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サント・マルスと混沌の邪神
逆らえない運命なら、その運命を受け容れ、自分らしく生きる

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「そんな事は必要はない。今言った通りやり残した事があるから戻って
きたまで。あんたらの事情とやらに関わるつもりはない。」
「しかし・・・。」
ユーリウスはシュメールから顔を背けた。
「・・・大陸神エイジャン。聞こえるか?。」「何でしょうか?。」
エイジャンは姿を現した。
「お・・・お母様!!。何故この地に・・・?。」
シュメールは思わず後ずさりした。
「この、ハビロの塔をその力で破壊して欲しい。出来るか?。」
「何ですって!?。」
「この塔をか・・・?。」
「ロナウハイド様・・・本気で仰られているのか!?。この塔は・・・。」
シュメールは慌ててユーリウスを押さえつけようとする。
「これだから困るな。自分のことしか見えてない連中は・・・。」
ユーリウスはシュメールを睨みつけた。はっと息をのむ大陸神エイジャン。
「そもそもエイジャンの国内の争い事が絶えなくなったのはこの塔が
出来たからだと俺は思っている。だったらこの塔を破壊すれば全ては丸く
収まるんじゃないかと。とにかく、今は争い事を続けている場合じゃない。
そのままだと邪神が入り込む隙を作ってしまい、この世界全てが闇に
飲まれてしまうという事を理解させなければならない。」
「・・・確かにそうですが・・・けど、それだけでこの大陸内の争い事が
収まるとは思えませんが。」
「けど、やってみないと分からないっしょ。それに、頭の中のティマイオスが
言っている。惑星エーアデが語りかけていると。もしかしたら何らかの
作用があるのかもしれない。」
エイジャンは暫く考えた。「分かりました。やってみます。」そして祈りを
捧げた。
 塔は上の階から徐々に壊れていき、それと同時に塔の破片が人の形へと
変化していった。
「・・・ひ、人!?。これってどういう事だ?。」ユーリウス達は驚きの
声を上げる。
「この人達は旧ティグルの人間。この土地に染み付く呪いを抑えつける為
集められた人達だ。いわゆる人柱って奴だな。」
「何だって・・・?。一体誰が。」
「普通の人間にゃ、こんな事は恐らく無理だろう。そうなれば答えは
おのずと見えてくる。」
「・・・なる程ね。」ユーリウスは膝を落としながらシュメールを睨み
付けた。
「な・・・何を言うか!!。私はこの地に賭けられた呪いを封じ込める為、
やむを得ず・・・。」
「守護神ともあろう者が言い訳するのか。最低だな。良くそれで『神』が
名乗れるものだ。人間を虫けら扱いするなど神のする事じゃねえな。」
シュメールは返す言葉もない。先程の兵士もシュメールの側で驚いた
ようにそれを見つめる。
「・・・あ、あんたか。我々を助けてくれたのは。」
ティグル人かと思われる人々はユーリウスとジルカメスの側へと集まって
きた。一人の老人がジルカメスを指差した。
「あ・・・あんたは、確か。ジル・・・ナントカって。」
「ジル・・・カメス、だったか。神の子だって噂の奴だろう。あんた。」
「助けてくれて、ありがとうよ。」
「あ・・・いや、みんなを助けたのは俺じゃねえ、ここに居るユーラントの
勇者ロナウハイド様だ。勇者様が大陸神エイジャンにここを破壊するように
言ってくれたおかげなんだ。」
ジルカメスがそう言うと、皆の視線はユーリウスに向けられた。
「おお、あんたが・・・。」「ユーラントの勇者様。おお、ありがたや。」
人々は今度はユーリウスに群がっている。ジルカメスはそれを横目で
見ていた。ふと気づき、隅の方に目をやると、まだ戻っていない破片を
見つけた。
「破片じゃない・・・。石板?。」ジルカメスは石版に駆け寄った。
「こいつ・・・。まさかあん時の契約の石?。」
ジルカメスは石版を持ち上げた。「・・・そ、それは!!。」
シュメールがそれを取り上げようとする。「あなたは黙っていなさい。」
シュメールは叱咤され、一歩下がった。「・・・お母様・・・くっ・・・。」
「それを破壊します。下がっていなさい。」
エイジャンは再び祈りを捧げた。「あ・・・これは。」
石版が消えた後には一人の少女がジルカメスの腕に抱かかえられていた。
「おっ・・・。」ユーリウスは急に頭が軽くなったのを感じた。そういえば
吐き気や脂汗も収まっている。
「やった。あー、これでやっと頭痛と吐き気から開放されたぁ。」
ユーリウスは思い切り背伸びをした。「・・・お、どうした。」
ユーリウス達はジルカメスに近づいた。抱きかかえられていた少女は
静かに目を開けた。
「ここは・・・?。」
ジルカメスはそっと少女を降ろした。
「なんだよ・・・何がどうなってんだ?。」
ユーリウスが尋ねるが、誰も何も答えられない。

     あとがき: もうすぐ8月も終わり、暑かった夏も終息を迎えている。令和初の
        夏は如何お過ごしだっただろうか。そんな中、こんな心温まる記事を
        見つけた。
         第101回全国高校野球選手権大会の12日目、第3試合の星稜(石川)
        対仙台育英(宮城)での試合。7回で足を気にするそぶりを見せた星稜
        の先発、萩原は足がつったと見られた。そこへ相手チームの仙台育英の
        小濃がコップを持って行って渡した。「敵の投手に救いの手を差し
        伸べた。」と、その瞬間スタンドから拍手で称えられ、仙台育英の
        心意気に皆心温まる思いがしたという。
         いい話だなと思う。お互い甲子園の頂点を目指す者同士として、
        試合での緊張感ではなく、心を通わせる場面が素晴らしいと思う。
         多分、試合以外では「見知らぬ相手」なのだろうが、小濃選手に
        とって通じ合えるものがあったのだろう。
         願わくば奇跡が起きて、この二人がいつか同じグラウンドで再会
        できれば素晴らしいかと思う。

        

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