(新名称) 法と公正手続きへの基本的理解が欠如した原子力規制委

(旧名称) 九州電力第三者委員会、郷原委員長、そして枝野経産大臣への疑問

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 おそらく、田中委員長の根本的勘違いは、原子力規制は、「科学」だけの議論だと思っている点にあります。このブログで縷々述べてきたように、それはそうではなく、「規制行政」としての役割、責務を果たすことが必須です。「規制行政庁」としては、公正手続きを踏むことが求められます。利害関係者の意見を十二分に聴き、これに対して判断の理由・考えを示すことは基本中の基本です。また、安全のために他のすべて要素を顧みないというのではなく、ともに憲法上の要請である経済活動の自由や不利益措置の不遡及の原則等との比較衡量、電力の安定供給の必要性とバランス、憲法上の比例原則に立った検討等が、規制行政庁としては必須です。それらの考え方の趣旨は、米国NCRの「良い規制の原則」にも含まれています。
 そういった諸々の考慮要素をしかるべく把握するためにも、関係者と会って問題の所在や論点を把握することが必要なのです。
田中委員長は「科学(だけ)に基づいて判断していく」と言っていますが、有識者会合をみてもわかるように、科学的判断の基準も示されない、根拠に基づく合理的推論もなされない、規制基準策定の際に(原子力土木工学、電気等の)学会としての意見を「一顧だにしない」というのは論外で、科学に基づく判断になどなっていません。各分野の科学的知見をすべて反映した上での合理的推論に基づく判断をして初めて、その処分等が科学的合理性ありとして認められる、というのが規制行政というものです。
  
●田中委員長の発言を、原子力規制委会合や記者会見で見て、しばしば感じるのですが、彼は、各種有識者会合の議事録や提言書をろくに読んでいないような気がします。また、規制委会合での議案についても、事前に事務局から十分に内容の説明を受け、こなしているわけでもないようにも感じます。「自分は専門ではないのでよくはわからないが」と言いつつ若干のコメントはしますが、思いつきの域を出ない印象です。


 この点に関連しての田中委員長のもうひとつの決定的勘違いは、委員会や事務局内部で、ブレーンストーミングを含めて議論をすること自体、「透明性」を損なうと思っていることでしょう。そして、委員同士の議論は、委員会会合の場だけで行うことが「透明性」確保の上であるべき姿だ、と思っていることです。
 実際、記者会見で、ほとんど委員同士では話さないと堂々と言っていますから、驚くべきことです。これは、本末転倒の典型です。
 求められるべきは、あらゆる関係者の主張を集約し、問題の所在を把握し、論点を整理し、科学と法令の観点からの判断基準を明確にし、それに則して、規制委・規制庁の判断としてどうあるべきか? 判断プロセスとしてどうあるべきか? 何が担保されることが必要か? といった点を、それぞれの委員の専門分野の知見や情報を共有しながら検討し、結論に導いていくことのはずです。それらは、非公式のブレーンストーミングも含めて議論を重ねないと、実質的なものにはなりません。自問自答しながら、議論というのは進んでいくものです。
 ところが、それらの議論を公開しないでやると、「透明性を損なう」ので、そもそもやらないというわけですから、実質的な検討が期待できようはずもありません。


それでいて、活断層の各有識者会合での議事運営、議論内容を見ればわかるように、判断基準がそもそも示されない、各会合ごとに基準も手法もばらばら、承継した原子力安全委や保安院での検討も無視等、規制行政の根幹である「透明性」と「予測可能性」が全く担保されていません。
 意思決定過程の透明性の確保という要請はありますが、しかしそれは、内部での議論の場、物理的発言そのものを公開するということではなく、「内部での議論としてこういう点が論点として整理され、それぞれこういう議論もあったが、こういう理由、基準、事情からこういう判断になった」といった点を明らかにすることこそ、実質的透明性の確保につながることだと思います。
 田中委員長のこれまでの一連の発言は、


