歩んだ道と歩む道

さてと、DOする??(´・ω・`)

SHADOW SIDE小説

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自作の仮面ライダー小説、正統な継承者伝説を勝手ながら書いています、あくまで作品へのリスペクトで書いていますので、作品の私物化を図る事でないとここに誓います。もし不服でしたら即刻データの全てを消します 2006年 8月16日 本ブログ管理人Leroy
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第一話 終幕

カサッカは屋上の上空に滞空飛行をしながら、ゆっくりと着陸する、すると一人の女性が降りてきた

「結構早かったんですね」

「魔夜さん!」

良く見ると、それは待ち合わせ場所で月夜とぶつかった、眼鏡の女性だった

「困りますよぉ勝手な事をしちゃあ、本部長に怒られるのは私なんですからぁ、私の事も考えてくださいよぉ」

半ベソかきながら眼鏡の女性は魔夜に泣き付いている

「ごめんなさい、早めに適合者を確認したかったもので」

「それは私がもう既にしたじゃないですかぁ、報告だってちゃんと」

「沙樹さんの言う通り、良い男ね」

沙樹と呼ばれた女性は、顔を赤いリンゴの様に染め上げる

その反応が面白かったのか

手を口の前にしてホホホホとからかってみせる魔夜

「・・・・」

置いてけぼりを食らった月夜は、そのやりとりを無言で見ているしかなかった

色々聞きたい事があるのに、なんだってんだ・・・てか・・・なんで俺こんなに冷静なんだ・・・

そう考えていた時、映像が頭の中に流れ込んでくる

目の前に映るのは

大きく赤い眼と黒い身体の飛蝗に似た怪人

いや、月夜の目にそれは仮面ライダーに見えた

その黒い仮面ライダーはこう呼んでくる

「信彦」

信彦・・・誰の事だ

そして次の瞬間、今度は映像ではなく、情報として直接頭の中に書き込まれる

「・・・秋月・・・信彦・・・SHADOWMOON」

「月夜くん」

名前を呼ばれてはっとした月夜

「え?なに?」

「大丈夫?ボーッとしてたけど」

「あ、ああ、大丈夫・・・かも」

不思議そうな顔をする魔夜、だがすぐに話を切り出す

「私これから本部に戻らないといけないの、聞きたい事はたくさんあるだろうけど、後日お宅に伺わせてもらうね」

そう言って足早にヘリに乗り込み、ヘリは魔夜を乗せて飛び立っていった

何もせずにそれをボーッと見つめていた月夜

1分程経って月夜の携帯が鳴る

美樹からの着信だ

「はい」

「月夜?今何処?」

「屋上」

「屋上!?なんでそんなとこ居るの!?」

「なんでって・・・風に当たりたいなぁって思ってさ」

説明して解って貰えるとは思えないので、お茶を濁す

「まぁいいや、早く戻っておいでよ、待ってるから」

「わかった、今もど・・・・あ」

月夜はすっかり忘れていた

「・・・出入り口・・・壊れてる」

「ええぇ!?」

  第一話「変化」終了

第一話 七幕

静かに魔夜を横たわらせてから、月夜は触手が生えている陥没した床へと飛び、触手を拳で掴み取り、おもむろに引き上げようとするが、それは勢いよく床の中へと潜る

「出てこいよ、大物さん!!」

引き上げられなかったのを悔やむ事なく、次の手として床へとかかと落としを食らわせる

ガンッ!!

堅い物に当たった感触に疑問を感じ、即座にスウェーバックをして一度様子を伺う

そこから飛び出したのは、さっきよりも禍々しい姿へと変貌を遂げたオオトカゲだった

背中には大きな尾ビレが現れ、頭には角が生え、肩にも角と同じ様な鋭い突起物が飛び出している

「驚いたな」

そうは言うものの、実はこれっぽっちも驚いていない月夜、続けて暢気にこんな事も言う

「あんたにベストな名前をプレゼントしてやるよ“リザードマン”どっかのゲームで見たモンスターにそっくりだ」

「キシャアアアアア!!!!」

「ありがとさん、気に入ってくれたみたいで嬉しいぜ!!」

威嚇の咆吼を歓喜の声として聞き流し、リザードマンの顔面へと拳を叩きつけ、その威力で吹き飛びそうになるリザードマンの尻尾の先を掴み取り、引き寄せた勢いに合わせて、再度顔面に拳を叩きつける

