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パソコンを立ち上げ、宗教団体ナバホ=ダコタのホームページを開いた。
確か団体員の自己紹介が乗っていたはず。
「ええと、・・・『ワナギースカ』。これか・・・。」 教団の広報担当のメンバーの中に彼の名があった。 「広報担当って事はパソコンとか預けられているはず。何か証拠か、 できれば今度の爆破予告の計画書を作成した物か何かあれば・・・。」
しかし、そんなデータが入ったパソコンがあったとしてどうやって 調べようか。 「・・・神の力を借りるか。」 ユーリウスは早速ティマイオスの宝玉を手に取り、尋ねた。 「そんな事出来る訳・・・と言いたいところだがその宗教団体とやらの 動きに人々が賛同し始めている。この世の終わりに秩序が乱れるのも
時間の問題なのであれば、協力しよう。これで秩序が乱れるのを食い
止める事ができれば・・・。」
「念の為、親父にも協力させる。」「そうだな。」 その夜、ティマイオスの転送で宗教団体ナバホ=ダコタの中央指令所に やってきたユーリウスと父チリカワ。 「何で私が付き合わなければならないんだ。」 「今まで母さんに散々苦労を掛けただろ。今回の事は償いだと 思えっつうの。」 「なんかお前に踊らされているような気もするが・・・。」 夜中だというのに明かりが煌々と点いている。チリカワの魔法で皆眠りに ついているらしく静かだ。「広報室」と書かれた部屋に入る。 「んげっ・・・。」 あとがき: カレーライスのライスをダムに見立て、ルウをダム湖に見立てて ライスを崩して食べる「ダムカレー」が2009年頃から全国に 広まっている。 そのダムカレーに「不謹慎」と批判を訴える記事が建築系の メディアに掲載されているという。その記事を書いた執筆者は 災害の復興工事に携わっている土木技術者だそうで、崩して 食べる行為が、災害などで建物が壊れ、多くの犠牲者を出した 事を連想させると主張しているという。 それに対し、日本ダムカレー協会では「多くのダムカレーは 過疎化に悩む水源地の方々が考えだしたものです。ダムカレーで、 少しでも活気が取り戻せたらという気持ちから誕生しています」と ツイッターでコメントしているという。 ライスを崩し、カレーのルウを一気に流す行為は、ダムの決壊を 彷彿させるかどうかなど考えた事もなかった。ライスを「ダム」に 見立てただけで、カレーのライスを崩して食べるのはその人の 好みの食べ方なので善し悪しの判断は出来ない。 ただ、こういった出来事まで「不謹慎」と決めつけられては うっかり何も出来なくなってしまう。以前に記事にした有名 ブランドの商品が人種差別を連想されると物議を醸した事が あったが、それと同様見る側の「受け取り方」ではないだろうか。 拘ればきりがないし、どちらが正しいかなど無いに等しいかと 思う。 |
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しかし、母はその事を咎めもせず、
「・・・そうなんだ・・・。」としか言わなかった。自衛軍の 予備クラスに入隊しても反対もしなかった。ただ、「副業でも
始めようと思って面接してきたのにな。」と笑顔を見せる母だった。
そんな母の言葉に心が揺らぐユーリウス。
「けど、自分で決めたんだったらとことんやりなさいよ。途中で諦めたら この家出て行って貰うからね。」
優しい口調で厳しい言葉を告げる母。この母の為にも自分が決めた道を 歩かなくてはならない。そう決意した。
「なんで・・・反対しなかったの?。」 「あんたは言い出したら絶対曲げない頑固者だから。お父さんにそっくり だわ。」
「あいつかよ・・・。あいつと一緒にするな。」「はいはい。」 自分が決めた道。運命を受け入れると決めた時からユーリウスは自分の 中に底知れぬ力がみなぎっているような気がした。
UPE-HE‐6Gの話からWA‐W11VARーSYーUKAことワナギースカはやはり 宗教団体ナバホ=ダコタに所属している事は間違いないようだ。ただ、
後は彼とテロ事件を結びつける証拠が欲しい。
「奴が爆弾を仕掛ける時間と場所さえ判ればいいんだが・・・。」 じっと考えていると煙草の禁断症状が出てくる。
「あー、イライラする!!。」
大きな声で独り言を叫んでも、何の解決にもならない。 「分かっている、けどさ・・・。」
