酔いどれ李白の中国紀行

とめてくれるな、おっかさん。 行かにゃならん、史記の国へ。

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わたしたちが渋滞を抜け出して、この夜のホテル「銀河賓館」へ向かうころには、時刻はもう9時をまわっていた。
銀河賓館は空港(当時は虹橋空港)に近く、街からはそうとうに遠い。わたしたちは上海の夜遊びをあきらめるよりほかはなかった。
翌日は朝から帰国のために飛行場へ向かうので、これで上海の市街地は見納め、そしてわたしたちの中国の旅もこれで終わりということである。
銀河飯店からの夜景はなかなかきれいだったが、わたしはもうさっさと寝ることにした。
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そんなわけで、これが1992年の、わたしの初めての中国の旅のてんまつである。
ほんとうは最後の晩になって、わたしは下痢をしてしまい、ほうほうの体で帰国の飛行機に乗り込んだのだけど、ま、海外で下痢の洗礼をうける人は少なくないと聞く。
これもいい経験だと、下痢がなおったあとはまた前向きの考えにもどってしまった。
 
このときの旅はなれない土地をかけ足で、おもしろい体験も深い洞察も少なかったけど、以後に続く旅の下見のつもりだったから、こんなもので満足しておくことにした。
わたしはこのあと、すでにブログで公開したシルクロードの旅や、台湾、香港を含めれば、20回も中国を旅している。
おそらくこの20年ほどのあいだに、中国ほど劇的な変化をした国はないだろうから、幸か不幸か、わたしはその変転をこの目で観察し続けてきたことになる。
商社の社員や研究者ではない、ただのしろうとが見つめた旅としては、これはなかなかの僥倖ではないだろうか。
わたしにはさらに、蘇州や無錫、西安、開封、洛陽など、まだ書いてない旅の記録や写真がたくさんあるので、また機会があったらこのブログで発表するつもりでいる。
 
えっ、いっしょに行ったAちゃん?
彼女は人妻だから、いまでもよその家庭で人妻をしているはずだけど。

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ようやく全員が揃ったところで、ガイドの馬さんから提案があった。
ホテルは空港の近くにあって、上海市街からずっと離れています。いったんホテルへ入ったらもう外出はできませんから、どうでしょう、このままバスで市内をドライブしませんかというのである。 そういわれてはそうするより他はなかった。
わたしたちはいったん繁華街を抜け出したものの、えらく広い通りをゆるゆると走って、ふたたび市中に引き返した。
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えらく広い通りを行くとき、バスの暗いライトで照らされた路面を眺めてみたら、路面がすべて素晴らしい石畳になっていた。
この広い通りは「人民広場」と改称されているけど、戦前の共同租界時代には競馬場だったのですと馬さんが説明する。
このあたりにも大勢の人々が、徒歩で、あるいは自転車で、行き交っており、そのすぐわきでは地下鉄工事をやっていた。
 
わたしたちのバスは、ふたたび人間と車でごったがえす、市内のもっとも繁華な通りへと突入していった。
この通りが上海でもっとも繁華といわれる南京路で、車の数はそれほど多くないのだが、すさまじい人間の渋滞のために車は遅々として進まない。
馬さんが、今日は土曜日だから、ふだんより少し人が多いですねという。
電気節約ということで、ほかの場所ではたいてい街は暗かったが、この上海の繁華街はネオンがきらめき、ウインドーの照明は光々として、夜景はじつに美しかった。
 
動かないバスのなかで、すぐわきにあるデパートを見るともなしに眺めていたら、誰かが、おっ、あの女を見ろと叫んだ。
デパートでもクーラーなんか効いてないらしい。
そのかわり扇風機が空気をかきまわしているらしく、ショッピングをしている女性のスカートがふわふわと風にふくらんでいるのである。
あぶなっかしい光景だった。そのうち地下鉄の上のマリリン・モンローみたいになるのではないかと期待したが、そういうことはなかった。
 
この程度でおどろくことはない。中国の女性の大胆さ(というより恥じらいのなさ)については、ビックリさせられることがしょっちゅうあった。
服装は近代的であるのに、まだそれがイタについてない女性が多いというべきか。
路傍で大股をひろげて座りこむなんてのはザラ、Aちゃんが見た自転車の女性は、暑かったせいか、フレアスカートの裾をひょいとハンドルにひっかけて、さわやかな顔で走っていたという。
 