リザードマンは反撃に、例の切れ味抜群な細い触手を口から出す、どうやらそれは舌だったようだ

舌の連撃が月夜を襲う、だが月夜には何の問題もなかった

何故なら今の彼の動体視力と反射神経は、人間のそれを凌駕していたのだ

そのうえもともと戦闘力が高かった月夜、彼だからこそ出来る事だとも言っても過言ではない

月夜は不思議だった、何の疑問も感じずに、いつの間にか適応し、闘う状況に慣れてしまっている自分に

だが戸惑ってもいられなかった

自分の猛攻が当たらない事にしびれをきらせたリザードマンは、月夜へと掴み掛かり、仰向けに倒れた月夜にマウントの体制をとる

両腕を塞がれたうえ、2メートルを越す巨体のリザードマンに馬乗りにされれば、それに伴う重圧は半端な物ではない

幾ら強化された月夜よはいえ、今の体制では力任せに持ち上げる事も出来ない、そこに追い打ちを掛ける様に近距離での連撃を再度与えて来る

ただただ攻撃を食らうばかり、このままではいけない、そう思った月夜は、リザードマンの腰へと膝を食らわせる

一度では足りず、二度、三度、何度も食らわせる

そしてそれに耐えかねたのか月夜の倒れている頭上へと飛んでいき、ダメージの蓄積された部位を押さえて呻る

ハンドスプリングで立ち上がり、リザードマンとの間合いを広げる月夜

ダメージは大きかったものの、興奮のあまり痛みに関しての感覚が麻痺してる様だった

先に動き出したのはリザードマン、頭の角を月夜へと向けて突進をかけて来る

月夜はその一撃を交わすと同時に低い体制から腹部への蹴りを放つ

リザードマンの身体は浮き上がり、それをさらに浮き上げるために顔面にアッパーをお見舞いし、ふわりと浮き上がったリザードマンの懐へ潜る月夜

そこからすかさず連続して拳を叩き続ける、もはや無重力状態の様に宙に止まった状態のリザードマン

30発程叩きつけた後に、フィニッシュの一撃として、力一杯の回し蹴り放った

リザードマンは外れたプロペラの様にきりもみしながら飛んで行き、貯水タンクに上半身を埋める。

「やってみるもんだな、空中コンボ」

関心する月夜、だがダメージは大きいはずなのに、リザードマンは咆吼を上げ、貯水タンクを内側から引き裂き、タンクの中の水を辺りにぶちまける

「じゃどお・・・たおず!」

聞き取りにくい声で再び呟くリザードマン

「さっきから気になってたんだけど、なんだよそのシャドーって」

「あなたの事よ・・・」

その声は先程までのびていた魔夜だ、魔夜はゆっくりと立ち上がり、月夜を睨みつける

「気持ち悪くって・・・吐きそうになったんだからね」

「そんな暇なかった様な気がするのは俺の気のせいか?」

苦笑いを浮かべながら彼女の訴えに答える月夜

「んで?俺の事って?」

「あなたのその姿の事よ、シャドー」

「シャドーねぇ・・・しっかしあいつタフだな・・・この身体すごいのは解るんだが、疲れる」

名前の事よりも、今の月夜にとっては、目の前の敵をどうするかが問題だった

「無理もないわ、突然身体能力が向上するんだもの、慣れないと負担が大きいらしいの」

「らしいの?・・・まぁいいや、倒せなくはないと思うけど、これだけ体力を削られると、長期戦はきついな・・・一撃で仕留められる方法はないのか?」

その質問に対して魔夜は、不適な笑みを浮かべ、こう言った

「あるわ、その為に今私が月夜くんの側にいるの」

「?」

どういう事なのか理解出来ない月夜、すると魔夜は、自分がつけていた剣の形を模した金の首飾りを外し、彼に差し出した

「・・・これでどうしろってんだ?まさか投げろとか言うんじゃないだろうな」

「んなわけないでしょ!君って何か渡したらとりあえず投げろって教わったの?いいからそれをベルトの石に近づけて!ほら早く!」

訳もわからず言われるままにする月夜、するとベルトのバックル部分に埋め込まれている月の石が光る、それを浴びた首飾りは、呼応するように輝く

すると月夜の手に、突然ずっしりと重みが生じ、そこには金色の長剣が現れる

鞘から引き抜くと、刃の部分は赤く、柄の部分がナックルガードの様になっていて、赤い宝玉が仕込まれていた

「これは?」

月夜が魔夜に訪ねると

“サタンサーベル”君を守ってくれる、心強い君の相棒よ、これは君以外には扱えない、特別な剣なの」

「俺の・・・剣?」