 「何も議論はしません。でもその会合の映像と議事録とを公開しているから透明性があります」


 と言っているに等しく、本来の役割と期待に即すものではありません。
 


塩崎氏は、規制委設置法案の審議の際に、3条委員会化への修正を、野党サイドで主導した政治家でした。その際、菅直人元総理や枝野経産大臣ほか民主党的行動パターンを目の当たりにして、政治による恣意的な介入を阻止しなければならないとの思惑の下、3条委員会化することはやむをえなかったとしても、こうなることの歯止めをしておかなかったことは、塩崎氏以下の自民党の失敗だったと思います。

 歯止めをかけるチャンスは2回あったはずです。一回目は設置法修正の過程と付帯決議の時、もう一回は、規制委員の国会承認のときです。改めて付帯決議をみてみると、これでは、塩崎PTが強調する「良い規制の原則」を読み取ることは難しいでしょう。
 
透明性や利益相反の排除の名の下に、事業者や既存の専門家とは距離を置け、排除せよというメッセージに聞こえます。世界最高水準の安全基準を、という文章も、今日の規制委の勘違いによる暴走を予感させるものがあります。当時は民主党政権でしたから、そうなってしまったのかもしれませんが、次のチャンスである規制委員の国会承認のときは自民党政権になっていたわけですから、何らのアクションも起さなかったのは、痛恨の失策でした。
 なぜなら、その今年2月の承認時点で、昨年12月の敦賀有識者会合、今年1月の大飯会合等での考えられない運営ぶりが明らかになっていたのですから、それに対する牽制を十分にしておかなければなりませんでした。これらの強引な運営を目の当たりにして、不承認とすべき、という声も強かったのですから、承認するにしても、きっちりと承認条件を決議しておくべきだったのではないでしょうか。
 
 もう、田中委員長はPT提言を聞く耳はもたない・・・というか、提言内容が理解できないということが明らかですから、あとはPTで出たという議員立法による原子力規制委設置法の改正により、委員会運営上の基本指針的なものを盛り込み、それとともに、一定の運営についての監視方策を盛り込むべきでしょう。3条委員会だから、一切、政治の指図を受けないと勘違いしていますが、政府サイドに(国会の同意を得た上で)解任権があるわけですから、解任に至らない段階で、政治の側が改善要請をすることは十分にありうるはずです。何も言わずにいきなり首を切るわけではなく、それに至るまでにやりとりがあることが当然想定されています。
 
 今回の緊急提言は、現行の原子力規制委員会に対する不信任に近い位置づけであり、今後も状況が変わらなければ、議員立法による運営指針の追加改正がなされることになるでしょうし、今後任期が到来する委員の再任はないでしょう。田中委員長の任期は長いのでしょうが、ここまで緊急提言を事実上拒否する姿勢を続けるのであれば、途中解任もありうる事態でしょう。
 敦賀有識者会合が再開されましたが、今後どういう結論にするつもりかわかりませんが、どちらにしても、検討の混乱と迷走の責任は免れません。
 


●また、今回の緊急提言で、規制庁長官ら、規制庁幹部が「経験が皆無」の素人であり、「専門性の欠如についてあまりにも反省がなさすぎる」と批判されています。このブログでも縷々述べてきたように、規制庁長官や次長の存在感のなさは如実に感じられました。
 ただし、それは憲法上の基本的人権の比較衡量や、基本的法原則(事後法による不遡及、公正手続き、透明性と予測可能性の担保、比例原則等)等の、規制行政庁として必須の要件を何ら顧慮しないことについての話です。
 一般に専門性といいますが、強力な規制行政を行う場合は、出来得る限りの広い科学的知見に基づき行うための科学性の観点と、憲法や行政法等の法の基本原則に基づき行うための法律的観点との双方の観点からの要請に応えるための専門性が必須です。ですから原子力や原発に関する科学的専門性を担う専門家と、法の基本原則を踏まえた行政に関する専門家とが、ともに委員及び事務局幹部として役割を果たすことが期待されると思います。
現在の池田規制庁長官は、警視総監まで務めた警察官僚で、刑事畑としては優秀だったでしょうし、マスコミ報道によれば官邸の補佐官候補にもなっているとのことですから、決して無能なわけではなく、畑違いのミスマッチの人事だったということでしょう。ご本人にとっても気の毒な気がします。森本次長はもともとは環境省の人だそうですから、原子力行政とは無縁だったということでしょう。別にこれまで無縁でもいいのですが、憲法、行政法の基本原則を反映させることに意を砕いて欲しかったところです。田中委員長や島崎副委員長のような「交通ルール」(=基本的法原則)をまるで知らない「暴走ドライバー」に対して、「車のメカ」(=科学的合理性)についてはともかく、少なくとも、「交通ルール」の面では助手席で誘導する役割を期待されていたはずですが、残念なこの1年でした。
長官に原子力の専門家で視野の広いバランスのとれた識者を、次長なり副長官に行政の専門家を配することが、適正な規制行政の担保のためには必要と思われます。
 