この大勢の人のなかに人民服を着ている人は1人もいない。
暑くて着られないということもあるだろうが、馬さんによると、今どきあんなものを着ていたらオカシイ人と思われますということだった。

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レストランを出発するまでにまだ時間があるというので、わたしはまた付近をぶらつくことにした。
もうそろそろ日没になりかけていた。
わたしは1人で雑踏のなかを歩き出した。
すぐに小さな子供がまとわりついてきた。またしても小さな乞食である。
手に汚い紙幣をたくさんにぎりしめているくせにわたしにほどこしを求めてくる。
ダメだよ、ダメだよと断りながら歩き続けると、しまいにこっちのふとももをひっぱたいて逃げていった。大きな音がして、そばを歩いていた中国人女性がびっくりしてわたしを見たくらいである。
 
この小さな豪傑は、わたしが一巡して華僑飯店の近くまでもどってくると、また性懲りもなくまとわりついてきた。
今度はわたしも閉口して、ちょうど蘇州のみやげ物屋で、店の若奥さんにもらった一角硬貨があったから、それを与えてやった。子供は礼もいわずにすぐ立ち去った。
中国を旅していて、おいおい知ることになるけれど、こちらの乞食を追い払う方法は、いくらでもいいから小銭を与えることだ。少額の硬貨でも与えれば、彼らはたちどころにいなくなる。
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華僑飯店のまん前に「人民公園」があり、その外壁にショーウインドーがあって、なにかの写真がずらりと掲示されていた。
灯りで照明されていてよく目立つので、デパートの商品でも展示されているのかなと近づいてみたら、これはすべて役所や工場で表彰された優良従業員の写真らしかった。
共産党のやりそうなことだけど、中国の人たちでさえこんなものを立ち止まって眺める者はいなかった。
公園のなかではアベックが抱擁しあっていた。近くにはマクドナルドもある。改革開放政策はじわじわと浸透しつつあるようだった。
 
出発の時間がきてバスにもどると、カミシロさんのグループがいつまでたってももどってこない。
彼らはレストランで、わたしたちとは別行動をとっていたのである。
エビハラさんが、ヒトのことをいえないじゃないかとぷりぷりする。この人はここに至るまでに2、3度行方不明になって、みんなから迷子の常習犯だと思われていたのである。
そうしているあいだにも、夜遊びに行く時間はどんどん少なくなる。

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お知らせ

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江南への旅もあと4、5回を残すだけになりましたけど、残念ながら今日から田舎に帰省することになりました。
帰京するまでしばしブログの更新はお預けです。
それまでわたしの古い知り合いの、まだ若かりしころの写真でもながめていて。
 
みなさん、よいお年を。

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江南への旅/華僑飯店

わたしたちは「華僑飯店」というホテルで夕食をとることになっていた。
ここはやはりそうとうに古い、格式のあるホテルらしい。
回転ドアを押して建物のなかへ足を踏み入れると、わたしのような下々の者でも帝国ホテルの客になったような気分である。エレベーターの扉などは金張りでまばゆく輝いていた。
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華僑飯店のレストランはごったがえしていたけど、入ったとたんに、やあっと元気な声がかかって、無錫で別れた画家のオガワさんが手をふっていた。
レストラン内は、団体なのか個人なのか、さまざまな人種が食事をしており、欧米人の顔もたくさん見られた。
このレストランの壁にはずらりと水墨画が展示してある。これももちろん売り物である。わたしたちが食事をしているあいだにも、いくつかの絵が商談成立して運び去られた。
 
わたしとAちゃんはオガワさんの隣りに座って、お互いの報告をし合った。
オガワさんは友人とともにツアーを抜け出して、上海のホテルに滞在し、あっちこっち出歩いて絵を描きまくっていたのだという。その成果であるいくつかのイメージスケッチを見せてくれた。
スケッチのなかに、ジャズバンドがジャズを演奏している絵があった。
上海バンスキングを知っていますかと彼が訊く。もちろん知ってますとわたしは答える。
銀座の博品館ホールでこのミュージカルが上演されているとき、わたしはぜひ見にいきたいと思ったものである。
オガワさんが泊まっていたホテルには、夜ごとにジャズを演奏するクラブがあって、まさに上海バンスキングの世界だったという。
 
どうです、宿泊先のホテルに着いたらジャズを聴きにいきませんかとオガワさんはいう。
それはいいと、わたしとAちゃん、そしていあわせた人々がみな賛成した。
問題はなかなかそのホテルに着かないということだが。

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