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オルケルタは暫く黙っていたが、
「そのお話は長老様から聞いています。ロナウハイド様がそういう運命の 元に生まれた方である事を。私もその話を聞いて胸が苦しくなって・・・。けど、可哀想とかそんな同情の言葉ではなくて、あなたが生まれてきた
意味を知りたかった。そして、その人生に沿いたいと思った私にも、
生まれてきた意味があるか知りたかった。初めてお会いした時から
大好きだったのは確かだけど、それを越えて覚悟を決めて、自分を信じて
この人について行けたらいいなと思ったから。運命は残酷かもしれない
けど、今までいい思い出があるから。例えあなたがどんな人生を
過ごそうとも、私はその思いを受け継いで生きていけると。」
その言葉に、ユーリウスは涙が出そうだった。 「ありがとう・・・。いい思い出、作ろうな。」 オルケルタはそう言ってはくれたものの、やはりユーリウスは不安がある。 今はまだ実感がないからそうは言えるかもしれない。ユーリウスは思い 切って母に相談してみる事にした。
「・・・いい事言うのね。本当に覚悟が出来てないとそんなことは 言えないと思うな。そこまで好かれているなんてあんたは幸せ者よ。
そんな娘を泣かせたりしてはだめでしょ。」「・・・。うん。」
「・・・それにね、女はあんたが思っている程弱くは無いよ。ましてや 母親になったなら尚の事、その言葉、信じてあげたら。」
「・・・そうだな。」 新居も集落の人たちの協力で少しずつ出来上がってきた。定住が決まった 者は幕舎のような一時的な住まいではなく、一生住めるような「家」を 建てるべきだという長老の提案からだった。やがて、家は完成し、 ユーリウスとオルケルタは引越しに余念が無い。やっとベッドを運び込むとほっとして、ベッドの脇に腰掛けた。オルケルタもユーリウスの側に
腰掛けた。
ユーリウスはオルケルタの手をそっと握った。最初は驚いたオルケルタ だったが、ちらっとユーリウスの方を見て、そのままユーリウスの方へ 近づいた。ユーリウスはオルケルタを見つめている。オルケルタも彼を 受け入れようとそっと瞳を閉じた。 ユーリウスは逸る気持ちを抑えながら顔を近づける。もう少しで 唇同士が触れ合う。 あとがき: 6月第3日曜日は「父の日」。今年は16日がその日に当たっているが、 皆様お気づきだっただろうか。その父の日を前に日本生命保険が7日に 発表したアンケートで、「父親になって欲しい著名人」の一位に 選ばれたのがタレントの所ジョージ(64)さんで、2年振りの返り咲きと なったそうだ。 父の日というと日本人には母の日と比べて馴染みが薄い傾向に あるようで、母の日は覚えていても、父の日は、と尋ねると答えられない 人もいるそうだ。 現在は共働き世帯が多くその傾向はないが、嘗ては「お父さんは外で 働き、お母さんは家で家事をする」のが当たり前だった時代、子供に とって、お母さんの働く姿は目に見えるが、お父さんが働く姿は子供には 目にする事が出来ない箇所だ。それ故なのか、世のお父さん達は子供から 一生懸命働いているという認識が薄いような気がする。 確かに、お父さんが外で働いているから、家族が支えられる、と 言われても目に見えないものに対する印象は強くないだろう。だが、先の 通り、共働きが主流になってきている現在、お父さんも家事をする機会が 多くなるだろう。その分、「父の日」の感謝も増えるのかと期待を寄せて いる方も多いのではないか。 ただ、期待するばかりでなく、子供から感謝されるような行動をとる、 のも一つの手ではないだろうか。いつの日も感謝されるお父さんを目指し たいと思う人も少なくないはずだ。 |
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