「・・・待てよ・・・。」 あとがき: イギリスの高級ファッションブランド「バーバリー」が2019年の 秋冬コレクションで公開したパーカーのデザインが、「自殺を 連想させる」との批判を受け、謝罪した。 このパーカーのデザインでは、胸元のフードについている紐が 首吊り自殺に使う縄のように見えるとの事だ。 そうインスタグラムに投稿したのがショーでモデルを務めた リズ・ケネディさん。ケネディさんは家族を自殺で失っており、 同インスタグラムで「自殺はファッションではない。魅惑的でも 先鋭的でもない」と批判し、バーバリー側とデザイナーが謝罪した。 ここの所、世界の有名ブランドが批判を受け、謝罪する例が 相次いでいる。ブランド側が優れたデザインだと感じても、見る 側にとってみれば受け取り方は様々だ。ファッション業界も、 厳しい時代を迎えているのではないだろうか。 |
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中等学校に上がってまもなくの事。学校から帰ってくると父が荷造り
している。どこかへいくのだろうか、と思ったが、その時は何も
聞かずにいた。二、三日して母から父が出て行ったと聞かされた。理由は
教えてはくれなかった。その時はまだ漠然とした記憶しかなかった。
中等学校の卒業をあと一年ちょっとで卒業する頃、ユーリウスは担任の 先生と進路について話し合っていた。
先生からは「この成績を維持できれば君が目指す技術学校への推薦状も
書ける。入学試験に向けてこれからはライバルも増えてくるから気を
抜かないで頑張ってくれよ。」といってぽんと肩を叩いた。
「技術学校か・・・。」昔から物を造ったり直したりと黙々と一人でする 作業が好きだった。手先が器用だった事もあり、エンジニアを目指し
技術学校への進学を夢見ていた。しかしある夜、母がつけていた家計簿を
見て愕然とした。預金等の全財産を確かめると、どう考えても技術学校の
学費を捻出するのには困難な金額だった。
先生に相談し、奨学金を得る事を考えたが、母の年収では奨学金を 得る条件からは僅かに外れてしまっていた。先生も何とか奨学金を
受けられるように色々掛け合ってくれたが、絶望的な結果しか出て
こなかった。僅かな差でユーリウスは奨学金を貰いそびれてしまう。
先生も別の書類を持ってきてくれた。それで何とか進学できるかも
しれない。だが行けたとしてもこの厳しいインフレが続く世の中、
学費を払い続ける事が出来るのだろうか。ユーリウスは書類には
記名せず、その代わりに「退学届」を提出した。
当然のことながら母はすぐに気づいたようだ。予想はしていたので、 その事を咎められたら開き直ってやる、と覚悟を決めていた。
あとがき: コンビニエンスストアたファミリーレストランなどで繰り 広げられるアルバイト従業員による不適切動画を投稿が後を 絶たない。 こういった不適切な行為をすることも信じがたいが、それを まるで武勇伝の如く動画サイトに投降するという事も信じ がたい事だ。彼らは何のつもりでこういった行為を繰り返し、 それを動画に投降するのか理解が出来ない。単なるいたずら、 または「いいね」などの反応を得たいから、なのか。だとしたら 余りにも安易すぎる。 このニュースで、迷惑を被った店側から賠償請求を求められる など、この行為によってどんなデメリットがあるか何度も 報道されているにもかかわらず、だ。 ふと考えたのだが、こういった行為をする者達は、ニュースを 見ていないからではないか。スマートフォンなどの端末をいじる 事はあっても、画面を見ている時間の殆どはSNSの画面を見るだけで 肝心のニュースを観るなど常識的な事は一切行わないのではないか。 だからあれ程、不適切動画を投稿する行為についてどうなるか 何度の呼び掛けていても、この行為を繰り返す者が後を絶たないと いう事なのかと思う。 だとしたら、店舗側も動画を投稿した後の社会的影響を学習 させる必要があるかもしれない。 |
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「俺は暫く身を隠す。ただ、たった一つだけ伝えたい事がある。
ありがとう。今まで友達でいてくれて・・・。」
UPE-HE‐6Gははっとしてユーリウスを見上げた。「えっ・・・。」 「・・・怒ってない訳・・・無いよな。」「さあね。」 「だったら何故、そんな今生の別れのような事を・・・。」 「・・・実は・・・。」言いかけたが「やっぱやめとく。」 ユーリウスはそう一言残し、ドアのセンサーに手を掛けた。 「WA‐W11VARーSYーUKAに言って置いてくれ。首を洗って待って ろってな。」
そう言って執務室を出た。部屋の外には長官とI-KUB-AYA202上佐が 待ち構えていた。
「もういいのか。」長官がユーリウスに声を掛けた。 「随分と簡単だったな。」
