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史上最も有名な独裁者アドルフ・ヒトラー。過去、チャップリンの『独裁者』や先鋭的な野心作が、この希代の悪漢をパロディや政治的考察の下に描いてきたが、その人間性を正面から描くことは絶対のタブーだった。そのタブーを当事国のドイツが自ら破ったのが今作だ。内容は、歴史家ヨアヒム・フェストの「ダウンフォール」と、ヒトラーの秘書トラウドゥル・ユンゲの回想録「最期の時間まで」に基づいているが、ヒトラーを人間として描くというだけで拒否反応を示す人々がいるのも当然だろう。 この映画の中で次の台詞が私を捉えた。 「私はユダヤ人を殺した、やつらは人類の敵だからだ!この地球上に存在してはならない民族だからだ。それなのに人は私を責めるなぜだ、恩知らずめ。人のためにやったのに・・・・」。 ヨーロッパには何百年も前から反ユダヤ主義が存在する。ヨーロッパの経済を動かし牛耳っているのはユダヤ人だと信じる人間が多いからだ、ある面では当たっているし別の面では誤解もある。社会の経済、政治、芸術、科学、思想にいたるまでユダヤ人の業績は抜きん出ているので目立つ。それが人々にあらぬ噂を掻き立て妄想へと発展し反ユダヤ主義が生まれる下地を形成した。 ヒトラーがユダヤ人を駆り立てたときに拍手喝采をした人間が大勢いたことは事実である。ヨーロッパ全土でナチスに協力してユダヤ人を突き出した多くの人々、彼らを責めることはできない。何百年も積もり積もった鬱積をヒトラーが取り除いてくれると信じたのだ。しかしナチスは戦争に敗れヒトラーは自殺した、ユダヤ人を突き出した人々は口をつぐみ同情する気配は見せなかった。 現在でもヨーロッパの主な金融資本はユダヤ人の手に中にある、アメリカの巨大資本も多くはユダヤの匂いがする。この映画でヒトラーが語ったことはドイツ人の本音でもありヨーロッパに徘徊する反ユダヤ主義の真実かもしれない。ヒトラーはアーリア民族の優秀性を強調したがユダヤ人もアーリア系のはしくれに位置する。いずれにしても、我らモンゴロイド民族とは別人種の話で影響は少ない。
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