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「群山に配備された在韓米軍の最新鋭の長距離空対地ミサイルJASSM10余発が最近、戦力化された」との衝撃的な事実が明らかにされた。26日、連合ニュースが複数の軍事外交消息筋からの情報として伝えた。
それによると、全羅北道の群山空軍基地に展開するF16戦闘機がJASSMを搭載、発射する武装体制を整えた。射程370キロのJASSMはGPSを内蔵し、ピョンヤンなど金正恩指揮所を含む北朝鮮の軍事施設を誤差2メートルの範囲内で精密打撃する事ができる。 配備時期はTHAAD4基の搬入で文在寅新政権と米政権間に齟齬が生じた直後とされ、トランプ大統領の強い意志が反映されている。 衝撃的な軍事情報がこの時期に明らかにされたのは、無論、狙いがある。29、30日に予定された韓米首脳会談の前哨戦と言えよう。 つまり、トランプ大統領は文在寅新大統領の覚悟を試そうとしているのである。 朴槿恵大統領の弾劾、罷免というハプニングで急遽大統領に就任した文大統領の対北政策は、いまだに基本スタンスが定まらず、揺れている。 選挙戦の公約で「最初に金正恩委員長と会う」と述べていた文大統領は、大統領に就任後、ブリーフィングを受けて状況の厳しさを知らされ、韓米同盟を基本に北朝鮮に対峙すると軌道修正した。しかし、準備不足は否めず、特にTHAAD問題では発射台の追加搬入分4基に環境影響評価を実施するとし、早期完全配備を急ぐトランプ政権から不信感を持たれた。 文新大統領の対北認識は10年前のノ・ムヒョン政権時代の秘書室長時代のそれと大して違っていないように見える。韓国NGOが申請した北朝鮮結核患者治療薬搬出を許可したのは肯定できるが、ソウルでの国際会議に北朝鮮最高人民会議議長を招待したり、来年の平昌東京五輪の南北合同チーム結成や馬息嶺スキー場利用を呼び掛けたりと、情緒的な非現実的提案を繰り返している。 案の定、どれも北朝鮮側から「軍事的対決状態を解消するのが先だ」と、にべもなく拒絶されている。 文新大統領とブレーンたちの対北朝鮮認識は10年前の対北接触を引きずっている。 「制裁だけで核問題は解決できない」が文新大統領の信念であるが、北朝鮮の核開発阻止は時間との勝負になっている現実をまず再認識する必要がある。「凍結」を当面の目標とし、その次の段階で「完全廃棄」とする段階的・包括的アプローチを訴え、北朝鮮が核実験など追加挑発を中断すれば無条件対話に応じると提案しているが、牧歌的に過ぎ、事実上、金正恩政権に核開発の時間稼ぎに手を貸すことになりかねない。10年のブランクはあまりに大きい。 文大統領は独り善がりにならず、北朝鮮による核・ミサイルの実戦配備は「早ければ2、3年後」という韓米軍事当局の基本認識の重大性を早急に理解する必要があろう。 文政権の対話提案を嘲笑うように、労働新聞が「我々の自衛的な核抑止力はいかなる交渉の対象にもなり得ない」と繰り返すのは、金正恩政権が政権の命運をかけて核・ミサイルの実戦配備を最優先視している事を端的に物語る。甘い幻想が通じる相手ではないのである。 外交経験の乏しい文新大統領の最大の弱点は北朝鮮への制裁強化の切り札とも言うべきTHAAD問題であり、民主党議員団が媚中外交を演じて失笑を買うなど右往左往した野党時代の欠点をいまだに払拭できていない。 ロイター通信との22日のインタビューでも来る習近平主席との首脳会談で「全ての報復を解除してほしいと要請する」と述べている。THAAD配備を手続き問題で遅らせる代わりに経済報復解除を求めるというもので、属国外交と批判されかねない卑屈な態度である。それを報じた連合ニュースは中国の協力で北朝鮮の挑発を封じる狙い、妙手と解釈しているが、THAAD問題の本質が全く見えていない。 後述のように、朴槿恵前大統領は北朝鮮への制裁、圧力を渋る習近平主席に「金正恩が核を放棄しさえすれば、THAADは配備しないし、配備しても撤去する」と直接に伝え、中国が渋々ではあるが制裁強化に踏み切った経緯がある。 