「来るわ!」

上空から奇襲してきたリザードマン、月夜は魔夜を抱え、その奇襲を交わして、背中の尾ビレを切り落とす

「ギャアアアアアアアア!!!!!!!!」

断末魔の様な咆吼を挙げながら、跳躍して距離を取るリザードマン

「すごい切れ味だな・・・」

「でしょ?それなら一撃で仕留められるわ!」

「オッケー・・・下がってろ、一撃で仕留めてやる」

文字通り鬼に金棒と言った形で、リザードマンへ剣を構える月夜、両手にぐっと力を込めたその時、刀身が赤く光る

苦悶の声を上げながら背中からは毒々しい緑の血を流し、リザードマンは斬りつけてきた銀色の剣士に奇襲をかける、高々と跳躍し、再び舌の連撃を仕掛けてくる

細く切れ味鋭い触手の様な舌が月夜を切り刻まんと襲いかかる

だがそれはすでに予測されていた、前方へと飛び攻撃を避け、着地に合わせてリザードマンの背後に兜割りの一撃を振り下ろす

一刀両断されたリザードマンは真っ二つとなり、どういう事か爆散する

そこに残されたのは、緑色の血溜りだった

「終わったな」

刃についた血を一降りで飛ばしながら、ため息混じりに呟く

「お疲れ様」

「それで」

魔夜の側に近づき、剣を床に突き立てた月夜。

「どう解くんだ?これ」

「え?」

「え?じゃなくって」

「解けてるよ」

「え?」

月夜が自らの身体を見ると、今朝出る前に羽織った黒のジャケットの袖が目に入る、元の姿に戻った。

「い・・・いつの間に」

だが疑問が一つ、感覚だけが妙に冴えている、視覚は元に戻ったが、聴覚、嗅覚、そして今までに感じ得なかった触感、小さくかすかな空気の流れが肌で感じ取れる

どうなってるんだ俺は・・・何故こんな・・・

また月夜に疑問の波が押し寄せて来る

「ああ、しばらくすればその敏感すぎる五感も治るから、安心して」

「ん?あ、ああ、そうか」

「ようこそ“SPRITS”へ」

「・・・スピリッツ?」

何を言ってるんだ?こいつは

と言った形で魔夜を見据えている月夜、さらに魔夜は続ける。

「今日から君は私たちと共に闘うSPRITSのメンバーよ」

「・・・え?」

「え?じゃなくって、さっきみたいなあいつと君は闘うの」

「何で俺が」

「馴染んでたじゃ〜ん」

「お前やっぱ変わってるよなキャラ!てかSPRITSって何だよ、闘うったってなんってえええええ!?」

月夜は顎がはずれる勢いで驚愕の表情を作っていた、リザードマンが居た場所には煙が立ち籠めている

「な!あれ大丈夫なのか!?」

「大丈夫って?」

「ボワッ!って燃え上がったりとか、そんなんないよな?そういやぁさっき爆発だってしたし、またボンッ!って」

「大丈夫よ」

そう言って魔夜は、月夜の横に突き立てたサタンサーベルに軽く振れる、そして月夜に見てこう言った

「サタンサーベルをお願いね」

バタバタとけたたましい音を鳴らし、一機のカサッカがビル沿いに屋上へと上がってくる、それには大きくエンブレムが記されていた

SPRITS

第一話 六幕

世界は最低でも過去に2度、謎の巨大組織に大きな襲撃を受けていた

その2度の襲撃に月夜は、ある一人の戦士によって2度助けられた

1度は、まだ月夜が小学6年生に上がって間もない頃

ある大きな組織が、人類へ矛を向けた

BADAN

それは、世界に向けて”宣戦布告”をした事が始まりだった

最初に彼らの猛威が振るわれたのは世界各地に点在する軍事拠点だった

最初にノーラッド、そこからマクガイヤー、ドーバー、ハンスコムと、次々にニューヨーク近郊空軍基地が襲われ

ロシア、中国、NATの諸国、中東、中央アジア、一部を抜かした全ての軍事拠点を、わずか20時間で破壊

その時点ではおそらく、世界中で数千人におよぶ死傷者が予想され、もはや被害の正確な確認はおろか、救援すら出来ない状況だった

その4ヶ月後

一時沈黙を続けていたBADANは再び動き出し、東京、モスクワ、パリ、シドニー、ロサンゼルスの上空に同時発生させた巨大な“魔法陣”で、人間誘拐を目論む

だがそれは、たった10人の戦士によって阻止された

月夜は、その戦士のうち2人を目にしていた

それは彼が、横浜に有森一家と共に遊びに行った時の事、突然BADANの襲撃を受ける

ヘリからの要請で避難をする事にした月夜と有森一家、だが突然身体の自由が効かなくなる

