「スペース・オデッセイ2101」

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●11月14日

 首相は再び国王と会談した。


 その間、国王の方も予定の準備をすべて終え、会談に備えた。その素早い行動の結果、情報局は後手に

回ることになった。


 会談は前と同じ国王の執務室で行われた。


 まず首相が型通りの挨拶を済ませた後、国王の顔色を窺いながら言った。


「前回提案いただきました法案の件ですが、閣僚会議の結果、遺憾ながら国会提出は時期尚早そうという

ことに相成りました。」


 国王は表情を変えずに言った。


「そうであるか。しかし、淡水化事業の莫大な経費と比べたら、緑化事業にかかる費用はたかが知れてい

ると思うが。しかも全国をすぐに緑化しようとは言っていない。七年間の計画でやろうというのだ。これ

くらいの予算はどこかに眠っている予備費で十分にまかなえよう。緑化事業は未来への大切な布石だ。早

いのに越したことはない。むしろ遅すぎたくらいだ。ズーラ国がアルファー2を提供すべく言っておるの

を拒絶する理由は少しもない。国交を結ぶのに最適の機会ではないか。」


「しかし、ズーラ国は先の暴走道を引き起こした張本人です。何らかの陰謀が十分考えられます。」


「そんなことは無かろう。ズーラ国は以前から我が国との国交を望んでおるではないか。その様な国が、

しかも我々と同じ民族が大半を占めるというのに、その様な陰謀を企むはずがない。」


「しかし、現に情報局職員による証言があります。こちらの側で陰謀を好意的に受け取るのは勝手です

が、相手は何をもくろんでいるか分かりませんよ。」


「その証言とやらは当てにならぬ。現にズーラ国のスパイとされたものたちの抗議声明が出されているで

はないか直接的な利害関係の少しもない国がスパイを使って暴動を起こす必要がどこにあるか。」


 首相は国王が多くのことを知っているのに驚いた。そして、背後の大きな反政府組織の頂点にズーラ国

があると確信した。


 国王は更に発言を続けた。


「私は政府が提案しないなら、直接国民に訴えたいと思う。緑化計画の賛否を国民に問うて結論を出せば

いいだろう。国民投票で決しよう。」


「失礼ながら、国王にはその様な権限はございません。その上いたずらな混乱を引き起こさないとも考え

られません。一考なさった方が賢明です。閣僚は全員反対なのですから・・・。」


「国民投票は絹布でも規定されておるではないか。たまには国民の生の声を聞いてみることも必要だ。私

は境、テレビで国民に訴えようと思う。境の会談は以上だ。」

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