(新名称) 法と公正手続きへの基本的理解が欠如した原子力規制委

(旧名称) 九州電力第三者委員会、郷原委員長、そして枝野経産大臣への疑問

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 関電大飯・高浜の再稼働審査が、3連動地震の可能性の有無をめぐって膠着状態となり、審査が前に進まないという報道がなされています。102日会合では、データの追加を求めたとあります。
 
 現時点で、議事録が公開されていないので、具体的なやりとりは映像をみるほかありませんが、関電説明資料等は公開されています。
 
 規制委の姿勢は、もともと理不尽であり、この点は審査開始当時の7月下旬にも書きました。
  以降続けて第6回まで。
 理不尽さの理由は3つです。
 
①自らは何らの説明、立証もせずに、3連動を基準とすべきことを強要してい
 ること。
関電は3連動地震がないことを、具体的根拠をあげて指摘しているが、規制委はそれに対する個別具体的反論をしていない。しかも、規制委が援用する3連動の主張する根拠は、一部識者=中田教授の指摘のみであるところ、関電調査結果では中田教授指摘におけるリニアメントが見当たらないとされたが、それについて沈黙したままである(その後の会合で中田教授からの回答伝えられたのかはわかりません)。
 要するに、自らは何も具体的な科学的議論をしようとせずに、ともかく3連動を地震を基本とせよ(=基準地震動とせよ)というのみです。自分で3連動を主張するならば、その根拠とともに、どういうメカニズムでどう連動するのか、中田教授指摘のリニアメントが否定されたのであれば、それ以外のしかるべき根拠を具体的に述べて立証しなければなりません。
 
②仮に何らかの理由で3連動地震が発生した場合の安全性確保については、
 既に規制委自身が7月に認めていること。
規制委がどういうメカニズムで3連動地震が生じるかを何ら説明しようとしないので(できないので)、関電は一定の仮定の下に地震動を想定し、それによっても十分安全が確保できる旨を説明し、規制委としてもこれを了解して、大飯の稼働継続を7月に認めたわけです。しかも、それは、保安院意見聴取会、4大臣会合の際にも同様に検証されたことでした。
 
 ◎規制委の報告書 p15部分

「③3 連動地震動による施設への影響評価
本評価において追加検討された 3 連動地震動(9 波、最大加速度振幅759Gal)による施設への影響評価について、規制委員会は、基準地震動(関西電力報告書初回提出時点、最大加速度振幅 700Gal)による施設の耐震安全性に係る評価結果が最大限に活用され、以下の評価方針のとおり、対象施設の絞り込み及び適用手法の使い分けが行われ、影響度合に応じた評価が実施されていることを確認した。
全ての耐震 S クラスの設備及びその支持建物・構築物が対象とされていること基準地震動による評価をベースに、設備の固有周期における建屋等の応答スペクトルの比較から評価への影響が検討され詳細評価の対象が選定されていること、詳細評価の手法、モデル、条件は、基準地震動による評価と同一とされていること以上を踏まえ規制委員会は、追加検討された 3 連動地震動による施設への影響評価に関して、安全上重大な問題があるものではないと評価した。

※ 関電の評価は以下の資料。
                      ※P22以降

にもかかわらず、なぜ、今に至るも、基準地震動とすることに延々とこだ
わっているのか理解不能です。その時には再稼働や稼働継続を認めたこと、そしてその後の調査でも3連動の可能性を示す材料は見つからず、規制委もこれに個別具体的な反証を挙げることができないことからして、速やかな再稼働を拒む理由がありません。理由なく再稼働を遅らせられるがために、その間の莫大な国富の流出、電気料金の値上げの継続という甚大な国民的利益が損なわれているということが、規制委にはわかっていませんし、わかろうともしていません。
 
③再稼働という許認可権限を盾に、具体的根拠なく強要に等しい指導を続ける
 ことは、行政手続法違反の可能性があること。
行政手続法は、九電第三者委員会事件の際にクローズアップされました。行政救済法の元締めの閣僚だったはずの枝野氏は、経産大臣に就任したとたんに、郷原氏と気息を通じているかのように、執拗に九電批判を行って社長辞任を実質的に迫り、「コンプライアンスがなっていないような電力会社に原発再稼働を認めるわけにはいかない」とまで発言しました。許認可権限を縦に指導に従うことを強要するのは、典型的な行政手続法違反行為です。今度の場合は、同じ法違反でも、条項が異なります。
 
