ここから本文です
サント・マルスと混沌の邪神
逆らえない運命なら、その運命を受け容れ、自分らしく生きる

書庫サント・マルスと混沌の邪神〜アト

記事検索
検索
その声に反射的に身体を低くした。次の瞬間、辺りに爆音が響く。
「・・・手榴弾・・・か?。いや、火炎瓶かも知れない。」
子供の泣き声が聞こえる。再び爆弾が投げ込まれない事を確認し、
声のする方に近づいた。
どうやら母親と子供が車で逃げようとしたらしいが、母親が爆風に
巻き込まれ即死状態だ。
「いつまでもここに居たら爆発に巻き込まれる。逃げるぞ!!。」
ユーリウスは母親が運転しようとしていた車に子供を乗せ、エンジンを
掛けた。
「アトラテック城に行こう。少なくてもここよりかは安全かも
しれん。」
「・・・お、おかあさんは・・・。」
「君のお母さんはもう大地に還った。悪いがもう二度と会えない。」
「どうして。」
「いいから、シ−ベルトを装着しろ。」
自分でも残酷な事を言ったと思っていた。けど仕方が無い。これが
現実なんだ、自分にそう言い聞かせていた。
「勇者ロナウハイド様は子供一人を助けるので精一杯かよ。」
嘆いても仕方が無い。車についていたナビゲーションシステムに
「アトラテック城」を入力した。
「行けるか・・・?。」
車は走り出した。しかし、大きな通りに出るとやはり避難しようと
している人々の車で大渋滞だ。
「くっそう・・・。ここまで来て・・・。」
なんとか進行方向を変え、元の道へ戻った。
「裏道とかないのかよ!!。」
あせっている自分を、側にいた子供が見ている。自分の今の精神
状態を感じているに違いない。
「・・・まずいな・・・。」
ユーリウスは子供を安心させる為、話し掛けた。
「君、名前まだ聞いていなかったな。名前は?。」
「俺?。・・・エル・ドラ」
「・・・エルっていうのか。いい名前だな。」
「うん。兄ちゃんは?。」
「俺か、俺はユー・・・ロナウハイド、だ。」
「ロ・・・難しいや。そうだ、ロニー、とか呼んでいい?。」
「好きなように呼んでいいよ。」「・・・うん。」
住宅が密集している地域を抜ける。突然横から爆風が起き、車が
横転してしまった。
「エル!!。大丈夫か?。」「・・・。」
ユーリウスはエルを助け出す為、シートベルトを外した。幸い、
エルにはかすり傷だけで済んだようだ。
「・・・痛いトコ、無いか?。」
「大丈夫。俺男だもん。お母さんが、男は泣いちゃいけないって。」
「そうだな。」
ユーリウスはエルを負ぶって安全なところに避難しようとした。

   あとがき: 4月1日はエイプリルフール。毎年の事ながらネット上では
         くすっと笑わせられるようなニュースから、考えさせられる
         ニュースまでがエイプリルフールネタとして話題になるが、
         今年はご存知の通り「改元」発表に話題が持って行かれ、
         あまり注目されなかったのではないだろうか。そのネタを
         纏めたサイトをみるとユニークなネタが並ぶ。
          幾つ紹介するので、画像は専用サイトでご覧頂きたい。
         「ゲームキャラクター『星のカービィ』が四角いボディに
         なって登場。」「SEIKOの『煎餅ダイアル』」「クラシル
         『透明ハンバーグ』」などなど今年も凝ったネタが満載。
           エイプリルフールネタと言えば個人として一昨年の
          エイプリルフールに掲載した偽ニュースも考えたが、
          今年は4月1日が更新休業の日に当たっていた為、一昨年
          2017年の作品が唯一となってしまった。
           皆様はどんなネタが面白かっただろうか。また、来年は
          どんなネタが並ぶのか、期待したい。
「・・・おい、ここも危なくなってきたぞ。恐らく軍部に近いこの場所は
一番危険らしい。」「何だって。」「そうなのか!?。」
報道陣がそちらに気を取られたその隙に、ユーリウスは急いでオート
メーションカーに乗り込んだ。