金正恩政権への制裁強化が効果を発揮し、大きな山場に来ている時に文新大統領が前政権との違いを示そうとポピュリズム的なスタンドプレーに流れるようだと、韓国外交は大きく躓き、米中の間で弄ばれることになろう。 “不通”の女帝的な内政で足をすくわれた朴槿恵前大統領であるが、五か国語に通じた語学力を駆使したオバマ前大統領、習主席との首脳外交は世界10位圏の経済力をいかんなく発揮し、韓国外交史上秀逸のものがあった。それを痛感させられたのが、崖際まで追い詰められた金正恩委員長に他ならない。 それと関連して興味深いのが、「朴政権、正恩氏失脚を計画」と一面トップでセンセーショナルに報じた朝日新聞(6月26日)である。「朴政権の対北朝鮮政策に詳しい関係筋」の情報として、「朴大統領が2015年12月の南北当局者会談決裂を受けて北朝鮮のリーダーシップチェンジを目指す決裁書にサインし、金正恩の引退、亡命、暗殺が含まれていた」と伝えたが、私も当ブログで何回も指摘したことであり、少しも驚くことではない。 ただ、同記事は朴大統領が国情院に引きずられて対北強硬姿勢に傾いたかのように書いているが、朴外交の本質を見誤っている。 簡単に振り返ると、朴大統領は当初、「韓半島信頼プロセス」を提唱し、大胆な南北和解を呼び掛けたが、北との接触過程、さらに脱北した多くの北朝鮮高級幹部の証言から、金正恩の核開発の意思が強固であり、単なる対話で止められないものであることを知り、制裁・圧力重視へと舵を切っていく。 『二人のプリンスと中国共産党』でも触れたが、それが具体化するのは、2015年9月、北京での「抗日戦争勝利70周年」行事である。朴大統領は西側首脳として唯一、閲兵式に参列し、習主席に貸しを作った。その返礼が北朝鮮への制裁・圧力強化である。 さらにその1か月後にオバマ大統領との首脳会談に臨み、北朝鮮の核・ミサイル開発阻止と金正恩政権を改革開放へとソフトランデイングさせる戦略を盛り込んだ韓米外交史上初の画期的な共同声明を発表した。 その直後の韓米安保定例会議でいわゆる「斬首作戦」が採用され、韓米合同軍事演習に組み入れられた。朝日がスクープした決裁書はその後の事である。 習、オバマ両首脳との会談を重ねて個人的な信頼関係を築いた朴槿恵前大統領ならではの外交的な離れ業と言えよう。 すなわち、北朝鮮のリーダーシップチェンジは北朝鮮内部の権力構図、権力闘争まで踏まえ金正恩政権の交代も視野に入れてソフトランデイングを目指す周到な計画であり、基本的には米中首脳も了解している。 ちなみに、1968年に北朝鮮特殊部隊が青瓦台を奇襲するなど韓国大統領暗殺計画は北朝鮮ではとうの昔から策定されており、それが南北の厳しい現実でもある。 北朝鮮に拘留された米人学生の死亡で米世論が悪化しているのを受け、トランプ大統領は金正恩が核兵器を実戦化する前に物理的に除去する意向を固めている。 文大統領にもズバリ、北朝鮮核開発阻止への覚悟を尋ね、軍事オプションへの同意を求めることになろう。曖昧な態度を取ることは許されない。 来月初めのG20で予定される米中首脳会談の主題は「100日約束」の履行状況を点検する場になる。軍事オプションが具体的に論じられるが、文大統領も腹をくくらなければならない。 |
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新刊『日本改革の今昔 首相を目指した在日新井将敬』の第一部「元祖改革派のホープは何を思う」の5「安倍一強の盲点」で安倍降ろしを予測しておいたが、昨日の安倍晋三首相の弁解がましい記者会見はそれが現実化しつつあることを如実に示した。
