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2012年冬のイタリア旅行記の続きです。

フィレンツエ、最終日。
夕方にはベネツィアに向かう電車に乗る予定なので、時間は無駄にはできない。
早めに朝食をすませ、8時にホテルを出た。
聖マルコ国立美術館、「フラ・アンジェリコ」の≪受胎告知≫をもう一度観てみたい。

フラ・アンジェリコについては↓をどうぞ
http://www.salvastyle.com/menu_renaissance/angelico.html

ホテルマンに道を聞いたら、
「すごい簡単ですよ。ホテルを右に出て、二つ目の路地を左に曲がり、直進したら二つ目の広場にありますよ」
と、とっても分かりやすい説明だったので、自信満々に出かけた。
今にも雨が降りそうな不安定な天気だったが、空気は思ったほど冷たくはない。
それより、なにより、街を歩く楽しみでわくわくするばかりだった。。
歩道も車道も石畳。石の壁で繋がる家屋は、頑丈な玄関の扉、規則正しく並ぶ窓の美しさが、足取りを軽やかにする。

イメージ 1


まもなく、一つ目の広場に着いた。
回廊が素敵。ドゥオーモを設計したブルネレスキの作品とのこと。
ここは、孤児療養院らしい。美術館も併設しているが今回はパス。
隣に考古学博物館があり、子供たちがたくさん入っていった。
授業の一環なのだろう。
こちらの子供たちは、文化遺産に当たり前のように接触している。

さあ、いよいよ次だ。
次の広場にはすぐ着いた。
バスのロータリーがある賑やかで広い場所だった。
まっ、ここからがわたしらしく、建物が見当たらなくって、広場を通り過ぎ、色んな路地を回遊した。
イタリア語も知らないくせに、何度か道を聞いたりした。

肝心のファサードが工事中じゃん!

イメージ 2


館内は撮影禁止。(館内の様子は、サン・マルコ美術館で検索してください)
右の画像は、ドゥオーモの頂上からみた美術館。
カバーのおかげで断定できた。

お目当ては、階段を上りきった壁にかかっている≪受胎告知≫
次に僧房、そしてサヴォナローラ。

フラ・アンジェリコ(1387−1455) 名前は、天使のような僧侶という意味らしく、その名の通りの人柄だったと記述されている。

≪受胎告知≫
イメージ 3

階段を一段ずつ上っていくと、絵の全容が徐々に表れてくる。
自然と気持ちが高揚してくる。
それにしても、にくい演出だなあ!
仏像もそうだけど、寺社の階段を上る行為は、未知への期待→天に近づく→敬虔な気持ちになる、ぐらいの心境の変化があるよね。

僧房は1つの窓からなる狭い部屋で、廊下をはさみ並んでいた。
僧房の壁には宗教画(フラ・アンジェリコ作も多い)が描かれ、床は一部ガラスが貼られた部屋があり、地下道に通じる道があることを示していた。
この地下道は、秘密の匂いがして、いたく想像を掻き立てられて面白かった。

メディチ家が立てたこの修道院の修道長だったサヴォナローラは、フィレンツィエの堕落の元凶はメディチ家であることを民衆に説き、彼らを追放し恐怖政治を敷いた。
教皇を批判したことで、シニョリーア広場で絞首刑になったのち火刑に処された。
そのサヴォナローラの資料が僧房の奥に陳列されている。
細かく書きこんだ書類などを見ると、とても勤勉で実直な人だったのが良く分かる。
サヴォナローラは、なんとなくダークなイメージがあるが、実際は、厳しい修行の果てに理想が先行してしまったのだろう。

イメージ 4


図書室のミニアチュールを見ながら、何故かおかしなところから館内を出てしまった。
屋根の上から振り返ると僧房の建物が見えた。
僧房の窓ガラスは、ゆがんでいるものとそうでないものがあった。
歪んでいるガラスは、新しくても100年以上前に造られたものだ。
ウフィツイは現代のガラスだったが、ここではまだ古いものがみられる。
くもり空の弱い光の屈折が、2種類のガラスの違いを如実に表していた。

結局、屋根から外階段で降りることになってしまい、こっそり裏から館内に入り、何食わぬ顔で外に出たが、その出口もどうやら勝手口(スタッフオンリー?)らしく、自分の方向音痴のひどさにあきれた次第。
とりあえず、無事、鑑賞できたのでほっとした。

