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サント・マルスと混沌の邪神
逆らえない運命なら、その運命を受け容れ、自分らしく生きる

書庫サント・マルスと混沌の邪神〜名も

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「・・・仕方ない・・・。」
思い切ってユーリウスは起き上がり、両親に気づかれないようにこっそりと
外へ出た。
「そう言えば、この家、鍵も掛けない・・・、いや、鍵も掛けられ
ないのか。」
 空には満天の星が広がる。吸い込まれそうな夜空を見ているとやっと
落ち着いてきた。
「一人で眺めるのがなんだか勿体無いな・・・。」
そう思った瞬間、再びあのオルケルタの事が思い出された。
「うう・・・またか。」ユーリウスは頭を抱えた。

 「・・・馬って、あの生き物の事か?・・・。」
「ああ、そうだが、まさか・・・乗った事無いのか?。」
「・・・ああ・・・。」
「じゃあ、教えてやる。見てな。」
集落の若者、ホルケが馬小屋から馬を二頭出して来た。
「俺がやっているのを見ながら、同じようにこれを装着してくれ。」
「こいつが鞍。馬の背中につける。人が跨る部分だ。そしてこっちが鐙。
足を掛けてここから馬に跨る。」「ふうん・・・。」
ユーリウスはホルケが鞍と鐙を装着させるのを見ながら自分も同じ
ように装着させる。
「こんなんで、いいのか?。」
「紐が多少緩めだが、まあいいだろう。もっときつく
縛っておかないと、途中で外れたりして大変な事になるぞ。」
「あ、そうか・・・。」
ユーリウスは言われたとおりに縛りなおした。「準備はいいか?。」
「ああ。」
ホルケが一気に跨ってみせる。
「怖がっていると馬のほうで分かられて、乗せてくれないからな。
気をつけて。」
「ああ。」
ユーリウスも思い切って跨ってみた。「結構目線が高いな。」
「後はそこの紐、『手綱』で命令する。」
「これか、これでどうやって?。」
「見てな・・・。」ホルケは手綱を引き、号令を掛けた。すると
馬は少し歩き出した。
「へーえ。アクセルとブレーキみたいなもんか?。」
「おーい、やってみろよ。」
少し離れた場所でホルケが叫ぶ。
「確か・・・あまり強く引くといきなり走り出して危ないって
言ってたよな、これぐらいか?。」
ユーリウスもホルケがやっていたのを思い出し、手綱を引いてみた。
「おっ・・・。」


   あとがき: 最近「神○○」や「○○神」といった「神」という文字を使った
         言葉が多用されている。個人として神サマがずいぶんと安っぽく
         なった気がするのだが。
          守護神を僕にした小説を書いている自分が言うのもなんだが、
         神とは元々崇高な存在であり、絶対的な存在ではなかったのか。
         この世に生きとし生けるものの為に存在するものではなかったの
         かと思うが、どうなのだろうか。
          神に対する付加価値が変わってきたのだろうか。そう思えて
         仕方がない今日この頃である。
やがて辺りは暗くなり、ユーリウスは約束どおり長老の家へ行こうと
外へ出た。
「・・・凄え・・・。」
空には今まで見たこともないような満天の星空が広がっている。
「・・・これが無数の星空・・・。親父の言っていた事は嘘じゃ
なかったんだ。」
美しい星空に暫し見とれる。
「どうだ。結界の外の世界は。」
いつの間にかゲルマンが側に立っていた。
「いろんな事がありすぎて正直ちょっと戸惑っているかな。けど、俺は
自分の運命を受け入れるって決めたから、これ以上迷わないさ。」
「・・・そうか、私ももう何も言う必用は無いかもしれんな。」
 長老の家ではユーリウスたちは歓迎を受けた。その歓迎振りに見捨てて
来てしまったアトラテックの事や、これから迫りくるかもしれない闇を
暫し忘れる事ができた。
「覚悟は決めたはずだ。」
その言葉を胸に秘め、前を見て行こうと誓った。

 夜はなかなか寝付けなかった。いろいろな事が余りにもありすぎた
事もあるが、残してきたアトラテックの人々の事や、国の行く末、
そして復活するかもしれない邪神ヴァルタヴルカンとの戦い。日食が
起こるまであと千百日余り。その間に自分がやるべき事は
・・・。まずは戦える準備は整えておかなければ、と。後は「未来人」と
言われる・・・。
 次の瞬間、ユーリウスは何故か顔が赤くなった。そしてどういう
わけかあのオルケルタ
の顔が思い浮かんだ。その瞬間、どんな刺激にも反応しなかった
自分の身体の一部が
まるで魔物の如く変化した。「うっ・・・やべえ・・・。」
そっとその部分に手を触れてみると、今まで感じた事のない感覚だ。
「・・・お、俺の身体、どうなっちまったんだ!?。」
ユーリウスはどうにか身体をうつぶせにし、必死で違う事を考えようと
した。パーテーション一枚で仕切られている向こう側にいる父と母に
気づかれないかと思うと当然寝入るどころではない。ますます目が
さえて来る。
「お、お・・・おおおちつけ・・・。ちっ、違う事考えろ・・・。
おおお、おれっ、俺はなあ、ゆっ、ゆうっ、勇者ロナウ、ハイドだ。
だよな・・・。そう、俺は・・・。」
すこしはなんとか落ち着いた、かとは思われた。が、しかし
「ロナウハイド」の名を思い出したことで
「・・・あの、ロナウ、ハイド様ですよね・・・。」最初にそう
質問してきたオルケルタの事が思いだされしまった。
「・・・ますます、ダメだ・・・。」
呼吸が荒くなり、胸がどきどきする。