そこにカマキリの様な姿の怪人と、宣戦布告時の放送と、空軍基地襲撃時の映像に映っていたBADANの赤い怪人が、人混みの中で戦闘を繰り広げる

その場にいる誰もが殺されると思い絶望した、だが結果、死者は一人として出なかった

襲撃の事だけでパニックになっていた皆と違い、月夜はその状況を次の様に語る

「赤いヤツは俺たちをあのカマキリから守ってくれたんだ」

その時は誰も彼の言う事を認めなかった、だが後に人々は認めざるを得ない事となる

赤い怪人は“仮面ライダーZX(ゼクロス)”と名乗り、見事BADANから世界を救った

そして2度目は、その4年後。

秘密裏に侵攻を続けて来た異世界からの侵略者“クライシス帝国”が、突如として東京を中心に総攻撃を開始、世界各地を襲撃する

その中のとある避難施設で月夜は、避難民のために何か出来る事はないかと思い、赤十字の救援スタッフとしてがむしゃらに働いていた

だがある日、その避難施設にクライシスの戦闘員と怪人が襲撃してきたのだ

月夜は配備されていた護衛部隊と共に、怪我人を安全地帯へ誘導をしていた、もうすぐで施設の外へ出られると思った所を見つかってしまう

戦闘員の指揮をしていたのは、右腕がチェーンソーになっている機械仕掛けの怪人

その怪人は彼らを拘束、および処刑をする様命じられていた

最初に選ばれたのは、大声で怪我人だけを助けるように訴える月夜だった

戦闘員に両腕を押さえつけられ身動きがとれない、そこに右腕のチェーンソーを振り下ろそうとする怪人

だがその直後、2つのエンジン音が轟き、戦闘員を轢き飛ばしながら月夜の元へと近づいてくる

それの正体は、変わったデザインのバイクに跨った2人のライダーだった、彼らはポーズを取り声を揃え叫ぶ

「変身!」

周囲に強い風の流れが現れ、彼らを包む

そこに立っていたのは2人の仮面の戦士

1人は銀色のグローブとブーツ、黒のライダースーツにストライプが2本の、飛蝗に良く似た赤い目のライダー

仮面ライダー1号

そしてもう1人は、月夜を拘束していた戦闘員を一瞬で撃破

「大丈夫か?もう心配ない」

助けてくれたライダーは月夜に囁きかける、その姿を見た月夜は驚きを隠せなかった

そう、そこに立っていたのは紛れもなく、以前横浜で助けられて、BADANから人類を救った赤き英雄

仮面ライダーZXだった

その後彼らを含め、11人のライダーによって世界は再び救われる。


                    仮面ライダー

今まさに月夜は、その仮面ライダーに似た姿へと変貌を遂げていたのだった

「俺が・・・仮面ライダーに」

困惑する月夜、そして少し考えて

「・・・・ねぇ・・・」

「え?」

小声で何かを呟く、それが聞き取れなかったらしく魔夜は聞き返す

すると月夜は大きな声で叫ぶ

「いらねぇ!!!!」

突然の叫びにギョッとする魔夜

「いらねぇよこんなの!!普通でいいんだよ俺は!!何で俺なんだよ!!解けよこれ!!てかどう解くんだよ!!」

魔夜の両肩を掴み、前後にガックンガックンと揺さぶり強く訴える月夜、魔夜は目をぐるんぐるん回してのびてしまった

「あ・・・」

やりすぎた・・・っと後悔している月夜の背中に、斬りつける様な衝撃が走る

即座に月夜は後ろを振り向いた、オオトカゲが埋もれている床の中から細い触手が一本、その場に存在する物を手当たり次第斬りつけ、破壊する

「くそっ!今は悔やんでも仕方ないか」

第一話 五幕

「それに、あなたが闘わないと、さっきの人の様に関係のない人間が傷つく事になるわ」

半分脅迫の様に言い加える魔夜。そしてしばらく考えて月夜は口を開く

「聞いていいか・・・理由は解らないけど、俺のせいでさっきの人は怪我したんだな?」

そう確認をする様に月夜は魔夜に訪ねた

それに対して魔夜は、少し間を置いてこう答える

「ええ・・・そうよ」

それを聞いた瞬間、彼の目は決意の念に満ちていた。

「上等だ・・・わっけ解らないけど、相手は勝手に俺を殺す気でいる、そんな理不尽な話しあるか!しかもそのせいで関係ない人が巻き込まれるのはもっと納得いかない!言いたい事は山ほどあるけど、それはとりあえず置いといて、今は俺が持ってるイライラを全部あのクソ野郎に叩きつける!それで文句ないな?」

