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サント・マルスと混沌の邪神
逆らえない運命なら、その運命を受け容れ、自分らしく生きる

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「いいえ、そうではありません。勇者ロナウハイドよ。私が間違って
いました。私は自分の存在が消えてしまう事を恐れていました。けど、
あなたの仰る通り自分の大陸の事は自分で解決するべきだと。そして
あなたの勇気を見て思ったのです。あなたの中にある大陸神
ティマイオスの記憶、滅びる事を恐れてはいけない。神として与え
られた使命は自分の世界を守る事で、自分の存在を守る事ではないと。
・・・ありがとう。私は自分の力でこの大陸を邪神から守って
見せます。」
「いや、分かってくれればいいんだ。俺だって他の大陸の事までは手が
回らないし、それに俺は基本は普通の人間だ。そんな大それた事は
出来ない。」
「そんなにご謙遜なさらずに、もっとご自分を信じて下さい。それが
隠れた力となってあなたの心の武器になり得ると思います。」
大陸神エイジャンは微笑んで言葉を続けた。
「さあ、それでは天巖山脈までお送りしましょう。」
「あ・・・待ってくれ、この二人と怪鳥マヤウ、それから雛二羽と。
で行き先はランムラビ王国にあるハビロの塔まで頼みたい。」
「え・・・俺も一緒!?。」フンヴォンは驚いたようにユーリウスを
見つめる。
「そうだ、ガネーティアに脅されていたとは言え、フンダイを裏切って
しまった。今更フンダイに帰る事は難しいだろう?。」
「まあ、そうだけど・・・。」
「ハビロの塔・・・ですか?。」大陸神エイジャンが訊ねる。
「正直、この大陸にはいつまでも居たくは無いが、ちょっと寄り道
しなきゃなんねえ用事ができて、それを解決してからでないと後味悪い
からな。・・・オルケルタ。そんな訳でもうちょっとだけガマンして
くれるか?。」
「私は、ロナウハイド様のお側に居られるなら満足です。」
そう言われて、ユーリウスは思わず顔を赤らめた。
「じゃ、決まりだな。大陸神エイジャン、頼むぞ。まずはその転送
魔法とやらでハビロの塔へ送ってくれ。」」
「分かりました。」

 エイジャンの転送魔法によって、ハビロの塔の真下へやって来た。
ユーリウスは心なしか体調が悪くなる。
「・・・胃がムカつくし、頭痛はするし・・・なんかヤなんだが・・・。」
倒れそうになるユーリウスをジルカメスとフンヴォンが両脇から支える。
「ロナウハイドが、何でここで具合が悪くなるのかなって、ずっと疑問に
思ってたんだが、・・・。この地は、俺の父親が火あぶりにされた場所
だと聞く。それでなんだが、ここには俺の父親の亡霊か何かがいて、
ロナウハイドに何かさせようとして具合を悪くさせていたんじゃないかと
思うんだ。」
ジルカメスが話し出す。「そうなのか。」
フンヴォンも驚いたようにジルカメスを見た。
「この場所は、ここをキシュが支配していた頃、キシュのウルク王が
なぜか酷く嫌っていた場所だ。その理由が何だったのかは分からないが、
やはりランムラビの王も何か感じていたらしくて、ここに塔を立て
シュメールに守らせたのではないかと、思って・・・。俺がガキの頃
母親からこの場所のことは聞かされていた。そこからこの地に何か作用を
起こしていたのは俺の父親の亡霊か何かじゃないかって。そして先日、
オルケルタさんが届けてくれた回復の宝玉を受け取った時に確証した。
父親は俺を助けてくれた。それと同時にロナウハイドに何かを伝えた
かったんじゃないかって。」
「俺に何かを伝える為に。何を?。」
「それが何だかは分からないけど、ただ一つ言えることは、ロナウハイド
がランムラビ王の言いなりにさせない為、具合を悪くしてんじゃないかと
思う。」
「言いなりにならんように、・・・。か。」ユーリウスは気を取り直した。
「ごめん。あとは大丈夫だ。何とか一人でも・・・。」そう言って
二人から身を離した。
 一方、最上階では、兵士からの報告を受けたシュメールが階下に
降りてきた。
「これはなんと、勇者ロナウハイド様。無事に戻ってこられたか。
