小説 「欧州周遊旅日記」

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スペイン階段で

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オードリーへプバーンのローマの休日で有名になったこの階段で、地元の高校生と出会った。なぜ、写真を撮ったのか思い出せないが、彼女たちはちょっとしたワルっていう感じだった。たぶん1975年。ここにはそれ以来訪れたことがない。当時、ヘプバーンがアイスクリームを食べた所とも知らなかったはずだ。この反対側の通りはブランド物のブティックが並ぶ通りがあったと思う。階段の上は確か教会。
最近、ここを訪れた人はいますか。できれば感想を残してください。

欧州周遊旅日記 その9

 青春時代の彼らの思想や思い、考え方は卒業後の社会の荒波の中でそれぞれ変わらざるを得なかった。

それは今や過去の遺物となった唯物論を待つまでもなく、社会的存在が彼らそれぞれの意識を措定したの

だった。


「ところで、彼も大きな失態をしたものですね。」と文芸世界社の原口が言った。


「そういえば、前回も君のところがスッパ抜いたんだな。」と元新聞社のカメラマン八木。「誰か身近な

ニュースソースを確保しているのか。」


「どうでしょうか。私は知りませんが。政治家にはプライベートな時間は無いんでしょう。そうでしょ

う、山田さん。行動には常に細心の注意が必要なんですよ。心して行動しなくてはだめですよね。」と原

口は同意を求めるように山田の方に目をやった。


「そうだろうな。でもプライバシーは当然あるよ。ただし、あいつもやり過ぎだよ。黒瀬君も彼に言って

おいてくれよ。もちろん、僕も言うが、節度が無いと命取りになるぞ、と。」


「そうですね。」と言って、黒瀬は夜空を見上げた。都会ではほとんど見られないようなたくさんの星が

一面に輝いていた。





   ======O===================O======





2月18日(月)


 朝10時、モデルン・パレス・ホテル(8 bis、共和国広場、11区)を出て近くの郵便局へ行

き、手紙を出した。次いで、エッフェル塔へ向かった。2フランで2階部分まで行けた。当初よりあるエ

レベーターは水圧式だという説明に驚いた。今にも雨が降り出しそうな天気。午後1時頃、ムーランルー

ジュを通りながらモンマルトルの丘に行き、テルトル広場で多くの若い画家の卵と云われる人が描く絵画

を眺め、サクレクール寺院に入った。エッフェル塔は遠くから見るに限る。

欧州周遊旅日記 その8

 全員がビールで乾杯した後、バーベキューを囲みながら会話を弾ませた。


「ところで原田さんはどうしたんですか。田舎に隠居したままですか。」と緒方が言った。

「そうそう、あいつはイギリスから帰った後、出版会社に勤めたが、今は田舎に引っ込んだ。家業を継い

でいるよ。」と田川が答えた。。

「あいつも、自尊心が高いから東京で燻ってるわけにはいかんのだろう。田川はクラブが一緒なんだから

面倒見ろよ。」と、八木。田川と原田は同じクラブに属していた。

「八木さんもよう言うわ。元々あいつが国に帰ったのは先輩の責任が半分以上はあると思いますよ。」と

松江出身の田川が串刺しを振りながら言った。「先輩が恋の通い路を塞いだ張本人でしょう。」

「おいおい、妙なことを言うなよ。とんでもない、それは誤解だ。僕は他人の恋愛に茶々を入れる趣味は

ないぜ。それに、本人がいないから言うが、北川さんとはもう完全に切れてたんだ。」

 北川と原口は婚約をしていたが、いつの間にか解消し、その原因が八木にあると云われていた。


 皆は楽しそうに二人の会話に耳を傾けている。同じ時代を生きた仲間の会話にそれぞれ自分たちの人生

を重ねることで、自分の半世紀を懐かしく振り返っていた。彼等の嵐のような学生時代という青春は過ぎ

去り、既に五十代に入っている。残りの人生をどのように過ごすかを考え始める年になっていた。


「ところで、山田さんはこんど選挙なんでしょう。」と黒瀬が山田に言った。

「そうなんだよ。来年の4月が統一地方選だ。選挙は二度目が大変なんだ。」

「でも、山田さんは地道に横浜の地盤を固めているから大丈夫でしょう。」

「油断が大敵なんだよ。落ちたらただの人だからな。地元に密着した政治を目指すだけだ。」

「この経済状況が二進も三進もゆかない状況を何とかできないんですか。誰もが感じている、この閉塞感

を打ち破らないと、ますますこの国は右傾化しながら沈んで行きますよ。それこそが怖いんですよ。」

「そうだな。民自党も頑張らなくてはな。鹿島田にも聞かせてやりたいところだ。しかし、皆んなもご存

じのように我が党も左から右までバラエティーに富んでいるからね。特に憲法の九条に関してはどうしよ

うもない。」


 鹿島田と山田は同じ民自党に属していた。政権第2党として第1党に埋もれがちなうえ、世論調査では

支持率が数パーセントにまで落ち込んでいた。

欧州周遊旅日記 その7

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「ところで、清水さん。」と黒瀬は話題を変えた。「例の話はどうなんでしょうか。難しいことは承知で

