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「もう一つの名。ユーリウス・ヴォルフガング。その名に疑問を持った
ことがあるはず。このアトラテックでは考えられない言語の名。それは
ユーラント大陸の者が使う言語から由来する名前だからだ。」
「始めから俺は、そういう運命を背負って生まれてきたと 言うのか・・・。」
暫く沈黙が流れた。王は立ち上がった。 「いろいろなことがありすぎてどうしたら良いのか分からないのであろう。勇者ロナウハイドよ。少し休むがいい。」 そう言って立ち去っていった。そしてティマイオスも姿を消した。 「ユーリウス。」
声を掛けたのは父親だ。 「私の事は恨んでいるだろう。母さんとお前を置いて居なくなった私を。 私はお前に課せられた宿命を少しでも軽くする為に奔走した。だが、
その結果お前達に苦労を掛けてしまった。許してくれとは言わない。
それに結局はお前に課せられた宿命を拭い去ることも出来なかった。
母さんとの・・・チヘンネとの日々は私にとってかけがえの無い思い出だ。だが、それがわが子に重い宿命を背負わせてしまう事になるなんて思いも
しなかった。」
ユーリウスは考えている。 「それだけじゃない。十代の、父親を一番必要としている時期に側にいて やれなかった。お前が今まで一番悩み苦しんだであろうティーンエイ
ジャーの頃に、分かち合ってやれなかった。お前に人生で一番大事な
時期に父親として何もしてやれなかった。」
暫く考えていたユーリウスだったが、言葉を吐き出すように強い口調で 言った。
「それだけかよ。」 「どういう事だ?。」「親父が言いたいのはそれだけかって事。」
ユーリウスは父を見つめた。 あとがき: 1995年の今日、兵庫県南部に大規模な地震が発生した。後の 阪神淡路大震災だ。同月の25日政令により激甚災害に指定され、 太平洋戦争後に発生した自然災害では6,434人の犠牲者を出す 大惨事となった。 あれから24年。その記憶を語り継ぐ人達も高齢化が進み、 震災が起こった5時46分にあわせ、追悼行事も身体的な限界を 理由に、各地で追悼を取りやめる動きもあるという。 この事が震災の風化に繋がらないかと懸念する声も大きいが、 中には「震災が起きた時間よりも、災害があった事、亡く なった方々への追悼の方が大事なのでは」といった意見もある。 歴史的な出来事も、時がたてばその歴史の中に埋もれていくのか。 今後の継続に大きな選択を迫られている気がする。 |
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