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オーストラリアのブリスベンからニューカレドニアのヌメアに。到着は真夜中。ミニバスに金を払えば希望する宿まで送ってくれる。私以外は白人観光客だった。彼らが泊まるリゾートホテルに先に寄ったあと、私が指定した街中のホテルへ。しかし夜中なので閉まっており、近くの別のホテルも満室。運転手とは言葉が通じず、私の身なりで判断したのかユースホステルて勝手に連れて行ってくれた。
元々ユースに泊まる予定だったのだが、夜中は閉まっていると知っているので、わざわざ普通のホテルに行こうとしたのだが。運転手はそんなことお構いなしにさっさと去ってしまったので、仕方なく野宿を覚悟して門の前でごろ寝していると、門が開いてひょっこり人が出てきて中に入れてくれた。おかげでベンチで寝そべって朝まで過ごせ、一泊分浮いた。
わずか4日の滞在ではニューカレドニアは楽しめない。週末はほとんどの商店は閉まってしまうので、ヌメアの街は閑散としていてつまらない。おまけに天気も、悪く観光客が集まるアンスバタに行ってもぱっとせず、市内の朝市に行くと雨が降って帰れない。せめて1週間ぐらいとって、周辺の島にも足を運ぶべきだった。
「天国に一番近い島」 森村桂
帰国後読んだ、ニューカレドニア旅行記の古典的作品。亡き父が語っていた「花が咲き乱れ果物がたわわになり神様がいる島」がニューカレドニアではないかと思い込み、東京鉱業に頼んで鉱石運搬船にのせてもらう。なにせ1964年の話だ。日本円は弱く、一般人は飛行機にはとても乗れない。それに当時ニューカレドニアは今のような観光地ではなく、ニッケルが採れるだけの土人の島だった。土人と言う言葉はいまでは差別的なので使われないが、この本の発売当時の副題は「地球の先っぽにある土人島での物語」だった。時代を感じさせる。
着いてからももちろん大変で、ガイドブックなどは無いのですべて自分でどうにかしないといけない。ホテルに泊まり続けていたら、身内に借金までしてかき集めた金はどんどんなくなってしまうので、日系人の家に泊めてもらうことにしたのだが、これも最初は上手くいかず、おまけに盲腸にもなったりして大変。
しかし徐々に日系人、原住民両方に友人知人ができ、楽しい日々を過ごすというお話。今の時代にこんなことをやっても本にはなりにくいし、ましてやベストセラーになってNHKの朝の連続テレビ小説でとり上げられたり、原田知世主演で映画化されるようなこともないだろう。1960年代半ばに女一人でよくこんな旅をやったものだ。その後は約30冊もの本を出し、ケーキ屋を始めたり絵を描いたりと多彩な人生を過ごすが、うつ病になって64歳で自殺してしまう。あのままずっとニューカレドニアにいたら自殺なんてしなかったんじゃないかと思うが、自分の人生もままならないのに他人の人生をあれこれ言うのはやめておこう。
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