すが、何とか入札に参加できるようにしてください。」

「そうだな。努力はするが、結果は余り期待しないでくれ。もともと、翻訳業務自体はそれほど多くはな

いんだ。」

「分かります。それでも是非よろしくお願いします。」と黒瀬は清水に頭を下げた。その後も一時間ほど

彼らはその店で話し込んだ。支払いは清水が済ませた。清水が先輩だった。


 次の金曜日、帰社後の黒瀬は休日の準備に余念がなかった。週末キャンプの準備をしていた。チェック

リストを広げてはあれこれと持っていく物を点検していた。

―包丁、飯ごう、まな板は揃っている。あと何かあるかな。そうだ、健康保険証を忘れている。これです

べてOKだ。あとは天気次第だな。


 翌朝、彼は愛車のダッジRAMに荷物を積み込み、横浜駅に向かった。駅の南口地下で友人の緒方と坂

井を拾った。二人は学生時代の友人だ。


「よう、緒方、こんなに早くて大丈夫か。お前は朝が弱かったろう。それに坂井、、ゴルフ焼けか。元気

そうだな。」

「こんなに早く起きたのは久しぶりだよ。黒瀬も元気そうで何よりだ。少し痩せたか。」

「顔いだけは貧相になったが腹の方が痩せてはいないんだよ。」


 三人は車に乗り、国道一号線を西に向かった。彼らが向かったのは富士山を望む御殿場近くのファミリ

ーキャンプ場だった。ここに、学生時代の仲間が10人程集まった。テントを張り、宿泊の準備を整えた

後、皆がバーベキュー広場に集まった。日常を離れた自然の中では心を開いて話し合えた。

「黒瀬君、君が提案して始まったこのキャンプも今回で5回目になるが、これほど素晴らしい集いはない

と思うよ。家族も参加できて、本当に素晴らしい。」と、年長の県議会議員山田が言った。

「有り難うございます。私も本当に楽しみにしてるんです。年に一回ですから、よけい待ち遠しいんで

す。」と、黒瀬は言った。

「きょうも大いにのんびりやろうぜ。」と先輩の田川が、揃えた食材を広げながら言った。

欧州周遊旅日記 その6

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 清水は時間通りにその料亭に現れた。「どうも、久しぶりです。」と、黒瀬は和室の座布団から立ち上

がって彼を迎えた。。

「僕らがやって来るようになっては料亭政治は終わったと云うことか。本当に懐かしい昔を思い起こさせ

る店だなここは。ところで、何時会ったかな、この前は。」

「確か学園祭仲間の集まり以来ですよ。」

  彼等は大学の学園祭の実行委員会で学園祭を主催していた仲間だった。

「ということは一年前か。早いものだ。」

「そうですね。時間だけは止められないですから。しかも誰も止めようともしないようですし。」

「いいや、止めようとした人間はたくさんいたんだ。もっとも、止まったのは自分の時間のほうで、結局

は時代に取り残されたんだな。時代錯誤とは正にその事を言うんだ。」

「なるほど。時代錯誤というのは、ひょっとしたら悪い意味ばかりではないと云うことですね。」

「はっは。相変わらず面白いことを言うね。君らしいよ。何時までも、その心を持ち続けることだ。」と

言って清水は高清水の杯を掲げた。黒瀬もそれに合わせ、「健康を祝して」と言った。冷たい日本酒が文

字通り喉元から五臓六腑へと一気に染み渡った。黒瀬のお気に入りの酒の一つだった。

「そうそう、ところで鹿島田さんの件は知っていますか。」

「ああ、しょうがない奴だな。これで二度目だからな。」

「そうですね。あそこまで書かれては奥さんの立場がないでしょう。そちらの方が心配ですよ。」


 鹿島田は参議院議員で二人の大学時代の仲間だった。黒瀬は学生時代から親しかったし、彼の思想の影

響を強く受けていた。鹿島田は政治評論家としてテレビで売れっ子になってから政界に打って出た、いわ

ば遅咲きの政治家だったが政界の離合集散の波に乗り、政権第2政党の重鎮になっていた。その意味では

マスコミの狙う格好のターゲットの一人だった。その鹿島田のゴシップがマスコミを賑わしていた。

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