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「俺は暫く身を隠す。ただ、たった一つだけ伝えたい事がある。
ありがとう。今まで友達でいてくれて・・・。」
UPE-HE‐6Gははっとしてユーリウスを見上げた。「えっ・・・。」 「・・・怒ってない訳・・・無いよな。」「さあね。」 「だったら何故、そんな今生の別れのような事を・・・。」 「・・・実は・・・。」言いかけたが「やっぱやめとく。」 ユーリウスはそう一言残し、ドアのセンサーに手を掛けた。 「WA‐W11VARーSYーUKAに言って置いてくれ。首を洗って待って ろってな。」
そう言って執務室を出た。部屋の外には長官とI-KUB-AYA202上佐が 待ち構えていた。
「もういいのか。」長官がユーリウスに声を掛けた。 「随分と簡単だったな。」
上佐も話しかける。 「我々の間には長たらしい言葉は必要ありません。」 「WA‐W11VARーSYーUKA・・・ワナギースカ、か。」 「ここまでの恨みを買うなんて、一体どういう事なのだろうか。」 駐屯地での話を王に伝えた。「心当たりが無いから困っているんですよ。」 「向こうが勝手に思い込んでいる、という事はあるかも知れんな。 状況から言ってやはり『異例の出世』は反感を買う材料になる。
気の毒だが。」
王の酒の肴にユーリウスも付き合いながら果実酒を御馳走になる。 「大変だな。」「まあ、ありがとうございます。」「禁煙もな。」 ユーリウスは苦笑いした。 グラスに注がれた果実酒の紅にユーリウスは昔を思い出していた。 あとがき: 一昨日午後9時、春まだ遠い北海道胆振地方を最大震度6弱が襲った。 昨年9月6日に起きた「北海道胆振地震」。その大きな地震は人々に 再び悪夢を思い出させたに違いない。 昨日のニュースには、帰宅の足を奪われた人たちが混乱する様子や、 札幌駅や千歳空港で一夜を明かす人々がいると報道された。 気象庁からの発表では、昨年から続く一連の地震とみているそうで、 今後の注意を呼び掛けている。 9月の地震でも大変だったかと思うが、今回はまだ寒さが続く2月。 それ故に早い復旧が求められているだろう。今後の情報に注意しながら 一日も早く復旧されることを祈る。 |
サント・マルスと混沌の邪神〜アト
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「本来であれば、お前はテロリストの片棒を担ぎ、情報を外部に漏らした
犯罪者だ。しかし、それを咎める事をしなかった彼の懐の大きさに感謝
するんだな。」
UPE-HE‐6G上尉はもう何も言えないでいる。ユーリウスは 「空いている部屋をお借り出来ますか?。彼と二人で話がしたいんで。」 「いや、君達はここにいていい。我々が外で待っている。」 長官とI-KUB-AYA202上佐は執務室を出て行った。 二人は暫く何も言わなかった。ユーリウスの頭の中に色々な思い出が 浮かぶ。同じ年代、同期でたった一人だけR-01クラスに配属された自分を
誰もが嫉妬と疑惑の眼差しで見ている。そんな中、優しく、親しげに接してくれたのがUPE-HE‐6Gだった。お互いどこまで強いかをよく競い合って
いた。個人的な話なども熱く語り合った。そんな彼が不本意とはいえ自分を裏切った。憎む事は簡単だ。だがそうすれば今までの思い出全てが嘘だった事になる。やはり憎む事は出来ない。
「・・・俺が真犯人じゃないかって、疑わなかったのかよ。」 UPE-HE‐6Gは、まるで独り言のように呟いた。 「・・・信じてたから。」「・・・え・・・。」 「もし、そうだとしてもお前は真犯人である事を隠して俺を欺こうなんて 出来る奴じゃない。」
「で、でも、お、俺は・・・、俺は一瞬でもお前を疑ってた。仲間達に 疎外されるのが嫌で、お前を避けていた。お前の事、信じてやれなかった。そんな俺をお前は信じてたっていうのか・・・?。」
「当たり前だろ。例えどんな事を腹の底で考えていたとしても、優しく してくれたのは事実だ。それは間違いないだろう。」
