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双方の「虚構」崩す グルジア紛争報告書 宣伝合戦も再燃 【モスクワ=遠藤良介】昨年8月のグルジア紛争をめぐる欧州連合(EU)調査委員会の報告書が出されたのを受け、交戦したロシアとグルジアが軍事行動を正当だったとするプロパガンダ(政治宣伝)合戦を再開している。報告書は両国が軍事行動の論拠としてきた事実関係を否定、双方の非を明確に指摘したものの、依然として互いが自国に不利な側面には目を向けない状況が続く。死者850人、難民3万5千人を出した“5日間紛争”の最終決着にはほど遠い現実が改めて浮き彫りになっている。 報告書はEUの諮問を受けた専門家委員会が9カ月に及ぶ調査内容を取りまとめたもので、9月30日に関係各国に提出された。中立的国際機関による初の調査報告であり、ロシアとグルジア双方の“虚構”が崩された点が注目される。 まず昨年8月8日未明、グルジアが親ロシア独立派地域、南オセチア自治州を攻撃して戦端が開かれた状況だ。グルジアは従来、これを「ロシア軍が南オセチア自治州に侵攻したのを受けた自衛措置だった」と主張。しかし、委員会はグルジアの主張を「満足に立証されない」と退け、紛争は南オセチア再統一を狙った「グルジアの大規模攻撃で始まった」と断定した。 他方、ロシアはグルジアへの報復に際し、「グルジアは南オセチア攻撃で1600〜2000人を殺害するジェノサイド(大量虐殺)を働いた」と訴えていた。ロシアは長年、南オセチア住民にパスポート(市民権)を与えていた経緯があり、「自国民保護」が大規模な報復の大義とされたのだ。報告書はしかし、紛争の素地を作った点でロシアを批判し、グルジアによるジェノサイドは「確認されなかった」としている。 委員会は、ロシアが国際合意に基づいて南オセチアに駐留させていた「平和維持部隊」を防衛することは「合法的だった」と指摘。しかし、ロシアが南オセチアの境界を越えてグルジアを猛攻したのは「不均衡な軍事力行使だ」とし、ロシア支配地域内でグルジア人に対する「民族浄化」があった事実も認定した。報告書は「全般的な紛争責任を一方に帰することはできない」と結論づけている。 紛争から1年余りを経て、欧米諸国ではイラン核開発やアフガニスタン情勢などの国際課題で、ロシアとの協調を模索する機運も生まれている。ただ、ロシアが紛争後、グルジアの南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を承認、両地域で部隊の駐留を続けている実態は、報告書でも「非合法でグルジアの領土保全を侵害している」と批判された。 黒海沿岸ではグルジアがアブハジアに入港する船舶を拘束、ロシア・アブハジア側が報復の構えを見せて緊張が高まっており、欧米と露の関係再構築には難題が立ちはだかっている。 MSN産経ニュース
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