 高架の上を進むオートメーションカーから外の景色が見える。あちこちで
煙が上り、暴動が起こって居るのが分かる。
「・・・暴動を起こしたって、何か解決できるのか!!。」
ユーリウスは怒りと共に何も出来ない自分に悔しさを感じていた。突然強い
衝撃が振動としてオートメーションカー本体に響く。「何だ!?。」
オートメーションカーが突然止まった。安全装置が働いたようだが、何が
起きたのだろうか?。パネルを見ると「安全装置作動」の文字が表示されて
いる。前の方を見ると高架の橋桁の一部が破壊されているのが見えた。
「あっぶな・・・、いや、これってまさか・・・。」
こんな所にも暴動が起きているのか。恐らくオートメーションカーはこの
場から動けないだろう。何とかしてここから出て皆と合流しなければ。
ユーリウスは非常脱出ボタンを押し、ドアを強制的に開けた。
「ここから城へ行くにはどれだけ時間が掛かるんだろうか。」
電流が通っている所を避けながら高架沿いに進み、非常階段がある場所を
目指す。
 突然空が暗くなった、かと思ったら軍部の飛行機やヘリコプターが
地上の様子を確認している。
「くっそう・・・今どうなってるんだよ。」
ユーリウスは携帯端末機を開き、ニュースを確認しようとした。が、回線が
繋がらない。
「電波塔もやられたのか?。」
だとすれば、皆に連絡を取るのが不可能だろう。
「・・・そこの君!!危ないから早く降りなさい!!。」
ヘリコプターから軍部の人間と思しき人物が拡声器でユーリウスに向かって
叫んでいる。
「橋桁が崩れかかっている。早く降りなさい!!。」
「何だって・・・やべえ・・・。」
ユーリウスは急いで階段を探す。その間にもあちこちから爆音が鳴る。
「まるで・・・戦争だ。」
もう何百年も前、この大陸には幾つか国があり、常に争いが絶えなかったと
いう。それを今の王の先祖が国を統一し、一つの大陸に一つの国家を
スローガンに掲げ、「絶対国家」を創り上げた。以来戦争というものは
起きていない。ただアトラテック史の教科書に想像図として「戦争」の
挿絵が描いてあった。今のこの状態はまさにそんなところだ。
 そうこうしているうちに階段を見つけ、降りる事が出来た。
「伏せろ!!。」
誰かが叫んだ。

    あとがき: 改元に乗じての便乗詐欺がちらほらと出現している。
         大手通信メーカーのソフトバンクでは実在しない
         「全額キャッシュバックキャンペーン」を騙るメールが
         送られ「同社ではそのようなキャンペーンは行っておらず
         本文中のURLリンクをクリックしないように。」と呼びかけ、
         万が一URLをクリックした場合、電話番号、パスワード
         などの個人情報を入力しないようにと注意を促している。
          また、埼玉では80代の女性が金融機関を騙る男から
         「元号が変わるのでカードを新しくした方が良い」との電話で
         カードをだまし取られ現金を引き出されたという。
          こういった詐欺から身を守る為警察当局が注意を呼び
         掛けており、国民生活センターでも絶対に銀行口座情報を
         教えたりせず、身に覚えのない商品が届いても受け取りを
         拒否するよう呼びかけているという。
          大きな出来事が起こると便乗して詐欺が横行するのは
         今に始まった事ではない。この事を頭に入れ、少しでも
         おかしいと思ったら、警察などに相談するなど、詐欺被害に
         遭わないように気を付けるべきだろう。
「宗教団体ナバホ=ダコタ教祖カレタカ容疑者が言っていた事は
本当なんですか?。『日食の際、邪神ヴァルタヴルカンが復活し、この世界
全てを飲み込んでしまう』と。」
ユーリウスは暫く答えられなかった。何故それを・・・。危うくそう言い
そうになる。
「そ・・・そうなの、か?。」
何とかそう言ってそこを取り繕った。
「インターネット上ではその話題で持ちきりなんです。御存知なかったん
ですか?。」
「最悪の場合、この大陸が邪神に飲み込まれてしまうといった説も
流れていますが
本当なんですか!?。」
「大陸神ティマイオスも滅びてしまったとも聞きます。この大陸に救いの
手は無いのでしょうか?。」
「答えて下さい!!。あなた、神の代弁者なんですよね!?。」
「はっきりさせて下さい!!。邪神が復活するのか否か、それとこの
大陸の運命はどうなるのか。そして、我々が生き延びる方法は
あるのか!!。」
その時だった。遠くの方で爆音が聞こえた。「何だ?。」
「遂に暴動が始まったか。」記者の一人が叫んだ。
「暴動!?。一体どういう事だ?。」
「知らなかったんですか?。世界が終わるというので皆パニック状態
なんですよ!!。」
「何故・・・。」
「ですからこうして質問しているんですよ。暴動を鎮圧させるには、
ロナウハイドさん、あなたの口から真実を伝えてもらうより他に
無いんです。」
 そう言われても、ユーリウスに答えられる訳が無い。
邪神ヴァルタヴルカンが復活するという話はあくまでもティマイオスの
推測なのだ。だが、遠い未来、この大陸が邪神ヴァルタヴルカンとの
戦いによって消滅したという伝説だけが残った事を考えれば
根拠はあるのかもしれない。だが、今それを言うわけにはいかない。
秩序が乱れ、人が戸惑う、そうなる事は解かりきっている。一体
どう答えたら・・・。
「私より、専門家の意見の方が確実じゃないですか?。」
なんとかその答えを搾り出した。「専門家、といいますと?。」
「・・・ちっ・・・地質学、とか、天文学、とか・・・
色々・・・。」
「そういった方々から答えが出ると思いますか!?。神のなせる
業について答えられるのは、神の代弁者であるあなただと。いえ、
神亡き今それを答えられるのはあなた以外に居ないでしょう。」
ユーリウスはますます追い詰められていく。