この点は、塩崎PTで設置が提言されている内部監査機関、外部監視組織においても、同様に監査や監視がなされるべきです。「科学的合理性」(内容と手続き)の点と、「規制行政(法令面)」の両面からのチェックが必要であることは、この1年間の原子力規制委の迷走、暴走を見ていれば明らかでしょう。
 少し時間が経ってしまいましたが、123日に、自民党のプロジェクトチーム(原子力規制に関するPT)が、原子力規制に関する緊急提言をまとめ、発表しています。
 
 『原子力規制行政強化に向けての緊急提言. ―国民と世界からの「信頼と信認」確保を目指して』
 
 9月以来、計12回の会合と非公式ヒアリングを経てまとめたものです。
 内容は、原子力規制委への運営に対する厳しい批判と、今後の改善の方向性について提言しているものです。
 
    「『独立』が『孤立』になっている」
 
 という表現をしていますが、「孤立」という表現には多分に違和感を感じます。「孤立」というのは、「いろいろと外部とのコミュニケーションを図ろうとしているが、それがうまくいかず、他者が寄ってこない」という語感だと思います。
 しかし、原子力規制委の問題はそうではなく、「外部とのコミュニケーションを拒否して、他者を寄せ付けない」というところにありますから、問題指摘するのであれば、
 
     「『独立』が『独善』になっている」
 
 とすることが実態に即したものでしょう。
 おそらく、米国NCRの規制原則において「独立とは孤立を意味しない」という一文に即した表現と思われるほか、政治サイドからの指摘ということで、「独善」と表現してしまうと、かなりの批判的トーンとなりますから、それをあえて避けた結果なのでしょう。内容を読むと、「独善」の問題指摘になっています。
 
 そこには、規制委への批判の声が多数紹介されています。PTとしてそう考えるという書き方ではなく、そういう内外の指摘があることの紹介の形をとっているところに、一定の配慮は感じられます。各指摘項目から、本ブログで提起している点と重なる部分を中心に抜粋してみます。
 
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1 国民との対話、コミュニケーション、説明等の不足
○立地県知事からの面会要請を委員長は拒否。
○敦賀発電所2号機直下破砕帯の活断層判断に関して、地元住民や敦賀市長から規制委員会委員に対して寄せられた説明要望を拒否。
○日本原電からの委員長、委員との意見交換の要請を拒否。
 
2 独立性、中立性への懸念
○活断層評価の有識者会議メンバーには、過去の安全審査に関わった専門家を完全排除するなど、バランスを欠いている。
 
3 「合議制」形骸化への懸念
○問題ごとの担当委員を決め、その担当委員の出した結論を、十分な議論をしないまま委員会決定としてしまうなど、意思決定過程が合議制の精神から逸脱しているのではないか。
○新規制基準の検討に際しても、担当の委員を指名しているが、そのこと自体が合議制の精神を放棄している、との指摘が多い。加えて、担当委員がその委員から「横出し」で有識者会議などを裁量的に設置・直接指揮し、委員会審議の際には、他の委員は担当委員の意見をほぼ丸呑みにしているのではないか。
○敦賀発電所敷地内破砕帯問題では、十分な審議が未だなされていなかった段階の第1回有識者会合で、島崎委員が「活断層の可能性が高い」と発言。委員長も「今のままでとても安全審査に入れない」と断言した。
○米国NRCの「良い規制の原則」に相当し、委員会の活動方針の基本哲学に相当する、極めて重要な「活動原則」に関しても、原案作成が一委員に委ねられ、委員会ではさしたる議論もなしに決定を行った。
 
