裁判とジャズと映画の日々

革命前夜を知らない者は、その耽美を知らない…

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石原新太郎のどうしようもない醜さ
 
 20124月「青木ケ原」映画化の制作発表会で彼はこう言った。
 
「私こそ、ヌーベルバーグの始祖」だと。これはフランソワ・トリフォーが影響を受けた作品として『狂った果実』を挙げたからだ。
 
 トリフォーの言質を聞けばわかるように、映画に影響を受けたのであって、原作に影響を受けた訳ではない。これはデマゴギーだ。
 この映画の監督、中平康の作品に対する、そして彼の才能に対する賞賛なのだ。
 しかも、原作に関しては慎太郎が裕次郎の話しを聞いて文章化したにすぎない。『太陽の季節』同様、文体や心理描写に人を惹きつけるものはない。ただ内容が衝撃だったにすぎない。
 
 『狂った果実』や『乾いた花』など、石原慎太郎が原作の映画で好きなものは何本かある。彼がそのエッセンスを提供したことは否定しない。しかし、彼の才能が映画としての名作を作ったとはどうしても言えない。
 
 書評家の豊崎由美が言うように「心理描写は下手。女性を描くのも下手」には激しく同感する。彼の稚拙さをカバーし、いい映画作品にした監督をないがしろにしてはいけない。彼の作品は内容的に映画製作人に刺激を与えたのであって、その内容はほとんど裕次郎の提供だったのだ。
 
 彼は最初の都知事選に立候補するとき、横田基地の返還あるいは共同利用を「公約」にした。それは全く実現されなかったし、当選後話題にもならなかった。「横田基地の返還」を放擲して、無人島の尖閣諸島に異常な情熱を向け、中国と日本の関係を悪化させたことに関し謝罪をしたということも聞かない。
 
 私に大きな希望は無い。
 
 すくなくとも醜いデマゴギーはやめてほしい。そして「言い放ち」のポーズは、耐えがたくみっともない。
 
 ちゃんと『太陽の季節』を読んでみてほしい。あれをバカバカしく思わないで最後まで「読破」した人を私は知らない。

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