    あとがき: 新元号「令和」が発表され、日本中のあちこちで新元号に
         まつわるコメントが飛び交う。鎌倉市に住む高橋さん(76)は
         名前が「令和」と書いて「のりかず」さんだそう。その他
         静岡県藤枝市在住の松浦(45)さんもまた「のりかず」さん
         だという風に、名前が新元号と同じ文字である方々が注目
         されたり、清涼飲料やお菓子などにも新元号の名を入れた
         商品を販売するなど、ちょっとした「令和ブーム」が起こって
         いる。
          また、芸能界ではゴールデンボンバーがいち早く新元号
         ソングを世界配信したり、お笑いコンビ「メイプル超合金」の
         カズレーザーが本名「和令」で「かずのり」と読むなど、
         ブームは留まる事を知らない様子。
          恐らく年末に行われる「2019年の出来事何々」などには、この
         改元や「令和」ブームが数え上げられるのか。令和元年の5月1日から
         12月31日までの期間、「令和」に関する話題がどれだけ続くのか。
「ニュースを観たぞ。・・・よかったな。疑いは晴れて。」
「今後は名誉棄損問題で裁判か。大変だな。」「ええ・・・。」
ユーリウスは今回の事件の報告の為、第八駐屯地を
訪れていた。
ヤヒ=アルゴンキン長官もI-KUB-AYA202上佐もほっと胸を
なでおろしていたようだ。
「実は・・・軍を退役しようかと・・・。」
ユーリウスは退役願いが書かれたデータとチップを渡した。
「えっ・・・。」
「疑いは晴れたのに、か?。」
「ええ、父が故郷へ帰るから一緒に暮らさないかって。」
「異世界、とやらに行くのか。」「はい。」
「そうか・・・君のような人材を失うのは惜しい気が
するが、元気でな。」
「ええ、お世話になりました。」
執務室を出ると、I-KUB-AYA202上佐が一緒に着いて来た。
「行くのか・・・寂しくなるな。」
「色々庇って頂いて、ありがとうございました。」
「手紙・・・くれるか?。」
「郵便システムが整っていないかもしれないので、約束は
出来ませんが。」
「そうなのか。そりゃまた寂しいな。」
少し沈黙が流れた。
「そう言えばお前の名前、七月って言っていたが、何故だ?。」
「ユーリウスという名は父が名付けてくれました。七月が
『ユーリ』なのは父の故郷の言語なのだそうです。」
「親父さんか。それで・・・納得した。」
皆に別れを告げ、第八駐屯地の建物に向かって敬礼をした。もう
思い残す事は無いと
BA‐HNH‐OF=0‐08ステーションへ向かった。

 「・・・い、居たぞ!!。」「追いかけろ!!。」
ステーションへ向かおうとしたユーリウス。報道関係の人間と
思われる人物が次々とユーリウスを囲んだ。
「ロナウハイドさんですよね。」
「我々の質問に答えて下さい。」
爆弾魔に間違われた事か?。もうその事はうんざりだった。
何も答えたくない。そう言おうとした。

