「これ。」
オルケルタは集落の外れにある木の実をもいだ。親指ぐらいの大きさの
粒が二十個位くっついている。オルケルタはそこから一粒もぎ取り、
ユーリウスに渡す。触るとぐにゃっとして変な感触だ。
「お口に入れてみて下さいな。」「食えるのか?。」
ユーリウスは恐る恐る口に入れた。
「皮は出してくださいね。あ、種もあるので気をつけて。」
なんか甘酸っぱいような、苦いような不思議な食べ物だ。「何、これ。」
「ブドウです。」「へーえ、面白い食べ物だな。」
「そうですか。・・・よかった、喜んで貰えて。この集落を気に入って
貰えるかどうか気になっていたんですけど・・・。」
「ああ、いいトコだな。気にいったよ。」
「そうなのですね。よかった。」
オルケルタはそう言ってにっこりと笑った。ユーリウスはその笑顔に軽い
眩暈を覚え、気が抜けそうになった。
「ところで、馬には乗れますか?。」「・・・ウ、マ?。何だ?。」
「こちらです。」
ユーリウスはオルケルタについて歩く。大きな小屋が見えた。すると
小屋の中に何か生き物らしきものが見える。
「これ・・・!!。でっ・・・でっけぇ。」
「そうですよ。皆これに乗ったり、荷物を運ばせたりするんですよ。」
「・・・生き物に乗るのかよ・・・。」
今まで、バイクや車、戦車、装甲車、特殊作業車などに乗ってきたが、
生き物に乗るという感覚は今までなかったユーリウス。驚くのも無理は
なかった。
「今日はもう遅いので今からは無理ですが、後日乗る機会があると
思いますので、その時、ごいっ・・・あの、御、一緒、その・・・
でき、たら。」
オルケルタは急に俯いて声も小さくなっていく。
「・・・ん、ああ、そ、その時は、宜しく・・・たのむ・・・・。
・・・かな。」
ユーリウスもなんだか恥ずかしいような気持ちになった。
「なんだ、お前達ここに居たのか。」
声のする方を振り返るとゲルマンが二人を探していたようだ。
あとがき: 当時、官房長官だった故小渕恵三氏が「平成(へいせい)」と書かれた
文字が掛かれた額縁を掲げ、カメラに向けた。それが昭和64年1月7日の
出来事だった。その翌日から平成元年、「平成」はここから始まった。
当時内閣総理大臣だった竹下登氏は「国の内外からも天地にも平和が
達成されるという意味が込められており、これからの新しい元号に
ふさわしい」と説明したという。
平成を振り返ってみると、そういった願いも叶うことなく、平成3年の
長崎県で発生した雲仙普賢岳の火砕流に始まり、平成5年、「阪神・淡路
大震災」、平成12年の「三宅島大噴火」、平成16年の「新潟・中越地震」
平成20年「岩手・宮城内陸地震」平成23年「東日本大震災」平成28年
「熊本地震」、平成30年「北海道胆振東部地震」など数々の災害に
見舞われた時代だったと思う。
明日からいよいよ「令和」の時代がスタートする。安倍晋三首相が
記者会見で説明したように「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ
育つ」という意味を込めた」時代になればと願う。
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