第四章 行政指導
(行政指導の一般原則)
第三十二条  行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
 
(申請に関連する行政指導)
第三十三条  申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
 
 関電は、「3連動を基準地震動にせよ」という「申請内容の変更を認める行政指導」に従わない旨を繰り返し言明しているわけですから、それでも規制委として、安全性が確保できないというのであれば、再稼働の許可をしないという行政処分をするというのが筋でしょう。しかし、ついこの間の7月に、3連動の仮想ケースによる地震動によっても安全性に問題がない旨を認めた上で稼働継続を認めているわけですから、そんなことはできようはずもありません。
 
 規制委がやっていることは、
 
科学とは程遠い、法令違反の人質行政
 
です。こういうパターンの行政の押し付け、強要というのは、世の中には数限りなくあるでしょう。産業界はそれで泣かされてきました。従わなければ、その間の機会損失が発生したり、取引に大きな影響が及び、場合によっては経営に深刻な影響が生じかねないがために、泣く子と地頭には勝てぬということで、やむなくこれに従わざるを得ないというケースは少なからずあったことでしょう。訴訟で争えば勝てる話でも、時間とコストの面でとてもペイしないということです。


 原電の場合には、活断層認定により、もうあとがないというところまで追い詰められましたから、法的手段に訴えて、徹底抗戦で対抗していますが、関電の大飯・高浜の場合には、3連動の指導がおかしいからといって、それを訴訟で争えば、せっかく間もなくと思っていた再稼働が遠のいてしまい、電力需給と経営に極めて大きな影響が及びますので、辛いところです。そういうところにつけ込んで、科学的根拠による説明ができないことを押し付けようとする規制委は、悪質といえます。
 訴訟とは違いますが、行政手続法に基づいて、趣旨、内容と責任者についての書面での交付要求というのも、牽制材料としてはあるかもしれません。
 
行政指導の方式)
第三十五条  行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。
 行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から前項に規定する事項を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。
 
 自らの傘下のWGでの審議の科学的合理性、姿勢の欠如をフォローも認識もせず、「電力会社のレジスタンス」と嘯く田中委員長のセンスには、度し難いものがあります。
 彼はいつも人に任せきりです。自らがチェックしてみるという姿勢がほとんど見受けられません。なぜ、関電がこれだけこだわっているのか?という疑問から発して、自ら検証してみて、議論の内容、構図の妥当性について考えてみるべきでしょう。汚染水問題で大変だとしても、少なくとも軽々に、電力会社を悪玉扱いするのは慎むべきです。
 ちょっと考えれば、ついこの間の7月末に、「3連動地震が発生してもそれによる安全は十分確保できる」との判断を了承し、運転継続を認めているのですから、それとの関係で、「基準地震動」なのか「残余のリスク」なのかに、延々と拘泥することの意味合いについて疑問が浮かばないのでしょうか?? 自分の頭でフォローしていないから、疑問が浮かばないのだと思います。
 
 少なくとも関電、原電に関しては、電力需給の不安定さの継続、巨額の国富の流出、電気料金の高止まり等の事態は、規制委による人災と言えるでしょう。


 マスコミの報じ方にも極めて問題があります。
 例えば、冒頭の日経記事では、

 「大飯、高浜原発の敷地の近くには3つの活断層が走っている。関西電力はこのうち2つが連動して地震を起こすことを前提に、起こりうる最大の地震動を算出し、施設の耐震評価をしている。規制委は3断層すべてが連動し、もっと大きな地震が起こる可能性も考慮するように審査の開始当初から求め続けてきた。
 関電は同日の会合で、海上音波探査など追加の調査結果をもとに「断層間の距離が離れているので3つの連動まで考慮する必要はない」と改めて主張。ただ、規制委の島崎邦彦委員長代理は「データが不十分」と指摘して追加調査を求めた。」
 とありますが、これでは、まるで関電が、3連動地震の評価や対策を拒んでいるように受け取られ、田中委員長がよく口にする「安全性確保の値切り」、「対策の出し惜しみ」をしているかのような構図を印象として読者に与えてしまいます。
 しかし、実際はそうではなく、3連動地震が仮に生じた場合の影響評価を行い、十分耐久性が確保されている旨の評価を出し、7月には規制委もこれを追認しているのであって、その後の審査でも、関電は改めて3連動を前提とした影響評価をしています。
  http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/data/0027_05.pdf ※「4」 →p169以降。
 基本的な事実関係を踏まえない、極めてミスリーディングな記事といえます。

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