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「生まれて来ちまったものは仕方ないだろう。だったら、それが俺の
運命なら受け入れてやろうじゃないか。俺は、親父の思っているほど
器の小さい人間じゃないんだよ。自分に与えられた運命に潰されるほど
子供じゃねえ。見てろ。邪神だかなんだか知らんが、俺がこの惑星の
全てを守ってやる。」
「・・・運命を受け入れるのか。重いぞ。」 「俺を誰だと思っているんだ。腹を括る覚悟は出来てるさ。」 そう言い切ったユーリウスの瞳の向こうには何者にも負けぬ揺るぎない 力が、見えているようだった。
夕べは色々な事があり過ぎてよく眠れなかった。自分に課せられた 宿命と、これからこの世界に起こり得る事。今後の事についてこれから
どうするかも話し合わなければならない。父親の前では思い切り啖呵を
切ったつもりだったが、実は不安で仕方が無かった。一夜を明かした
部屋の隅に行き、煙草を一本取り出した。
銜えてふと考える。今のこの状況から逃げることは出来ないのか。 ユーリウスは銜えた煙草が、「逃げ」を象徴している気がしてきた。
口から外し、紙容器に戻した。そして、まだ何本か残っている紙容器を
絞るように握りつぶし、捨てた。
「・・・覚悟は決めたはずだ。」ユーリウスは自分を奮い立たせる ように呟いた。
扉のセンサーに手を翳そうとした時、部屋の外から声が聞こえる。 あとがき:「一片の悔いもありません。」横綱、稀勢の里が17年間の関取人生に 幕を下ろした。2年前の2017年に19年振りの日本人横綱誕生に日本中が 大きく湧いた。引退の記者会見では「自分の相撲が取れなくなった。」と 涙ながらに答え、胸の内の苦しみを吐き出したように見えた。 19年振りの日本人横綱という事で、横綱としてだけでなく、日本と いう国も背負っていたその重圧というプレッシャーは計り知れない ものがあっただろう。怪我に泣き、その為の8場所の休場苦渋の決断 だったかと思う。以降は年寄「荒磯」を襲名し、部屋を立ち上げる プランがあるとの事。今後は新たな横綱候補を輩出する側に回るのか。 日本人横綱が居なくなった今、その育成に大きく期待がかかるだろう。 |
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