報道各社の直近の世論調査は軒並み、斡旋利得罪の対象となる口利き政治を疑われている森友・加計学園問題の影響で、安倍内閣の支持率が10ポイント前後下落したと報じ、30%台と不支持率と逆転したケースも複数あった。安倍首相にとっては予想外の衝撃的な数字であろうが、新著で必然的にそうなるしかないと指摘しておいた。新井の盟友であった石破茂元自民党幹事長、小池百合子東京都知事、二階自民党幹事長らの出番が来るが、中国系在日の蓮舫民進党代表がそれにしてもいかに絡んでいくか、暑い政治の季節の到来である。 記者会見での安倍首相の顔は心なしか青ざめて見えた。 少し前までオリンピックまでの長期政権を夢見ていた安倍一強が突如として揺らぎ出したのであるから無理からぬことであるが、形勢逆転と最後の望みをかけ、再び経済優先へと舵を切り始めた。 しかし、日銀の無謀な量的緩和による金融バブルで表面的に潤っているかに見える日本経済はシャープ、東芝破綻が端的に示すように、空洞化が急速に進んでいる。 安倍政権はすべからく自己に不利な文書やデーターを隠す傾向があるが、年間80兆円ベースの量的緩和(=日銀による国債購入)に依存するアベノミクスにより財政破綻の足音が近付いており、IMFは2018年にも限界に達するとの衝撃的な予測を出し、警鐘を鳴らしている。日銀による国債購入が行き詰まり、国債暴落、金利高騰、ハイパーインフレに襲われる。日本がいきなり第2のギリシャ化するというのである。 マスコミなどはあまり報じないが、日銀の発表(6月2日)によると、日銀の総資産額は5月末の時点で500兆8008億円と危険水位の500兆円を超えた。内訳は国債保有高が427兆2495億円と、国債発行総額の4割を超えてしまっている。GDP比で言えば8割に達する。主要各国中央銀行のGDP比は2〜3割であるから、日本は異常に突出している。 その原因は二言するまでもなく、アベノミクスの量的緩和で日銀が国債を買いまくったからに他ならない。このまま行けば、国債は全て日銀が買うという事態になりかねない。同じ事が先の大戦中にあった。日本は軍事費捻出の為に戦時国債を乱発し、経済破綻を招いたが、似たような財政状況に成りつつある。 事態はアリ地獄に陥っていると言っても過言ではない。日銀の黒田総裁が安倍首相の意向を忖度し、2%の物価上昇を名分に量的緩和を押し進めてきた事は周知のことである。 それが実現できないことが問題視されているが、ここに来て新たな問題が急浮上してきた。仮に物価が上昇すると市中金利も上昇し、日銀が金融機関への金利支払と大量保有の低利長期国債との逆ざやにより、債務超過に陥ってしまうのである。そうなれば円は信認を失い、暴落、紙屑となる。 黒田総裁は行くも地獄、退くも地獄となり、せめて任期中だけはそうした事態を回避すると決め込んでいる節がある。 無責任極まるが、量的緩和の間に政府が経済成長を実現し、財政再建を行う約束であった。それが行われていないと、それなりに言い分がある。 |
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米ミサイル防衛局は5月30日、米国初のICBM迎撃実験に成功したと報じた。その前日の29日にトランプ大統領はツイッターで「北朝鮮は弾道ミサイルをまた発射し、中国に対して大変無礼なことをしている」と呟いている。ICBM迎撃実験は直接的には北朝鮮を意識していることが明らかだ。
と言うのも、29日早朝、北朝鮮は東海岸の元山から弾道ミサイルを発射し、翌日の朝鮮中央通信は「精密操縦誘導システムを導入した新型弾道ミサイル発射を金正恩委員長が指導し、成功させた」と報じた。朝鮮中央テレビはこれ見よがしに発射の模様を流し、「予定目標より7メートルの誤差で命中」とシミュレーション画像を繰り返した。 それに対する直接の回答がICBM迎撃実験という訳であるが、トランプ大統領は親子ほども歳が離れた金正恩委員長といつまでもチキンゲームを続ける気は毛頭ない。事態はいよいよ最終局面に達しつつあると読める。 孫子は「敵を知り己を知れば、百戦危うからず」と述べたが、この兵法の大原則を知らないのは、トランプか金正恩か? 結論から言うと、首脳外交らしき事をしたことがなく、外交経験がゼロに等しい金正恩の、最大の敵とするアメリカについての認識は極めて偏り、危うい。スイス留学時代に憧れたプロバスケットのイメージをいまだに引きずり、情緒的である。趣味のSNSで米情報を随時入手してはいるが、主観的に過ぎ、客観的にアドバイスしてくれるブレーンもいない。 焦眉の核・ミサイル問題でミサイルを乱発するなど、極端に反応するのはそのためである。もともと衝動的に動くタイプであるが、強気に見えて、その実、疑心暗鬼や内面の恐怖心をうかがわせる。 