そう言い終えた月夜は、魔夜を睨みつける様な鋭い眼光で貫く、予想外の迫力に悪寒を感じた魔夜は、自分が一歩下がっていた事に驚く

どうやら決意の念ではなく、怒りに近い念に満ちていたようだ

いや、むしろ溢れている

「は・・・はい、すみません」

「何で謝んだよ」

「え!?いや・・・その」

鋭さから疑いへと変わりつつも、大事な事を思い出した月夜。

「ところで・・・どうやって闘うんだ?」

そう、闘う術がない

格闘術に関して月夜は、親代わりの有森父が趣味の一環でやっていたのを、遊びついでに教わっていた事もあり、人並み以上に闘える

実際、彼が高校在学中に残した武勇伝は数多く、20人を一人で相手をして勝ちを収めた

噂を聞いた他校からの襲撃も門前で全滅させたなどと無理のある伝説があり、その為に”無敗の男”とまで呼ばれていた事もある

ただこの武勇伝には隠された本当の話があり

どの武勇伝もただ月夜が喧嘩の仲裁やいじめの現場を武を持って制止させたと言うだけの事であり、本人の性格とイメージに関しては

鬼の様な顔で、背丈が190cmを越す大男で、進路はK-1の選手だとか

全くのでたらめが今でも一人歩きしている

月夜はどちらかと言うと童顔寄りの顔立ちで、身長も173cmと普通である

そして今回の相手は全長2メートル半はあるであろうオオトカゲの怪人

いくら数々の武勇伝を持つ月夜でも、格闘術でどうこうなる様に甘い相手ではない

その事に頭を悩ませていた月夜、それに相反して魔夜は待ってましたとばかりに軽い口調で

「大丈夫、その為に私はあなたを捜していたの、あなたにこれを授けるために」

そう言って差し出されたのはエメラルドグリーンの丸い水晶の様な物だった、大きさは手の平に十分収まる程度

それを差し出された月夜は反射的に手に取る

「これは?」

「賢者の石“キングストーン”“月の石”とも呼ばれていたわ」

「月の石?大阪万博で展示されてた?」

「そうって違う!!それは月に転がってる石ころでしょ!てか君良く知ってるね・・・これは、月の光に影響を受ける所から、月の石と呼ばれているの」

天然のボケに対してノリつっこみをする魔夜

何の事だか良く解らず月夜は

「これを、どうすれば?まさかこれを投げつけろとか言うんじゃないよな」

「そんなはずないでしょ!それをどう使うかは石が教えてくれるはずよ」

石が教えてくれる、真顔でそう言われても現実離れしたこの状況でなくとも、疑わしい事このうえないのは確かだった

すると入り口の方から耳障りな鳴き声が聞こえてくる、オオトカゲがゆっくりと階段を上がって来て、ドアを引きちぎり闘争本能をむき出しにしている

「来た!」

「早くして!」

「そんな事言ったってどうすれば!・・・え?」

突然石が手の平からふわふわと浮かび上がり、怪人の方へと飛んでいく

怪人もそのあまりの勢いに耐えられず、そのまま後ろにあった屋上の入り口目掛けて吹っ飛ぶ

コンクリートが破砕する音の中、石だけが勢い良く戻って来る、だが様子がおかしい、怪人へ向かっていった時と同じスピードで月夜へと飛んでくるのだ

月夜は反射的に交わすそうとした、だが石はその動きを予想していたと言わんばかりのあり得ない軌道で月夜の腹部へと潜り込んだ

金網を突き破り、月夜の身体は宙に投げ出され、重力に任せて地面へと吸い寄せられる

その様なヴィジョンが、彼の脳裏には映し出されていた事であろう

だがなんともない、見ると

月の石は消えていた

「あ・・・え?何処に」

「大丈夫、もうあなたは力を手にしたわ」

力?何の事だ?そう思考を巡られていたその時、腹部に冷たい感覚がする。

「え?」

気がつくとそこには黒いベルトの様な物が装着されていた

「なんだよこれ・・・うわっ!だっせ!あれ?外れね!」

戸惑いつつもストレートに装着した感想を述べる月夜、すぐさま近くで笑いを堪えている魔夜へと問いかける月夜。

「これなんだよ!!こんなんいらねぇよ!!てかどう外すんだよ!お前知ってんだろ!」

「月夜くんおもしろ〜い!」

「言ってる場合か!!!」

わいわいやってる間、コンクリートの瓦礫の中から這い上がる物が

吹っ飛ばされた先程のオオトカゲだ

「キシャアアアアア!!!!」

「うるせぇ!!話し終わってないんだ!黙ってろ!!!!!」

そうとう頭に血が上っているらしく、気迫だけで怪人を怖じ気づかせる男

白崎月夜、恐らく後にも先にもこんな男は現れないだろう

だがそれはたった一瞬で、次の瞬間オオトカゲはベルトを外そうとあたふたしている月夜の懐に入り、左手の甲で顔面へと横殴りな一撃を食らわせる

瞬時に防御を試みるも、その勢いに勝てず月夜は、オオトカゲが這い上がった瓦礫へと吸い込まれるようにダイブする

「月夜くん!!」

魔夜は叫ぶと同時に後悔した

知っていたのに何故、素直に教えてあげれば良かった、自分の天の邪鬼な性格のせいでパートナーを死なせちゃった・・・ああ・・・どうしよう私

彼女は絶望した

「終わった・・・全てが終わった」

へたり込む魔夜にゆっくりと怪人が近づいてくる

「つ・・・ぎは・・・おばえ・・」

そう言って腕を上げ叩き潰す体制でいる怪人、だがそれは振り下ろされる事はなかった

何故なら瓦礫の方から音がし、そこから何かが立ち上がったからだ。

「ああくそっ!びっくりしたなぁ」

聞こえてくるのは吹っ飛ばされた事を忌々しそうに語る月夜の声だった

それを見た魔夜は絶望から希望に満ちあふれた表情をしている、だがすぐ異変に気付く魔夜、そこに立っていたのは人型ではあったが月夜の姿ではなかった

「ああ、ホコリが、ん?」

ホコリを振り払う自分の手を見て彼は驚いた、いつも見慣れて何とも思わない自分の手なのだがこの時だけはおかしかった

手の甲には白銀の鉄板の様な物があり、指にも着いている

腕全体を見るとメタリックな装飾が施される、だが映画などで良く見る西洋騎士の鎧とは違って軽い感覚がする

試しに指で弾いてみる月夜

キーン!