≪受胎告知≫  フラ・アンジェリコ
イメージ 5


これは、僧房の壁に描かれたもの。
わたしは、どちらかというとこちらが好き。
≪受胎告知≫は、宗教に疎いわたしにとっては、絵画としての厳粛な雰囲気に心を寄せることができる。
フラ・アンジェリコの平面的な描写は、ダ・ヴィンチの立体的表現と比べると時代の流れを感じるが、
線と彩色の美しさ、人物の控えめな表情などが、観る側にも敬虔で崇高な気持ちを共有させてくれる。

現代に生きるわたしたちは、受胎告知ほどではないが、突然の予想を超えた経験をすることがある。
そのとき、自分はどのように対処するだろうか。
フラ・アンジェリコが描いたマリアのように、それを厳粛に受け止め、自分の使命を全うする意志を持つことができるだろうか。
歴史の中に永遠に息づく、フラ・アンジェリコの≪受胎告知≫のマリアに、
「命を育む」女性の無限の力を感じた。

現在、かなり図太くなってしまった自分に反省!

サン・マルコ美術館を後にして、今度はドゥオーモに行き、塔のてっぺんまで上り、
夕方、ヴェネチア行のユーロスターに乗りこむことが出来た。
相変わらずのハードな一日だった。

閉じる コメント(16)

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僧坊の受胎告知初めて見ました
有名なのと対照的ですね
背景の建物も含めて両方見ると深みが増します
図太くなってしまった僕も反省(ー_ー)!!

2013/10/10(木) 午前 6:45 [ ひろmahler=^・^= ]

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les fleursさん、こんにちは。
受胎告知は非常に多くの画家が描いた題材で、フラ・アンジェリコも
6枚ほど描いているとか。
彼の画風は一時代前のシエナ派や国際ゴシックと較べても素朴で
技術的には未熟なものを感じますが、敬虔なドミニコ会士の彼にとって
技術などは二の次だったのでしょう。
彼は十字架上のキリストを描くときには本当に泣きながら描いていた
と言われます。
下の受胎告知は聖母マリアのうつむきかげんの表情に彼の性格が
表れている様に思えます。

2013/10/10(木) 午前 11:23 [ 炎武 ]

フラ・アンジェリコの「受胎告知」に比べると
ダ・ヴィンチのそれは人間中心主義の臭いが濃厚ですね。
視線が水平(微妙にマリアが上)に交差しているところからも
それは言えると思います。
確かに聖書には天使は人間に仕えるように・・・との記述もあるし
フラ・アンジェリコの幾分権威主義的にも見える構図よりも
近代的な感覚というのでしょうか・・・そういったものをも
感じます。
ダヴィンチは空間までもが緊迫した雰囲気を伝えているように
感じます。

2013/10/10(木) 午後 5:29 みかんジュース

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こんにちは。
一緒に見て歩いているように楽しみました。
受胎告知は、好んで描く題材のようですね。
フラ・アンジェリコは修道士ですね。威厳に満ちたマリアへの清い思いが伝わって、来ます。
僧房の壁に描かれた受胎告知をはじめて見ました。
戸惑いのマリアの表情は私たちと変わらない、親しみを感じます。

2013/10/11(金) 午後 7:07 kara_hana_5

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今晩は、フラ・アンジェリコの受胎告知を見られたのですね。良いですね私は原画を見たことはありません。ただほろ苦い思い出があります。金沢に住んでいたとき、知人の知り合いからフラアンジェリコの作品が能登の私設美術館から売り出されますが、ご覧になりませんかというような話がありました。そんなもの日本の私設美術館あるわけないと断りましたが、知識がないころだったら引っかかっていたかもしれません。ところでフラアンジェリコって、確か本名ではなかったのですよね。本名は何って言ったかなあ? ど忘れしてしまいました。気になって眠れなくなりそうです。

2013/10/12(土) 午後 10:30 [ lax**40 ]

☆ひろさま
こんばんは〜♪
こちらにもありがとうございます(*^。^*)
僧房の≪受胎告知≫は、有名なのと比べて大きさが違いますしね。
場所もシンプルの極致のようなところですし。
でも、すごく清楚で、高潔で、胸にジーンときました。
屋根の上に迷い込んで分かったんですけど、観客が来ない部分の建物はかなり傷んでいました。
15世紀の建物ですから、当たり前ですね。
ホント、わたしは図太くて、どこまでも入りこんでしまいます。
ああ、ばれなくて良かった(^_-)-☆、

2013/10/13(日) 午後 5:57 les fleurs

☆ミトラさま
こんばんは〜♪
詳しく解説をいただいてありがとうございます(*^。^*)
勉強になります。
僧房は深く印象に残りました。
祈りと修行の場であるこれらの小さな部屋には、記述した通り、キリスト伝のフレスコ画が描かれています。
観客は結構多くて、しかも子供の集団もいて、館内は賑やかなのですが、人垣をおしのけ、部屋の中に顔を滑り込ませた瞬間、外のざわめきが消えるのです。
それだけ、僧房には、静粛で敬虔な空気が漂っています。
深い信仰に支えられた絵画の賜物ですね(^_-)-☆

