イスラエル、バラガン日記

イスラエルに留学している大学生のブログです。

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シリアからの犠牲者たちに治療を行うイスラエルの医師たち:
この惨事を世界に伝えるべき 〜続編〜

 
少年Aの場合:
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〜少年A〜
少年A(15)は小児科の病室に横たわり、13歳になる弟が兄に食事を食べさせていた。少年Aの片足はシリア内で切断されていたのだが、押し潰されていた片手はこの病院(ツファットのズィブ・メディカルセンター)で救う事ができた。彼らはトラクターでシリア軍に水を届けに行く途中、地雷を踏んだ。爆発の後に兵士たちは彼らを自宅に運んだのだが、怪我の様子を見た父親は彼らをイスラエルとの国境まで運び、国境部でイスラエル国防軍が子供たちを受け取りその日のうちに、ここツファットのメディカルセンターに搬送された(弟談)。運ばれて来た時、少年Aは意識がない重体だったが、4日間の集中治療の結果意識を取り戻した。少年は自分の片足の腿から下を失ったのだが、その事について全く覚えていない。
弟も重傷を負ってこのメディカルセンターにやって来たが、彼の状態の方がだいぶ良かった。特に両足の怪我はひどかったのだが、破片によって全身に傷を負っただけだったからだ。いくつかの手術と皮膚移植の後には彼は病院の廊下を走り回るまでに回復していた。彼がまだ退院しない唯一の理由は彼の兄のそばに誰かがついて居てあげるためだ。2人は声をそろえて「お母さんに会いたい」と言う。もうシリアのおうちに戻りたいのかと聞くと、強く頷き、「じゃぁ、あそこに戻るのは恐くないの?」と聞くと「恐くない!」と強い答えが返ってくる。
 
レルネル医師はセンターに運び込まれて来た負傷者たちの写真をスライドショーで見せてくれた。ずたずたになった臓器など、見るに堪えない写真ばかりであった。スライドショーの後半では指や足が再生されてある程度機能している写真があった。オスカー医院長はそれらの様子を見てレルネル整形外科医を「まるで魔法使いのようだ」と評する。「戦争時の病院ではたいていの場合、再生という困難な治療は行わずより簡単な手足切断を選ぶ医者がほとんど。しかしレルネル整形外科医は世界的な体の再生を行う専門家がうちの病院に居る事は、本当に負傷者にとって不幸中の幸いだ」
 
イスラエル北部の病院が1つになってシリアを支援
ズィブ・メディカルセンターはシリア人への治療を行っている唯一の病院ではない。イスラエル北部ではいくつかの都市の大きな病院がシリア人への治療による支援を行っている。ナハリヤの病院では女性・子供・乳児を含む計115人への治療活動を行っている。どの病院にどの負傷者を搬送するのかはイスラエル軍が大まかな判断によって決められているが、ナハリヤの病院には頭部や脊柱、神経外科による治療を必要としている負傷者が優先的に送られるようになっている。ツビー・シェレグ医師は治療に関わる全てのスタッフが感極まってしまう瞬間が多々あると語る。「顔と胸部に重傷を負って小児科の集中治療を受けていた3歳の女の子に、意識が戻って起きあがった時、どこにいるのかも何が彼女に起こったのか、そして言葉さえ分からない状態の中ただ『お母さん、お母さん』と泣いた事があった。いくら経験があるスタッフたちにとってもそれは人間として胸が熱くなる、辛い瞬間だった。」その数日後、無事母親を見つけ我が子の見舞いにやって来る事ができ、つい先週彼女は退院した。他にもナハリヤの病院では、あごと口が変形しぐちゃぐちゃになっていた若者が運ばれてきたが、集中治療といくつかの手術の結果、飲食と会話が十分できる状態まで回復し退院させる事が出来たり、頭を撃たれた若い女性を元気な姿でシリアの自宅に送り届ける事ができたり、などのエピソードが他にも多くある。

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敵国の患者を受け入れるということ・・・
彼らの治療はイスラエル人の患者のよりも複雑・困難で彼らと同じように扱われてはいるものの、敵国の患者を受け入れているという複雑な空気が現場には漂っている。負傷者の病室の外には軍の警察官が監視のために立っていて、誰が出入りして病室で何が行われているかをチェックしているし、原則的には負傷者が直接彼らの家族と電話等で連絡を取る事は禁止されている。治療スタッフは軍の他に赤十字などを通して連絡を取っているが、顔が写った状態で負傷者の写真を撮影したり、名前を公表したりする事は彼らがシリアに戻った後の事を考えて禁止されている。「1度負傷者が乳児の母親でどうしてもシリアにいる子供と連絡が取りたいと懇願したので、家族への連絡を許可しようとしたが・・・やはり軍からの許可が下りなかった」とツファットのオスカー・メディカルセンター長は話した。
 
この医療現場の緊迫した雰囲気は、イスラエル国内のアラブ人とドルーズ人の社会のシリア内戦に対する心情にも起因している。ある病院では、アサドを支持する(アラブ・ドルーズ)イスラエル人たちが病院に押し入り、シリア人負傷者に対して暴動を起こすという事件があった。このような背景から軍の決定で、アラブ人ボランティアを一般募集する事できないというのが悲しい現状なのだ。

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