「VAU-HE-1D・・・。お前って奴は・・・。」 UPE-HE‐6Gはもう何も言えないでいる。 あとがき: 岡山県で軽自動車で引きずられながら散歩している犬の動画が 騒ぎとなっている。 この動画は、高齢者とみられる男性が軽自動車に乗り、窓から リードに繋がれた犬を散歩していたというもの。投稿者によると、 「排気ガスがワンちゃんに当たっているし、歩道を車で走って いたので注意した。同じ状況を見掛けたら、注意し、警察に連絡 して・・・。」とツイッターで訴えている。 動画では、歩道を自動車で走行している様子が映し出されて いる。御存じの通り歩道は車での走行は禁じられており、危険 回避の為やむを得ない場合を除き罰則を受ける場合がある。 道交法第三章1十七条(交通区分)には「車両は、歩道又は 路側帯(以下この条において「歩道等」という)と車道の区別の ある道路においては、車道を通行しなければならない。」とある。 動画では、車道とは縁石で仕切られており、明らかに車両と 歩行者の通行が区別されている。となると明らかな道交法違反 となるのは明確だ。罰則として三カ月以下の懲役、五万円以上の 罰金、更に「通行帯違反」に該当するとなれば点数1として反則金 六千円となる可能性が高いという。 何はともあれ、大きな事故に繋がらなくてよかったと思う。もし、 歩行者が歩いていたらどうしていただろうか。違反である事を 分かって走行していたというなら大問題ではなかったか。 「違反」は「してはいけない事」。大きな事故に繋がるからこそ、 違反行為なのだ。決して軽く考えてはいけない事ではないだろうか。 |
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「こいつ・・・お前は忘れているかもしれないが、これは俺の誕生日に
母さんから貰った物だ。その時、これを見てお前は俺の誕生日について
聞いてきたな。そして俺の本名が生まれ月である七月、つまり『ユーリ』
からきた事を説明した。そう言ったらお前は『来年のお前の誕生日には
本名で祝ってやる』そういって俺の名前をメモしていたよな。この駐屯
地内で俺の本名を知っているのはごく限られた人物だけ。消去法で
消していったらお前が当てはまったって訳さ。」
UPE-HE‐6G上尉は躊躇っている。暫く黙秘を通していたが、 「・・・す、すまなかった。」と、ユーリウスの前で膝を床に着いた。 「奴、WA‐W11VARーSYーUKAとは一月ほど前に町で偶然再会した。宗教 団体に入っているって言ってたんで、余り関わらない方がいいなと
思ったが、その後どういう訳か個人持ちの携帯端末機を失くして
しまったんだ。そいつには他の友人の情報なんかと一緒にそん時の
VAU-HE-1Dのメモ機能なんかも入っていたんだ。すぐに気付いて返して
くれるように頼んだが、逆に、それをネタに金を請求され、VAU-HE-1Dの 情報までも流してしまった。元々WA‐W11VARーSYーUKA、ワナギースカは
VAU-HE-1Dの事を良く思っていなかったらしく、VAU-HE-1Dの名を騙り、VAU-HE-1Dがテロを起こしたように見せかけた。・・・すまない。
許してくれとは言わん。お前の情報を流したのは俺だ。どんな罰でも
受ける・・・。」
跪いているUPE-HE‐6G上尉をユーリウスは上から見下ろす。 「俺の情報!?。俺の情報は何も流れてはいない。俺は、自衛軍第一 駐屯地所属の超特殊部隊ティターンの隊員『ロナウハイド』だ。」
「ロ、ロナウ・・・何・・・?。」 驚いているUPE-HE‐6Gに上佐が話し始める。 あとがき: フィギュアスケート羽生結弦選手の物まねをすることで知られる、 ものまねタレントの羽生ゆずれない(23)が芸名を改名すると ツイッターで発表した。 ゆずれないは昨年12月13日発売の週刊誌でスキャンダルが報じられ、 それを見た羽生結弦選手のファンからの苦情が殺到。中には中国語や 韓国語、英語での批判も相次いだ。 羽生ゆずれないは元々羽生結弦選手だけではなく、他にもレパートリー を持っていたが、顔つきが少し似ているという事で名付けられた名前 だという。ところが、名と知名度が上がると共に羽生結弦選手のファン からは「ものまねしないで」という声が上がっていたという。 改名はそういった経緯もあったことからなのだろうか。改名について 一般公募で新たな名前を募集し、それから決めるという事らしい。 羽生結弦選手だけではなく、ルパン三世や瀬川瑛子などのものまねも レパートリーとして持っているが、今後はこういった他のものまねや、 新たなものまねも開拓するのだろうか。心機一転したこれからの活躍に 期待したい。 |
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「そ、それ、だけ・・・です。」
すると長官が立ち上がって言った。 「私はVAU-HE-1D上尉が退役したとは一度も発表していない。極秘の 情報だが、VAU-HE-1D上尉のデータを全て消去はしたがな。」
「け、けど・・・皆がそう言って・・・。」 「噂に左右されるのか?。上尉とは随分仲良くしていたというのにそんな 事で確かめもせずに縁を切ってしまうのか。冷たいな。」