29日早朝のミサイル実験で金正恩が発射したミサイルは53発に達し、3回の核実験と併せ、金日成、金正日時代に比べ異常に多い。祖父、父は核大国・米国への冷徹な認識と彼我の政治力学的関係を踏まえた戦略的な思惑から慎重に実験したが、金正恩の場合は、やたら反発し、自分を認めて欲しいの一点張りで、子供じみている。自己の力を内外に誇示し、米国を交渉の席に引き出そうと昂るが、その実、恐怖感を隠せない。 29日の弾道ミサイル発射後、北朝鮮外務省報道官は「今は日本領土内の米国の軍事対象(米軍基地)が照準器内に入っているが、日本が敵対的な姿勢に変えなければ日本国内の標的を在日米軍以外に広げる」と威嚇した。 一種の人質作戦であり、日本海に展開しているカール・ビンソン、ロナルド・レーガンの2つの米空母艦隊を強く意識している。日本を恐怖に陥らせ、トランプが企んでいる先制攻撃を思い止どませたいというのが金正恩の本音である。 唐突な対空ミサイル実験も空襲を恐れてのことに他ならない。 金正恩は米国を脅せば交渉に応じると思い込んでいるが、それが根本的な誤りである。旧日本、ドイツに対する開戦、近いところではアフガン、イラク攻撃が物語るように、米国は伝統的に脅す相手にはより攻撃的になる。 トランプは北朝鮮への軍事オプションを公言しているが、金正恩が対米核攻撃を口にしている以上、核先制攻撃もオプションに加えていよう。 日韓のマスコミにはトランプが軟化し、対話に舵を切ったと報じるのもあるが、表面的な見方である。前掲のツイッターで「中国はhardに努めている」と付け加えているが、中国の対北制裁強化を期待し、猶予を与えているからに他ならない。 すなわち、トランプ大統領は4月の習近平主席との会談で北朝鮮問題に対処する目標期限として「100日間」を設定し、その間に中国が効果的な制裁・圧力を行使しなければ「単独行動する」と通告している。貿易赤字問題を解消する「100日間」だけ報じられ、秘密に付されていたが、訪中したソーントン国務次官補代行が5月26日に記者団に明らかにした。中国に約束の履行を迫る訪中であったのである。 その軍事オプションを通告した「100日間」の期限が7月上旬となる。国防総省のデービス報道部長は30日の記者会見で「2隻の空母が現在、西太平洋で定期の作戦行動を展開している」と公式に認めた。カールビンソンとロナルドレーガンの空母艦隊を指すが、31日から日本海で合同軍事演習を始めるとされ、ニミッツも加わると米メデイアは報じる。異例のことであるが、軍事オプションの目標期限の「100日間」を想定していると読める。 敵を読めない金正恩は、敵との相対関係で把握すべき自軍の実力も正確に把握出来ていない。 米国を核攻撃する能力を増強すると並進路線を大言壮語したものの、実際は核の小型化もミサイルへの搭載も未完成であった。それに気付いて、数次の核実験やミサイル乱射に及ぶが、逆に韓米にデーターを晒し、「核ミサイル完成は早くて2〜3年後」と認識されてしまった。 焦った金正恩は核ミサイル完成を北朝鮮科学者に必死に督励しているが、それが逆に、完成前に攻撃されるリスクを高めている。 敵が高度な武器を入手する前に叩くのが戦略戦術の要諦であるが、金正恩はそれさえも分からない。あるいは、薄々感じて恐怖心に駆られているのであろう。側近させも信じられず次々と粛清するのも強迫観念故と考えれば理解できる。 純軍事的にはかつてクリントン大統領が言ったように、水爆3発で方がつく。しかし、民間人の大量被爆は広島、長崎以上の人道犯罪の謗りを免れず、たとえトランプと言えども躊躇うだろう。 逆に言えば、金正恩は米国もさすがにそこまではしないだろうと、自国民を盾に取っていることになる。気ばかり強くて経験不足の青年は、米国を敵視しながら、どこか幻想を抱いているのである。 だが、トランプは金正恩が米国を攻撃する核ミサイルを保有するのを絶対に座視しないことだけは明らかである。 ロシアゲートなどで追い詰められている中、かつてブッシュ大統領がアフガン、イラク攻撃で支持率をアップさせたのに倣い、北朝鮮攻撃に踏み切る可能性は十分にある。地下貫徹のバンクバスターに戦術核を搭載し、金正恩の地下司令部などを瞬時に吹き飛ばす作戦などが漏れ伝わる。 