裁判とジャズと映画の日々

革命前夜を知らない者は、その耽美を知らない…

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映画『帰郷』

映画『帰郷』
 帰郷というタイトルのフィルムは何本もあるが、これは神保町シアターの特集「日活100年」の内の1本である。
 
 無論森雅之目当てで観たのだが、やっぱりだった。やはりやたらカッコいいのである。
 
 1957年革命前夜のキューバ駐在の外交官。キューバ市民の貧困を目の当たりにして革命軍に公金を横流しし、反革命政府からも日本()からも追われる身となる。その公金は「博打で穴埋めできる金額だったが、大穴という墓穴を掘ってしまった」という。白いスーツでラムを呑んでいてボガードのよう。
 
 そして渡辺美佐子が一目ぼれし、隠れ家へ来る。ローソクで酒を呑んでいて、渡辺が革命の大義がわからないとか議論になると森が突然「踊ってみませんか?」と言う。森しか言えないセリフ。
 
 渡辺は一目ぼれを告白。森はいつものように「とーぜん」と言った顔。
 
 外で銃声がし、ローソクを消す。暗闇の中でダンスを止めない二人…
 
 死んだはずの森が7年近く経って日本へ帰ってくる。つまり「帰郷」(パスポートはどうしたのだろう?)
 
 顔を覚えていない娘、吉永小百合にまた慕われる。
 
 義父である大学教授の芦田伸介がやたら気にするのは、スキャンダルを恐れることと、娘をとられること。そこで妻に森の帰国を秘密にしろと言う。ところが娘は知ってしまう。
 
 スキャンダルは公金横領の犯罪者としてだろうか?やや不明。なぜなら革命の影の功労者だからだ。それとも「冷戦」でそれもスキャンダルなのだろうか?
 
 カットしたのか、編集意図か、吉永が父親が生きていること、日本に帰ってきていることを知るシーンがない。
 
 森は奈良の「かすが」という素晴らしく借景のいい旅館に泊まっていて、そこを娘が家族に秘密で訪ねる。すると森は「私たちは会うべきではない」と言う。
 
 不自然なのは義父が娘の帰属(父か義父か)にこだわり、全員が右往左往すること。今だったらフレキシブルな関係が結べると思うが、当時は違ったのか?
 
 森が香港に旅立つことで終幕を迎える。中心人物が離日することでストーリーが終わる安易な設定。香港に行く目的も示されないし、やっぱりパスポートはどうしたのだろう?
 
 高橋英樹の役柄もいまいち不明。
 
 原作は大仏次郎で、アクションの日活のもうひとつの面「文芸の日活」作品のようだ。
(クレジットで見ると革命軍の大佐の名がゲバラなのだ。また1950年大庭秀雄監督作品のリメイク)
1964年日活
監督:西河克己

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