4 原子力規制委員会と事務局<原子力規制庁>との関係
○昨年9月、前政権下で新たに組成された原子力規制庁の主要幹部に、原子力規制の経験が皆無の人材が充てられた。これは、福島第一原発事故の原因の一つとされる「専門性の欠如」に対し、余りにも反省と配慮がなさ過ぎる人事と言わざるを得ず、原子力規制への信頼醸成に資する事にならないのではないか、との指摘が国の内外から寄せられている。
 
5 適正手続き・透明性への懸念、緊張感の欠落
○原子力規制委員会は、設置が法定されている放射線審議会、原子炉安全専門審査会、核燃料安全審査会を立ち上げて来なかった一方、新規制基準の審査会合や破砕帯に関する調査などにおいて法的位置づけが曖昧な有識者会議を組織し、規制委員会や規制庁による検討をバイパスするなど、適正手続きへの配慮に欠けている、との声が広く存在する。
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●これに対して、124日付けの記者会見で、田中委員長が質問に答えてコメントしています。
 
 おそらく、PTの提言書を十分に読み込んではいないのでしょう。国会でさんざん質問攻めにあって政治家には等しく答えている、記者会見で国民の代表である記者からの質問に答えている、審査内容については決めた後で説明する、というだけで、提言書の内容を真摯に受け止めようという姿勢は、この会見からは感じられません。
 
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○記者共同通信のナガオと申します。よろしくお願いいたします。
昨日なのですけれども、自民党の原子力規制に関わるプロジェクトチームの会合がありまして、その中で提言案がまとまったのですが、内容といたしましては、自民党の考えでは、田中委員長は自分たちに会うのを拒んでいるとか、立地県の知事に会わないことなどをもって、独立ではなく、孤立だという批判をしておるのですけれども、それに対する反論等がありましたら、お聞かせください。
○田中委員長いろんな御意見があるのは承知しています。各議員個別に会うのは避けていますけれども、国会会期中は週に2回、3回呼ばれて、大変な質問攻めにあっていますし、ある場合には規制の中身にまでいろんな要求が出てきますので、そういう対応をさせていただいているということです。
いろんな意見に耳を傾けることについては、異存はないのですけれども、規制委員会の判断に対してのいろんな意見は、相当慎重に対応しなければいけないと思って、我が国の現状では、誰かに会えば、次々と意見のある人が皆やってくると思いますので、そこはタイミングを見ていると言った方がいいのかも知れません。規制委員会として審査を進めている最中ですから、そういうところへそういう意見は入れたくないというのが、正直なところです。
○司会よろしいですか。
○記者その関連で、週内にもプロジェクトチームは官房長官に提言案を提出した上で、できれば委員長に直接手渡したいと言っておるのですけれども、今のところ、お会いになるお考えはないということでしょうか。
○田中委員長どうするかは、事務方でさばいていただければといいと思っています。ろしくお願いします。
○司会次の方、カミデさん、どうぞ。
○記者フリーランス記者のカミデと申します。よろしくお願いします。
今の関連でお伺いします。田中委員長が、今、説明されたことは、すごく大事なことだと思うのですが、大臣によっては、あえて田中委員長のお立場を考えて、政治的なことに巻き込むことを避けられる発言をする大臣もおられます。今のように、独立ではなくて、孤立だという考え方もあるのでしょうけれども、今、お示しになったことが、余り皆に共有されていないという感じもしますし、タイミングを見てやるとも言っておられました。政治家と委員会、特に委員長との関係について、一応の目安みたいなもの、今の段階で国民向けに説明できるものがあるとしたら、もう少し具体的にお話いただけないでしょうか。
○田中委員長皆さんは国民の大きな代表かも知れないと私自身は認識していて、だから、毎週こうやってプレス会見に臨んで、いろんな御意見をいただいているわけですけれども、それを通して、かなりのことは申し上げていると私自身は思ってはいます。その中でも、何度か申し上げましたけれども、基準を作っている段階からいろんな意見があって、まず基準を作って、今、審査段階に入っているわけですが、規制委員会はどうしてそういう判断をしたのかという説明を求められれば、それは判断をした時点で説明することはやるべきでしょうということを申し上げてきました。
先程の繰り返しですけれども、どういう判断をするかというところが、まだ固まっていない段階で、いろいろ説明するというのは難しいというか、やってはいけないことだと私自身は思っていますので、我慢強く待っていただきたいということなのです。
○記者もう少しだけ補足させてください。一般論として、直接利害関係のある政治家の方、あるいは担当の閣僚の方などには、ある程度節度をもって、控えた方がいいというお考えなのでしょうか。
○田中委員長利害関係者、ステークホルダーは誰かということがありますけれども、ステークホルダーの最大は国民ですと、私は申し上げています。
事業者とか、被規制者と会う場合には、節度をもって会うということで、それは非常に大事な原則だと思っています。
政治家はどうかというのは、ちょっと分からないですけれども、政治家と一口で言いますが、ものすごくいろんな方がいるので、政治家と会わないわけではなくて、先程言いましたように、国会では全党派、全会派から、長い時間、何度も同じような質問を受けていますので、そこで私の考えはお答えしていると思っています。
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●これらの会見の後のタイミングになりますが、塩崎PT座長へのインタビュー記事が東洋経済オンラインに載っています。
 
