに当日いきなり議題としておいて、原電が駆け込みで提出したかの如く言っているのだとすると、あまりに経過について無知であり、かつ無神経すぎます。
 
 いずれにしても、規制委会合決定了承時点では、案文が作成・用意されただけで、改めて内部決裁もされていないはずです。情報公開請求結果をみると、委員会での了承後に、改めて稟議がなされています。しかも、法律に、送達を以て効力が発生すると書いてあるのですから、委員会決定時点では、稟議前、発送前、送達前の初期段階であり、何らの効力も生じていないのは明々白々です。
 
 規制委の却下決定の理屈で言うと、付随の各種申立ては、入口に入らない段階の「訴えの利益」の論点についての弁明でない以上、不要だから却下ということなのでしょうが、放置しておくと不作為の違法になるのではないでしょうか。
 いずれにしても、基本的な事実関係の整理や法律適用の面で、こういう初歩的混乱があるのは問題です。
 
 
 
 原電敦賀の件は、どうも意外な展開になってきているように感じます。それは、記者会見での田中委員長の発言によるものです。以下、順次説明します。
 
109日付けの原子力規制委員会とそれに続く委員長記者会見で、原電が報告徴収命令に応じて提出した報告の扱いについて議論、質疑がなされています。
規制委会合では、拍子抜けでしたが、あっさりと原電による「使用済み燃料の貯蔵設備の配管が壊れて冷却水が漏れても安全性に問題なし」との報告が了承されました。
 
これが、「耐震設計上考慮すべき活断層である」との判断のもとに出されたもので、これが活断層だとして動いた場合に、貯蔵設備が壊れて使用済み燃料の冷却の上で問題が生じるおそれがあるからとの問題意識により発せられたものであることは、誰もが認めるところです。
 
しかし以前にも書いたように、本来ならば、
 
「耐震上考慮すべき活断層と認定したので、これが動いた場合に原子炉施設全般についてどのような影響が生じるのかについて評価して報告せよ」
 
というのが、報告徴収すべき内容だったはずです。しかし、規制委は、そこは省いて、更田委員から指摘された通りに、貯蔵設備破壊による冷却水喪失の可能性についてに絞って報告を求めました。その間には相当のギャップがあります。
 
もともと、有識者会合の議論は、「活断層が直下にあれば何が起こるか予想がつかないからリスクがあるので立地(再稼働)は認めない」というこれまでの解釈運用と大きく矛盾し、国際的にも例がなく、原子力土木工学等の諸学会からも強い反発を受けた漠然とした考え方を前提として進められてきました。だからこそ、島崎副委員長代理がしきりに、台湾地震のときのインフラ破壊の写真を見せて活断層の怖さを強調したり、最終会合の締め括り発言で、
 
「安全性が低い状態であったということになるわけでございまして、これまで幸い何の事故もなく経過していたということは、幸いと言うしかない・・・」
 
とまで言っていたわけです。あたかも、原子炉建屋が壊れるかのような印象付けでした(コメント欄でのご指摘の通り、活断層だとした瞬間に、「その影響評価不能」ということになるはずなのに、影響評価を命じるというのも矛盾した話です)。
だからこそ、新聞等も「廃炉必至」と書き、あたかもそれが既定路線であるかの如くに報じてきた、というのが、これまでの流れでした。そして、原電としては、そういう不合理、不公正な審議によって活断層と認定され、再稼働を認められないまま廃炉に至るというのは承服しがたいということで、今回の異議申立てに至ったわけです。
 
 
ところが、どうでしょう! 田中委員長の記者会見での発言を見て、驚きました。これまでの議論の(規制委側の)前提を否定するかのような内容になっています。
以下、会見議事録からの抜粋です。
 
○記者 共同通信のサガエです。
今日の委員会の議題(1)で、敦賀原発2号機の使用済燃料プールの影響評価について、規制委員会として、直ちに追加の対策を取る必要はないという判断を示されましたけれども、今後、規制委員会として、他に安全対策の部分で、指導したりとか、指示したりという措置は何か考えられるんでしょうか。
○田中委員長 敦賀に関してですか。今のところは、特にないです。
○記者 ということは、活断層があると認定した原発ですけれども、基本的に規制委員会には廃炉を求めるような法的権限はないということで、規制委の立場としては、安全の面から管理監督していくというお立場になると思いますが、活断層と判断した原発に対する対応というのは、今回をもって基本的に規制側から能動的に行うものは、これで最後と考えてよろしいんでしょうか。
○田中委員長 今は停止している炉ですけれども、保安規定とか、そういうものは、依然としてずっと適用されると思いますから、そういう意味で何かがあれば、いろいろ指示はすることになると思います。ただ、今回のものは、一応活断層だということを前提とした場合に、プールの下、例えばプールが破損した場合の影響というものを、使用済燃料があるのは、今、あそこだけですから、そういうことで評価をしてもらったということです。
 