お待ち・・・。」
「シュメールか・・・勘違いするな。あんたの為じゃない。やり残した
事があるから戻ってきただけだ。」
ふらつく身体を何とか押さえ、答えた。「ん?。」
ユーリウスの後ろにジルカメスが居るのを見つけたようで、シュメールは
一歩前へ出た。
「貴様も一緒か・・・。」「だから何だっていうんだ。」
「・・・生意気な口を・・・。貴様の処遇は後だ。その時はそんな口を
叩けなくしてやる。覚悟しておけ。」
シュメールはそう捨て台詞を吐くと、気を取り直してユーリウスの方を
見た。
「ロナウハイド様。王がお待ちかねです。改めて宮殿へご案内いたし
ましょう。」

   あとがき: 皆様は、「歴史」はお好きだろうか。「好き」だと答えると
        「どの時代が好きですか?。」と質問されるという。
         個人的には歴史は好きだが、特にどの時代が好き、というの
        はない。その時の状況にもよるが、「邪馬台国の謎」が気に
        なって仕方がない事もあれば、明治維新後の中央政府と、地方
        自治の落差に興味があったり、戦後のアメリカ統治下からの
        独立の事がどうなっているかなど、性格上一か所には留まら
        ないのが自分の性分だ。
         勿論、人気を二分する「戦国」と「幕末」にも大いに興味が
        ある。かと思えば、平安の、源義経が北前船で北へ向かったと
        いう「義経北方伝説」や、藤原氏が東北で繁栄を極める
        きっかけとなった「前九年の役」「後三年の役」など、歴史を
        語らせれば一晩では足りないだろう。
         世界史にも興味はある。ローマ、ギリシャなど神話の時代から
        イギリスのEU離脱まで興味は尽きない。
         そんな自分だが、好きな歴史上の人物を聞かれると、「特になし」
        である。先も述べた通り、一か所に留まらない性格上そう言う事
        なのだ。そしてもう一つ。年号などは覚えないというのが自分の
        スタイルで、「何年に何があったか」ではなく「何処の国のどの
        場所で何があり、それはこういう事だ。」というのが好きなので
        ある。
         歴史がお好きな方、苦手な方様々だと思うが「歴史=ミステリー」
        的な要素もある。謎解きをするように歴史について語ってみては
        如何だろうか。
「ゆ・・・ゆる、せぬ・・・。き、貴様ら・・・皆殺しに・・・。
この、私が・・・人間如きに・・・。」
「・・・それって、人間を自分より下に見ていたって訳か。俺に
言わせりゃ、人質を取って無理矢理いう事を聞かせる者の方が人間
以下だと思うがな。」
「な・・・何だと。」
「神獣って、『神』という名が着く位だから、もっと崇高な生命体
かと思ってたが、結局は自分の事しか考えてないのかって事。」
「・・・な、ならばその手で、この私を・・・殺せ!!。貴様らの
ような下等な人間達に蔑まれる位なら・・・いっその事・・・。」
「いや、殺しはしない。」「何故・・・殺さぬ。」
「俺達の目的は勝つ事であって、殺す事じゃない。」
「ここで私を生かして置いたら再び貴様らを殺そうとするだろう。
それでもか?。」
「そういう苦労を惜しむつもりはない。例えどんなに憎んだ相手
だとしても、命まで奪うのは後味悪いからな。」
「・・・下等な者に情けを掛けられるとは・・・。」
そう言って力尽きた。
「・・・まさか、死んだ、のか?。」
「いや、神獣はこの程度では死にはしない。時間は掛かるが回復は
するだろう。但し下等な神獣で無い限りはな。」
 フンヴォンが急いで走ってきた。そして気を失ったガネーティアの
身体を調べ始めた。
「・・・宝石みたいのがあるはず。探して。」
「宝石・・・?。」
すると彼女の指に嵌っている指輪に一つの宝石がついているのを
見つけた。「これか?。」「それだ。」
フンヴォンは指輪を外すと、それを持って怪鳥マヤウの小屋へ
