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現代ではいろいろと戦うべきものが多い宗教ですが、その1つに男女同権・フェミニズムという流れとどう折り合いをつけるかというもの。
日本でも富士山や立山、比叡山などが女人禁制とされていた事は有名ですし、今でも奈良県の大峰山や祇園祭の長刀鉾などでは未だに女人禁制が維持(堅持)されています。
ただ日本の場合は祭や少数の巡礼地のみで、一般的に日本のほとんどの社寺には女人禁制や男尊女卑的な要素を見る事はありません。
しかしここは中東。
イスラム教やイスラエルのユダヤ教など、食物規定や1日何回の祈祷などと日々の生活と密接に関係している宗教では、それだけ男尊女卑・女人禁制を感じる機会も多く、フェミニズム・男女同権運動も日本より盛んなように感じられます。
イスラム教世界は女性解放運動という意味ではまだ遅れていますが、ユダヤ教では近年、宗教的行事の中でも男女同権の流れが進んでいます。
ユダヤ教では男子のみがキッパ(帽子)やツィツィート(下着のふさ)、祈りや儀式の時はタリート(肩掛け)などの着用を許されている事や、シナゴグでの礼拝時も女性は男性との同席は許されず階上のバルコニー(エズラット・ナシーム)からの礼拝見学のみである事、礼拝時も大声での祈りや歌う事は許されていない、などと女性の権利はかなり制限されています。
さて、そんな現代ユダヤ教で1番の聖地、嘆きの壁(西壁)の様子がこちらです。
境目のフェンスをオレンジの囲いと矢印で示していますが、女性のスペースは約半分。 それに加え男性のスペースの左側には、写真からは見えないトンネル状の祈祷スペースがあるので、女性の祈祷スペースの面積は男性の約3分の1。 祈祷の斉唱やトーラー・スクロール(モーセ5書の巻物)からの聖書朗読禁止などスペースだけではなく儀式上の男女区別(または差別)もあります。
さて男女同権の流れから最近では(特にアメリカの)改革派のユダヤ教では、女性の積極的礼拝参加やタリートやキッパなどの宗教的服装の着用、そして「ラバ(רבה)」とよばれる(女性牧師のような)女性のリーダーまでが一般的なものになってきています。
そして、そんなタリートを着用し祈祷等を行っていた彼女たちが嘆きの壁にて逮捕されるという事件がたびたび起こっています。
約2週間前の今月11日はユダヤ暦で言う新月だったのですが、タリートを着用した女性5人がその新月に行われる礼拝をしていたところを逮捕され、エルサレム治安判事裁判所にて彼女たちの裁判が行われていました。 彼女たちの逮捕理由は1981年に公布された「ユダヤ人聖地保護条例」によれば、「その地域・地元の習慣にそぐわない」または「参拝者/礼拝者の心情を害する可能性がある」宗教儀式が禁じられています。
そして、その「地元の習慣・礼拝者」とは一般的に「正統派ユダヤ教の習慣・正統派ユダヤ教徒」と考えられ、正統派ユダヤ教は女性の礼拝参加を認めていないので、彼女たちは逮捕されたのです。
そして木曜日、エルサレムの地方裁判所からの決定が発表されました。それは「地元の習慣=正統派の習慣」である確固たる根拠はないとし、彼女たちの釈放と「女性のタリート着用・礼拝での祈祷斉唱は嘆きの壁の秩序を乱すものではない」との決定。
改革派や伝統派のラビやユダヤ教フェミニスト団体・Jewish Agencyなどからは、「この解決法により全てのユダヤ人が嘆きの壁で我が家に居るように感じられるだろう」など喜びや称賛の声が次々と上がっています。
また「裁判所の決定を順守する」と、エルサレム警察も今後はタリートを着用した女性の逮捕は行わないようです。
Jewish Agencyのチェアマンは、将来的には女性の祈祷スペース側を拡大し男女間の祈祷スペースの面積格差をなくす計画を明かしましたし、ネタニヤフ首相も嘆きの壁での男女差別の問題解決を望んでいるようですが・・・
当然のことながら、
正統派ユダヤ教界からの反発が予想されています。
ユダヤ教やイスラム教など日々の生活と密接な関係がある宗教ほど、「女性解放・フェミニズム」という時代の流れと「保守主義/保守性」という古き良き宗教像との折り合い・格闘が、深刻かつ重要な問題。
宗教的男女の格差問題などから中東を見てみるのもなかなか興味深いものです。
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>内緒さん
そうかも知れませんね。
ただ宗教という大義名分があるユダヤ・イスラムの宗教的社会の男尊女卑は日本の非ではないように感じられます。
その反面、イスラエルの世俗社会はかなりフェミニズム化が進み日本よりも女性が社会活動に参加してきているように感じられます。
そういう意味でもイスラエルには、全く違う2つの社会があると思います。
2013/5/7(火) 午後 4:13 [ テル ]