 
○記者 すみません、もう一点だけ。ちょっと話題が変わってしまうのですけれども、今日の委員会の中で、敦賀原発の燃料プールの健全性に関する報告を了承されたと思うのですけれども、中身として、冷却水が喪失した場合の影響を検討して問題ないということだと思うのですが、ただ、もともとの趣旨からすると、直下の活断層が動いて地震が起きて、建屋、あるいはその中の燃料プール、さらには燃料自体が損傷する恐れはないのかとか、そういったことまで組み込んで検証、評価する必要はないのでしょうか。
○田中委員長 原子炉建屋はかなり丈夫にできていますから、少々の地震、活断層であれしても、中の配管が壊れたりということは想定できるのですが、全ての構造物が崩れ去るというか、ぐしゃっと潰れるようなことは考えていませんので、今は燃料プールの破損で水が抜けるというのが一番リスクとしては大きいから、そこについて評価をしたということです
○記者 それは一般論として分かるのですけれども、活断層が直下にあるということなので、そこで地震が起きても大丈夫というのは、特段、改めて耐震評価するまでもないということなのでしょうか。
○田中委員長 それで壊れるような状況にはないと思います。耐震性から言って。
 
 
 ということは、規制委のスタンスとしては、
 
D-1破砕帯が活断層だとして、その存在によって耐震設計上考慮すべき点は、使用済み燃料の貯蔵設備への影響が唯一最大の問題である。
②しかし、その点は、仮に配管が壊れて冷却水がすべて失われても安全は確保できることが判明した。
③それ以外は、特に安全面の問題はないので、規制委として特に指導、要求等は考えていない。
 
 というように整理されると思うのですが、それでは、「敦賀原発の直下に活断層があることによって、特段の危険性はない」ということになってくるのではないでしょうか?
 それとも、これは運転停止中の話であって、運転開始となると別のリスクがあるということでしょうか。そうだとしても、今回の規制基準は、過酷事故が生じた場合でも安全が保てるように多重防護措置をとることを求めるということですから、それがクリアされていれば、安全は保てるということになるのではないかと思いますが、そういうことではないのでしょうか?
 
 田中委員長の発言は、敦賀原発については、規制基準上の以下の問題となる規定にいう「その将来の断層等の活動によって安全機能に重大な影響を与えるおそれ」はない、と言っているように聞こえます。
 
重要な安全機能を有する施設は、将来活動する可能性のある断層等の露頭が無いことを確認した地盤に設置すること。
【要求事項の詳細】
(3)第1項第一号については、重要な安全機能を有する施設が、将来活動する可能性のある断層等の露頭がある地盤面に設置された場合、その将来の断層等の活動によって安全機能に重大な影響を与えるおそれがあるために規定したものである。
 
 今回の貯蔵施設への影響評価については、そもそも命令内容がおかしな話でした。D-1が活断層だというのであれば、どういう規模、頻度で動くのか? それが重要施設にどういうメカニズムでどう影響するのか? 影響度合いはどうか? 安全性の点でどう評価されるか? という順番で検討がなされるべき話です。
 実際、東通原発の有識者会合では、栗田委員が、活断層だとした場合の規模、施設への影響等の評価も合わせて行うべきだと発言したのに対して、島崎委員長代理は、それは別の場で検討することになる旨、発言していました。
 
 それなのに、敦賀で活断層だと断定したら、いきなり貯蔵プールが壊れることを前提にしての安全評価ですから、その間に検討されるべき事項が吹っ飛んでしまっています。影響の仕方、壊れるメカニズムは一切問わず、ともかく壊れた場合には安全上問題が生じるかどうかを問い、問題がなければそれで良しとしました。
 これでいいのであれば、どの原発も、新基準に基づく過酷事故対策による多重防護措置を講じるわけですから、それがきちんと機能することが確認できれば、それでいいということになります。
 
結局、いったい何のために議論しているのか? というところが、規制委自身わからなくなってきているのではないでしょうか。島崎氏らと他の委員らとのスタンスにギャップがあるように感じます。
本来、原発の安全確保のための検討手順はシンプルなはずです。
 
直下にある破砕帯は、活断層か?(12-13万年以降に活動実績があるか?)
活断層だとして、耐震設計上どう考慮されるべきか?
・その活断層の規模、活動確率はどの程度か?
・動いた場合の規模はどうなるか?
・どの施設にどういう伝わり方でどういう影響を与えるか?
重要施設において、その影響に耐えて安全確保できる設計になっているか?
安全確保できない設計であれば、それを変更するか?
 
