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ルソーの肖像画

(前置き)
フランスの発明家であるジョセフ・ニセフォール・ニエプスが1826〜1827年に撮った「ル・グラの自宅の窓からの眺め」が、最初の写真と言われています。しかし、これは露光時間が8時間と長く、実用には程遠いものでした。
1839年、ルイ・ジャック・マンデ・ダゲール(仏)は、ニエプスの発明を引き継ぎ、銅版に像を定着させる方法を発表しました。このカメラの露光時間は1〜2分でした。(ダゲレオタイプ)
1840年に入り、ウイリアム・フォックス・タルボット(英)が、ネガ・ポジの原理を発見して、現在の銀塩写真の基礎を作りました(カロタイプ)
こうして写真は複製が可能となったのです。

さて、写真の発明で、絵画の価値は大きく変化しました。写真による記憶の蓄積が可能となった20世紀は、絵画の表現様式やモティーフなどに新しい試みへの模索が始まりました。
しかし、「肖像画」だけはまだ美術的評価が高く、古典的表現にも人気があり、注文も多かったようです。
「肖像画」を求める客の好みは、鏡に映したような似せ絵か、ビジュアル的に描かれることでした。画家は写実的描写を基本に、それぞれの個性を強調するような絵画を求められました。

アンリ・ルソーも注文に応じて「肖像画」を制作しました。写実性は身体の正確な測定からくると信じていたルソーは、モデルの全身をパーツごとに数値化し、縮尺でキャンバスに写しとったといわれています。しかも、絵の具のチューブをモデルの顔のそばにつきつけて、正確な肌色を見つけようとしました。

「自画像」 2番目の妻 「ジョゼフィーヌ・ルソー」 
                         1900〜1903年制作 ルーヴル美術館
イメージ 1

その結果が奥さんの肖像画にも反映されているのでしょうね。
ルソーよりずうっと年上に見えますよ。う〜〜ん、きれいに描いてあげればよかったのにね〜〜、思わずダメ出ししちゃいました(^_^;)
地味な人だったのかもしれないけど、なんとなく奥さんが寂しそうなんですもの。

「詩人に霊感を与えるミューズ」 1909年 バーゼル市立美術館
イメージ 2ルソーの代表的な肖像画で、モデルはギョーム・アポリネールとマリー・ローランサンです。この絵も写実性からかなり逸脱してますよね。
お二人さんもどう感じたのかしら?ローランサンなんか、「エエッ!うっそー!わたしはもっと美人よ!」て思ったんじゃないかしら。
でも、ルソーは、いたって真面目に、アポリネールとローランサンの全身を巻尺ではかり、それらの測定値を基に、キャンバスに縮尺して描いたのです。
背景はリュクサンブール公園です。が、これもルソーならではの現実離れした世界です。
神話を題材にした肖像画ですから、「絵」として観るととても神秘的で良いですね。

自然に忠実に模倣しようと思えば思うほど、写実からどんどん遠ざかっていくルソーの「肖像画」。世間の物笑いの種になったといいますが、わたしは、彼の真面目さ、律儀さが愛おしいです。
きっと友人たちもルソーを好きだったのでしょう。
ピカソは、ルソーのためにパーティを開いたのですから。

「ジュニエ爺さんの馬車」 1908年 オランジュリー美術館
イメージ 3

このように明るい絵もあります。ルソーの肖像画は、モデルが皆正面を向いています。まるで、記念写真を撮るときのようです。ほとんど緊張した面持ちが多いです。
しかし、この絵は遠近法を用い、人々と背後の木々、馬車と二匹の大きさの異なる犬、などバランスがすばらしいです。練りに練った構図ですし、色彩も鮮やかです。
これはルソーにとって自信作のひとつじゃないでしょうか。

「子供と操り人形」 1903年頃 ヴィンタートゥール美術館
イメージ 4

ルソーは子供の絵も描きました。頭が大きすぎて、不評をかったこともありました。
彼は、4人の子供を結核で喪っています。二人の妻にも先立たれ、家庭は恵まれなかったようです。
子供が手にするピエロの人形は、ルソー自身でしょうか。
花にかこまれ、ふくよかに微笑む子供。
「楽しいことはすべて子供が持っていて、自分もまた子供のままで社会を生きている。」
それが、道化師を演じ続けたルソーの処世術だったのかもしれません。

閉じる コメント(18)

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寸法を測れば測るほど写実から離れるというルソー特有のリアリズムがおもしろいですネ。^^
あの本に書いてあったんですが、モデルはほんど真正面を向いているというのも、遠近法になじめなかった理由だと記されていました。それでヘンになってしまうんでしょうね。ルソーと対象との子供のような距離感に興味もってます。♪

2008/3/9(日) 午前 1:21 [ ひろmahler=^・^= ] 返信する

写真の歴史、ためになりました。漠然と時代は理解したのですが、ここまで詳しくは知りませんでした。
ルソーは細部を気にしすぎて全体のバランスが取れなかったのでしょうか。でも色彩のバランスは見事です。

2008/3/9(日) 午後 4:17 haru21012000 返信する

☆ひろさま
こんばんは〜♪いつもコメントありがとうございます。
ルソーの人物画てなんでいつも真正面向いてるのかな〜〜と思ってたんですけど、こういうことだったんですね。わたしもやっと分かりました(*^_^*)
ルソーの子供のようなピュアな感性、わたしも大いに興味ありますよ!

