|
このブログの筆者MASAは平成22年3月30日、永眠しました。
彼女に「ブログでも始めてみれば」と誘ったのは「家人」であるわたしでした。本人も書いていますが、当初は備忘録的なものでした。しかし、書き進めるうちにファンの方が増え、コメントの数も多くなって行きました。彼女はその反響に驚くと同時に、皆様の声が大きな心の支えになっていたのだと思います。わたし自身も「アヒル劇場」を楽しみにするとともに、彼女にこのような才能があったんだと驚かされもしました。
最後の更新は昨年の12月。入院中にIphoneで行ったものです。その後、1月から訪問診療や訪問看護を受けながら在宅で療養していました。春分の日くらいから容態が急激に悪化し、約一週間後の30日に帰らぬ人となりました。
皆様、応援していただいて、本当にありがとうございました。
以下は家人であるわたしがMASAに捧げるレクイエム(?)です。
まあちゃん、もう筑紫さんや円楽師匠に会えましたか・・・?
(ぼくはMASAのことをまあちゃんと呼んでいました。)
今日はまあちゃんがぼくの前から姿を消した最初の朝です。
線香の匂いの立ち込める部屋で、自分を元気付けたいとパンを二枚焼いたよ。しかし、お腹は震えてばかりで、食欲が出るはずもなく、焦げた穀物が切れ切れになって皿に残りました。
まあちゃんは一昨日の朝、天国へ旅立ちました。
ぼくは薄化粧した美しいあなたと一晩一緒に眠って、棺に入る昨日の朝はいつもの笑顔とともに、あなたはこの部屋にまだ確かに存在していたのです。
しかし、大型の霊柩車がやって来て強い力で火葬場の高温の竈の中に閉じ込めてしまった。
ぼくは激しく後悔しているんだ。あなたは火を極端に恐れていたし、ぼくも一緒に入るべきだった。
地獄に行けば炎で焼かれる、とその恐怖を何度も口にしていたあなたをぼくはたった一人で放擲してしまいました・・・・・。ごめんね。
一時間経って、竈から出てきた「あなた」はぼくに弱々しく抗議しながら、『ようやく終わったね。』そう呟きました。ぼくは「あなた」を見つめながら、たとえ、どんな著名な科学者の論理を駆使しても、入り込めない嗚咽を繰り返すしかなかったよ。病状が厳しくなってから、とことんあなたに付き合うと決めていたからね。
23日のことだった。ぼくが仕事を早引けして4時頃帰ってくると、あなたは床に転んだまま踞っていたね。冷蔵庫を開けようと立ち上がったのがお昼前だった。そのままバランスを崩して転んでしまったんだ。もう一人では起き上がることができなくなっていたあなた。踞ったまま、恐怖、叫び、諦観、無念で情けないと自分を責めながら緩やかな時間の経過を待つあなたの心情を思うと、一人っきりにしてしまったことを激しく激しく後悔したんだ。あなたを支えると誓ったんだから。
冷蔵庫を開けると柑橘系のジャムの奥に、逝ってしまう一日前に食べたいといった、スリオろしのためのりんご。二日前に食べたグリコのプッチープリン、飲みかけのエンシュアリキッド。10日前に噛じった明治十勝チーズ。二週間前のカスピ海ヨーグルト。それらが、一斉にぼくの目の前に飛び込んでくる。あなたの生死と関わりなく、それらがここに存在していることの意味が掴めないままぼくな目眩を覚えて、急いで扉を閉めたよ。
『早く楽になりたい』と言い続けたまあちゃん。入退院を繰り返し、痛みに襲われ、恐怖と不安におののき、それでも笑顔を絶やさず頑張ってきた3年7ヶ月。しかし、脳への転移は命令機能をマヒさせ、閉塞した腸は働かず、とうとう悪魔は肺を侵食したのです。そうして、酸素を吸い込めずに、苦しむあなたの最後の言葉が『これでようやく終わる。』『ありがとう。』でした。
介護を受ける人が去ったベッドほど存在感を主張するものはない。あなたの息遣い、がん疼痛の苦しみ、動けないこと、立ち上がろうとする喘ぎ、腸が働かなくなったことによる胃液の嘔吐、苦しみを忘れる一瞬の笑い。長い夢。言葉が縺れるので筆談で交感したのもベッドの上だった。このベッドはそんなあなたの全てを見つめながら、それらを飲み込んで鎮座しています。
ぼくは汗まみれのシーツやパジャマを洗ってしまえるだろうか。祭壇の花が徐々に萎れていき、あなたが愛用した湯のみ茶碗や片時も離さなかったヨダレかけをぼくは捨てることができるだろうか。
この悲しみがあなたという人格を失ってしまった喪失感から来るのか、あなた一人を旅立たせてしまった後悔からなのか、はたまた、人を愛するというのは、こういうことなのか・・・・・。それは今後、ぼく自身があなたとの対話を重ねる中で見つけていくものだと思っているよ・・・・・。
まあちゃん、少し時間が経過して分かってきたのは、支えられていたのぼくの方だった、ということなんだ。あなたの謙虚で粘り強い性格、偽りのない明るい笑顔はドクターも看護師も感服していたもの。あなたは自分とのそしてぼくとの戦いに負けなかった!
天国で筑紫哲也さんや円楽師匠と恥ずかしげに話しているあなたを想像しています。
まあちゃん、ありがとう。 |

- >
- Yahoo!サービス
- >
- Yahoo!ブログ
- >
- 練習用