金正恩は米国を甘く見ないことである。保身ではなく、北朝鮮国民を第一に考え、中国の仲裁を受け入れて核放棄、改革開放へと向かうしかない。 なお、米国のICBM迎撃実験の真の狙いは、先の見えた小国北朝鮮ではなく、中国、ロシアである。『二人のプリンスと中国共産党』で明確に俯瞰したように、米中は当面、新型大国関係を構築しながら世界秩序維持に協力するが、いずれ社会主義か資本主義かの体制的な選択で決着をつけねばならなくなる。米国のICBM迎撃実験はTHAAD配備とともにその布石に他ならない。 日韓はその間で揺れるが、日本については近著『日本の改革 首相を目指した在日・新井将敬』で考察した。 |
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やがて犯人は現行犯逮捕されるが、同選挙区の石原慎太郎代議士の公設第一秘書であった。秘書は一人で責任を負って辞職するが、後に石原は「帰化人は政治家になるべきでない」と週刊誌で述べ、事実上、自分の指示によるものであることを認めた。 蓮舫代表に対するいわゆる二重国籍問題は、戸籍を暴いて政治的な攻撃材料にするという本質的な側面で、黒シール事件と酷似している。 日本を内から自由で民主的な国に変えようと、日本国籍を取得し首相を目指した新井は、改革派のホープと強烈な存在感を示し、小沢一郎とともに改革の先頭に立った。しかし、逆流に弄ばれて初志を貫けず、「在日だからバッシングに遭う」と言い残し、自殺した。 蓮舫代表は「自分は多様性の象徴」と首相を目指す。新井生前時に比べれば、多様性や共生社会への理解者が格段に増えているが、他方で、「帰化人は政治家になるべきでない」と排斥し、差別する声も根強く残る。 奇しくも、新井が目指した1990年代の改革は政官財癒着の金丸体制への反省から生まれたが、安倍一強体制の下で同じような「政治とカネ」の問題が国民の政治不信を招いている。 本書は、改革の今昔を比較し、今後を展望する上で資するものが少なくないはずである。 注目すべきは、件の元秘書が鹿島建設に戻って専務となり、石原慎太郎都知事の意向を受けた元秘書仲間の浜渦副知事との間で豊洲市場関連工事を一手に引き受けている事である。 おりしも、安倍首相による森友・加計学園ビジネス疑惑が噴き出してきた。この種の口利き政治は、1990年の改革の成果として制定された斡旋利得罪の対象となり得る。 日銀の量的緩和によるアベノミクス・バブルの中で、1990年代の「政治とカネ」の問題が形を変えて噴き出し、小池都知事の東京大改革運動と相まって第二の政界再編の動きが顕在化してきた。 そうした状況を分析、展望し、「平成の坂本龍馬」と称えられた新井将敬が今、健在なら旧同志の小池都知事、石破茂元自民党幹事長、二階俊博幹事長、そして中国系在日として首相を目指す蓮舫民進党代表らにどのようなアドバイスを送るかとの問題意識から、前・現世二次元構成で展開した。 時代に即した新たな実践的な在日論も提起している。 すなわち、日本国籍取得者や中国系等も在日とする新たな主体的な在日認識を踏まえ、日本社会で活躍する代表的な韓国・朝鮮系在日二世として、孫正義ソフトバンク会長、シャノン賞の韓太舜電通大名誉教授、3D創始者の一人新井(朴)容徳スリーデー社長、金正出美野里病院院長・青丘学院理事長、日経BP賞受賞の文一昌元ソニーLCD開発センター長、直木賞作家のつかこうへい(金峰雄)らを挙げた。また、朝鮮学校卒業生として新井容徳、日本アカデミー賞最優秀監督賞の崔洋一、李相一監督、直木賞作家の金城一紀らを挙げた。 更に、在日がオバマ前米大統領のように将来的に日本の首相となる可能性も想定し、中国系の蓮舫民進党代表を韓国・朝鮮系の新井将敬と対比し、違いと課題を論じた。 <まえがき> 本書は改革の志を抱抱いて日本国首相の座を目指し、挫折したストイックな在日代議士を主人公にした前・現世二次元構成のポリテイカル・ノンフィクションである。 歴史は螺旋階段のように繰り返される。