東洋経済オンライン-2013/12/20
 
 PTの審議過程でも来なかったし、提言の説明にも応じようとしていないということのようです。最終的には議員立法で、十分なコミュニケーションをとることを中心とした規制原則を書き込むことも選択肢として考えている由。
 
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○また、われわれは何度となく規制委員長に対し自民党のPTに来てくれるように言った。最近はあきらめて言っていないが・・・。そもそも規制委の設置法は川口順子先生(元外相)や私たちが中心になって作ったものだから、われわれの思いを聞いてもらおうと申し込みをしたけれども拒否された。
 
○(PT11月に非公開ヒアリング・意見交換を行った)ウィリアム・マグウッド米NRC委員は「国会議員が議員会館に来てくれと言えばすぐに行く」と言っていた。英国も同じだ。日本だけだ、何もしないのは。われわれがこの緊急提言を説明したいといっても、非常に冷ややかな反応だ。

○日本の規制委のコミュニケーションチャネルはまったく詰まっている。やはり、幅広く意見を聞いたうえで、独立して判断していただきたいというのが緊急提言でいちばん言いたかったことだ。
 
――今回の緊急提言の実効性は。
 
それは規制委次第だ。規制委が受け入れなかったら終わり。国会の原子力調査特別委員会で対話を試みるが、規制委は3条委員会で独立しているので、強制力はない。規制委5人の考え方次第だ。
 
――規制委の設置法を改正するという考えは。
 
PTでは今日(1217)、そういう意見が出た。つまり、米国の「良い規制の原則」のようなものを法律化すべきとの意見だ。現在の日本の規制委の「活動原則」には、「国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める」とたった1行しか書いていない。私自身もそれ(議員立法による改正)は意味のあることだと感じている。
 
規制委は、原子炉安全専門審査会(炉安審)も事実上いらないと言っている。設置法にはこれまでと同じようにやりなさいと書いてあるのに、これまでと違うものでいいと言い張っている。こうした考え方も驚くべきことだと思っている。 
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●この東洋経済の記事のあとの1225日に、田中委員長と塩崎座長との会談が持たれています。報道をみると、


