小説 「欧州周遊旅日記」

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全8ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8]

[ 前のページ | 次のページ ]

イメージ 1

 二人はバーカウンターでグラスをを傾けていた。原口はアメリカ在住時代に病みつきになったというバーボ

ンを、黒瀬はフランス帰り以来お気に入りのマダム・ブラカというコニャックをストレートで飲んでい

た。エンヤの音楽が静かに響いていた。二人とも酔いがまわって来たのか、会話の内容もかなりストレー

トになっていた。


「しかしなあ、原口、鹿島田は俺たちの先輩なんだぞ。会社のためとはいえ、彼の政治生命に影響を与え

るようなゴシップの暴露はどうかと思うがな。君は月刊誌の編集をしているにしてもだ。『週間人物往

来』をタブロイド紙並に落としめるようなことはするなよ。」

「無論だ。僕だって同じ企業の一員としてそんなことは望んでいないよ。でも、政治家は公人なんだ。プ

ライベートで非難されるようなことをする事自体が問題なんだ。」

「確かに君の言う事は正論だ。政治家は公人だろう。でもなあ、日本の政治的状況を見てみろ。対米追従

のこんなポツダム体制が続いている限り、日本に未来なんて無いのは分かっているだろう。自公党なんて

利益誘導と過去の政治を引きずっているんだけなんだよ。対抗できるのは民自党しかない。よりましな政

党だ。」

「かもしれない。でも、僕は文芸往来社に入ったんだ。そこで生き続けるためには企業のポリシーを守ら

ざるを得ないんだ。」

「そうか、君も所詮は会社人間なんだな。僕はフランスに行ってフランスの流儀というものを知った。前

にも話したように、あの国では政治家のプライバシーは保護される。個人情報はあくまでも個人的な問題

であり、それを政治的に利用するなんて事はしない。それが成熟した社会の政治と見ているんだ。ミッテ

ランにしても、シラクにしてもそのプライベートな問題はほとんど問題にされない。政治的に影響してい

ない。ミッテランの愛人問題でも、本人が、サ アロール(それで?)と言って、決着さ。これが本来の

政治なんだと思わないか。」

イメージ 1

 黒瀬のマンションの部屋は彼の趣味が圧縮されていた。居間には英国製のカクテルキャビネットがあっ

た。世界中のジン、ブランデー、ウイスキー、ラム、バーボン、シェリー、リキュール、ワイン、ビール

そして日本酒が揃えてあった。かといって彼は飲兵衛ではない。居間と続くキッチンには同じく英国製の

バーカウンターが設えてあり、友人を招いてはアルコールを酌み交わしながら会話を楽しむのが趣味だっ

た。書斎は、おそらくは小さな図書館と呼ぶのが相応しかった。若いときから読んだ書籍が四方を囲み、

天井まで届く本棚に所狭しと納められていた。その部屋だけは誰も立ち入ることはできなかった。プライ

バシーの領域と考えていた。日吉の高台にある超高層コンドミニアムの最上階の彼の部屋からは遠く港北

ニュータウンの高層建物の連なりが見られた。


「この辺りも大分変わったなあ。ニュータウンなんていうが、昔はは田畑や山に覆われていた。大手のゼ

ネコンがこうして自然を切り拓いては人を集める住宅地を造っていく。港北区が港北と都筑、青葉に分割

された。すべては過ぎゆく。元のままのものは何もない。」と、文芸世界社に勤める原口が言った。


「そういえば、君は学生時代、綱島に住んでいたな。確か山田地区に人工の富士山があったはずだが。あ

そこはまだ残っているのかな。」


「ああ、もちろん。今や国際プールとセットで有名だ。」


「ところで、この前のキャンプでも話題に出たが、鹿島田さんのスクープは何か企みがありそうだな。何

か知ってるんだろう。本当のところを教えろよ。」


「僕は何も知らないよ。知っていたとしても、言えない。黒瀬、君だって知っているだろう。情報源は僕

らの命綱なんだ。守秘義務があるんだ。」

イメージ 1

イメージ 2

 2月27日(水)12時15分の電車でモナコへ行く。入り江に密集した小ぢんまりとした町だ。新市

街がモンテカルロ。王宮と海洋博物館(学割で1/2の5フラン)を見学。再びニースに戻りプティ・パ

リ・ホテル(45フラン)部屋番号54に宿を取る。小雨が降っている。


 2月28日(木)外貨交換に行った。アメリカ国籍の東西大学院生という女性と知り合い午前中同行し

た。

 海岸は雨のために重苦しかったが海岸にある城跡から見たニースの街並みは濡れた赤煉瓦が美しかっ

た。モノプリ(スーパーストア)で買い物をした。

イメージ 1

イメージ 2

 2月24日(日)深夜20時45分発の電車でバルセロナまで乗った。料金は20.45ペセタ。
 
 2月25日(月)バルセロナで国際列車タルゴに乗り換え、アヴィニョンへ向かった。午後3時到着。

歌で有名なサン・ベネゼ橋、教皇庁、ノートルダム寺院、ロシェ・デ・ドン公園と巡った。フランスの片

田舎である。身を切るような風が冷たい。


 2月26日(火)駅で出会った日本人と一緒にポン・デヒュ・ガール、ローマ時代の水道橋に行った。

バスで片道5.9フラン(1フランは約60円)。この水道は1キロにつき34センチの勾配がつけられ

ているとのこと。その土木技術は驚きだ。


 15時47分発のTEE47・リギュールに乗り、18時58分にニースに着いた。カーニバルの最終

日だった。雨の中、7時頃小さな行列が見られた。広場のイリュミネーションが美しい。二人部屋で34

フランのエリザベス・ホテルに泊まる。20時45分から海岸での花火大会を見た。

イメージ 1

 2月23日(土)マドリードのアトーチャ駅からトレドまでRENFEの電車で向かった。トレドのタ

ホ川は汚れていて、洗剤の泡が立ちこめて異様な姿を示していた。グレコの家などを見学した。1ペセタ

が約5円、10ペセタでオレンジが10個以上買えた。その日はアトーチャ駅近くのホテル。メルカトー

ルに宿を取った。一泊575ペセタだった。20本入りのたばこ、シュープレモを買った。その後、夜の

電車に乗るまでの時間、プラド美術館を訪ねた。マヤや受胎告知などの絵画を鑑賞した。ピカソのゲルニ

カはここにはなかった。

全8ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8]

[ 前のページ | 次のページ ]


.
青い鳥
青い鳥
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

過去の記事一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事