中国軍、第1列島線突破を断言 海上摩擦増加も 【北京共同】中国国防大学の戦略研究所所長を務める楊毅少将は7日までに、中国メディアに対し「中国の海洋進出は必然で、どんな包囲網も海軍の歩みを阻止できない」と述べ、沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」に沿った米軍による海上包囲網を突破する考えを明確にした。
第1列島線について軍の内部文書では最近「国益拡張にとり最大の障害」と反発が強まっているが、軍幹部が公言するのは珍しい。沖縄近海の東シナ海や太平洋で今後、海上摩擦が頻発しそうだ。
楊少将は中国紙、国際先駆導報に語った。軍のシンクタンク、軍事科学院の研究員を務める羅援少将も同紙に「第1列島線を中国台頭の障害にさせない」と強調し、「中国の国家利益が及ぶ海域はどこでも海軍が保護するべきだ」との認識を示した。
同紙は、中国海軍艦隊が3、4月に沖縄と宮古島の間の宮古水道を通過し、軍事演習を実施したのは「日米に対し中国海軍に列島線の概念はないことを示す狙いがある」と解説した。
2010/08/07 19:33 【共同通信】
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外交・国際関係
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中国が広東省にミサイル基地 南シナ海射程、香港紙報道 【香港共同】中国人民解放軍が中国南部の広東省韶関市にミサイル基地を新設し、戦略核ミサイル部隊「第2砲兵」が数週間前に配属されていたことが分かった。7日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが韶関の地元紙などを基に伝えた。
2千キロ以上離れた目標物を破壊できる弾道ミサイルなどが配備される可能性があるとの見方が出ており、その場合、中国がフィリピンやベトナムなどと領有権を争っている南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)、西沙(同パラセル)両諸島の大半が射程範囲となる。
サウス紙によると、韶関市の南にある広東省清遠市にも昨年6月に同様の基地が建設済みと伝えられているほか、中国最南部・海南島にも近くミサイル基地が建設されるとの情報もある。
中国は南シナ海での海洋権益拡大を目指して活動を活発化させており、クリントン米国務長官は先月「領有権を主張するいかなる国や地域も、武力を使用したり威嚇したりすることに反対する」と述べて中国をけん制している。
2010/08/07 11:21 【共同通信
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【くにのあとさき】東京特派員・湯浅博 「核心的利益」とは何か 民間から初の駐北京日本大使が誕生した由で、ご同慶の至りである。悪漢イメージの官僚を退け、大企業トップの中国通を起用すれば、たちまち“友愛”が実るとの期待感だ。
そんな手品が可能なら、文句をいう筋合いはまったくない。
「巨大市場が世界の貿易ルールを決定する」との定理に従えば、中国との経済協調や枠組みをつくるのは死活的に大事になるだろう。
しかし、小欄は民が正義で官が悪とのムードは信じないし、その逆も疑う。民官どちらでも国民の繁栄と安全に妥当かどうかだけである。
商社出身の丹羽宇一郎大使は北京赴任を前に熱く「経済」を語った。同じ日、中国の楊潔●(ようけつち)外相は「外交・軍事」で声を荒らげた。ハノイで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)で、南シナ海の島々の領有権をめぐる綱引きである。
外交・軍事を抜きに中国は語れない。何しろ、「鉄砲から政権は生まれる」国だ。東南アジアの国々は、目の前の南シナ海を「おれさまの海だ」と豪語するような中国が怖い。
口で「平和的台頭」をいいながら、海南島の海軍基地を強化するや、大型の中国艦船でにらみを利かす。とくに、「排他的経済水域では、外国軍は調査活動をしてはならない」との独自解釈で、米調査船の航行をも妨害した。
中国は南シナ海の領海問題について、ASEANとの多国間協議を棚上げしてきた。もちろん、小国からなるASEANが個別交渉すれば、力でねじ伏せられてしまう。
中国は建国から今日までに10回以上の武力行使を断行し、いずれも中国が先に手を出した。この国が軍事力を行使する敷居は低いのだ。