向かった。指輪を翳すと怪鳥マヤウに着けられていた鎖が消えた。
「封印で繋がれていたのか・・・。」
封印が解けた怪鳥マヤウはばさばさと暴れだし、鳴き声を上げた。
「興奮している!!。どうした?。」
小屋を無理矢理破壊し、翼をはためかせている。
「一緒について来い、そう言っている。」
ユーリウスは慌ててナイフを回収し、マヤウの側へ戻った。それを
見届けたフンヴォンはユーリウス、ジルカメス、オルケルタにマヤウの
背に乗るように促した。怪鳥マヤウは大きく飛び、宮殿の敷地内に
ある物見台の上へ四人を降ろした。
そこには山盛りになった堆肥が発酵し、やんわりと熱を帯びている。
「まさか・・・。」
フンヴォンは堆肥を掘り起こすと大きな卵が出てきた。
「・・・卵は無事だったんだ。」
「やはりな。軍事目的で利用できると踏んでいただろうから、簡単に
殺しはしないと思っていたが・・・。」
フンヴォンは手で堆肥を払う。「い、いや、・・・卵に罅が・・・。」
「何だって!!・・・。」
卵の罅の間から大きな嘴が見えた。かと思うと、卵の罅が全体に入り、
遂に雛が羽化した。「あ・・・。」
殻を割った雛の他にもう一羽雛がいる。「双子か・・・?。」
「・・・信じられない。こんな事今までなかったはず。」
「奇跡・・・って奴か?。」
光の帯が現れた。「な・・・何だ?。突然!?。」
 ユーリウスはオルケルタを、フンヴォンは二羽の雛を庇った。
「やっと見つけました。」
現れたのは大陸神エイジャン。

「一体何の用だ?。」ユーリウスが尋ねる。
「勇者ロナウハイドよ。あなたにお話したい事があります。」
「何だよ。またなんかの依頼か?。」

   あとがき: ニュージーランドの議会で与党議員が生後1か月の赤ちゃんを
        連れて初めて登院したところ、議長が議長席で赤ちゃんを抱き、
        ミルクを与えながら議事を進めたという。
         赤ちゃんの父親はタマティ・コフィー議員。産休明けで初めて
        息子を連れての議会審議に出席。トレヴァー・マラード議長が
        ベビーシッター役を買って出たという。
         緊張感が張りつめているであろう議会に、少し癒される場面
        だったに違いない。国が違っても赤ちゃんというのは人々に
        幸せをもたらしてくれる存在だと思っている。
         ニュージーランドだけではなく、近年では世界各国の
        議会で赤ちゃん連れの議員が登院していると聞く。それに対し、
        日本はどうだろうか。一昨年、熊本市議会で女性議員が生後7か月の 
        長男を抱いて市議会に出席したところ、周囲の議員らの批判され、
        同伴を断念したという。
         少子化が叫ばれて久しい。それを緩和する為子供や子育て中の
        親御さんたちに対して暖かい目を向けるのが、未来を背負う若者を
        育成する為の地盤固めだと思っている。しかし、世間を見てみると
        子育て中の親たちに対し、風当たりが非常に強かったりするのが
        現状だ。若い世代が「結婚しない」「子供を作らない」といった
        選択をしてしまうのは、これが原因の一つかもしれない。
         世界各国に目を向けて、子度をも取り巻く環境を考え直して
        みた方が良いのではないだろうか。
ジルカメスはガネーティアと互角に剣を交わす。ユーリウスは彼女の
後ろに回り、ジルカメスを援護する。
「・・・ただの人間のくせにここまで戦えるとは・・・。これは面白く
なってきたな。」
ガネーティアは神獣に姿を変えた。
ユーリウスは鼻で攻撃されないように機敏に動く。しかし、その為
体力を消耗する。
「まずいな・・・。」
得意のナイフ投げも皮膚が硬いのか皆弾かれてしまう。
「無駄だ!!。こいつは剣での攻撃にも傷一つ付けられねえ。」
ジルカメスが叫ぶ。
「こうなりゃ、一か八かだ!!。」
そう思って側にあった木によじ登り、背中に着地した。
「思ったとおりだ。ここまでは攻撃できまい。」
ユーリウスは背中から何処に攻撃を仕掛けるか考えた。