小池百合子都知事が「東京大改革」を掲げて都民から圧倒的な支持を得ているが、都議選で「都民ファースト」が勝利すれば、直下型地震のように政界再編の地殻変動を起こし、首都の大改革が日本大改革に発展する可能性が十分にある。バブル崩壊後の1990年代初頭に同じような現象があった。・・・自民党が政治を金儲けの手段とする「政治とカネ」の問題で民心を失い、新生党→新進党を中心に非自民連立政権が誕生した。国債乱発のアベノミクス・バブルの今また豊洲市場問題や森友学園・加計学園問題等々「政治とカネ」の問題がより陰湿な政・官・財癒着となって露になっている。 1990年代の改革の口火を切ったのが「自民党改革派のホープ」「平成の坂本龍馬」とマスコミの寵児となった新井将敬(衆議院議員在籍1986年〜1998年)であった。小沢一郎前自民党幹事長らと共に自民党を離党し、新進党東京都連幹事長の重責を担ったが、奇しくも、小池現東京都知事も新進党所属衆院議員であった。 新井は・・・「米国から与えられた憲法は我々に何をもたらしたか?自由、民主主義は日本人自らの手で掴み取ったものではない」と日本人の主体性に根源的な問いを投げかけた。そして、「日本人の手による真の自由と民主主義を戦い取らねばならない。憲法がいずれ総選挙の争点になる」と予言したが、それが今日、政治の重要課題に急浮上している。いよいよ新井が再び活躍する季節が巡ってきた、と言いたいところであるが、当人はもはやこの世にいない。 ・・・ 新井の自決から十九年余、志を持った政治家がメッキリ少なくなったと言われる昨今の政界で、(小池都知事や石破茂元自民党幹事長、二階俊博現幹事長)ら新井の旧同志たちが存在感を高めつつある。第二の改革の時代の幕開けである。思い半ばで逝った新井が今も現役であったら、何を思い、どう行動するであろうか? 日本社会は大きく変わり、もはや「在日」政治家が希少種とみなされることはなくなった。・・・時代の変化で足りなくなった部分は補充的に憲法改正すべきだと外連味がないのは、蓮舫民主党代表である。法的には何の問題もない二重国籍問題なるものをネチネチと突かれているが、「在日ゆえに叩かれている」と自死に追い込まれた新井のように孤立することもない。・・・首相になれる可能性もある。 かつては在日韓国人・朝鮮人のみを指した「在日」のコンセプトそのものが拡大変容し、活躍の場が飛躍的に広がっている。ヘイトスピーチなど後ろ向きの現象も一部に出ているが、障害を乗り越えるのが前進、進歩と思えば悲観したものでもない。日本以上に閉鎖的同質的社会と言われた韓国でも、大統領選挙たけなわの中、野党の文在寅候補の政策顧問として・・・2003年に韓国籍を取得した「在韓」の保阪祐二世宗大教授が活躍している。「在日」、「在韓」がシンクロナイズし、新しい地平を切り拓く社会までもう一歩である。 本書は戦略的視野を持って第一次改革時代をリードした新井将敬を中心に改革の今昔を比較するため、二部構成となり、第一部で新井将敬没後の現在に至る政治状況を「元祖改革派にホープは何を思う」と題して考察した。第二部では史料的価値もある旧『代議士の自決 新井将敬の真実』を再録したが、全体の分量調整のために一部割愛した。 2017年5月3日 目次 まえがき 第一部 元祖改革派のホープは何を思う 1 巡り巡る新井将敬の季節 2 石原慎太郎のおごりと豊洲市場問題の闇 3 小池都知事誕生と第二の改革旋風 4 安倍一強の盲点 第二部 『代議士の自決 新井将敬の真実』 まえがき 1 隠された実像 闘う改革派 2 思想と行動 3 改革派代議士の死ー誰が新井将敬を殺したのか |
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北朝鮮が14日に国連安保理が禁じている弾道ミサイル実験を強行した。例のごとく早朝5時27分というのは、昼間寝て深夜に活動する金正恩委員長の欲求に合わせたのであろう。