「・・・あ?」

予想に反して小気味良いその音は、金属を弾いた音と言うより、クリスタルで出来たグラスを弾いた様に軽い

だからと言って強度が無いようには感じられず、例えるならば神話やおとぎ話に出てくる伝説の金属物 “ミスリル”“オリハルコン”と言った感じだ

もちろんそれはあくまで例え、確認されていない未知の金属物であり、月夜はそれを触った事もなければ見たこともないから定かではない

その奥には白く、見た所“ポリエステル”に近い質感の物がある

それを触ると、とても馴染みのある感覚だった、それは服の上から地肌を触った時の感覚のそれだった

白い部分は衣服だったのだ

変わったのは腕部だけではなかった、脚部も胸部も輝く白銀の鎧を纏っている

そしてまた一つ異変に気付く月夜、やけに視野が広い、正面はもちろん真横、後ろ斜めにある大きな看板まで視界に入り、有り得ない程クリアに見える

「いったい・・・これは」

そう呟きながら手を頬へと伸ばす

冷たく堅い

そのまま額の方へ持って行くと、指先に何かが当たる。

「つ・・・角?」

疑問の迷宮へ迷い込んだ月夜を、今度こそ仕留めようと動く怪人は、高々と跳躍をして鋭い爪の一撃を首筋目掛けて振り下ろしてきた

キシィーンと金属のぶつかる音が響く

月夜は微動だにしなかった、回避は出来たはずだったが、何故だか無意識にそれは必要ないと感じ、手の甲でガードをしたのだ

「ちょっと・・・おまえ邪魔!!」

怪人の首をシュッと掴み、一度持ち上げてコンクリートの床に叩きつけ、次には拳を叩きつける、するとオオトカゲは床にめり込む

しばらく動かなくなった事を確認してゆっくりと魔夜の方へと歩いていく月夜、そして彼女に問う

「これなに」

「え?」

「え?じゃなくてこれなに」

「何って言われても、それがあなたの力よ」

「・・・」

またそれかっと言う顔をする月夜、だがそれは隅に置いといて一つ訪ねる

「俺どうなってる?」

「かっこいいよ」

「そうじゃない!お前最初とキャラ変わってないか?」

「いやぁ〜そんな事ないってぇ〜」

「ほら口調変わってる!さっきまでの演技かよお前!」

ビシッ!と指を突き出して訴えている月夜を魔夜は、吹けないくせに口笛を吹く様な動作を繰り返している

「まぁいいや・・・」

諦めた月夜は一番気になってる事を自らの目で確認をしようと思い彼女に問う。

「鏡持ってない?」

キョトンとした顔で月夜を見る魔夜

「何に使うの?」

「自分の姿を確認するの」

「あぁ!なぁるほど」

目的が理解出来た魔夜はスカートのポケットに入っていた手鏡を開いて月夜に向ける

月夜は驚いた、そこに映っていたのは、銀色が全体を締めていて

さっきの石と同じエメラルドグリーンの大きく丸い両目を持ち、頭の上には触覚らしき物があり、口には鋭い牙がある

「これが・・・俺?」

深く頷く魔夜

月夜は何かの昆虫の様に変わり果てた自分の姿を、何処かで見たような気がしていた、それはすぐに思い出される

第一話 四幕

「お待たせいたしました皆様!この映画の主演、イワン=フォールの登場です!!」

映画の試写が終わり、注意事項の説明など司会進行の女性が述べてから間もなく、その言葉を引き金に会場は黄色い声でいっぱいとなった