というところまできて、変更できないとなって初めて廃炉ということになるはずです。
それが、活断層だとろくな根拠もなしに断定し、その規模、活動見込み等も一切問わず、「何が起こるか予測がつかない」から、再稼働は不可である、というのは、
・それまでの審査の考え方とも全く異なる。政府答弁書とも矛盾する。
・「何が起こるか予測不能」というのは科学的根拠もなく、学会の支持もない。
・「耐震設計上考慮すべき」はずなのに、「考慮するまでもなく不可」と言っているに等しく、考え方として成り立たない。
国際的にもそのような規制事例はない。
ということからも、科学的、合理的ではありません。
 
 百歩譲って、D-1が活断層だとしても、その影響可能性が使用済み核燃料の貯蔵設備に留まり、それについても安全上の問題は生じないという判断なのであれば、それ以外に何らの具体的危険性について立証もないままに、再稼働を認めないということはあり得ないことです。
 
●報告徴収に続いての再度の報告徴収その他の行政処分が行われる可能性は、これでなくなりました。また、頭の体操で、「訴えの利益」確保のために、報告を取り消す、差し替える等の策を考えましたが、規制委が、原電の報告した内容を追認し、それ以外には安全上の問題は見受けられないという田中委員長の発言もあったので、今はそういった頭の体操は横においておいて、それは原電にとっても有利な材料となっていますので、フルに活かすことを考えるといいと思います。
 アクションとしては、
 
       原電の破砕帯に関する最終調査報告書の検討、現場検証、有識者会合の再開等を、規制委に継続して要求し、「耐震設計上考慮すべき活断層」との判断の変更を求める。
       異議申立て却下決定、貯蔵設備の安全確保についての報告追認、田中委員長発言により、規制委は、
     原電の活断層ではないとの主張を認めたものであること(※平行線でも言ってみる)。
     破砕帯による影響が仮にあっても貯蔵施設だけであり、それも含め原発施設の安全性に問題はないことを認めたこと。
という点を主張する。
       情報公開請求結果により、活断層との判断過程が、如何に不合理かつ不公正で杜撰なものであったかを明らかにする。
       科学的側面、法的側面の両面に亘って、学会、識者の世論喚起を図る。
 
 といったところでしょうか。
  

 10月9日(水)の原子力規制委の議題が発表されていました。


 その中に、次の議題が冒頭にあります。

 議題 1 日本原子力発電からの敦賀発電所2号機の使用済燃料貯蔵設備に関する報告に対する原子力規制委員会の評価について 

 どういう評価を出し、次のアクションがあるのかどうか要注目です。
続けての報告徴収命令があれば、今度はそれに応じずに、取消のための異議申立てを行うということでしょうか(予防的無効確認訴訟もあるのでしょうが、明白要件の壁が高いかもしれません)。

●それはそれとして、例の原電最終報告書への対応、現地調査等の見込みはどうなっているのでしょうか? 40日間経過して、なお何らの説明もないままに、この日の議題にも載せないというのは、理解に苦しみます。
 その日の記者会見で、果たしてプレスはそのことを質問するのでしょうか? それ以前に、他の委員はそのことを委員会席上、質問するのでしょうか?