2013/10/13(日) 午後 5:58 les fleurs

☆みかんジュースさま
こんばんは〜♪
こちらにもありがとうございます(*^。^*)
フラ・アンジェリコとダ・ヴィンチの≪受胎告知≫の違いは、社会の変化にも大いに関係しているのですね。
天使とマリアの位置、確かに違いますね。
そうか、そういう観点から観ると、分かりやすいです。
ダ・ヴィンチの≪受胎告知≫をウフィツイで観ましたが、画面が凝縮してるというか、おっしゃるように、緊迫してるんですね、きっと。
隣の部屋のボッティチェッリが、適度に緩みがあり、救われたような気分になりましたよ(^_-)-☆

2013/10/13(日) 午後 6:00 les fleurs

☆からはなさま
こんばんは〜♪
こちらにもありがとうございます(*^。^*)
キリスト教絵画には、決まった題材があるようで、あらゆる時代の画家たちが、同じテーマで描いていますね。
私の場合、それが分かったのはほんの数年前です(笑)
イタリアの旅で、ここが宗教画を観た最後でした。
わたしには、ここがイタリアアート巡りの終着点のようでした。
大分、迷いましたけどね(^_-)-☆

2013/10/13(日) 午後 6:02 les fleurs

☆laxさま
こんばんは〜♪
いつもありがとうございます(*^。^*)
すみません。お返事が遅れました。熟睡されましたでしょうか。
もう、お調べになられたかと思いますが、本名は、グィード・ディ・ピエトロ(1395-1400頃)というそうです。
日本に彼の作品があるのですか!
laxさまのところで扱うようになられたら、是非、ブログに載せてくださいませ。
ルーヴルで観た≪聖母戴冠≫は、華やかで鮮やかな構成と色彩でしたが、これは、フレスコとテンペラの違いでしょうか(^_-)-☆

2013/10/13(日) 午後 6:08 les fleurs

アえンジェリコは受胎告知をたくさん描いてますよね。
わたしはキリスト教絵画の中では受胎告知が1番好きな主題ですが、好きになったきっかけはアンジェリコの受胎告知でした。
受胎告知は時代や様式によって描かれ方が変わっていくというのが1番わかりやすい主題だと思うので、面白いです(^^)
わたしが特に好きな受胎告知は、ティントレット、カラヴァッジョ、プッサン、エル・グレコ(プラド美術館蔵)、ティツィアーノ(サン・サルヴァトーレ聖堂蔵)辺りが好きです。

2013/10/18(金) 午後 3:35 [ Kumica ]

☆kumicaさま
こちらにもありがとうございます(*^。^*)
受胎告知は、時代や様式により描かれ方が違うのですね。
勉強になりました。
kumicaさまがお好きな≪受胎告知≫で、わたしが観たことがあるのは、エル・グレコぐらいですね。
わたしは、メムリンクかなあ。聖母のほっそりとしたお顔と優しい目に癒されてます。
メトロポリタンでは、テーマ別に展示されていて、作品数が半端じゃなく、観たい作家が見つけられず残念でした。コレクターの企画展だったようです。
ティツィアーノの≪受胎告知≫興味あります。
調べてみますね(^_-)-☆

2013/10/20(日) 午前 0:22 les fleurs

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二回鑑賞されたのですか、わかります。私もこの受胎告知大好きです。私が行ったころは撮影OK、最近だめな事が多いです。デジカメになったら…
階段あがったところにこの名画、びっくりでした。後は磔刑の絵ばかりの記憶です。ナイス

2013/11/4(月) 午後 6:33 hitomi

⭐️hitomiさま
おはようございます〜♪
こちらにもコメント、ナイス⭐️を頂きありがとうございます(=^ェ^=)
随分昔、10代最後の年に行きました。
様々な思い出の象徴がここの<受胎告知>という感じですね。
行って良かったです(^_−)−☆

2013/11/5(火) 午前 11:01 les fleurs

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すばらしい…🍀

2013/11/13(水) 午前 11:52 Gabi

☆Gabiさま
こんばんは〜♪
お久しぶりです〜!コメントありがとうございます(*^。^*)
その場所に行かないとみられない絵画、それが清楚なたたずまいをしてますと、こちらも厳粛な面持ちになります(^_-)-☆

2013/11/17(日) 午後 11:54 les fleurs

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