    あとがき: 新元号「令和」が1日午前11時30分に発表された。
         歴代で数えると248番目となる元号だという事だ。
          元々元号とは、古代中国で君主が時間さえも支配する
         という思想の元に誕生した制度だそうで、その中国でも
         清朝で廃止となり、今では日本のみが使用していると
         いう事だ。
          新元号の「令和」は日本最古の歌集「万葉集」の一文
         「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を
         披き、蘭は珮後の香を薫す」から引用したと、安倍首相は
         記者会見でそう述べている。
          昭和に引き続き採用された「和」の文字のように平和な
         世の中である事を祈りたい。
「王も心配されている。落ち着いたら広間に来てくれ。いいな。」
そう言って父も母も部屋を出て行った。
 一人になり、ユーリウスは冷静になって考えた。ティマイオスが
滅んだのは自分の事を庇って、という事もあったに違いない。そう思えて
仕方がなかった。それを「運命」として片付けてしまってよいものか、と
思う反面、父の言うとおり、今はティマイオスの意志を継ぎ、残された
大陸が邪神ヴァルタヴルカンに飲み込まれるのを防ぐしかない。
「勇者ロナウハイドよ。」
頭の中で声がする。「ティマイオス!?。」
「大陸神ユーラントは自ら滅びる直前未来人に自分の記憶を与えた。
それと同じように私の記憶をそなたに与えよう。ユーラントの者では
あるが、半分はこのアトラテックの血を持つ者。この世界の記憶をそなたに託した。他の大陸が消滅するのを食い止めてくれ。そしていつか生まれ
変わる日を夢見て・・・。」
それからはもう頭の中にはもう何も聞こえてはこなかった。

 重い気持ちを胸に秘めたままユーリウスは広間へ向かった。
「おお、来たか。ロナウハイド君。」
「御心配掛けて申し訳ありませんでした。」「案ずるな。」
王は寂しそうに笑った。
「それより、実はな、大変な事が分かった。大陸神ユーラントからの
転送の時期がもうそろそろだというのだ。」
「なんですって!!。だ、だって、日食によって邪神ヴァルタヴルカンが
復活するかもしれないのがあと千百日以上、つまり三年以上
あると・・・。」
「いや、逆に言えばそれしか日程はない。それに日食が始まった時には
我らはここに居ては他の大陸を守れぬままこのアトラテックと運命を共に
する事になるのだぞ。」
側に居たチリカワが言った。「そんな・・・。」
「以前も言ったが、我々が成すべき事はティマイオスの意志を継ぎ、この
惑星エーアデに住まう全ての生命を守らなければならない。」
「それが・・・俺に課せられた運命なんだな。」
「そうだ。・・・ロナウハイド君。私はこの大陸と運命を共にするが、
きっと生まれ変わってみせる。その時また会おう。」
王はユーリウスに握手を求めた。「お待ちしています。」

    あとがき:「チャコ」の愛称で親しまれた声優白石冬美さんが亡くなった。
         享年82歳。「パタリロ!」のパタリロ・ド・マリネール8世や
         「巨人の星」の星(花形)明子等数々の役を演じてきた。        
          個人的には「機動戦士ガンダム」のミライ・ヤシマ役が
         印象強いので、訃報を聞いた際「あのミライさんが・・・。」
         と驚き、「ガンダム」のワンシーンでスレッガーの死を
         知らされたミライさんの映像とだぶった自分がいた。
          アニメだけではなく、ラジオのパーソナリティーとしても
         活躍されていて、とくに有名なのはTBSラジオ「パック・イン・
         ミュージック」で野沢那智(故人)氏と共演以来4半世紀にも
         亘ってコンビを組まれていた。
          声に独特の特徴がある方で、一声聞いただけで本人と分かる
         声優さんの一人としてその名を知っていた。もうあの声が
         聞けないというのがとても残念だ。心からご冥福をお祈りしたい。
Duke Friedrich Ronniele
Duke Friedrich Ronniele
男性 / B型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
友だち(9)
  • マニマニ
  • Lilith(りりす)
  • corona
  • Kawakatu
  • ダルビッシュゆうや
友だち一覧

過去の記事一覧

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

Yahoo!からのお知らせ

最新のコメント最新のコメント

すべて表示

よしもとブログランキング

もっと見る
本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事