誰もが待ち望んだ瞬間である、ただ一人を抜かして

「来なきゃ良かった・・・」

映画の内容が気に召さなかったらしく、ご機嫌斜めと言うより、ひっくり返ってどん底に落ちると言った方が近い月夜は

極力周りに聞こえない程度に愚痴をこぼした

早くこの会場から出たい一心の彼とは対照的に、美樹はこの場の空気と完全に一体化している

彼女にとって映画の内容などどうでも良いらしく、イワンが出る度に目をきらきらさせていただけであった

それは彼女だけに限らず、今まさに歓喜の声をあげている女性全員に言える事だろう

「こんな時にはいいかもな、人が消えるのも」

「お望みならするわ」

「へぇ、そりゃいい・・・・え?」

月夜の独り言に対して返事を返したのは月夜の隣に座っていた長い黒髪の女性だった、どこかで聞き覚えのある声

「・・・まさか」

「言ったでしょ?また会いに行くって、だから来たわ」

彼女がニッコリした瞬間、再び周りが静かになる、たださっきと様子が違うのが、人が消えていない

「え?え?・・・ええええ!?」

謎は深まるばかりであった

混乱している月夜の手を引いて席を立つ黒髪の女性、彼女は月夜と一緒に会場から出る

「ちょ、どうなってんだ?これ」

「まずは何か飲みましょう、話はその後よ」

と言った途端、止まっていた世界に再び時が刻まれた

「何飲む?」

「え?いや」

「マンゴージュースでいいかしら?すみません、マンゴージュース二つください」

「・・・」

完全に相手のペースにのまれている月夜、半分諦めがついてる様子だ、理由は美樹にあるものと思われる

どうして俺はこう流されやすいんだろうか、マイペースってのが俺だけ無いようなきがする・・・こなくそ・・・誰に怒りをぶつければいい

と彼がまた頭の中で愚痴をこぼしていたところ、プラスチックのコップにストローが入ったマンゴージュースを渡される

「こっち座って」

言われて渋々彼女の座ってるカウンターテーブルの椅子の隣に座る

周りには二人以外に誰もいない、何故ならいま中ではトークライブの真っ最中、ファンが出てくるはずもない

月夜はジュースを一口飲み、すぐさま確認も兼ねて話を切り出した

「んじゃ約束通り、俺から聞きたい事を聞く、その後に君の話を聞く、それでいいね?」

「ええ、いいわよ」

安心するくらいに満面の笑みを浮かべて彼女は月夜を観る、月夜は照れくさくなり無意識に合わせていた目線を反らす

「えっと、まずは君の事だ、君は何者?」

「私は“月影魔夜”あなたのパートナーよ」

「パートナー?なんの?」

「これから始まる闘いの」

「!!」

質問してすぐジュースを口にした瞬間に、予想外と言うより普通は予想出来るはずもない答えが返って来た事に驚き、吹き出しそうになるのを何とか耐える月夜

「ちょ、待てよ、なんの冗談だよそれ」

「これは冗談じゃないのよ月夜くん」

突然名前を呼ばれた事に少し疑問を感じたものを、とりあえずそれを伏せて予定通りの質問をする

「闘いがどうとかはさておき、あんな事しなくても他に何らかの方法があったはずだ、関係ない人を巻き込んで・・・幸い命に別状はなかったみたいだから良かったけど、あれで何かあったらどうすんだよ・・・そういうの俺、いやなんだ」