    あとがき: 今年になってバッグと財布を新しくした。財布は5年程、
          バッグに至っては20年近く使用していた物だ。勿論愛着はあり
          手放すのは惜しい気もしたが、金具の部分の破損が大きく、
          使用に困難をきたす前に思い切って新しいものと交換した。
           馴染むのに時間が掛かるかと思っていたが、案外その便利さに
          重宝している。以前使っていたバッグより一回り大きいので、
          少し大きめのメモ帳や折りたたみ傘などを入れるのにとても
          便利である。
           メモ帳に関しては、「スマホにすればいいのに」という外野
          からのアドバイスを無視し、あくまでも手書きに拘っている。
           メモ帳であれば、小説のアイディアなどをさっと書き写すのに
          便利だ。けど、スマホだと、その機能を使用できるアプリまで
          たどり着くのにアイディアを忘れてしまう恐れがある。年齢と
          言われればそれまでだが、やはりこれだけ便利な世の中でも、
          昔から使用している物にはそれなりの良さがある。
           といいつつも、新しいバッグと財布はどうなのか。それと
          同様、メモもスマホにしたら案外便利さに気づくのだろうか。
「夜になったら長老がお前を皆に紹介したいそうだ。夕方には家に
戻っているようにな。」「家って・・・?。」
「あ、すまんすまん。まだ家を紹介していなかった。そうか、
オルケルタは分かるはずだから案内してもらってくれ。・・・いいかな、
オルケルタ。」
「はい。」
再び集落を見て回った。やがて一軒の布でできた大きなテントのような
建物の前に来た。
「・・・これが俺の家・・・?。」
「というか、ゲルマン様が住んでいらした幕舎です。」
入り口の扉の代わりについている部分の布を捲るとそこはもうきちんと
した生活の場になっていた。
「思ったより広いな。」ユーリウスが中に入るとオルケルタは
一歩下がった。
「・・・じゃ、私は、これで・・・。」
「あ・・・。色々ありがとう、な。また、案内してくれよ。」
「私でよければ。」「うん。」
オルケルタは手を振って去っていった。「・・・いい娘だな・・・。」
思わず口に出して言った。「何が?。」「げっ・・・。」
振り向くとチヘンネがそこにいた。
「かっ、かっ、母さん、い、居たのかよ。」
「ふーん。ああいう娘が好みなの?。」
「い、いや、その、き、きたっ・・・ばっかりで、その、色々案内して
もらっただけだ。べ、別になにも・・・。」「そうなの!?。」
「母さんこそ、何してるんだよ。」
「他にやる事無いのよ。お父さんについてきたのはいいけど、ここの
人達とは言葉が通じなくて。」
「えっ・・・俺は普通に話してたけど・・・。」
「そうなの!!。何で?。やっぱり『血』のせい?。」「かもなあ。」


  あとがき: 本日より新たな時代「令和」がスタートする。個人的に「昭和」「平成」
       に続き三代目の元号を実感する事になる。
        「平成」への改元の際、は天皇の崩御での改元だった為、喪に服す中での
       執り行われた元号発表だった。それ故に「大喪の礼」など、慌ただしさや
       悲しみの真っただ中で行われ、あっという間に改元と祭事が行われた
       印象が強かった。
        今回の「令和」への改元は天皇(上皇)の生前に執り行われている
       せいか、あの時のような慌ただしさはない。
        「令和元年」のスタートは徳仁親王が天皇に即位されることから始まる。
       新元号が発表された際、安倍首相が「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が
       生まれ育つ」という意味と説明したような時代を過ごせるようにと
       希望する。
「これ。」
オルケルタは集落の外れにある木の実をもいだ。親指ぐらいの大きさの
粒が二十個位くっついている。オルケルタはそこから一粒もぎ取り、
ユーリウスに渡す。触るとぐにゃっとして変な感触だ。
「お口に入れてみて下さいな。」「食えるのか?。」
ユーリウスは恐る恐る口に入れた。
「皮は出してくださいね。あ、種もあるので気をつけて。」
なんか甘酸っぱいような、苦いような不思議な食べ物だ。「何、これ。」
「ブドウです。」「へーえ、面白い食べ物だな。」
「そうですか。・・・よかった、喜んで貰えて。この集落を気に入って
貰えるかどうか気になっていたんですけど・・・。」
「ああ、いいトコだな。気にいったよ。」
「そうなのですね。よかった。」
オルケルタはそう言ってにっこりと笑った。ユーリウスはその笑顔に軽い
眩暈を覚え、気が抜けそうになった。
 「ところで、馬には乗れますか?。」「・・・ウ、マ?。何だ?。」
「こちらです。」
ユーリウスはオルケルタについて歩く。大きな小屋が見えた。すると
小屋の中に何か生き物らしきものが見える。
「これ・・・!!。でっ・・・でっけぇ。」
「そうですよ。皆これに乗ったり、荷物を運ばせたりするんですよ。」
「・・・生き物に乗るのかよ・・・。」
今まで、バイクや車、戦車、装甲車、特殊作業車などに乗ってきたが、
生き物に乗るという感覚は今までなかったユーリウス。驚くのも無理は
なかった。
「今日はもう遅いので今からは無理ですが、後日乗る機会があると
思いますので、その時、ごいっ・・・あの、御、一緒、その・・・
でき、たら。」
オルケルタは急に俯いて声も小さくなっていく。
「・・・ん、ああ、そ、その時は、宜しく・・・たのむ・・・・。
・・・かな。」
ユーリウスもなんだか恥ずかしいような気持ちになった。
 「なんだ、お前達ここに居たのか。」
声のする方を振り返るとゲルマンが二人を探していたようだ。