「それはどうかな。」
ガネーティアは再び人間の姿に戻った。その為に振り落とされる
ユーリウス。
「卑怯だぞ!!。」
「たかが人間如きに倒される私ではない!!。」
幸い、寸前で身を交わしていたので怪我はなかったが、有利になった
わけではない。
「向こうが反則技を使うなら、こっちも反則ありだよな。」
そう呟くと、再び剣を持って構えた。だが、攻撃はせず、相手の
出方を見ている。
「何故攻撃してこない?。それとも怖気づいたか?。」
「冗談でしょ。」「ならばこちらから行くぞ!!。」
ガネーティアが襲い掛かってくる。ユーリウスはナイフ投げで攻撃
しようとした。
「・・・やべえ・・・あと一本しかない・・・。」
しかし、そんな事を悟られてはならない。「どうする・・・?。」
ユーリウスは額の汗を手の甲で拭った。
「・・・人間の姿なら傷はつくのか?。そう言えば人間の姿の時は
皮膚はどうなっている?。」
ジルカメスが彼女に近づこうと悪戦苦闘している。
「・・・奴も接近戦か・・・。」
 ある事を思いついたユーリウスはマヤウの小屋へ向かった。
「間に合ってくれよ。」
マヤウの世話に使っていた農具の存在を思い出した。それを取り、
急いで戻った。ガネーティアはまだ人間の姿だ。彼女はユーリウスが
持ってきた農具のフォークを見て
鼻で笑った。
「そんな物でこの私が倒せるとでも思っているのか?。」
「そいつはやってみねえと分かんねえな。」
「何考えている?。」ジルカメスがそっと訊ねる。
「奴の後ろ、頼むぞ。」「分かった。任せとけ。」
ガネーティアが二人の間に割って攻撃を仕掛ける。
「お喋りしている暇は無いぞ!!。」
ユーリウスは剣をフォークに持ち替えた。が、何故かフォークの先と
柄の間を持っている。
「・・・ん。何をする気だ?。」
ユーリウスはフォークの柄を高飛びの棒に見立てて高くジャンプした。
そしてガネーティアの頭上から剣で切りつけた。「・・・な、何っ!!。」
致命傷とまでは至らなかったが、彼女の肩から腰までを切りつけた。
「・・・くっ・・・たかが人間と侮っていたが、ここまで戦える
とは・・・。」
ガネーティアは切りつけられた肩を押さえる。そこから血が滲み出て
きている。どうやら、深く傷つける事は出来なかったようだ。
「こんな事でやられる私ではない。」
ガネーティアは再び立ち上がり、神獣の姿になった。だが、神獣の姿に
なっても傷口は開いたままだ。当然の如くユーリウス達はそこを集中
攻撃しようとする。ガネーティアもその部分を攻撃されまいと二人を
近づけようとしない。
「・・・どうする。ロナウハイド。」
ジルカメスも長期戦で撃つ手を全て使い果たしたようだ。ユーリウスも
そろそろ体力的に限界が近づいてきているのを感じた。
「この辺で決着つけないと、まずいよな。」
再びガネーティアが襲ってくる。長い鼻を振り回し、二人をなぎ
倒そうとする。咄嗟にジルカメスは放り投げてあったフォークを掴み、
振り下ろす鼻の下に向けた。
「人間サマを舐めるなよ!!。」
「ぎゃあああっ・・・。」当然のことながらガネーティアの鼻が
フォークに突き刺さる。
「やったぜ、幾ら皮膚が硬くても振り下ろす力が強ければ貫き通せる。」
ジルカメスは叫んだ。「よし・・・今だ。」
ユーリウスは肩の傷口に何かを挟み込む。
「皆、伏せろ!!。」
辺りに物凄い爆音が響いた。
「・・・うううっ、うああああっ・・・。ひ、卑怯な・・・。き、きさ、
貴様ら・・・何を、した?。」
「ただの人間が特殊な能力を使う神獣相手にまともに戦える訳ないっしょ。
そうなればこっちだって反則技使わなければフェアじゃないしな。
それに、この戦い、どうしても勝たなければならなかったしな。それに
しても、軍のサバイバル術の講習会で習った火薬作りが、こんな所で
役に立つとは思わなかったな。」
人間の姿の戻ったガネーティアは顔から血を噴出し、腹部は抉れ、
爛れている。
「こんな状態でも生きているのか・・・流石は神獣だな。」

   あとがき: 伊豆諸島の神津島で利用されてきた無料キャンプ場2か所が、
        利用者のマナーの悪さから、東京都は来年3月までに廃止を
