「スペース・オデッセイ2101」

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 政府の驚きも大きかったが、国民にはそれ以上の反響を巻き起こした。国王がそうした形で国民の前に

姿を現して直接訴えるのは初めてであるのに加え、緑化事業の意義とそれに反対する政府の姿勢を明確に

知ったからだった。もっとも、緑化ということの意味と意義を本当に理解する人は年老いた人を除いては

ほとんどいなかった。彼等は緑というものを意識の中に持ち合わせていなかったのである。


 国民はその放送を通じ、暴動のスパイ説に対する疑惑を一掃し、改めて政府に対する反感を高めた。特

にスパイ事件の真相が政府発表と全く逆であることに誰もが驚き、呆れそして怒った。ここにその反政府

感情と王の提案した緑化運動が結合することになった。それは単なる緑化法案の国民投票実現という要求

を越えるうねりになるのは確実だと思われた。


 前回の暴動を見、聞き、そして参加した人々は容易に街頭へと繰り出した。前回は静観していた人たち

も外へ出て抗議行動に加わった。人々の叫びは高らかに反政府を唱えていた。そして、大都市に始まった

示威運動はたちまちのうちに全国に拡大した。前回の暴動を数で上回るのは明らかだった。来る日も来る

日も警察や政府機関に対するデモが行われ、国内の日常活動はほとんど停止した。それはまさにゼネスト

状態であった。



 政府は警察力で暴動を封じ込めるべく画策したが、圧倒的な数の民衆を前にして全く為す術がなかっ

た。一部では民衆と警察の衝突も見られたが、前回のような武力的な争いは一部を除いては起きなかっ

た。人々の怒りは大きかったが前回の苦い経験から学んだ冷静さも失っては居いかった。政府は軍をも動

かそうとしたが三軍ともそれを無視した。また、息のかかった放送局を通じて国民に職場復帰をするよう

警告したが全く効果はなかった。


 チャンネル・ゼロとアンテナ・Aは下級局員が国民の抗議行動を支持し、政府責任を追及する論評を流

した。また、医師連合会からは一部指導者層やその子弟における薬物乱用の状況が告発された。逮捕を免

れ地下活動を再開していた人々からはスパイ事件を詳しく説明するパンフレットが続々と出され、アッシ

ーラ国の人権と自由が抑圧されている状況を告発し、その訴えは急速に人々に受け入れられ、浸透してい

った。

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