 あとがき: 当時、官房長官だった故小渕恵三氏が「平成(へいせい)」と書かれた
      文字が掛かれた額縁を掲げ、カメラに向けた。それが昭和64年1月7日の
      出来事だった。その翌日から平成元年、「平成」はここから始まった。
       当時内閣総理大臣だった竹下登氏は「国の内外からも天地にも平和が
      達成されるという意味が込められており、これからの新しい元号に
      ふさわしい」と説明したという。
       平成を振り返ってみると、そういった願いも叶うことなく、平成3年の
      長崎県で発生した雲仙普賢岳の火砕流に始まり、平成5年、「阪神・淡路
      大震災」、平成12年の「三宅島大噴火」、平成16年の「新潟・中越地震」
      平成20年「岩手・宮城内陸地震」平成23年「東日本大震災」平成28年
      「熊本地震」、平成30年「北海道胆振東部地震」など数々の災害に
      見舞われた時代だったと思う。
       明日からいよいよ「令和」の時代がスタートする。安倍晋三首相が
      記者会見で説明したように「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ
      育つ」という意味を込めた」時代になればと願う。
ユーリウスはオルケルタの案内で集落を見て回る事にした。透き通るような
白い肌と宝石のような碧い瞳がユーリウスの心に焼きついて離れない。
 ユーリウスは彼女に見とれっぱなしで、何も頭に入らなかった・・・訳では
なかった。何故か彼女を見てると心が落ち着く。風車、井戸、ちょっとした
広場、池、そして畑と見て回る。
「・・・な、なんだ、これ。花、なのか?。」
背丈以上もある茎の上に黄色い大きな花らしきものがある。
「ヒマワリです。これ、秋になったら種を取ってその種を保存食にするん
ですよ。」
「でっかい花なのか。人の顔ぐらいあるよな。」「そうですね。」
「他には、何を植えているの?。」「後は、ライ麦と野菜と、豆と・・・。」
「ライムギって?。」
「パンを作るんです。あと小麦と大麦もあったかな。それはビールに。」
「ビ、ビールって何?。」「飲み物です。」「旨いのか?。」
「私は、まだ飲んだ事は無いですけど、どっちかって言うと大人の飲み物、
かな。」
「へーえ、じゃあさ、とうもろこしとかは?。パンはとうもろこしでは作ら
ないのか?。」
「と・・・とう、何ですか?。」
「とうもろこし、見たことないのか・・・。じゃ、トマトは?。俺好物
なんだけど。」
「・・・ああ、分からない、です。」
「じゃ、たまねぎは?。」「あ、たまねぎはあります。」
「そうなんだ・・・。食文化も違うのか・・・。同じ惑星なのに、不思議
だよな。」
「そうなんですね。」
オルケルタが笑顔になったのでユーリウスも笑顔になった。女の子と
会話する事がこんなに楽しいなんて、生まれて初めて感じた。
「あ・・・そうだ。」オルケルタは手招きして走り出した。ユーリウスも
後を追いかけた。
「何?。」

  あとがき: 平成最後にして令和最初のゴールデンウイークが始まった。退位の礼
       即位の礼がそれぞれ行われる今年は、その2日間を挟み、長い人では
       10連休となる方も多い。10連休の人、一部が休みの人、全く休みがない人
       過ごし方は様々だろう。
        10連休の為、あちら事らでイベントが目白押しの状態になるのは
       確実だろう。交通網も渋滞や規制などで非日常的な状態になるのも必須
       だろう。お出かけの際には混雑など予めそういった予想をたて、スムーズに
       行楽を楽しまれることをお勧めする。そしていい思い出で終われるような
       時間を過ごして頂きたい。
Duke Friedrich Ronniele
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