上佐も話しかける。 「我々の間には長たらしい言葉は必要ありません。」 「WA‐W11VARーSYーUKA・・・ワナギースカ、か。」 「ここまでの恨みを買うなんて、一体どういう事なのだろうか。」 駐屯地での話を王に伝えた。「心当たりが無いから困っているんですよ。」 「向こうが勝手に思い込んでいる、という事はあるかも知れんな。 状況から言ってやはり『異例の出世』は反感を買う材料になる。
気の毒だが。」
王の酒の肴にユーリウスも付き合いながら果実酒を御馳走になる。 「大変だな。」「まあ、ありがとうございます。」「禁煙もな。」 ユーリウスは苦笑いした。 グラスに注がれた果実酒の紅にユーリウスは昔を思い出していた。 あとがき: 一昨日午後9時、春まだ遠い北海道胆振地方を最大震度6弱が襲った。 昨年9月6日に起きた「北海道胆振地震」。その大きな地震は人々に 再び悪夢を思い出させたに違いない。 昨日のニュースには、帰宅の足を奪われた人たちが混乱する様子や、 札幌駅や千歳空港で一夜を明かす人々がいると報道された。 気象庁からの発表では、昨年から続く一連の地震とみているそうで、 今後の注意を呼び掛けている。 9月の地震でも大変だったかと思うが、今回はまだ寒さが続く2月。 それ故に早い復旧が求められているだろう。今後の情報に注意しながら 一日も早く復旧されることを祈る。 |
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「本来であれば、お前はテロリストの片棒を担ぎ、情報を外部に漏らした
犯罪者だ。しかし、それを咎める事をしなかった彼の懐の大きさに感謝
するんだな。」
UPE-HE‐6G上尉はもう何も言えないでいる。ユーリウスは 「空いている部屋をお借り出来ますか?。彼と二人で話がしたいんで。」 「いや、君達はここにいていい。我々が外で待っている。」 長官とI-KUB-AYA202上佐は執務室を出て行った。 二人は暫く何も言わなかった。ユーリウスの頭の中に色々な思い出が 浮かぶ。同じ年代、同期でたった一人だけR-01クラスに配属された自分を
誰もが嫉妬と疑惑の眼差しで見ている。そんな中、優しく、親しげに接してくれたのがUPE-HE‐6Gだった。お互いどこまで強いかをよく競い合って
いた。個人的な話なども熱く語り合った。そんな彼が不本意とはいえ自分を裏切った。憎む事は簡単だ。だがそうすれば今までの思い出全てが嘘だった事になる。やはり憎む事は出来ない。
「・・・俺が真犯人じゃないかって、疑わなかったのかよ。」 UPE-HE‐6Gは、まるで独り言のように呟いた。 「・・・信じてたから。」「・・・え・・・。」 「もし、そうだとしてもお前は真犯人である事を隠して俺を欺こうなんて 出来る奴じゃない。」
「で、でも、お、俺は・・・、俺は一瞬でもお前を疑ってた。仲間達に 疎外されるのが嫌で、お前を避けていた。お前の事、信じてやれなかった。そんな俺をお前は信じてたっていうのか・・・?。」
「当たり前だろ。例えどんな事を腹の底で考えていたとしても、優しく してくれたのは事実だ。それは間違いないだろう。」
「VAU-HE-1D・・・。お前って奴は・・・。」 UPE-HE‐6Gはもう何も言えないでいる。 あとがき: 岡山県で軽自動車で引きずられながら散歩している犬の動画が 騒ぎとなっている。 この動画は、高齢者とみられる男性が軽自動車に乗り、窓から リードに繋がれた犬を散歩していたというもの。投稿者によると、 「排気ガスがワンちゃんに当たっているし、歩道を車で走って いたので注意した。同じ状況を見掛けたら、注意し、警察に連絡 して・・・。」とツイッターで訴えている。 動画では、歩道を自動車で走行している様子が映し出されて いる。御存じの通り歩道は車での走行は禁じられており、危険 回避の為やむを得ない場合を除き罰則を受ける場合がある。 道交法第三章1十七条(交通区分)には「車両は、歩道又は 路側帯(以下この条において「歩道等」という)と車道の区別の ある道路においては、車道を通行しなければならない。」とある。 動画では、車道とは縁石で仕切られており、明らかに車両と 歩行者の通行が区別されている。となると明らかな道交法違反 となるのは明確だ。罰則として三カ月以下の懲役、五万円以上の 罰金、更に「通行帯違反」に該当するとなれば点数1として反則金 六千円となる可能性が高いという。 何はともあれ、大きな事故に繋がらなくてよかったと思う。もし、 歩行者が歩いていたらどうしていただろうか。違反である事を 分かって走行していたというなら大問題ではなかったか。 「違反」は「してはいけない事」。大きな事故に繋がるからこそ、 違反行為なのだ。決して軽く考えてはいけない事ではないだろうか。 |




