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世界的な名優である仲代達矢 古い映画なので若い人は知るはずもないが、五味川純平の力作を映画にした「人間の条件」は日本の昭和史を赤裸々に、また歴史文学を語るものとしてお進めである。 昭和の日本が目指した中国大陸の野望を赤裸々に、また日本人が発狂していく顛末が見事に描かれていて、現代人が知らない日本が見えてくる。歴史とは好き勝手に解釈するものではない、ただ事実のみが重要でそれを映像で示したのがこの映画である。昭和の日本人は欧州とアメリカに翻弄されて目的を失っていた、そして大陸への進出(侵略)を大義名分として掲げて、日本の武力進出の正当化を図った。 中国大陸は混乱の極みにあった、そこで日本の財閥と軍部と一部の政治家は大同団結して大陸への足がかりとして満州を狙った。国内では満蒙開拓団が編成され、国民は大陸へと出かけるのが本筋とされた。そこには中国は外地などという考えは微塵もなく、支那人は蹴散らせ、邪魔をするようなら遠慮なくぶっ殺せと言われた。こうして満州開拓が始まったのだが、映画では日本企業の残酷さ、非情な企業精神の発露を容赦なく浮き彫りにしている。開拓には多数の人間が参加している、関東大震災でアナーキストと呼ばれた大杉栄と伊藤野枝を殺害した憲兵隊の甘粕正彦や、前総理大臣の安部晋三の祖父である岸信介など東京裁判で雁首をずらりと揃えていた人物がどういう悪事を働いたか見事に浮き彫りにした。 日本は中国大陸で好きなように悪事を働くのを誰も止めなかった、ところが欧米は見事に注目していた、まず日本が満州を侵略したことに警鐘を鳴らしている、欧米は自ら中国進出は無理だと知っていた、多数の中国人の反乱で膨大な死者を出しアヘン戦争の二の舞は御免だと思っていた。ところが日本は違っていた、支那人はどんどん殺せと吹聴し最大で200万もの軍隊を投入したのである。 企業、軍、政治家の企みは成功したように見えた、しかし西洋は満州の張作霖爆破事件で日本の企みだと知っていた、そこで英国のリットン卿を首班とする調査団を送り込んできた。さらに再調査の名目で再び調査団を派遣した、まずい展開になった、このままでは日本は窮地に立たされる、そこで日本が考え出した窮地を救う案とはなんとドイツ、イタリアとの三国同盟だった。日本人はこの時点で盲目になった、後は暴走機関車でまっしぐらに坂道を転がり落ちるだけだった。 昭和に入ってからの日本はまるで流行性ウイルスに冒されたごとく戦争だ戦争だと叫んでいた、それはナチスドイツの大進撃に日本人全部が完全に虜になり敵は欧米なりが標語とまでなった。軍国ファシズムの台頭で、ドイツ人と同じく日本人全員が狂いだした、戦争反対を叫ぼうものなら「非国民」扱いでそれだけで村八分にされた。人間は簡単に狂うものでそれは軍部の責任ではなく、国民自らが求めた日本の落日の序曲だった、だから戦争では戦犯というのは国民全部と考えるのが正しい。 作者の五味川はそういう日本人の人間としての内面にスポットを当て中国人との対比で「人間の条件」を書いている。主人公の梶が戦争を鋭く批判したのに対して、友人の佐田敬二は「戦場では俺は古参兵を最も信頼するがね」と答えている。どうにもならないジレンマに陥った梶はソ連軍の捕虜収容所を脱出して満州の荒野の中で猛吹雪の中で妻の名前を呼び映画は終了する。 人間が人間でなくなった昭和の時代では人の命は二束三文で叩き売りされた、戦争が終了しても人は覚醒するどころか益々混迷の度を深めている。五味川はそういう日本人に警鐘を鳴らすために書いたとしか思えない、優れた作品だが現代人には何処まで通じるのか疑問が残る。 人間の條件 (映画) 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 人間の條件 監督 小林正樹 製作 小林正樹 若槻繁 脚本 松山善三 小林正樹 稲垣公一 出演者 仲代達矢 音楽 木下忠司 撮影 宮島義勇 配給 松竹 公開 1959年〜1961年 上映時間 9時間31分 製作国 日本 言語 日本語