その狙いについて日韓で様々な憶測が飛び交うが、ことさら合理的な理由付けをしなくとも、金正恩の意固地な性格と結び付けて考えた方が理解しやすい。 金正恩が最後の期待を繋ぐ文在寅韓国新大統領を試しているのである。 太陽政策を引きずる文大統領は10日の就任演説で「必要なら直ちにワシントンに行く。北京、東京にも行き、条件が整えばピョンヤンにも行く」と述べていた。選挙戦中には「真っ先にピョンヤンに行く」と述べて有権者にアピールしており、軸足が定まっていない。 金委員長はその点を揺さぶったのである。実験後、朝鮮中央通信など北朝鮮メデイアは金委員長が現地で今後も核・経済建設を同時に進める並進路線を堅持すると述べたと伝えた。国内向けのアピールであると同時に、南北対話再開に意欲を示す文大統領に対話の前提は並進路線の是認、と注文を付けたのである。東亜日報社説が「金正恩は文政権を甘くみている」と書いたのは、その限りで当たっている。 文大統領は16日、初外遊としてワシントンを訪問すると発表し、韓米同盟を基本とする姿勢を明らかにしたが、金委員長に揺さぶられた観は否めない。 THAAD配備問題では米国との間に依然として隙間風が吹いており、朴槿恵大頭領の弾劾というハプニングで誕生し、「蝋燭デモ大頭領」と北朝鮮に見透かされている準備不足は隠せない。新政権内に開城工団早期再開を主張する親北派を抱え、足腰が定まるには一定の時間がかかるだろう。 しかし、内外情勢を読めない金正恩の悲しさで、揺さぶれば自分になびくと計算してミサイルを発射したものの、逆に文大統領を対北強硬路線に傾かせてしまっている。 17日、文大統領は韓国と北朝鮮が軍事衝突する可能性が高まっていると警告し、軍にいかなる事態にも対応できるようにと最高司令官として命令を発した。さらに「南北対話は北が核廃棄の姿勢を明確にしてから」と事実上、朴槿恵前政権と同じスタンスに立った。 北朝鮮がここまで国際社会から孤立すると、韓国の選択肢も自ずと限定されてくるのである。 国連安保理は現地時間の16日午後に「制裁を含むさらなる重大な措置を取る」との報道声明を全会一致で発表し、中国も含めた緊急会合で具体的な協議に入った。 ヘイリー米国連大使は「我々が求めているのは、北朝鮮の指導者が信じ込んでいる体制転覆や暗殺などではなく、朝鮮半島の平和である」と述べ、「北朝鮮との対話の意思はあるが、実現するのは北朝鮮が核・ミサイル開発を完全にやめたのを見てからだ」と釘をさした。 金正恩委員長に生き残る最後の機会を与えたこの発言の裏に、ギリギリまで北朝鮮との対話の努力を続けたと国際社会に示し、最後の手段となる軍事行使を正当化するトランプ大統領の意図が透けて見える。 すなわち、中ロ、さらに韓国に誕生した新政権とギリギリの調整をするということである。 14日のミサイル、火星12号発射について金正恩は米国に達するICBMの完成に近付いたと成果を誇示し、並進路線継続を強調するが、それが逆に米国による軍事攻撃を招く危険性を高めている重大な錯覚であることがまだ分かっていない。 トランプ政権及び米軍部は、北朝鮮が米本土を核攻撃する能力を保持する前に実力で排除することで一致している。この点の理解が肝心であり、日本の一部に北朝鮮の核ミサイルが米国を攻撃出来るかのように誇張する論調があるが、為にする誇大妄想である。 現在、日本海にはカール・ビンソンが展開し、新たにロナルド・レーガンが加わり空母2隻の打撃群が同時展開、原子力潜水艦も潜伏する臨戦態勢を取っている。 金正恩が核実験を強行するようなことになれば、斬首作戦も含めた攻撃を受けることはほぼ間違いない。トランプはロシアゲートで苦境に追い込まれ、支持率も低下しているが、それを一挙に挽回する秘策がブッシュ政権のアフガン、イラク攻撃に倣った北朝鮮攻撃であると読める。 最期に、北朝鮮攻撃が始まれば在日、特に北朝鮮系は厳しい立場に置かれるが、在日も故国の状況に一喜一憂することなく、主体性を持って活躍する時期に来ている。三代世襲という正当性のない金正恩政権に運命を託すなどあってはならない。北朝鮮が非核化→改革開放に向かえば、在日が活躍する空間が開かれるはずである。 私は6月に『日本改革の今昔 首相を目指した在日・新井将敬』(彩流社)を出版するが、元秘書二人が絡んだ石原慎太郎の豊洲の闇や安倍一強体制の盲点の分析と共に、蓮舫民主党代表を含めた広い意味の在日論を展開した。広く一読願いたい(アマゾン、楽天などで予約可能)。 |