 原電は、HPで、報告書や現地の写真、動画も載せていますが、

 現地を多くの専門家に見てもらう現地視察会を開催し、調査結果の裏付けを第三者的にみてもらったほうがいいと思うのですが・・・。

【補足】
  10月4日の森本次長会見で、プレスとの質疑応答がありました。

○司会 他にいらっしゃいますでしょうか。 
○記者 日刊工業新聞社、オオハシといいます。 
 原電敦賀の件で伺いたいのですが、8月30日に論点整理をやって1ヶ月くらい経って、時間が経っているような印象があるのですが、今、どういう状況にあって、1ヶ月以上時間が経っているのはどの辺りに原因があるのか、マンパワー的なものなのか、審査まで手が回らないのか、その辺を御解説いただけますでしょうか。 
森本次長 論点整理をするということで作業して、今、正にその検討中ということです。それだけです。要するにその作業に手間取っているというのですか、作業にかかっているということでございます。 
○記者 あと現地の視察について規制庁の職員の方あるいは現地の保安審査官とかそういった方に何か報告を求めるとか、そういう御予定はございますでしょうか。 
森本次長 それも併せて検討中です。否定しているわけではなくて検討中というふうに御理解いただきたいと思います。 
○記者 分かりました。ありがとうございました。 



 コメント欄での、「中年九電社員」さんのご指摘興味深く拝見しました。
 なるほど・・・たしかに報告内容如何によって、報告したものと認めるかどうかは違ってくるかもしれませんね。

 原電の731日付の報告の内容をみると、

 活断層判断は受け容れがたいと前文では記載しつつも、「冷却水喪失に至るメカニズムについては何の条件設定もないので」「何らかの原因で・・・冷却水が喪失する場合を想定して」云々とあります。活断層の影響で喪失するのかどうかはここでは触れておらず、仮定を置いての評価となっています。規制委からの報告命令も、「活断層判断を踏まえて」としつつも、活断層によって壊れて喪失するかどうかには触れず、単に「冷却水が喪失した場合の影響」についての評価をせよ、というものですので、原電からの報告は一応それに即したものとはなっています。それなので、規制委も、一応命令に即して報告されたものと了解したのかもしれません。原電指摘のように、「却下決定は、原電の主張を認めた上でなされたものだ」というところは、見解の相違で平行線のままになるような気がします。
 
●・・・と考えて、ご指摘にヒントを得て更に頭の体操を続けると、原電のアクションとして、報告を取り消す(撤回する)のではなく、内容を差し替えるとするとどうなるでしょうか。規制委として内容が受け容れがたいものにするということで、たとえば、
 
「報告命令は、D-1破砕帯が活断層だとの認定を踏まえた評価指示であるが、当社はD-1破砕帯が活断層ではないと考えており、その影響によって使用済み貯蔵設備への影響は考慮する必要はなく、したがって冷却水が喪失する事態も評価する必要はないものと認識している。なお、仮想事例として、すべての冷却水が喪失するとしても、燃料体の健全性及び周辺への放射線影響は添付資料34の通り、問題はないと評価している。以上、命令に応じて報告する。」
 
 これは微妙な変化球で(笑)、

①活断層との認定は受け入れられず、それによる設計上考慮しての影響評価の必要なし。
②なお、仮想事例として冷却水全喪失の事態を想定しても影響なし。

 ということで、①は命令に応じては評価しないとしつつ、②で仮想事例で
影響評価はする、というものです。

 原電の報告は、仮想事例による評価は提出はしていますが、①のように明確に、活断層ではないから影響評価の必要なしとまでは言っていないので、規制委もこれで良しとしてしまったのかもしれません。
 ①の趣旨を前面に出して、設計上考慮する必要ないから評価も不要といえば、規制委としても黙ってはおれず、
 
A 「これでは報告徴収命令に応じているとは認められない」とする。
→原電の報告義務が残り、訴えの利益ありとなるので、取消訴訟に移行する。

B 「データと評価が不足している」として、追加の報告徴収命令がなされる。
  →今度は命令には応じず、(規制委の考え方に基づく)訴えの利益は確保した
   上で、直ちに予防的無効確認訴訟を提起する(課税処分を不服として滞納処
   分を回避するために行う無効確認訴訟と同じパターン)。 

 という展開にならないものでしょうか?
 ともかく、規制委に次の行政処分のアクションを取らせるようにすれば、それをとっかかりとして、今度は正面から訴えの利益ありとして、活断層判断の是非を法的に争うことができるようになります。
 仮想事例による評価は提出してあるわけですし、係争が継続している間は刑事告発等にはなりませんから(告発したら、後々国家賠償請求のリスクを負う)、加罰の心配には及ばないと思います。
 
●明107日は、情報公開請求に応じた開示期限日です。どういう開示がなされるのか、要注目です。
109日の規制委では、原電ヒアリングの続きとしての現地調査や審議継続について、何らかのアクションが報告なり決定がなされなければおかしいと思います。敦賀市長も督促し、質問状に答えない姿勢を批判した旨の報道がなされていました。



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