表・話・編・歴
人間の條件(にんげんのじょうけん)は日本映画。全6部構成で、1/2部は1959年(1月)、3/4部は同年(11月)、5/6部は1961年に公開された。五味川純平の同名小説の映画化。優秀映画鑑賞会特選 文部省選定 都教育庁特選 都民映画コンクール金賞 第23回ベニス国際映画祭 サンジョルジュ賞(銀賞) パンネッティ賞(映画批評家賞) スタッフ 基本情報に含まれないスタッフは以下の通り。 原作 - 五味川純平 中国語監修 - 黎波 ロシア語監修 - 小泉健司 美術 - 平高主計 録音 - 西崎英雄 照明 - 青松明
キャスト
梶 - 仲代達矢 美千子 - 新珠三千代 影山少尉 - 佐田啓二 金東福 - 淡島千景 楊春蘭 - 有馬稲子 珠代 - 山本和子 丹下一等兵 - 内藤武敏 弘中伍長 - 諸角啓二郎 寺田二等兵 - 川津祐介 朝鮮に行く兵長 - 高原駿雄 匹田一等兵 - 清村耕治 井出一等兵 - 広沢忠好 達子 - 岸田今日子 梅子 - 瞳麗子 石炭屋 - 上田吉二郎 石炭屋の妻 - 石本倫子 老教師 - 御橋公 老教師の妻 - 南美江 雑貨屋 - 坊屋三郎 雑貨屋の妻 - 中村美代子 永田大尉 - 須賀不二男 桐原伍長 - 金子信雄 福本上等兵 - 平田守 避難民中年の女 - 菅井きん 避難民少女 - 中村玉緒 避難民少年(弟) - 真藤孝行 朝鮮人[1] - 成瀬昌彦 小椋上等兵 - 陶隆 洞窟隊長 - 石黒達也 避難民・長老 - 笠智衆 避難民・中年の女 - 高峰秀子 吉良上等兵 - 山内明 捕虜隊長野毛少佐 - 二本柳寛 輸送将校 - E.キーン 工藤大尉 - 城所英夫 日野准尉 - 多々良純 土肥中尉 - 松本克平 橋谷軍曹 - 内田良平 小野寺兵長 - 千秋実 吉田上等兵 - 南道郎 板内上等兵 - 植村謙二郎 新城一等兵 - 佐藤慶 円寺二等兵 - 小笠原章二郎 鳴門二等兵 - 藤田進 小原二等兵 - 田中邦衛 佐々二等兵 - 桂小金治 見習士官 - 安井昌二
概要
主人公の梶を通して戦争における人間性を描いた作品。当時の多くのスター俳優/女優をキャスティングした大作映画。全6部の総上映時間は9時間38分に及び、制作当時は商業用映画としては最長の長さであった(ギネスブックにも掲載されていた)。また、本作の全6部を一挙に上映したことが、日本の映画館でのオールナイト興行の走りといわれている。旧満州帝国を舞台とした作品であるが、当時の国際情勢から本来の舞台である中国でのロケは不可能だったため、主に北海道で撮影が行われている。 戦闘シーンは陸上自衛隊の協力で撮影された。劇中に登場する九九式短小銃は、分解清掃や戦闘の場面では同自衛隊から貸し出された実銃が使用された。射撃の場面では空砲を使用している。 第4部の戦闘シーンでは同じく自衛隊の協力でブローニングM1919重機関銃が登場する。ソ連軍との戦闘シーンでは、草で擬装され輪郭を隠したM4中戦車がソ連軍戦車として登場している。 ソ連兵が装備するシュパーギンPPSh-41短機関銃の小道具が登場するが、第4部では弾倉が逆に付いている。第5部の発砲シーンでは実物に近い形の物が登場するが寸法が大きい。
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2009年08月24日
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