        決めたという。
         都の環境局によると、近年のキャンプブームもあって利用者が
        急増したが、夜間の騒音、ごみの放置などの迷惑行為が目立つ
        ようになり、周辺の環境や自然環境への悪影響も目立ってきた
        事から、キャンプ場が維持できないといった理由からだそうだ。
         日本オートキャンプ協会が発行する「オートキャンプ白書」に
        よると「2012年に720万人だったオートキャンプ場(約1300カ所)の
        利用者は、2017年には840万人まで増加し、5年連続して前年比
        プラスとなっている。」という程人気が高まっているらしい。
         しかし、実際蓋を開けてみればトラブルも多く、その殆どが
        マナー問題だそうだ。酔って大声を上げる、大音量で音楽を掛ける
        深夜まで騒ぐなど、近隣のキャンパー等に迷惑を掛けるなどの
        行為や、中にはケンカ騒動にまで発展する場合もあるという。
         この話を友人のLegendさんに話をしたところ、キャンプで
        迷惑行為を受けたことがある話を語ってくれた。それによると
        「キャンプ場ではないが、野外活動目的に開放してくれる公園で
        キャンプをした際、子供会らしき団体が夜中まで大騒ぎして
        寝られなかった。」という経験があったそうだ。
         野外という解放感なのか、「羽目を外す」人達の行為が、迷惑
        行為にまでエスカレートする事例が後を絶たないという事なのだ
        ろうか。「羽目を外す」行為が辺りにどれだけの影響を及ぼすか
        考えてから行動して欲しい。
「丁度よかった・・・。話があるんだ。」
ジルカメスが話し掛けると、フンヴォンは忙しそうにして
「悪いけど急いでいるから。」
と、そっ気なく答え、その場を立ち去ろうとした。
「待てよ・・・。」
フンヴォンは何か訳があるらしく、話をしようとする様子がない。
ジルカメスが訳を聞き出そうとフンヴォンに話をつける。
「・・・あんた、フンダイの人間だろ。なのに敵国であるブラウマン
王国に協力してるんだ?。」「・・・。」
「怪鳥マヤウ。俺の記憶が正しければ、その鳥はフンダイの王族が所有
する鳥。それを何故ブラウマンの国で保有している?。」
「・・・あんたらには関係ないだろ。」
「そうか・・・なら言ってやろう。あんた、あのガネーティアって奴が
怖いんだろう。」
するとフンヴォンは驚いたように振り向いた。「図星だな。」
「・・・なんで、気づいた?。」
「・・・その目が、ガネーティアっていう女を見るときの目が、虐げ
られている目だなと思った。ランムラビでの俺と同じ目だと。」
「話してくれないか。勿論彼女には言うつもりは無い。」
ユーリウスは優しく尋ねた。フンヴォンは暫く考えた。
「信じていいんだな。」「ああ。」
 三人はマヤウがいる小屋に連れて来られた。
「このマヤウはフンダイの王家の所有物だった。俺の家は代々鳥遣いと
して王家に仕えてきた。怪鳥は百年に一度卵を産み、その後一生を終える、
といわれているんだが、その卵をあのガネーティアっていう神獣に
奪われてしまった。あいつは卵を返して欲しくば自分のいう事を聞けと。
このままだとマヤウは今ここにいる代で途絶えて
しまう。卵を返して欲しくて俺は仕方なく協力している。それだけだ。」
「・・・確かにな。こんな怪鳥が国に一羽でもいたら軍事力としては
有利になる。そしてそれを奪ってしまえば相手の国は不利になる。」
三人は考え込んだ。
「そう言えば・・・何故、ガネーティアはフンダイに居たんだ?。」
「噂の出所は知らないが、勇者ロナウハイドがこのエイジャンで囚われの
身になっている。勇者ロナウハイドの肩書きはこの戦乱の世では有利に
立てる。フンダイの王がそれを聞きつけ、勇者ロナウハイドを連れて
来いと俺に命じた。だが、その頃フンダイに冠者として入り込んでいた
ガネーティアに大事な卵を奪われ、いう事を聞かぬと卵を破壊すると
