イスラエルがシリア内戦の負傷者に対して無償治療を行っているという事を、前の記事では紹介しました。
実は今月初めにシリア内戦への医療支援では初となる、シリア人の赤ん坊がイスラエル北部で生まれました。今回はその記事を紹介したいと思います。
内戦勃発後初、シリア人の赤ちゃんがイスラエルで生まれる―
臨月のシリア人女性は出産を間近に控え不安を隠せずにいた。内戦によって彼女の村は封鎖されているような状況。そこで彼女は地元の病院ではなく、国境に向かいイスラエル兵に助けを求めた−今すぐ病院に搬送してくれと。「イスラエル兵は真摯に接してくれました」
イスラエルのシリアへの医療支援はまた次のステージへ:
初めてのシリア人の赤ん坊が今朝(11月3日)、北部ツファットのズィブ・メディカルセンターで生まれた。イスラエル国防軍により母親は昨夜病院に搬送されたのだが、その時はすでに分娩が始まっていた。シリア人の母親は20歳で初産だったが、自然分娩で無事3200グラムの男児を産むことができた。
これまでイスラエル側で治療を受けたのはシリア内戦による負傷者だけだったが、今回は初めてシリア人妊婦に対する治療が行われた。母親が医療スタッフにした話によると、彼女はシリア南東部クネイトラ県の村に住んでいるのだが、集落は封鎖状態にあり病院も機能していないような状況。「村には産婦人科も助産師も居ず、私のお産を手伝ってくれる人は誰も居ませんでした」と彼女は説明した。「私は看護婦として働いているので、こちらの怪我人がイスラエルで治療されているという事は前から知っていました。なので陣痛が始まった時、すぐイスラエルとの国境に連れて行ってくれるよう頼みました。もしかしたらイスラエル軍が出産の手助けをしてくれるかも知れない、という希望の光が心に小さく灯ったからです」
『イスラエルに入るという事に対しての恐怖心』
彼女の希望は現実のものとなった。「嬉しい事に、イスラエル軍が激痛に苦しんでいるのを見て、私をすぐにイスラエルの病院に搬送してくれました」と彼女。「イスラエルに行くという事への恐怖心はとても強かったのですが、それよりも子供の無事が心配で仕方ありませんでした。助産婦や医師たちイスラエル人スタッフは愛情を持って、真摯に接してくれたので出産を無事に終える事ができました。」
彼女はこう続けた。
「私の国とは国交ももちろんないのですが、敵国に居るという感じはまったくしません。みなさん私を助けてくれますし、心配してくれています。私の村は封鎖されているので、長い間唯一の食べ物はお米でした。ここに来て、ホント久し振りに野菜や肉を食べる事ができました。健康的な食生活を送れているので体調もすこぶる良好で、かわいい我が子も素晴らしい治療を受けられています。みなさんの献身的な介護や理解、そして気遣いに本当に感謝しています」
メディカル・センターの主任助産師も彼女の出産について語ってくれた。「彼女が病院に着いた時、すでに破水していて分娩第2期の状態でした。もちろんイスラエル人の妊婦と同じように彼女の出産にスタッフは心を込めてサポートしましたし、彼女は初産で出産にご主人が立ち会う事ができなかったので、精神的なサポートを少しでもできればなと思いました。シリア人の彼女がイスラエル人の助産師たちの手を握り、国籍を越えて出産に臨み、出産後にみんな喜びながら抱き合ったのは非常に印象に残る事でした。」
彼女は国籍・民族・宗教に関係なく、妊婦1人1人に真心こもった対応をしていると話してくれた。「多分この異国での初産は彼女にとって忘れ難いものになるのではないかと思います。いつか彼女が公にこの体験を話せる日が来ればなと願っています。」
シリアに帰った時の彼女の身の安全を守るため、彼女の名前は伏され写真にはモザイクが入っています。
今はもちろん無理ですが、彼女が本当に「私の初産はイスラエルだったの。イスラエルは悪魔の国だと教えられていたけれど、ホント優しく接してもらったわ」と、話せる日が来ればいいのですが・・・
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