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規制委員長 議員と異例の面会
NHK1225 1854
原子力規制委員会の田中俊一委員長は、原子力の規制を検討する自民党のプロジェクトチームの塩崎恭久元官房長官と面会し、「あらゆる関係者と会って考えを聞くべきだ」とする提言を受け取りました。
これまで田中委員長は「規制の独立性」を理由に政治家などとの面会を避けていて、今回は異例の対応となりました。
原子力規制委員会の田中委員長は、おととしの原発事故で当時の規制機関が「『事業者のとりこ』となって独立性は形骸化している」と批判されたことから、「規制の独立性」を理由に政治家や電力事業者などの関係者との面会を原則避けてきました。
これに対し、原子力の規制を検討する自民党のプロジェクトチームが、規制委員会に対する提言をまとめ、菅官房長官に提出したことを受け、田中委員長は座長の塩崎元官房長官と面会し、提言を受け取りました。
提言では、規制委員会の姿勢について「『独立』が『孤立』になっている」と批判し、政治家や電力事業者などあらゆる関係者と会って多種多様な考えを聞くことや、信頼されるために十分な説明責任を果たすことや人材育成を強化することを求めています。
面会で塩崎元官房長官は、「あらゆる立場とコミュニケーションしてから独自の判断を独立して行うべきだ」と述べたのに対し、田中委員長は「意見を聞くことに異存はないが、たくさん聞くと時間がかかるのは間違いない。来年はいろいろな関係者とコミュニケーションをどう取るのかが課題だ」と話していました。
25日の面会について、原子力規制庁の森本英香次長は記者会見で、「規制行政の強化について官房長官にも提出されている提言であり、内容を把握する必要性があると判断した」と説明しています。
また、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、「独立性は規制機関の『命綱』で少しでも疑念を持たれるのは避けるべきだと思い、きょうの面会は公開で行うことを強く希望した。私なりに『独立性』を持って進めてきたし、今後も変わることはない」と述べ、「きょうの面会で規制委員会の独立性が揺らぐことにはならない」と強調しました。
一方で、田中委員長は「原子力の安全の確保には、電力会社の社風や経営者の考え方が大事だ」と述べ、今後、電力会社の経営陣とも個別に面会していく考えを示しました。
田中委員長がこれまでに電力会社の経営陣と個別に面会したのは、ことし10月、汚染水漏れが続く福島第一原発の安全管理について、東京電力の廣瀬社長を呼び出し話を聞いた1回だけです。
田中委員長は「電力会社にも安全を最優先させる考え方をしっかりと定着させてほしい。そのために、会社のトップに会い認識を確認していきたい」と話しました。
 
●自民党PT、原子力規制委に緊急提言
  日テレ 20131226 0:02
 
 原子力規制行政のあり方について協議してきた自民党の議員らが、原子力規制委員会・田中俊一委員長と初めて面会し、「規制委員会はもっと国民とのコミュニケーションを取るべき」などとする緊急提言を手渡した。
 自民党原子力規制に関するプロジェクトチーム座長・塩崎恭久議員「広いコミュニケーションチャンネルを国民各層と持っていただきたいというのが、この提言の一番の眼目です」
 田中委員長「科学は一刀両断で決められる所と、決められない所がある。今の段階では丁寧にやる必要があると思う」
 塩崎議員は、規制委員会は国民との対話が少なすぎると指摘し、「政府や電力事業者、市民などあらゆる関係者とのコミュニケーションを維持しつつ、独自の判断をしてほしい」などと要望した。
 これに対し田中委員長は、「色々な意見はあるが、科学技術に基づいて判断していきたい」と述べた。
 政治からの独立を掲げる規制委員会のトップ自らが政治家と直接面会して意見を聞いた形で、極めて異例の対応となった。
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 これらの会談後の田中委員長のコメントを見る限りでは、従来と変えるつもりはほとんどないということでしょう。


  「関係者と会う時間がない。きりがない」
  「(従来通り)科学に基づいて判断していく」
  「今までも独立してやってきたし、これからも変わるところはない」
 
 関係者と会う時間がないはずがありません。さまざまな関係者と会って意見を吸い上げた上で判断するのが規制委の役割であり、被規制者、地元自治体、国会、政党等、レベルに応じて会うことが必要です。
                             続く
続き

第4期(平成25年9−12月)
 
●原電敦賀最終報告書の検討会合関係(平成25年10-12月)
 
●もんじゅ調査計画策定指示からみる大飯、敦賀有識者会合の矛盾...
 