脅された。」
「・・・なんてこった・・・。だからあの時『王やガネーティアには
逆らわないで欲しい』って言ったのか。」
フンヴォンはこくりと頷いた。
「ありがとう。皆話してくれて。なんとかならないものか考えて
おくよ。」
ユーリウスはフンヴォンの肩に手をやり、にっこりと笑った。
 「まさかここに辿りつけているとはな。」
振り向くとガネーティアがそこに立ち塞がっている。
「いつの間に・・・。」
「先程そなた達はフンヴォンの事を訊ねていたからな。もしやと思って
来てみたら案の定、この者達に喋ってしまっていた、という事か。
裏切り者が。あれ程まで他言するなと釘をさしておいたはず。」
フンヴォンはマヤウを庇っている。「だから・・・何だ?。」
ユーリウスはガネーティアに迫っていく。
「ほう・・・流石は勇者の肩書きを持つ者。神獣であるこの私を恐れぬ
とはな。」
「これから俺が相手をしようとする邪神に比べたら、なんて事は
ないだろう。」
ユーリウスはガネーティアを睨みつける。ジルカメスも剣を構えた。
「勇者と英雄、どちらが私を負かすのか、いや、逆に二人共倒して
みせようか?。」
どちらかが有利とはいえないが、真剣勝負に周囲は息を飲む。
「大丈夫か?。ロウナイハドは勇者と言えどただの人間だぞ・・・。」
ジルカメスもユーリウスの身を案じる。
「そんな事。やってみねえと解かんねえだろ。」
ユーリウスは剣を構えた。最初にジルカメスが攻撃を開始する。

   あとがき: 大阪の料理店で料理を注文した客が、スマートフォンなどで
        料理の写真を撮影し、ろくに手を付けないまま食べ残して
        いったと言う理由から、店側がツイッターで出入り禁止を宣言
        したという。
         店は大阪・千日前に店舗を構えるジビエ料理店「なんば赤狼」。
        店主によると「3人で5人前の料理を注文、更に追加注文して
        大量の料理を前に写真だけ撮り、8割方残していかれた方には
        流石に今後料理をお出ししたくないのでご予約もご入店もお断り
        したいと思いました。」と答え、「命を貰ってその肉で生計を
        立てる者として、こんなに悲しい事はありません。Twitterを
        見てお電話頂いた方ですが、お顔は覚えておりますので今後
        ご入店はお断り致します」と訴えたという。
         「インスタ映え」という言葉が流行し始めて久しい。面白い物、
        驚いた物、珍しい物などを撮影してはSNSで配信し、多くの人々に
        見せて「いいね」などの高評価を貰う事が流行りなようだ。
         その為なのか、ここ最近は過激なものや、非常識と思われるもの
        犯罪まがいのものなどエスカレートしたものが増えているように思う。
        「どうせお金を払うんだから」と何をしても許されるものではない。
        写真や動画は大いに結構だが「大量に残す」「食べ物を粗末に扱う」
        行為だけは許しがたいものがあると思う
         日本人は子供の時から食べ物を粗末に扱ってはならないと教育を
        されると聞いたことがあるが、そういった教育はいつの間にか忘れ
        去られてしまっているのか。
         「道徳心の良さ」が日本人が美徳としている所だと思うが、今の
        世の中、それすらも失われつつあるのだろうか。そう思うととても
        残念でならない。
「怪鳥マヤウ・・・か。」
もしあの鳥をうまく利用できれば天巖山脈まで戻ることも可能かも
しれない。マヤウを操っていると思われる、フンヴォンとかいう少年に
頼み込めば何とかなるんじゃないのか、と。そんな期待を胸に、
ジルカメスに着いて回った。
 やがて、フンヴォンについてはガネーティアが知っているという
情報を得た。
早速彼女の元を訪れた。
「英雄ジルカメスと勇者ロナウハイドが揃いも揃ってあんな鳥遣いに
興味があるとは。おかしなところに共通点があるのだな。」
