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昔の発声法と言っても、今回はバロック当時の発声ではなくて、私が少年合唱団当時に教えられていた発声の方法と、今現在先生から教わっている方法との違いを考えてみます。これが時代による考え方の違いによるものか、メソッドの系譜の違いによるものなのか、あるいは子供と大人との身体的特性を考慮した違いなのか、私には判断できませんが、私なりの解釈をまとめてみました。初学者ゆえの無知や記憶の誤りなどあるかも知れませんが、現時点の理解では以下のようになっています。
[1] 声帯
声帯はただひとつの音源。ヴァイオリンで言うと弓と弦との接点です。「今」発声では、なるべく少ない息で大きく響かせる事を目指します。ヴァイオリンの少ない弓使いで豊かな音量を出すのも難しい作業だったことを思い出します。
[2] 喉の奥
少量の息で響かせるため、喉の奥は広げず声帯に圧をかけます。私が子供の頃はこの部分も開いていたような記憶があります。
[3] 口腔内後部
口腔内の奥部分は共鳴の箱。ここは広く開けます。この空間を保つため顎はなるべく動かしません。子供の頃は、箱の意識よりも声帯から頭頂部へ音が抜けて行くようなイメージを持つように指導されていたように記憶しています。先日ののレッスンでは、この共鳴の作り方の良し悪しで「大人の声と子供の声ほど」響き方に違いが出ると指摘されました。
[4] 口腔内前部
口腔内前部で言葉の発音を作ります。[3]の共鳴箱を保持するために口を大きく動かせません。特に横に開くと箱の形が崩れてしまうので、舌の位置などを調整して音を作ります。子供の頃には母音毎に大きく口の形を変えていました。
[5] 吸気
吸気も省エネです。息を吸おうとは考えず、次のフレーズを歌おうとすれば自動的に吸気されますから、それで十分。言葉を話すのと同じなので、「話せれば歌えます」との事。子供の頃は腹式呼吸と言って、おなかの底に息を吸い込む気持ちで吸気するよう指導されていました。
総じて、今教わっている方法のほうが省エネ志向だと言えるでしょう。空気の出し入れを最小限に抑えて、響きを最大限に作る。この理想に近い感覚で歌えた時は、確かに楽に声が出せます。ただ、微妙な身体のコントロールが要求されるため、集中力を維持し続けなければなりません。まあ、身体の制御に関しては、手続き記憶として定着させるまでの訓練ですから、何の技術でも同じですよね。
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