●「活断層」が動いても影響がないことを認めた原子力規制委―何のための活断層議論か?
 
●不合理な「活断層」認定への法的対抗策―類似事例から考える
 
●異議申立ての「訴えの利益」の理論武装―最高裁判決の援用
 
●原電からの異議申立て却下関係―「報告したから訴えの利益なし」?!
 
●原電による情報公開請求関連―有識者を私人扱いし重要メールを非公開とする誤り
 
●大飯・高浜の再稼働審査における「人質行政」
 
●内部での意見交換がない規制委の思考停止状態
 
●コメント欄関係
 
 
第3期(平成25年7−8月時点)
 
●問題点総括パワーポイント資料(平成25年7月初め時点)
<参考>
 
<日本原電関係>
 
●原電最終調査報告書聴取会合の問題点(平成25年7〜8月時点)
 
●前代未聞の対原電報告徴収の内容と、異議申立て関係(平成25年7月〜8月)
 
 
●敦賀有識者会合評価書の根幹を揺すぶる大問題(平成25年5月下旬時点)
 
 
 
●迷走する田中委員長の発言―やはり、何もわかっていなかった・・(平成25年5月下旬時点)
 
 
 
<関西電力大飯・高浜関係>
 
●再論・大飯有識者会合運営の支離滅裂(平成25年8月時点)
 
●大飯、高浜原発の再稼働審査での三連動地震等の扱いについて(平成25年7月時点)...
 


●コメント投稿に関する注意喚起


 本ブログで、原子力規制委の問題点について書き始めてから、ほぼ1年が経とうとしています。
活断層論議の迷走の出発点は、原電敦賀有識者会合における、昨年12月10日の突然の一発活断層認定にありました。それからちょうど1年、政権交代からもちょうど1年です。
 規制委の特に活断層に関する審議は、迷走に次ぐ迷走でしたが、多少変化が現れてきてはいるものの、いまだに迷走についての収束はなされていません。まだしばらくはかかりそうです。

 年末になりましたので、規制委に関するブログ記事を整理してみました。4つの時期に分けて整理しています。
 ここでは、第1期(1月ー2月上旬段階)、第2期(2月中旬ー5月中旬段階)についてまとめています。
第2期分の記事一覧は以前載せましたが、それに先立つ第1期分の整理はまだでした。今回それもまとめました。有識者会合の支離滅裂さが全開の時期でしたので、こちらも記事執筆に力が入りました。

 
第2期(平成25年2月中旬―5月中旬)
 
●原子力規制委、敦賀有識者会合がもたらす憲法問題、違法問題
 
 
 以下は、執筆中途段階。
 
●敦賀有識者会合評価に大きな疑念が呈せられたビアレビュー
 
●敦賀有識者会合第3回会合の笑止−「みたいものだけ見る」/「そうとは思えない」の繰り返し
 
●敦賀有識者会合第4回会合の論理の破綻と自らの合理的推論の欠如
 
●公正手続きと科学的議論の表裏一体性についての認識の欠如
 
●新安全基準の策定過程の公正性の欠如と内容の非科学性
 
 
●大飯原発関係
 
●東通原発関係
 
●その他
 
 
第1期(平成25年1月―2月初め)
  
●規制「行政庁」としての基本を知らない原子力規制委
 
●敦賀等の活断層有識者会合が不信を招く非科学的姿勢(平成25年1月時点)
 
●変動地形学」の排他性と独善性の印象
 
●支離滅裂な大飯断層評価有識者会合の運営(平成25年1月時点)
 
●名雪審議官問題から浮彫になった原子力規制委と規制庁の意思疎通の決定的欠如..
 