2008/3/10(月) 午前 0:49 les fleurs 返信する

☆haruさま
こんばんは〜♪haruさまのブログの「岩の上の子供」読ませていただきました。ルソーは写真から写してたんですか!色彩のバランスがキュビスムを生んだといわれていますね。
いつもコメントありがとうございます(*^_^*)

2008/3/10(月) 午前 0:52 les fleurs 返信する

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「写実性は身体の正確な測定からくると信じていたルソー」正確に測定するかどうかは別としても、写実的にモチーフを表現する際は理にかなった理屈なんですよね。私も少し絵を描きますが、肖像を描く際は顔の輪郭の縦横の比率や目と鼻の位置など少しずれただけで全然別人になりますものね。理論的にはルソーの理屈は正しい筈なんですけどね・・・。私が感ずるルソーの魅力は描く対象の組み合わせがユニークであることと、色彩感覚の素晴らしさかな・・・

2008/3/10(月) 午前 5:48 [ lax**40 ] 返信する

ルソーの絵は、決して上手とはいえないですが、
彼の哲学と同じで、魅力的ですよね。
傑作ポチです。

2008/3/10(月) 午後 2:11 [ jon*p*tjap*n ] 返信する

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ルソーって絵も残してたんですね。
でもルソーも妻もおっさんに見える・・。

2008/3/10(月) 午後 8:32 baketurirei 返信する

☆lax3140さま
こんばんは〜♪あら、laxさまは絵もお描きになるのですね。是非拝見したいものです(*^_^*)
ルソーの写実は、風景画でも独特ですよね。パリの風景画異次元の世界に見えますもの。それが、観る側にとっては醍醐味です。
いつもコメントありがとうございます(^_-)-☆

2008/3/10(月) 午後 11:30 les fleurs 返信する

☆よなさま
こんばんは〜♪
いつもよなさまのブログを参考にさせていただいていますm(__)m
ルソーの魅力、よなさまのおっしゃるとおりです。
コメントプラスポチ、ありがとうございます(*^_^*)

2008/3/10(月) 午後 11:33 les fleurs 返信する

☆bakeさま
こんばんは〜♪早速のご訪問にコメントまでいただきありがとうございます(*^_^*)
bakeさまのイラストもインパクトありますよ。しかもふきだしも最高!これからもよろしくお願いいたしますm(__)m

2008/3/10(月) 午後 11:36 les fleurs 返信する

les-fleurs様、おはようございます。m(__)m
ご無沙汰をしてしまいまして、すみませんでした。m(__)m
アンリ・ルソーの肖像画、見ていると本当に心が和むといいましょうか、誰もがニコッと明るい気持ちにさせて下さる気がします。
4人の子供や奥さんたちを亡くされても、絵の中になんら陰鬱なものはないのは、きっと不幸をたくさん知ってしまったから、もうこれ以上絵の中に不幸は描きたくないと思われたのかもしれませんね。ルソー私も大好きです。愛すべき画家ですね。ポチっと・・。
les-fleursさんのご説明でルソーに益々興味が湧いてきました。
ありがとうございました。m(__)m

2008/3/15(土) 午前 5:11 [ 優しいよっちゃん ] 返信する

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3枚目の馬車の絵、オランジュリー美術館で本物を見ました。
ルソー、独特の雰囲気を放ちやっぱりやっぱり素敵ですね!

2008/3/16(日) 午前 1:24 tabinin_z 返信する

☆よっちゃんさま
こんばんは〜♪お忙しいのにいつもご丁寧なコメントをありがとうございます。私のほうこそ、お返事が遅れてすみませんでしたm(__)m
ルソーの絵は、よっちゃんさまがおっしゃるとおり、陰鬱なものがないです。たとえ、残酷なシーンでも、襲ってるライオンも可愛く見えちゃいます。よっちゃんさまもルソーをお好きとのこと、とてもうれしいです(*^_^*)

2008/3/16(日) 午後 8:49 les fleurs 返信する

☆まちゅさま
こんばんは〜♪そうですか!わたしも実物を観たことがあります。
平和な明るさ溢れる素敵な絵ですね。
コメントありがとうございます(*^_^*)

2008/3/16(日) 午後 8:53 les fleurs 返信する

おはようございます。
ルソーってアカデミックな美術教育を受けていない
いわば趣味の画家さんだったように記憶しています。
でもいわば「偉大なヘタウマ」なんですよね〜
アマチュアリズムが芸術の域に達しているのは
凄いと思います。
プロの作家でも一向に目が出ない人たくさんいますから・・・
というかその方が多いのかな。

写真と絵画は決定的に違う所があって
それは「人の目と手」を経ていないということで
描く人の心を経由していないということなのでは
ないかと思っています。
古今の絵画が素晴らしいのはその時代の芸術家の
心の息吹が作品に投影されているからなんだと・・・
偉そうに(^^;)私なんか思っています。

2012/1/8(日) 午前 8:19 [ 名無しの権兵衛 ] 返信する

☆リッチーさま
こんばんは〜♪大好きなルソーの記事にコメントありがとうございます(*^。^*)
ルソーはジャングルの絵も、近所の植物園や図書館で、動植物を調べてから描いたそうです。
きっとこのように見えるのでしょうね。
「ヘタウマ」どころか、誰もこのように描けないです。ピカソが密かに収集していた気持ちも分かるような気がします。
「人の目と手」と「人の心」が繋がる絵が、名画たるゆえんですね。
リッチーさまのコメントは、いつも考えさせられます(^_-)-☆

2012/1/11(水) 午前 0:50 les fleurs 返信する

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こんにちは。
映画や文学のブログを書いているふじまるです。
今回は詩人アポリネールの記事を書きました。
よかったら覗いてください。

2012/10/26(金) 午後 8:01 [ ふじまる ] 返信する

☆ふじまるさま
こんばんは〜♪初めまして〜!
コメントありがとうございます(*^。^*)
はい、訪問させていただきます。
映画や文学、ほとんど知らないので楽しみです(^_-)-☆

2012/10/27(土) 午前 1:07 les fleurs 返信する

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