同海域だけでも、1974年に西沙諸島でベトナム艦船を沈め、88年に南沙諸島でもベトナムの艦船と交戦している。90年代にはフィリピンが領有権を主張するミスチーフ環礁を乗っ取った。
米国のクリントン国務長官はハノイでの演説で、南シナ海問題の解決について、「多国間で進めることが米国の利益だ」と述べた。中国は直ちに反発し、アジア域内問題のいたずらな国際化を図るものだと、米国の干渉を排す構えだ。
何しろ南シナ海は、中国の領海法で定める「おれさまの海」だから、海洋での国際行動基準を守りたくない。小国には中国の巨大市場をちらつかせ、他方で、中国製武器を大量に売り込む。狙いは米国とASEANの分断である。
商社にはもみ手すり手でも、小国の軍には居丈高である。ASEANは米国の介入がなければ、とても、中国に「国際法尊重を」など要求もできない。
米中パワーゲームの狭間(はざま)で、小国はどの大国をテコにどう国益を誘導すべきかを考える。それが丹羽大使のいう親中愛国だけで可能か。大使は経済だけでなく、変幻自在の政治を語る使命がある。(東京特派員)
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[FT]南沙諸島を覆う中国の影(社説)
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【湯浅博の世界読解】東シナ海まで「核心的利益」か 沖縄本島から尖閣諸島までは、小型機でもほんの1時間あまりの飛行で到達する。大阪から瀬戸内をひとまたぎして福岡ぐらいの距離にある。
日本固有の領土、魚釣島の先はもう、中国船がうごめく怪しげな海域に至る。沖縄周辺諸島は170以上の島から成り、3分の2は無人島である。島伝いに西へ進むほど、海の蒼(あお)さが際立ってくるようだ。
中国潜水艦が公然と行き来する海域は、さらに沖縄本島に近い。本島と宮古島との中間地点に当たり、大阪から岡山ぐらいの距離しかない。
中国海軍艦船は、日本の防衛省が明らかにしているだけで、2008年10月からこれまでに計4回、通過するようになった。
これまでの潜水艦は、潜ったままで日本の反応と実力を測り、対潜哨戒機P3Cに発見されないための抜け穴を探っていた。
ところが、4回目の今年4月は、潜水艦を含む計10隻の艦隊が威風堂々、その身をさらしながら航行した。実は中国海軍の司令官が昨年4月に、「外洋訓練を常態化する」と豪語しており、防衛専門家は「新たな段階に入った可能性がある」と指摘する。
周辺海域の海底地形の調査を終え、いよいよ沖縄、フィリピンをつなぐ「第1列島線」の外で、潜水艦群の実戦向け訓練を展開するようになった。この先で、米軍を「接近阻止」されると、台湾は裸同然になる。
毛沢東時代からの中国らしいやり口である。その意図を隠して、ひそかに既成事実を積み重ね、ふと気がつけば、巨大プレゼンスを誇示している。抗議に対しては、「大国にふさわしい軍事力」を豪語する。
ウクライナからマカオのダミー会社が購入した旧ソ連の空母ワリャーグの時がそうだ。当初は豪華カジノ船だ、と言い逃れしているうちに、やがて海軍基地の大連に係留されて空母の訓練用に供された。
もっとも、日本の防衛当局は、すべての中国艦船の通過を公表しているわけではない。
海上自衛隊の対潜哨戒機P3Cで追跡しておきながら、知らないそぶりを決め込むことがある。中国にこちらの反応と能力を知らせないためだ。従って、通過の実数はもっと多い。
那覇基地のP3Cが飛び交えば、おおむね「中国潜水艦、現る」のサインであろう。つい数日前も、P3Cの動きが活発だったとの確度の高い情報がある。
中国は今や、南シナ海をチベットや台湾と同じような「核心的利益」と呼んでいる。南シナ海の大半が領海だと主張しているから、領有権を争う東南アジア諸国は黙り込む。米国の介入がなければ、怖くて「国際法の順守」という要求すらも持ち出せない。
中国はまた、沖縄のすぐ北側までを、大陸棚の延長と見なして「中国の海」だとする暴論を吐く。東シナ海でも、いつ、「核心的利益」を唱えないとも限らない。武力の行使を排除しない拡張主義である。
菅直人首相の諮問機関、「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の報告書は沖縄・南西諸島重視への転換を促しているという。提案を受け入れ、素早い部隊配備が望まれる。
外洋に膨張する中国の軍事力を、抑止力で押し返せるのは、日米連携の同盟をおいてほかにない。(東京特派員) |


