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次いで文部大臣が、「国王がこうした法案を準備するというのは、ズーラ国と密通している可能性が無
いとも言えまい。例の側近の入れ知恵とも考えられるが、アルファー2の資料が何故国王の所にあるのか
調べねばならぬ。事と次第によっては退位していただく場合があるやもしれぬ。それから、植物学研究所
などはすぐにも廃する必要がありそうだ。ろくな事をせん。」と強硬な発言をした。
「これだけの法案を資料までつけて提案するくらいだから、これはかなり大がかりな反政府行動が仕組ま
れているだろう。」と外務大臣が言った。「早急に情報局に命じて調査すべきですぞ。」
ここで首相はそれまでの意見をまとめた。
「今までの意見を集約すると、淡水化事業をあくまで最優先し、予算を他に回す余裕はないということで
すな。しかも敵国の植物などはもってのほか。国民は現状に満足しており、緑化は価値を生まぬ贅沢品に
過ぎない。そして、研究所に対しては一層の締め付けを行い、アルファー2の資料が国王の手に入った
ルートを徹底的に洗う、となりますな。」
「それにしても、」と厚生大臣が言った。「何か大きな企みがあるのだろう。国王がズーラ国とつるんで
何か事を起こそうとしているのは明らかだ。例のスパイ事件との関連も考えてみる必要がある。それにし
ても情報局は何をしているのだ。責任者を厳重に注意しなくてはならん。」
続いて労働大臣がタカ派の急先鋒らしく、「何れにせよ国王にはくぎを刺しておかねばならん余り出
しゃばらぬ方がよいと。前国王の二の舞を踏まれぬように、とな。」と言った。法務大臣はそれをたしな
めた。
「大臣。それは言い過ぎですぞ。前国王のことは以後口を慎まれた方がよろしいですぞ。」
「失敬、失敬。少し言い過ぎたようだ。まあ、ともかく国王には強く言っておかねばなるまい。」
続いて官房長官が、「何か手を打っておく必要はないものかね。王が組織だって何らかの行動を計画し
ている以上、こちらも対抗策を講じておくべきだろう。」
それに対して法務大臣は「国王は非力だ。何の権限も持たない。情報局の幹部連中に渇を入れて任せれ
ば十分だろう。」と言った。
議論が尽くされた後、首相はそれらの意見を総括し、全閣僚の了承を得た。第一段階が過ぎた。
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