「・・・ちっ、違う・・・。お、俺はVAU-HE-1Dがテロ行為をしたって 事で国家警察からマークされていた。それでここには居られなくなって
退役したんだと・・・。」
「お前は、VAU-HE-1D上尉がテロをするような反社会的な人間だと思って いたのか?。」
「そ・・・それは・・・。」 「信じてやれなかったのか?、VAU-HE-1Dを。」
UPE-HE‐6G上尉はもう話すことができないようだ。ユーリウスは、 「俺から言わせて貰う。信じる信じないよりも、何故お前は答え られないか。それは・・・VAU-HE-1D、ユーリウス・ヴォルフガングの
個人情報を流出させたのがお前自身だからだ。」
UPE-HE‐6G上尉は驚きを隠せない。 「・・・ど、どう、して・・・分かった?。」
ユーリウスはポケットから一個のライターを取り出した。 「以前、I-KUB-AYA202上佐の私邸に集まってホームパーティーした 時のこと。覚えているか?。」「・・・。」
あとがき: 家庭用人気ゲーム、「ドラゴンクエスト(スクエアエニックス)」 が8月、フル3DCGアニメーションで映画化されることが決まった。 タイトルは「ドラゴンクエスト・ユア・ストーリー」、監督は 「永遠の0」などで知られる山崎貴。その他、原作者の堀井雄二、 音楽担当のすぎやまこういちなどが参加するという。 「ドラゴンクエスト」通称「ドラクエ」は1986年、エニックス (現=スクェアエニックス)で発売されたRPGゲーム。シリーズの 3作目は、発売時に徹夜組が並ぶなど社会現象さえも起こした作品。 発売より30年余り。映画化としてどんな作品になるのか。 |
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「失礼します。」
入ってきたのは上佐とUPE-HE‐6G上尉だ。UPE-HE‐6G上尉はユーリウスの 顔を見た途端青ざめた表情をした。皆それに気付かない訳はなかった。 「どうした?。」 上佐はわざと尋ねる。 「い、いや・・・なんで、VAU-HE-1Dがここに・・・確か退役した って・・・。」 「居ちゃ悪いか?。」「あ・・・いや・・・。」 「久し振りだな。」「あ・・・ああ、うん。」 UPE-HE‐6G上尉の歯切れの悪い答え方にユーリウスは疑惑が確証に 変わっていくのを感じた。I-KUB-AYA202上佐が話し始める。 「実はお前をここに呼んだのは彼がとある人物について詳しい者を 探していたそうなんだ。お前、確か以前退役したWA‐W11VARーSYーUKAと いう人物と幼馴染だったそうだな。それで彼に色々教えてやって 欲しいんだ。私達は、退役した軍人とはいえ、個人の情報を特定の 人物に公表する事は出来ない。お前が知り合いなら話が早い。どういう 人物か教えてやってくれないか。」 UPE-HE‐6G上尉は何か思う事があるのか暫く黙っている。 「どうした・・・?。彼とは随分仲良くやっていたと聞いているし、 WA‐W11VARーSYーUKAとは幼馴染なんだろう。橋渡しをしてやるのが 親切じゃないのか?。」 よく観ると、UPE-HE‐6G上尉はこめかみにうっすらと汗をかき、 僅かに震えている。どうやら呼吸も荒くなっているらしく、両手の 拳をぎゅっと握り締めている。 「I-KUB-AYA202上佐から『WA‐W11VARーSYーUKAについて教えてやって 欲しい』って言われて来た。だが、まさかVAU-HE-1D上尉が居るなんて 思ってもみなかった。」 「それはどういう意味だ?。何故VAU-HE-1D上尉がここにいるわけ 無いと思った?。」 「た・・・退役、したって聞いてたから・・・。ここにはもう・・・。」 「それだけか?。」 あとがき: 競泳の池江璃花子(18)が今月12日自身のツイッターで白血病に 罹患している事を公表した。 池江璃花子といえば、昨年のパンパシフィック水泳選手権、アジア 等で大活躍し、来年のオリンピック出場を大きく期待されていた 選手の一人。 ところが、先日のオーストラリアでの合宿中に体調不良を訴え 診察を受けた処、白血病との診断を受けた。 嘗ては不治の病として、ドラマなどでも悲劇的に描かれる事が 多かった病だが、現在は発見が早ければ治る事も可能だそうだ。 そんな池江も、診断を下された時のショックはとても大き かったと思う。しかしツイッターには明るく前向きな文章が 綴られており、多くの共感を誘ったという。その中でも「私は、 神様は乗り越えられない試練は与えられない、自分に乗り越え られない壁はないと思っています。」その一言にどんなにか心 打たれただろうか。 いまは治療に専念し、復活の時を待ちたいと思う。 |




