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もうひとつの違う世界で生きることを覚えたあたし
ここは仮想の国で
私はもうひとつの私を、生きている。
この世界の人たちは、しばしばどちらなのか区別がつかない
いや、区別がつかないのではなく、区別がつかないように装っている
この世界の人たちは、しばしば心を病んでいる。
いや、この世界ではなくても病んでいる人はいるが、
この世界の人たちは、とくにしばしば心を病んでいる。
この世界の人たちは、とても奇抜な目つきと奇抜な髪型をし
奇抜な洋服を着て奇抜な音楽や絵や小説を好む。
そしてある日、唐突に居なくなる。
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10/2/3〜
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蝶は飛びたかった。
空を飛びたかった。
けれど飛べなかった。
羽が奇形だったのだ。
近々、蟻の餌食になる自分。
近々、鳥の餌食になる自分。
それでも、この世界に生まれて来てよかったじゃないか。
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何度も言ったのだが
この国はかわいそうなことにもうだめだ
どの国も良い所も悪い所もあるはずだが
残念ながらいま、この国のどこに良い所があるのだろう?
文字だけの姿になったあなたは、あたしに言ったね。
君が旅しているその国の良さは表向きだけだよと。
でも、いま、私たちのこの国は表向きもこの有様じゃない?
表も裏もこの有様じゃない?
表向きの良ささえ、もうどこにもなくなってしまったこの国に
あなたはわざわざ戻って来ようというのですかね?
止めたら?
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お化け屋敷が怖かったあなた
とうとうジェットコースターに「お一人様」。
ジェットコースターを制覇した日に
あなたは意気揚々と書いた。
「これで子供が生まれても、ママはいっしょにジェットコースターに乗れます」と。
あのときの悲鳴が
あなたが外へ向って放った最期の悲鳴
嘘つき。
大嘘つき。
たくさんの、心の切り傷。
たくさんの、手首の切り傷。
あなたの人生はジェットコースターのよう
そして私たちの人生も、本当はどれもこれもジェットコースター
あなたの悲鳴は楽しい悲鳴だった?
それともあなたの悲鳴は悲しい悲鳴だった?
最期はせめて楽しい悲鳴とともに
青い空へ還れ。
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突然あなたは日本に帰って来た。
それも、
何の用事もないんだ、ただの休暇だよ、と言って。
そんな予定は何も聞いていないので
残念ながらあなたのための時間は、いまの私には無い。
あなたはきっとこんなふうにとらえどころなく生きて行くのだろう
括ることも、区切ることも、計ることもできない
一面に広がる水の面のように。
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