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首相は大いに慌てた。再び閣僚を非常召集し、対策を協議した。諸大臣は憤慨し、直ちに強硬措置を取る
よう議決した。決定は直ちに警察省と情報局に伝えられた。
国王逮捕の命令に従い、警備局機動部隊が出動し、宮殿と放送局を封鎖すべく現場に急行した。しかし、
それより早く、宮殿は近衛兵によって閉ざされて厳重な守備体制がとられており、機動部隊は宮殿を遠巻
きに包囲するしかなかった。また、放送局は軍によって守られ、舞台は一歩も近づけず、遙か離れた要所
から成り行きを見守るしかなかった。
国王はすでに放送局に入り、国民に向けての声明をリハーサルしていた。
その日の夕刻、チャンネル・ゼロとアンテナ・Aは国王の声明を特別番組として流していた。
「アッシーラ国の皆さん。国王のカーベ二世です。本日は私から皆さんに一つの提案をしたいと思いま
す。そして、この提案を皆さん一人一人が真剣に検討されることを心から望みます。
こんにち、我が国は国家建設の多方面に渡る事業を成し遂げ、沢山の実りある成果を得て参りました。
しかし、残念なことに我が国の緑化事業は未だにその端緒にすら至らず、国土の多くは広大な砂漠のまま
にされております。かかる現況を省みるに、私は痛苦の念に駆られて止みません。緑化への着手は我が国
民の願いであり、不毛の土地を肥沃化するための第一歩であります。皆さんを取り巻く環境の悪化を防ぎ
自然による自浄作用を促し、我々の未来の地球を守るためにも、緑豊かな大地は欠かせないものなので
す。大戦争という我々の祖先が起こした地球の破壊にこのまま挫けることなく、かつての緑豊かな我が国
土を取り戻そうではありませんか。
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