放っといてくれ、といいたかったが。
「悪いが自分達で探してくれ。私はそんな事の為に動ける身分ではない。」
「うわー・・・なんかエラそう・・・。」「何か言ったか?。」
「別に・・・。なんも言ってねえよ。」
そう言って、彼女の部屋を出た。
 「・・・あのさ・・・。」
先を歩いていたジルカメスが訊ねた。
「俺の事、ひょっとして疑っている?。」「え?。」
「ヒルタイトから助け出したと見せかけて、実はランムラビに連れて
行こうとしていた、と。」
ユーリウスは黙っている。
「そんなことはありません!!。ロナウハイド様はそんな方じゃ・・・。」
オルケルタが反発するが、ユーリウスはそれを押さえた。
「いや、その通りだ。」
「やっぱりな。俺が同じ立場なら同じように思ったと思う。信じてくれ
なんて口に出しては言わん。だが不可抗力とは言え、結果こう
なっちまったのは俺の責任なのかもしれない。だったらつべこべ言わず、
あんたらを責任もってユーラントへ帰してやらにゃならん。その為に
あのフンヴォンとかいう奴のでかい鳥が使えないか、と思ってな。」
 ユーリウスは正直驚いた。彼がそこまで考えていたなんて。ひょっと
して、こいつはいい奴なのかもしれない。ほんの少し彼を信じて
みようという気持ちが芽生えた。

 「さて、どうする?。」
ユーリウスはジルカメスに尋ねた。「どうしたもんかな。」
三人は暫く黙ってしまった。「あ・・・口笛。」「そうか・・・それだ。」
ジルカメスは必死に口笛を吹く。ユーリウスとオルケルタはただそれを
眺めている。
「二人共、協力してくれよ。」
「いや・・・俺、子供の頃、口笛を吹くとケッツアールクアテロに尻を
つつかれるって躾けられていたんで・・・。」
「何だそりゃ?。ユーラントの生き物か?。」
「いや、アトラテックの生き物だ。」
しかし、ジルカメスの努力も空しく怪鳥マヤウは反応しない。
「オルケルタさんは・・・?。」
「山羊遣いの口笛だったら・・・。」
オルケルタの口笛は遠くまで響いた。どこかでクワアアッ・・・。と
鳴き声がした。
「こっちだ。行ってみよう。」
三人は走り出した。「・・・人・・・?。」
見ればフンヴォンだ。「おーい。」
フンヴォンはマヤウに餌をやろうとしていたのか、籠一杯に木の実や
穀物等を運んでいる。

   あとがき: 今月10日、茨城県の常磐自動車道で悪質なあおり運転を
        した上、被害者の男性を殴るなどの暴行を加えた男を逮捕、
        同じ車に同乗していた交際相手の女も20日に送検されたと
        いう。
         あおり運転で思い出すのが2017年、神奈川県の東名高速で
        執拗なあおり運転を受け、高速道路上に停止させられた際に
        後続のトラックに追突され、夫婦が死亡した事件。
         あれから2年が経過したが、あおり運転による脅威は解消
        されていないという事なのだろうか。
         高速道路上で車を停めたり人が降りたりするのは危険行為
        だと聞いたことがあるが、高速道路上で恐怖をあおって車を
        停止させる行為は危険極まりないと思うのだが、何故そこまで
        脅威を与えるのか。
         今回のあおり運転の加害者である男と同乗していた女は
        その2日前にも静岡の東名高速であおり運転を行っていたとも
        言われており、常習的に危険行為を繰り返していたと思われる。
        事件が起こった日がちょうど盆休みに入る頃で、多くの人が
        高速道路を使用する時期になりつつあったが、不幸中の幸いか
        死亡事故までには至らなかった。だが、あおり運転を受けた方は
        どれだけの恐怖を感じただろうか。
         ハンドルを握る方は、自分の運転が周囲にどれだけの影響を
        与えるか、常に意識して運転して頂きたい。
Duke Friedrich Ronniele
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