●3条委員会となった原子力規制委への監視、牽制の必要性



原子力規制委のHP上の「被規制者との面談」欄に、12月10日付で、原電との面談が掲載されています。

 規制庁側から、原電最終報告書等での原電意見を1ページにまとめたものを、
 原電側からは、規制庁の現地確認に際しての確認内容一覧を、

それぞれ、相手方に提示し、確認を求めるとの趣旨でした。

●敦賀発電所 敷地の地質・地質構造について
http://www.nsr.go.jp/common/images/icon_pdf.gif議事要旨【PDF:32KB】http://www.nsr.go.jp/common/images/icon_window.gif
http://www.nsr.go.jp/common/images/icon_pdf.gif資料1:報告書等における日本原電の主な意見のポイント(原子力規制庁から提示)【PDF:87KB】http://www.nsr.go.jp/common/images/icon_window.gif
http://www.nsr.go.jp/common/images/icon_pdf.gif資料2:平成25 年11 月26 日,27 日 現地確認における確認内容一覧(日本原電から提示)【PDF:1.8MB】http://www.nsr.go.jp/common/images/icon_window.gif

 規制庁が1枚にまとめた原電意見概要は、K断層の活動年代とl、D-1破砕帯との連続性についての主張で、5月22日に了承された有識者会合評価書の根幹を成す部分への反駁材料になっています。

 もともと、原電からの報告書内容のヒアリングと現地確認結果を踏まえて、原子力規制委で扱いを協議するということになっていましたので、この原電意見概要のペーパーにより、近々、規制委に諮るということでしょう。

 当然、新しい材料の提示があったということで、審議再開になると思いますが、他方で、専門家にも加わってもらう旨が、7月下旬の規制委において、方針として決まっていたはずですので(田中委員長も会見等でも表明)、どういう形でそれを行うのか、注目されるところです。

 どうなるにしても、新しい材料の提示があったと認定され、審議再開となれば、

①原電が中核部分について調査中であったにもかかわらず、そして、
②原電から6月末でまとまるのでそれまで待ってほしいとの要請があったにもかかわらず、
③更には、有識者会合自体で、材料が足りないことや自らの審議内容に問題があることが分かった旨の指摘があったにもかかわらず、
④また、原電の委託した海外調査チームや外部有識者から、原電の評価内容が妥当である旨の中間報告等があったにもかかわらず、

 それらを無視して、活断層であるとの認定をあえて行い、

⑤更にそれを前提として、貯蔵施設全壊の場合の影響に関する報告徴収命令をかけ、
⑥それに対する異議申立てに対して、最高裁判例で支持された「訴えの利益」認容論に反して、門前払いの「却下」決定を行い、
⑦しかし結局、D-1が動いて、使用済み燃料貯蔵施設が全壊しても、安全性に問題はないとの原電評価結果を規制委として異論なく了承した・・・。

 といった、一連の、迷走に次ぐ迷走の責任について、問われることになるでしょう。

 おまけに、有識者と規制委・庁との間のメールは、すべて公開すると島崎委員長代理は見栄を切っておきながら、審議資料で直接引用した外部識者からの見解を述べたメールについて、情報公開請求になると、そのやりとりをした有識者会合メンバーは私人であるから、そのメール全体は私文書で開示できないとするなど、およそ信じがたい醜態までさらしてしまいました。

 まずは、有識者会合の再開後の動向や、外部専門家の選定の動きやその意見内容、そして再度の審議による結果がどうなるのか、が何より注目点ではありますが、それが決着した後は、上記の混乱と迷走に対する原子力規制委本体の責任の取り方もまた注視したいところです。
 5月22日の規制委おいて、有識者会合評価書の了承の際に、一体、委員たちはどういう発言をしたのか? その不見識さも含めて責任をとってもらいたいものです。
科学の名においてこういう極めて不合理なプロセスによる判断をしたのですから、科学界に対する責任もまた免れないでしょう。

 改めて、前代未聞の、近来稀に見る杜撰な審議内容だった・・・とつくづく感じます。


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