「あれは仕方がなかったの」

諭す口調で語っている月夜の言葉を遮り理由を語る魔夜

「あれは・・・あの場に居たほとんどの人が狙われていたの、特に月夜くん、あなた」

「どういう事?狙われていたって、いったい何から、それに特に俺っていったい・・・!」

と聞き返した瞬間、只ならぬ気配を感じ、月夜は劇場入り口の方に目を向けた

雨も降っていないのにレインコートを羽織り、フードを深く被っている男がそこに立っていて何かぶつぶつ呟いている

「あぶない!」

そう魔夜は叫び、月夜の裾を掴んでカウンターから離れた

すると彼が座っていた椅子が真っ二つに割れ、椅子は何か鋭利な刃物で切られたように綺麗に縦真っ二つ

その後カウンターが崩れ、その向こうにいた女性店員が悲鳴をあげる

「何処かに隠れて!早く!」

魔夜が店員に訴えたのも虚しく、二人居た店員のうち男性の一人が崩れて血を流す

もう一人の女性店員は奥の厨房へと奇声をあげながら逃げて行った

すぐさま倒れた店員の方へと駆け寄る魔夜、すると厨房からエプロンをしバンダナを巻いた青年が出て来た

異様な状況にしばらく唖然とする、だが即座に倒れた店員を目にした途端、彼の方へと駆け寄る

「三沢!おい!大丈夫か!三沢!」

「大丈夫、傷は深くないわ、中に入れて止血してあげて、救急箱か何かあるでしょ?急いで」

一言一言丁寧に厨房から出てきた店員にそう促すと、店員は無言で頷き倒れていた仲間を担いで、厨房の中へと入った

「なんなんだこれ、どうして突然椅子が割れたりカウンターが崩れたり人が倒れたり、なんなんだよいったい、何が起こってんだよ・・・」

状況を全く飲み込めないでいる月夜は、ただそれを立ったまま動かず周りを見ているだけだった

「やっぱりまだ身を潜めていたのね・・・」

ゆっくりとカウンターから出て月夜の側につく魔夜、その彼女の一言が気になり月夜は聞き返す

「潜めてたって、今のあいつがやったのか?」

「そう、全てあいつがやったの。さっきの事故も・・・」

「あいつ何かしたの・・・な!?」

月夜は言葉の途中で驚愕の呻きをあげた、男が羽織っていたレインコートを脱いだ姿が異形の姿だったからだ

まるでそれは、2足歩行を覚えた大型のハ虫類、コモドオオトカゲの様な

「ば、化け物?・・・だって、さっきまで人だったじゃないか・・・」

オオトカゲが何か呟いている

「しゃどぼ・・・げず」

オオトカゲはその言葉を何度も何度も繰り返し、月夜と魔夜の方へと徐々に近づいてくる

「・・・嘘だろ」

呆然と立ちつくすしかなかった月夜を突き動かしたのは、隣にいた魔夜だった、魔夜はぐっと月夜の手を掴んで強い口調で言い放つ

「来て!」

一言叩き込まれて、ハッとした月夜は彼女に引かれて走り出す

向かった先には非常階段がある、上に向かう階段には関係者以外立ち入り禁止の札が鎖にくくりついている

その下を潜って上へと向かう魔夜に対して月夜は訴える

「なんで上に行くんだよ、逃げるなら下だろ」

「下は駄目、関係のない人達を闘いに巻き込んでしまう」

その言葉を聞いた月夜の中は何かが弾けた、彼は魔夜に掴まれている手を振り解く

「なら俺を巻き込むな!俺は関係ないだろ!」

「あいつはあなたを狙ってるのよ!他の関係ない人を傷つけたいの?さっき嫌だって言ったのは嘘なの?そうなの!?」

言われて黙る月夜、再度腕を捕まれて階段を駆け上がる。

「お願い、あなたしかいないの」

納得がいかない月夜に向かって、言い聞かせるように話す魔夜

「どうして俺が」

「賢者の石があなたを選んだの、迷惑かもしれないけど、あなたは闘わなければいけない、でなきゃあなた・・・」

バン!と開け放たれたドア、二人がたどり着いたそこは屋上だった、そして魔夜はさっきの台詞の続きを口にし、それを聞いた月夜は驚愕した

「死ぬわ、それでもいいの?」

もはや選ぶ権利は完全にないと宣告されてしまった月夜、またも一抹の不安と恐怖にかられる

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